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不妊治療中の痛みについて|宇都宮鍼灸良導絡院

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痛みはなぜ起こるのか

誰でも一度は指を切ったり、転んだり、どこかにぶつけたりして「痛い」と感じた経験があると思います。痛みは不快なものですけれども実は警告信号としての役割があります。

人は痛みを感じるからこそ危険を察知して危険から逃れることができます。

痛みを感じない先天性無痛症という病気がありますが、どこかに痛みがある場合や、怪我をしても気付くことができません。そうすると致命的な障害を負うこともありますので、痛みは体を守るために大切なシステムと言えます。

 

 

 

 

 

 

まず痛みは受容体と呼ばれるセンサーで、機械刺激(手を切る、画鋲が刺さるなどの刺激) 温度刺激(熱い冷たいなどの刺激)化学刺激(炎症が起こるなどの刺激)など様々な刺激を感じとります。その後感じた刺激は受容器と呼ばれる発電所のような役割をする部位で、それぞれ電気的な信号に変換します。電気信号に変わった痛みの信号は受容器(痛みの発信源)の種類により決められた電線(神経)により中継基地(後根神経節)を介して変電所(脊髄)に送られます。

最終的には脳の痛みを感じる大脳皮質や感情を司る大脳辺縁系などの部位へ送られ痛みとして認知します。

 

低気圧の時痛くなる 

低気圧が近づくと痛みが増したり調子が悪くなったりする方がいらっしゃいます。これは気圧が下がると耳の中にあるセンサーが 感知して脳を通じて交感神経活動が 活発になるからです。 交感神経が活発になると、神経末端からノルアドレナリンという物質が出ます。これは痛みを感じる神経や受容器を興奮させて痛みを起こしてしまうのです。

 

 

 

 

 

 

怒ったりイライラしていると急に痛くなったり 痛みが強く感じられたりすることは ないでしょうか。このような痛みはストレスになります。ストレスが存在すると副腎髄質を刺激して、ノルアドレナリンを分泌して痛みを感じる神経や受容器を刺激します。そのために痛みが増長されます。そしてそのストレスが長期化するとセロトニン神経の活性が阻害されて、自己鎮痛(痛みが抑えられなくなる)ができず、痛みが増強します。

 

お腹の痛み 

不妊治療者に多い骨盤内炎症性疾患をお持ちの方は、正常では痛みと感じない刺激が、痛いと感じるようになります。それは炎症が続いて神経が損傷を受けると、正常では痛みと感じない刺激が痛むと感じるようになるためです これはその部位に異常があることを生体に知らせ、さらに障害が起こらないようにするための防御機構です。[1]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痛みの日内変動(サーカディアンリズム)

また、痛覚の感受性は日内変動もあります。痛みが生じるパターンとして、朝には痛みが強いが夕方和らぐ、また逆に、昼間は良いが夜間に痛いといったように日内変動を経験することがあります。このような日内変動は、サーカディアンリズムによって、脊髄に痛みを伝える神経において痛みの感受性を高めるセンサーの発現が調節されたり、痛みの抑制に関係する神経において抑制に関わるセンサーの発現が調節されたりということが関連しています。[2]

日によって、痛みが増強したり、お灸を熱く感じたり、電気刺激が痛く感じたりするのは

気圧の変化やストレス、日内変動などあまり知られていないこれらの事が関連しています。

 

 

 

 

 

 

痛いとき鍼灸がなぜいいのか

体にとって痛みは警告信号です 痛みという情報をもとに体を日夜防御していまが、痛みは耐え難い苦痛でもありストレスにもなります。体はその痛みから逃れるための回避システムを使って危機的状況から逃れ、痛みが和らぐように作られています。

この回避システムを作動させるには、様々な方法がありますが、鍼灸やマッサージなど昔から行われている治療法の多くは、これらの疼痛回避システムを効率よく作用させる方法のひとつです。

鍼灸で痛みを治療する場合、痛い部位にある経穴に直接行うこともあれば、痛い部位を通過する経絡と同じ経絡上にある遠隔部の経穴に治療を行う場合もあり治療法は様々です。

鍼刺激は機械的刺激、灸刺激は熱刺激や化学刺激と考えられることから鍼灸治療は生理学的に機械的・科学的・熱の3つの刺激に組み合わせた治療であると言えます。経穴は自由神経終末(ポリモーダル受容器)というセンサーや血管などが豊富に存在している部位と考えられ。鍼や灸を施すことでこれらを刺激し、疼痛を抑制するシステムが作動して鎮痛が起こり、痛みを抑えていると考えられています。[3]

鍼灸刺激がどのような感覚受容器(センサー)を興奮させるか

 

 

 

 

 

 

 

1:鍼灸刺激に反応する各種感覚受容器[1]

前述しているが生体に与えられた鍼または灸刺激は、皮膚や深部組織内の各種感覚受容器を興奮させ、その興奮が中枢神経系の様々な部位や伝えられ、さまざまな生体反応が生じる その最初の段階でどのような感覚受容器が鍼灸刺激で興奮するかを模式的に示したものが図1である。[ii]

参考文献

[1] 川喜田健司, 矢野忠. 鍼灸臨床最新科学-メカニズムとエビデンス 28頁. 1st ed. Vol. 3. 東京都: 医歯薬出版株式会社; 2020.

[ii] 川喜田健司, 矢野忠. 鍼灸臨床最新科学-メカニズムとエビデンス 27. 1st ed. Vol. 3. 東京都: 医歯薬出版株式会社; 2020.

[1] 伊藤和憲. 痛み・鎮痛の基本としくみ. 1st ed. Vol. 2. 東京: 秀和システム; 2011.

[2] Ver.2 サーカディアンアンリズムと痛み [Internet]. 日本いたみ財団. [cited 2022 Aug 12]. Available from: https://nippon-itami.org/itamironbun-ver-2/

[3] 伊藤和憲. 痛み・鎮痛の基本としくみ. 1st ed. Vol. 2. 東京: 秀和システム; 2011.

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