妊活しやすい身体づくり
月経期におけるヨガの注意点と妊娠しやすい身体作り
月経中の身体の変化について
月経は、女性にとって毎月の自然な生理現象ですが、その過程でいくつかの複雑な身体の変化が起こります。その一例として、月経血が逆流して腹腔内に入ることがあります。これは稀な現象ではありますが、この期間中、子宮は内膜を排出するために収縮し、ホルモンバランスも変動します。そのため、適切なヨガの実践が重要になります。
月経血の逆流とは
月経血の逆流は、月経期間中に子宮内膜が子宮から排出される際、一部の血液や組織が卵管を通じて腹腔内に逆流する現象です。この現象は一般に「レトログレード月経」と呼ばれます。通常の月経では、子宮から膣を通じて外部に排出されるべき血液が、逆流してしまうことがあります。
逆流の原因
月経血の逆流の原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。
- 子宮の収縮:子宮筋の異常な収縮が逆流を引き起こす可能性があります。
- 卵管の形状や機能:卵管の閉塞や異常が原因となることがあります。
- ホルモンの影響:ホルモンのバランスが逆流に影響を与えることがあります。
※ヨガのポーズによっては逆流を促してしまうポーズがあります。
逆流による健康への影響
月経血が腹腔内に逆流すると、様々な健康問題が生じる可能性があります。
- 子宮内膜症:逆流した子宮内膜が腹腔内に着床し、炎症や痛みを引き起こします。
- 慢性的な骨盤痛:持続的な痛みや不快感が生じることがあります。
- 不妊症:子宮内膜症の進行によって不妊症の原因となることがあります。
対処法と治療
月経血の逆流に関連する問題に対処するための方法や治療法がいくつか存在します。
- 薬物療法:ホルモン療法や鎮痛剤の使用が一般的です。
- 手術療法:子宮内膜症の手術や卵管の処置が必要な場合があります。
- 生活習慣の改善:適切な運動や食事、ストレス管理が症状の緩和に役立ちます。
月経中にヨガをする利点
月経中にヨガを行うことで、以下のような利点があります。
- ホルモンバランスの調整
ヨガはホルモンバランスを整える効果があることが多くの研究で示されています。ヨガを習慣的に行うことで、副交感神経のバランスが整い、神経を静める脳内の神経伝達物質であるギャバ(GABA)の分泌が増加します。GABAは神経の興奮を抑え、ストレス、恐怖、抑うつ、不安を和らげる効果があります。 - メンタルの安定と幸福感の向上
ヨガはメラトニンの濃度を高めて睡眠を調整し、オキシトシン(「幸せのホルモン」として知られる)の濃度を高めることで幸福感を向上させます。さらに、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の分泌も増加し、天然の抗うつ剤として作用します。 - 血流促進
適切なポーズを行うことで骨盤内の血流が促進され、月経痛の軽減に役立つとともに、子宮や卵巣への酸素供給と栄養供給が増加し、妊娠しやすい身体作りに貢献します。 - ストレス軽減
ヨガのリラクゼーション効果により、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制し、ホルモンバランスを維持しやすくします。日本の研究では、ヨガのクラス後にセロトニンの分泌が上昇し、コルチゾールの抑制が確認されています。
避けるべきヨガのポーズ
一部の専門家は、月経血の自然な排出を妨げる可能性があるとして、以下のポーズを避けるべきだとしています一方で、医学的な明確な根拠は十分に確立されていません 。
- 太鼓橋のポーズ
- 肩立ちのポーズ
- 鋤のポーズ
- これらに類似するポーズ
ヨガの実践時の注意点
- 無理をせず、自分の体調に合わせる。
- 深い呼吸を意識して、リラックスを重視。
- 強いストレッチや圧迫を避け、ゆったりと動く。
- 月経中のヨガは個々の体調や感覚に従い、無理のない範囲で行うことが推奨される。
まとめ
月経期のヨガは、身体に負担をかけず、リラックスを促すことが重要です。また、ヨガを習慣的に行うことでホルモンバランスが整い、血流が改善され、妊娠しやすい身体が作られます。適切なポーズを選ぶことで、月経期を快適に過ごし、健康的なライフスタイルを維持することができます。
参考文献
- 太田裕伊, 藤雅之, 長澤佳穂, 山本康嗣, 丸岡寛, 津戸寿幸, 加藤俊. 後腹膜腔に発生した子宮内膜症性嚢胞の1例. 日本産科婦人科内視鏡学会雑誌. 2022; 38(2): 219-223. doi: 10.5180/jsgoe.38.2_219.
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不妊の検査:正確な診断が妊娠への第一歩
不妊の検査:正確な診断が妊娠への第一歩
不妊症の原因を明確にするためには、男女ともにしっかりとした検査が必要です。適切な検査を行うことで、原因を特定し、最適な治療を受けることができます。特に女性においては、卵巣機能やホルモンバランスの確認が重要です。
女性の不妊検査
女性側の不妊検査には、いくつかの重要なステップがあります。
- 基礎体温の測定
基礎体温を記録することで、排卵が正常に行われているか確認します。排卵後の体温上昇を見て、低温期と高温期がしっかりと分かれているかをチェックします。 - 頸管粘液検査
頸管粘液が精子をサポートするかを確認します。クラミジアなどの感染症も調べられます。 - フーナーテスト
排卵期に性交後、頸管粘液中の精子の運動性を確認し、精子が子宮内に進むことができているかを調べる検査です。 - 子宮卵管造影
卵管の通過性や子宮の形態に異常がないかを確認します。卵管閉塞や狭窄が不妊の原因となっていないかをチェックします。 - 経膣超音波検査
超音波を用いて子宮や卵巣の状態を確認します。卵胞の発育や子宮内膜の厚さを観察し、排卵のタイミングを把握することが可能です。 - ホルモン検査
脳下垂体や甲状腺から分泌されるホルモンの状態を確認し、ホルモンバランスに問題がないかをチェックします。 - AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査
AMHは、卵巣内にどれくらいの卵子が残っているかを測定する検査です。卵巣予備能の指標となるため、年齢や月経周期に関係なく、卵巣の機能を客観的に把握するための重要な検査です。特に、卵巣の機能低下や早発閉経のリスクを確認する際に有用です。 - 排卵と卵胞発育の確認
排卵が実際に起こっているか、卵胞が正常に発育しているかを確認することも不妊診断において欠かせません。経膣超音波を使って、排卵の兆候や卵胞の大きさを測定し、タイミングを正確に把握します。これにより、排卵障害や無排卵の原因を特定することが可能です。 - 抗精子不動化抗体
抗精子不動化抗体とは、精子を不動化させる作用を持つ自己抗体の総称であり、精子の活動を阻害することで卵子との受精を妨げ、免疫性不妊の原因となる。
不妊の検査にはさまざまな種類がありますが、基本的には上記のような検査を受けることが重要です。これらの検査は、不妊の原因を包括的に評価し、適切な治療方針を立てるための基盤となります。追加の検査が必要な場合もありますが、まずはこれらの基本的な検査を行うことをおすすめします。
男性の不妊検査
男性側では、精液検査が一般的ですが、これだけでは不十分な場合があります。精索静脈瘤や精子のDNA損傷といった精液検査で検出しにくい問題も存在します。したがって、精液検査に加え、触診を行ってくれる医療機関を選ぶことが重要です。
触診の重要性
男性の不妊症の診断において、触診は欠かせないステップです。精索静脈瘤や精管の異常は触診で初めて発見されることが多く、精液所見だけでは見つからない異常を発見できるため、触診や超音波検査を行ってくれる医療機関を推奨します。
まとめ
不妊症の検査は、正確な診断と早期の対応が妊娠への大切なステップです。女性はホルモンバランスや卵巣機能の確認を含め、男性は精液検査に加え、触診も含めた包括的な検査を行うことが重要です。適切な医療機関を選び、最適な治療を受けることが成功のカギとなります。
参考文献
- ・日本産科婦人科学会:「不妊カップルに対する検査のアルゴリズム」(最終アクセス日: 2025年1月23日)
- ・厚生労働省:「不妊治療の実態に関する調査研究について」令和2年度子ども・子育て支援推進調査研究事業「不妊治療の実態に関する調査研究(概要版)
- ・厚生労働省:「生殖医療ガイドラインの考え方」東京大学大学院医学系研究科産婦人科学大須賀穣1 2021.11.17 中医協
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精液所見が悪い 悪い影響5選・改善のためにできること5選
主人の精液所見が悪い 何かできることある?
妊活をしている中で、パートナーの精液検査の結果が良くなかったというお話は珍しくありません。「濃度や運動率がギリギリだった」「結果が悪かった」など、不安に感じる方も多いと思います。しかし、精液検査の結果は一回の検査だけで結論を出すものではありません。
精液検査の結果について
精液検査は、1回の結果で全てを判断するものではありません。通常、最低でも3回程度の検査を行い、その平均値をもとに評価することが推奨されています。
たとえば、前日の睡眠不足やストレス、飲酒などが検査結果に影響することもあります。そのため、1回の結果が悪かったからといって落胆したり、ご主人を責めたりする必要はありません。
さらに、精液検査だけではわからない男性不妊の原因もあります。たとえば、精索静脈瘤という隠れた原因がある場合、精液検査では発見できないことがあります。このような場合は、追加の検査や触診を行ってくれる専門のクリニックや泌尿器科を受診することをお勧めします。
悪い影響を与える要因
- 睡眠不足
- 暴飲暴食
- 喫煙や過度の飲酒
- ストレスや生活リズムの乱れ
- 睾丸を温めるサウナや長風呂
精子の質を改善するためには、まずこれらの要因を見直し、健康的な生活を送ることが大切です。
改善のためにできること
- 睡眠時間を確保する(1日7時間以上を目安)
- バランスの取れた食事を摂る(抗酸化作用のある食品や亜鉛、ビタミンEを意識的に)
- 適度な運動を取り入れる(ウォーキングや軽い筋トレ)
- ストレスを軽減する(リラックスできる時間を持つ)
- 禁煙・飲酒の制限
鍼灸や漢方、サプリメントの利用
鍼灸や漢方、サプリメントも精子の質改善をサポートしますが、結果がすぐに現れるわけではありません。身体に変化が反映されるには約3カ月かかると言われています。このため、長期的な視点で取り組むことが重要です。
たとえば…
- 鍼灸:血流改善やストレス軽減の効果が期待されます。
- 漢方薬:個々の体質に合った処方を選ぶことで、身体全体の調子を整えます。
- サプリメント:亜鉛、コエンザイムQ10、L-カルニチンなどが含まれるものが推奨されます。
二人三脚で妊活を進めましょう
ご主人の精液所見が思わしくない場合でも、生活習慣の見直しや適切なケアを行うことで改善する可能性があります。精子の状態を良くするには時間がかかることを理解し、焦らずに取り組むことが大切です。
二人で協力して健康的な生活を送りながら、専門医や鍼灸、漢方の力を借りることも検討してください。妊活は二人三脚で行うもの。共に努力することで、妊娠への近道になります!
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保険適用内で妊娠したい方へ—採卵前に行っておくべき6つのこと
保険適用内で妊娠したい方へ—採卵前に行っておくべき6つのこと
採卵前の不妊治療における「卵子の質」は、妊娠成功に向けて無視できない重要な要素です。採卵前に行うべき治療と自分でできるケアのポイントを6つ紹介します。
卵子の質と起こりうるリスク
採卵で多くの卵子が採れても、見た目のグレードが良好であっても、それだけで妊娠につながるとは限りません。卵子の質が不十分な場合、精子の質も影響し、受精卵の成長が妨げられる可能性があるからです。
質の低い卵子や受精卵が原因で、移植の回数だけを重ねてしまい、不妊治療の保険適用回数がすぐになくなるケースがあります。その後、自費治療へ移行することとなり、経済的な負担や精神的なストレスが増大してしまうことが多いのです。
採卵前に行うべき6つのこと
卵子の質を向上させるために完全な体質改善が重要です。
- 生活習慣の見直し
適切な生活リズムを整えることで、ホルモンバランスを改善し、卵子の質を高めることができます。 - 栄養バランスの取れた食事
抗酸化作用のある食品(緑黄色野菜、ベリー類、ナッツ類)や必須脂肪酸を含む魚類やオリーブオイルの摂取が効果的です。 - 十分な睡眠
質の高い睡眠は、ホルモンバランスを整え、卵子および精子の質の維持に寄与します。 - 適度な運動
ウォーキングやヨガなどの軽い運動は、血流を改善し、卵巣機能をサポートします。 - ストレス管理
過度なストレスはホルモンバランスを乱し、卵子の質に悪影響を与えます。ストレス管理の方法については、過去の投稿を参考にしてください。 - 鍼灸治療
鍼灸治療を受けることで、採卵前に体質改善を図ることが可能です。実際に当院で体質改善を行った方の多くが、治療のステップアップ後、早く妊娠されています。鍼灸は血流を改善し、ホルモンバランスを整える効果があります。
また、ご自身で妊活について学び、正しい方法で努力されることが、妊娠への近道となります。これらのポイントを実践し、採卵前の準備を整えることで、質の良い卵子を育む環境を作ることができます。ぜひ参考にしてください!
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妊活と鉄分 鉄分不足が引き起こす症状と鉄分を多く含む食材
妊活と鉄分:貯蔵鉄の役割と不足による影響
妊活中の女性にとって、鉄分の重要性を改めて理解することは非常に重要です。鉄分は、エネルギーを作るために必要な酸素を全身に運ぶ役割を持つヘモグロビンの材料となるだけでなく、卵子の健康にも関与しています。ここでは、体内の鉄分の働きやその不足が妊娠にどのような影響を与えるかについて詳しく見ていきましょう。
鉄分の働きとフェリチンの役割
体内にある鉄分の約60〜70%は、ヘモグロビンとして血液に含まれており、酸素を全身に供給する大切な役割を果たしています。残りの20〜30%は「フェリチン」という形で肝臓や脾臓、骨髄に貯蔵されています。この貯蔵鉄は、体が酸素不足や出血などで鉄が不足したときに補うためのストックです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人女性(18〜49歳)に推奨される鉄の摂取量は、月経の有無により異なり、月経のある女性は10.5mg/日とされています。これは、毎月の月経により鉄が失われやすいことを反映した基準です。この摂取量を意識することで、鉄分不足を防ぎやすくなります。
隠れ貧血と妊娠の関連性
鉄分が不足すると、体はまずヘモグロビンの鉄を維持するために、貯蔵鉄であるフェリチンを優先的に消費します。しかし、フェリチンが減少し続けると、ヘモグロビン値は正常でも「隠れ貧血」という状態に陥ります。これは血液検査で発見されにくい貧血の一種で、症状としては疲労感、集中力の低下、肌のくすみなどが現れることがあります。
妊活中に鉄分が不足することは、卵子の質の低下を招く可能性があります。フェリチンが低い状態では、卵子の老化を防ぐための抗酸化酵素の働きが弱まり、妊娠しにくくなるリスクがあります。妊娠力を維持するためには、鉄分を十分に補い、血中フェリチン値を50ng/ml以上に保つことが推奨されます。
ヘム鉄と非ヘム鉄の違い
鉄分は、食事から摂取する際にヘム鉄と非ヘム鉄の2種類に分けられます。
-
ヘム鉄は動物性食品に含まれ、体に吸収されやすい鉄です。牛肉やレバー、カツオやサバなどの魚に多く含まれており、特に妊活中の女性には積極的に取り入れたい栄養素です。吸収率は約15〜25%と高く、効率的に鉄分を補給することができます。
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非ヘム鉄は植物性食品に含まれ、吸収率が低い(約2〜5%)鉄です。ほうれん草や納豆、海藻類に多く含まれますが、ビタミンCを一緒に摂ることで吸収率を上げることが可能です。
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、鉄分摂取に関する食事のバランスを取ることが重要であるとされています。鉄分を効率よく吸収するためには、ヘム鉄を優先しながらも、非ヘム鉄もビタミンCを含む食材と組み合わせてバランス良く摂取することが推奨されています。
鉄分が豊富な食材
鉄分を効率よく補うために、以下の食材を意識して取り入れましょう。
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ヘム鉄が豊富な食材
- レバー(鶏・豚・牛)
- 赤身の肉(牛・豚)
- カタクチイワシ
- カツオ、サバ
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非ヘム鉄が豊富な食材
- ほうれん草、小松菜
- 納豆、ひよこ豆
- ひじき、海苔
妊活と鉄分摂取のポイント
妊活中の方は、鉄分不足によるリスクを避けるために、定期的にフェリチン値を確認し、鉄分を意識して摂取することが重要です。鉄分不足は、貧血の他にも、妊娠しにくい体質や不定愁訴(疲れやすさ、体調不良)などの原因にもなります。食事での鉄分補給に加え、必要に応じてサプリメントの活用も検討すると良いでしょう。
結論
鉄分は、妊娠力を維持するために不可欠な栄養素です。特に月経のある女性や妊活中の方は、体内の鉄分が不足しないよう、日々の食事で意識的に鉄分を摂取し、フェリチン値の管理を行うことが大切です。バランスの良い食事と、鉄分補給を習慣化することで、健やかな妊娠力をサポートしましょう。
参考
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
- eJIM「鉄(Fe)について」『海外情報ナビ』国立長寿医療研究センター、2025年1月23日取得、[https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/07.html]
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30代の方の自然妊娠は可能?鍼灸でのサポート
30代の方の自然妊娠サポートについて
自然妊娠をご希望される30歳の方に向けた情報と当院でのサポートをご紹介します。
自然妊娠は可能?
30代前半の1周期あたりの妊娠率は約25~30%で、これは一般的に高いと感じられる数値ではないかもしれません。さらに35歳以降になると18%台まで下がるため、早めのアプローチが重要です。
ご夫婦ともに健康や生殖機能に問題のないカップルが正しい排卵日で夫婦生活を行った場合の1周期の妊娠の確率は以下の通りです。
- 20代:25~30%
- 30~34歳:25~30%
- 35~39歳:約18%
- 40~44歳:約5%
- 45歳:約1%
自然妊娠の確率は、思った以上に高くないのが現実です。そのため、今からできる妊娠しやすい身体づくりが非常に大切です。
タイミングを取り始めて半年経過しても妊娠に至らない場合、何らかの原因が隠れている可能性があります。そのため、当院では妊娠しやすい身体づくりをサポートしつつ、一度クリニックで検査を受けることをお勧めしています。
検査の重要性
妊娠しにくい原因として、女性だけでなく男性にも要因がある場合が少なくありません。検査を受けた方の中には、例えば以下のようなことが見つかることがあります。
- 排卵が規則的でない
- 卵管に詰まりがある
- 精子の運動率や量が基準値に満たない
これらの問題があると、どんなにタイミングを取っても妊娠が難しい場合があります。時間を無駄にしないためにも、まずご夫婦で検査を受けることが妊活の第一歩です。
検査で何を調べるべき?
検査で調べるべき主な項目は次の通りです。
女性の検査
- 排卵の有無(基礎体温やホルモン検査)
- 卵管の通り具合(卵管造影検査など)
- 子宮内の状態(超音波検査や内膜チェック)
- AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査による卵巣の予備能力の確認
男性の検査
- 精液検査(量、運動率、形態など)
- 精索静脈瘤の有無(触診や超音波検査)
当院でできるサポート
検査を受けた上で、自然妊娠が可能である場合、当院では以下のような方法で妊娠しやすい身体づくりをサポートしています。
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東洋医学に基づく体質改善
鍼灸治療により、血流を促進し、ホルモンバランスを整えます。冷え性やストレスの解消を目指した施術を行います。 -
ライフスタイルのアドバイス
食事や睡眠の質を改善するための具体的な提案をします。適切な運動習慣の導入をサポートします。 -
ストレスマネジメント
ストレスは妊娠率に影響を与える要因の一つです。当院ではリラクゼーション効果を取り入れた妊活マッサージも取り入れています。
自然妊娠をご希望される場合、まずは検査を受けて妊娠可能な状態を確認することが重要です。その上で、妊娠しやすい身体づくりを進めていきましょう。当院では、東洋医学の知識と実績に基づき、皆さまの妊活を全力でサポートいたします。
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インフルエンザやコロナウイルス感染と妊活への影響について
インフルエンザやコロナウイルス感染と妊活への影響について
インフルエンザやコロナウイルスに感染した場合、妊活中の方にとっては体調や妊娠への影響が気になるところです。特に発熱や服薬が伴う場合、その影響を正しく理解し、適切に対処することが重要です。
以下では、感染症が妊活に与える可能性のある影響と、その対策について詳しく解説します。
ご主人の発熱と精子への影響
精子は熱に非常に弱い性質があります。高熱が出ることで、精子の運動性や質に一時的な影響が出ることがあります。特に発熱が38℃以上で2日以上続いた場合、精子の状態が悪化する可能性が指摘されています。この影響は通常2〜3か月で改善されますが、回復には個人差があるため、気になる場合は精液検査を受けると良いでしょう。
精子は熱に弱いため、高熱が続いた場合、一時的に精子の質や運動率に影響を与える可能性があります。精子が回復するには約3か月の期間が必要です(精子の生成周期が約74日間のため)。感染や発熱により体全体がストレスを受けていると、妊活への影響が出ることがあります。精液検査を行うことで、精子の状態を確認するのも一つの方法です。
奥様の発熱と卵子への影響
卵子は一度成熟すると基本的には質が変わりません。しかし、身体全体の健康状態が妊娠に影響を与える可能性はあります。発熱があった場合、免疫反応や炎症が体内に影響を及ぼすため、排卵や子宮内膜の状態が一時的に不安定になる可能性があります。これも個人差が大きいです。
卵子は熱の影響を受けにくいとされていますが、感染時のストレスや体調不良が排卵に影響を与える可能性はあります。発熱が卵子の質に直接影響することは少ないとされていますが、十分な回復が重要です。
感染症の薬の影響
抗インフルエンザ薬(例:タミフルやゾフルーザ)や解熱鎮痛剤(例:アセトアミノフェン)は、妊娠初期や妊活中に使用する際に注意が必要です。多くの薬は短期間であれば胎児に影響を与えるリスクは低いとされていますが、妊娠が判明している場合や妊活中の場合、服用前に医師に相談することが推奨されます。
妊活を再開するタイミング
感染症や発熱後、心身の回復を優先することが大切です。生殖機能は身体が健康であることが前提でスムーズに働くものですので、少なくとも1周期はお休みするのが無理のない選択かもしれません。お休みすることで、身体が完全に回復し、より良い状態で妊活に臨むことができます。
心の安定を保つことの重要性
妊活中は「この状況で妊娠できるのか」という不安がつきまといがちですが、ストレスがかかり過ぎると生殖機能にも影響を与えることがあります。無理をせず、心と身体の健康を最優先してください。
まとめ
高熱は一時的に精子や卵子に影響を与える可能性がありますが、回復することがほとんどです。感染症後、少なくとも1周期の休養を考えるのも良い選択です。お薬の影響が心配な場合は、服用歴を医師に伝え、適切なアドバイスを受けてください。
心身ともに健康な状態を保つことが、赤ちゃんを迎える準備の第一歩です。どんな状況でも、健康な身体が赤ちゃんを迎えるために最も重要です。ご自身の体調に耳を傾けながら、無理のない範囲で妊活を続けてくださいね。
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妊活中のソワソワ期 ジンクスの活用法と不安や心配を乗り切るツボ
ジンクスは「お守り」のようなもの
妊活中のソワソワ期、どうしても不安やストレスが溜まりやすいですよね。そんな時、「木村さんを待ち受けにする」「特定の食べ物を食べる」などのジンクスを試してみたくなる方も多いと思います。実際、科学的な裏付けはほとんどありませんが、気持ちが和らぐのであれば試してみる価値はあるかもしれません。
例えば、こんなジンクスを聞いたことがありませんか?
- 木村さんを待ち受けにする
- ワタリガニやパイナップルを食べる
- ミスドのホットミルクやマクドのポテトを食べる
他にもたくさんありますが、これらは、妊娠した方の「していたこと」に基づくジンクスもあり、科学的な効果が確実にあるわけではありません。ただし、ワタリガニには鉄分やビタミンB12が豊富であることや、パイナップルには抗炎症作用が期待できる成分が含まれていることなど、栄養学的にメリットがある場合もあります。
ジンクスを試す目的
ジンクスを試すことは、不安を軽減し、心の平穏を得るためのひとつの方法と言えます。重要なのは、それが「安心感」をもたらし、前向きな気持ちで過ごす助けになるかどうかです。
妊娠しやすい人の共通点💡
ジンクスに頼りきるのではなく、日々の生活を整えることが妊娠力を高める鍵になります。妊娠しやすい人には以下のような共通点があります。
- 十分な睡眠を取る
- 楽観的で、気にしすぎない性格
- 妊活情報を過剰に検索せず、リラックスした時間を過ごす
- 鍼灸や自宅でのお灸を継続する
特に、鍼灸は血流改善やストレス軽減に役立つことが研究でも明らかになっています。心身のバランスを整えることで、妊娠しやすい環境を作る助けになります。
ソワソワ期のストレスを軽減するツボ
妊活中のソワソワ期は、「妊娠しているのかな」「今回はダメだったかも」と不安になりがちです。そのような時におすすめなのが、以下のツボを使ったセルフケアです。
- 労宮(ろうきゅう)
手のひらの中央。ストレスや緊張を和らげます。 - 大陵(だいりょう)
手首の内側。気持ちを落ち着け、不安感を和らげます。 - 内関(ないかん)
手首の内側、中央から指3本分上。リラックス効果が高い。 - 間使(かんし)
腕の内側、手首から少し上。緊張緩和に効果的です。 - 四神総(ししんそう)
頭頂部周辺のツボで、全身のリラックスを促します。
これらのツボを、指やペン先で優しく押すことで、気分が軽くなる効果を期待できます。
最後に大事なこと✨
妊活中に一番大事なのは、「不安やストレスを溜めないこと」です。リラックスできる時間を作り、無理なく笑顔で過ごすことが、妊娠に向けて大切な一歩です。
鍼灸院では、妊娠力を高めるための体質改善や、リラックス効果を促す施術をご提供しています。お悩みや不安があれば、ぜひご相談ください。妊活中の皆さまが安心して過ごせるお手伝いをさせていただきます。
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保険適用内で妊娠する!採卵でたくさんの卵が採れても安心できない?
保険適用 採卵でたくさんの卵が採れても安心できない?
保険適用内で体外受精や顕微授精を行う際、多くの方がまず採卵に進みます。しかし、採れた卵が「数」や「見た目のグレード」が良くても、それだけでは十分ではありません。
なぜなら、卵子の「質」と精子の質が赤ちゃんへと育つ可能性を決めるからです。
質の悪い卵がもたらすリスク
これまで多くの方と接してきた中で、以下のようなケースが多く見られます
-
一度の採卵でたくさんの卵が取れたものの、質が十分でないため移植を繰り返す
-
結果的に着床しないまま保険適用回数を使い果たしてしまう
-
自費治療に移行し、精神的にも経済的にも負担が増大する
このような状況を防ぐためには、採卵前に「卵活(卵子の質を高めるための準備)」を行うことが非常に重要です。
卵子の質を高めるために必要なこと
二次卵胞が成熟し排卵されるまでには約3か月かかります。
この期間に身体の環境を整えることが、質の良い卵子を育むための鍵となります。
- 生活習慣の見直し
- 栄養バランスの取れた食事
抗酸化作用のある食品(緑黄色野菜、ベリー類、ナッツ)や、必須脂肪酸を含む魚類やオリーブオイルの摂取が効果的です。 - 十分な睡眠
質の高い睡眠は、ホルモンバランスを整え、卵子の質の維持に寄与します。 - 適度な運動投稿一覧
ウォーキングやヨガなどの軽い運動は、血流を改善し、卵巣機能をサポートします。 - ストレス管理
ストレスはホルモンバランスを乱すため、リラクゼーション法や趣味を通じて適切に管理することが大切です。 - 鍼灸
採卵の前に鍼灸を受けていただくことで卵子の質を向上させることも可能です。
クリニック選びの重要性
クリニック選びは、不妊治療を成功させるための重要なステップです。以下のポイントを参考に慎重に選びましょう。
- 生殖医療専門医の在籍
不妊治療を専門とする医師が在籍し、生殖医療の専門資格を持つクリニックを選ぶことが大切です。特に、生殖医療専門医の資格を持つ医師がいるクリニックは、豊富な経験と最新の知識を活かした治療を提供してくれます。 - 治療実績と経験
<通いやすさや診療時間も重要ですが、それ以上に治療実績と経験豊富な医師がいることが成功への鍵です。年間の治療件数や成功率を公開しているクリニックは信頼性が高いと言えます。 - その他のポイント
男性不妊への対応が可能かも確認してください。
保険適用内で治療を無駄にしないために
保険適用の治療には回数制限があります。そのため、早い段階で身体の準備を整えることが、無駄なく効果的な治療を受けるための鍵となります。
当院では、採卵前の身体づくりを全力でサポートしています。一人ひとりに寄り添いながら、妊娠への最短ルートを目指すお手伝いをいたします。
参考文献
- 高橋俊文(2021)「不妊治療を受ける前の心構え一 患者と医療者に知っておいて欲しいこと一」『日本遺伝カウンセリング学会誌』42号、p.415~418
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妊活と「胃の気」東洋医学の視点で整える健康と妊娠力
妊活と「胃の気」:東洋医学の視点で整える健康と妊娠力
妊活において身体を整えるためには、東洋医学の「胃の気」という概念を理解することが重要です。胃の気は、飲食物を消化して体に必要なエネルギーを生成する基盤となり、その健康状態が妊娠力に直接影響します。この記事では、胃の気の役割と、それが妊活にどう関係しているのかについて詳しく解説します。
胃の気と「先天の精」「後天の精」
東洋医学には、「先天の精」と「後天の精」という概念があります。
- 先天の精
これは親から受け継ぐエネルギーで、腎に蓄えられ、生命活動を支える基盤となります。しかし、先天の精は限りある資源であり、妊娠や加齢により消耗されます。
- 後天の精
一方、後天の精は、食べ物や飲み物を消化・吸収することで得られるエネルギーであり、脾胃の働きによって生成されます。胃は飲食物を受け入れて消化し、脾はそこから栄養を抽出して全身に運搬します。この「胃と脾」の働きが健康維持や妊娠力に大きな影響を与えます。
胃の気と妊活の関係
胃の気が充実していることは、後天の精をしっかり補うことを意味し、妊娠力を高めるための基盤となります。特に妊活中の方にとっては、以下の点が重要です。
- 気血の生成
胃の気が強いと、食べ物から効率的にエネルギーを得て気血を生成できます。この気血は、ホルモンバランスの調整や子宮・卵巣への血流改善に寄与します。
- 先天の精の補完
後天の精が充実していると、消耗される先天の精を補い、体全体のエネルギーを補強することができます。
胃の気の不調が妊活に与える影響
胃の気が弱ると、妊活において以下のような身体のサインが現れることがあります。これらは、脾(ひ)と胃の機能が低下している可能性を示すもので、妊娠力にも影響を及ぼします。
- 生理ではないのに不正出血が続く
胃の気が不足していると、気血の循環が滞り、ホルモンバランスにも影響を与えます。
- 思い悩む傾向がある
東洋医学では、脾と胃は精神面にも関与するとされ、気が不足すると気分が不安定になることがあります。
- 食欲不振や消化不良を起こしやすい
胃の気が弱ると、消化機能が低下し、必要な栄養が取り込めなくなります。
- 下痢をしやすい、または胃がポチャポチャする感じがする
胃腸の働きが低下すると、消化・吸収が不完全になり、水分代謝も悪化します。 - 唇や口の中が荒れる、内出血しやすい
気血の巡りが悪くなると、皮膚や粘膜に影響を及ぼします。
- 顔や手の色が黄色っぽくなる
胃の気不足は、血液循環に影響を与え、顔色や肌の色が変化することがあります。
- 甘い物を異常に欲しがる
胃の気が弱まるとエネルギー不足を補うために、甘いものへの欲求が強くなります。
- 食後お腹がはる、眠気が強くなる
消化が十分に行われていないサインです。
- 雨や梅雨の時期、季節の変わり目にだるさや頭重感が出る
脾胃が弱ると湿気に敏感になり、不調を感じやすくなります。
胃の気を整えるためのアプローチ
胃の気を改善することで、これらの症状を和らげ、妊娠力を高めることが期待できます。以下の方法を試してみましょう。
- 消化に優しい食事を摂る
温かいお粥やスープ、蒸した野菜など、胃に負担をかけない食事を心がけましょう。
- 規則正しい生活習慣を作る
過労や睡眠不足は胃の気を乱します。早寝早起きと適度な運動でリズムを整えましょう。
- ストレスケアを重視する
ストレスは胃の気を傷つける大きな要因です。リラックスできる時間を意識的に確保してください。
- 鍼灸治療を活用する
胃の気を整える代表的なツボである「足三里(あしさんり)」や「中脘(ちゅうかん)」を刺激すると効果的です。
胃と脾の密接な関係
胃と脾は東洋医学で「表裏の関係」にあるとされ、互いに密接に協力して働いています。胃は飲食物の消化をつかさどり、脾はその消化された飲食物から精気を抽出し、身体中に運搬します。この相互依存の関係により、どちらかが弱るともう一方の機能にも影響が及びます。
たとえば、脾が精気を輸送できなくなると、胃の消化作用は低下します。逆に、胃の消化機能が衰えると、脾の運化(栄養を体中に巡らせる機能)が阻害され、体内のエネルギー供給が不足する状態となります。妊活中に特に意識すべきは、この胃と脾の協調を保つことです。
まとめ
妊活中の体調管理には、胃の気を整えることが欠かせません。胃の気が充実していることで、全身の気血の巡りが良くなり、妊娠力を高める身体づくりが可能になります。東洋医学的な視点を取り入れながら、自分の体調に合ったケアを行いましょう。
参考文献
- 『霊枢:玉版篇』
- 『素問:霊蘭秘典論篇』
- 『素問:血気形志篇』