不妊と疲労の関係

【不妊と疲労の関係】

 

【疲労はとても注目されている】

1998年厚生労働省の調べによると、6ヶ月以上の慢性疲労を 感じている人は37%

6月未満の疲労を感じている人は22%5ヶ月と29日の人も含まれている)

疲労していない人は41%。全体の約6割が疲労を感じていて先進国で高い傾向にあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図【不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦の割合】

 

出典:国立社会保障・人口問題研究所「2002年社会保障・人口問題基本調査」、「2005年社会保障・人口問題基本調査」、

2010年社会保障・人口問題基本調査」、「2015年社会保障・人口問題基本調査」

 

2021年厚労省の調べによりますと、不妊を心配したことがあるご夫婦は35.0%で、夫婦全体の約2.9組に1組の割合です。 また、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある(または現在受けている)夫婦は18.2% で、夫婦全体の約5.5組に1組の割合です。

日本の夫婦は日本国内に常住する夫婦は31394千組(統計局調べ)おり、そのうちの

18.2%と計算すると571.3万組となり、およそ1,142.7万人です。不妊の心配、治療の最中の方で疲労を感じている人は6割の685.6万人(強引ではあるが)とも言えます。

 

【疲労の分類】

急性疲労: 一日眠ることで改善

亜急性疲労: 疲労の持続が一周館程度

慢性疲労: 疲労の持続が6ヶ月以上

に分類されます。

 

疲労には2種類あり、身体的疲労と精神的疲労に分けられます。

【身体的疲労】

  • 肩こり
  • 腰痛
  • 頭痛
  • 倦怠感
  • 日中の眠気

 

【精神的な疲労】

  • イライラする
  • やる気が出ない
  • 食欲不振
  • 不安

 

【疲れの原因は?】

1位 パソコン作業          34.4

2位 残業をすることが多い      21.7

3位 客と接することが多い      17.3

4位 職場の雰囲気(人間関係)が悪い 13.9

5位 長時間拘束される        12.5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図【仕事と治療の両立ができなかった理由(複数回答)】

出典: 厚生労働省「平成29年度「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」」

 

【疲れの原因と不妊患者の仕事との両立問題】

に相関するところがあります。

パソコン作業と、残業することが多いという疲れの原因と、体調・体力面で負担が大きく、仕事がストレスになり不妊治療に影響が出るためという理由に相関があると考えられます。

また、職場の雰囲気(人間関係)が悪いこと、精神面での負担が大きいため、仕事がストレスになり不妊治療に影響が出るためという理由にも相関があります。

 

長時間拘束と職場が長時間労働であるためという理由にも相関があるため、人口の約6割に値する疲労を感じている人に不妊患者が多く含まれていることが推測できます。

 

【疲労を感じるのは自律神経と前頭葉】

 

 

 

 

 

 

脳の中で、疲労しやすいのは視床下部と左右大脳の信号を伝達する前帯状回です。

 

視床下部と前帯状回は休みなく働くのでケアが大切です。なぜなら休みなく働く自律神経や前帯状回が疲労に陥り、細胞は活性酸素でいっぱいになり神経を攻撃してしまいます。

 

特にミトコンドリアは酸素消費量が激しいので錆びやすいため、すなわち酸化ストレスをおこしていると考えられます。酸化ストレスは生殖機能に影響を与えます。

 

排卵された卵子が精子と受精するには、卵子の質が関与しており、酸化ストレスにより、卵子にさまざまなダメージを与えます。

 

卵子の核の中にある遺伝子情報がダメージを受けると本来の遺伝子情報が保てず、その結果、卵子の質も保てなくなります。質が保てず機能が下がることがいわゆる「卵子の老化」で、これは妊娠率の低下にもつながります。

酸化ストレスは肌や身体機能だけでなく卵子をも老化させてしまい、また卵子の膜がダメージを受けると受精にも悪影響が出てきます。

 

精子は排卵された卵子の中へ入るために酵素を出して卵子の膜を溶かしますが、酸化ストレス値が高い状態では卵子を覆う膜が固くなって中へ入りにくくなってしまいます。

 

精子の運動にはエネルギーを産生するミトコンドリアが必要です。ミトコンドリアは活性酸素を生み出す場所であり、一番酸化ストレスのダメージを受ける場所です。精子の運動率や質の低下が起こさないためにも、酸化ストレスを下げる必要があります。[i]

 

また、疲労とストレスは似て非なりですが、身体的疲労や精神的疲労に多い症状はストレスに感じ、うつにもつながると言えます。

ストレスが流産の危険因子である可能性が多くの論文により報告されており、不育症や流産を経験した女性はうつ症状を発症しています。[ii]

以上の事から、疲労からおこる活性酸素は不妊症の原因と相関すると言えます。

 

【臨床(東洋医学的な)視点】

から考察してみますと

 

疲労は慢性的な気虚にあたります。

 

 

 

 

 

 

 

中国の古典「荘子」には、「気が集まればすなわち生。 気が散ずれば、すなわち死」との記載があります。

生命活動を支えるエネルギーである気が、全身を充分巡っていれば、まず健康と言って良いとされ。

気は父母から受け継いで蓄えられた「先天の気」と、呼吸や食事によって後から充填される「後天の気」があります。

この「気」がさまざまな原因によって消耗、あるいは呼吸や食事の障害により産生が低下すると体がだるい、疲れやすい、日中眠い、風邪をひきやすいなどの「気力がない」状態が見られる。これを気虚と呼びます。

 

気虚では全身の機能や活動が減退、つまり推動(気や血を推す)作用をはじめ、温煦(温める)作用なども低下します。

血虚では血の全身を濡養する作用が失われます。

 

慢性的な気虚が続いたその先、すなわち精神的な疲れや肉体的な疲れいわゆる気虚が進行すると血虚となります。その背景には必ず気虚が存在するので、気血両虚証ということになります。

 

疲れの原因の1位のパソコン作業から疲れは目(目を酷使)から始まっています。

目を酷使すると肝血虚になり、不妊の弁証に多い肝鬱になります。

肝は血を調節する臓器で血虚になると、脾を相克します。血を生成する脾が弱ると、腎を攻撃して生殖機能の低下につながると考えられます。

また、肝は心の母であるため、肝が弱ると血を全身に推動する力も弱まると言われています。

 

もう一つ、気虚が重度になると、その悪影響を受ける臓腑があります。それは「脾」です。 この臓腑は、気を生成する源で、影響を受けてしまうと、ますます気が生成されなくなり、 悪影響に陥ります。また、湿を捌くことができなくなることで、 体はいっそう重だるくなる。 そして、七情の「思」 が悪影響を受け、ささいなことにも落ち込み、思い悩むようになってしまいます。 ひどくなるとうつ状態へと進行して行きます。

これら東洋医学の考えも、疲労と自律神経の関係と相似していると言えます。

 

これらを踏まえ、エビデンスではないが鍼灸の役割は、問診を重ね現代の症状と東洋医学の知識を合わせていくことが治療方針をたて、予防するうえで肝要である。

気血両虚証の治療穴は、

 

参考文献より

  • 中脘
  • 足三里
  • 関元
  • 気海
  • 太白
  • 肺兪
  • 脾兪

への鍼と灸が気血両虚証に効果があると考えます。[iii]

 

妊活をされている人はお灸だけでも効果があります。

なによりも妊娠するには、疲労がなく元気でいることが大切です。

 

 

 

引用文献

[i] 【医師監修】酸化ストレスと不妊症の関係とは!?適度な運動の効果を解説 [Internet]. 公益財団法人 ルイ・パストゥール医学研究センター 抗酸化研究室. 2021 [cited 2022 Dec 12]. Available from: ttps://antioxidantres.jp/oxidative-stress-infertility/

 

[ii] 愛護的ケア [Internet]. 公益財団法人 日本産婦人科医会. [cited 2022 Dec 12]. Available from: https://www.jaog.or.jp/note/5%EF%BC%8E%E6%84%9B%E8%AD%B7%E7%9A%84%E3%82%B1%E3%82%A2%EF%BC%88tlc%EF%BC%9Atender-loving-care%EF%BC%89%EF%BC%88%E8%A1%A821-%EF%BD%9E-27%EF%BC%89/

 

参考文献

[iii] 北村智, 森川和宥. 鍼灸臨床マニュアル. 1st ed. 東京: 医歯薬出版株式会社; 2002.

王財源. わかりやすい臨床中医臓腑学. 4th ed. 東京: 医歯薬出版株式会社; 2020.

木下春都, 代田文彦. 図説東洋医学 経穴編. 1st ed. 東京: 学研プラス; 1985.

山田光胤, 代田文彦. 図説東洋医学 基礎編. 1st ed. 東京: 学研プラス; 1979.

兵頭明. 中医学の仕組みがわかる基礎講座. 1st ed. 東京: 医道の日本社; 2018.

 


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