
精子の質は年齢で変わる?男性の加齢と妊娠率の関係
先日公開した「男性の加齢と精子の質の低下」に関するブログ記事をご覧いただいた患者様から、「精子の老化についてもっと詳しく知りたい!」というご質問を多くいただきました。そこで今回は、少し前のテレビ番組で取り上げられた内容も参考に、男性の妊活における重要な真実をお伝えします。
宇都宮鍼灸良導絡院では、女性だけでなく、男性の精子の質向上にも焦点を当てた鍼灸治療を行っています。男性も女性も、ご自身の身体を知り、夫婦で協力して妊活に取り組むことが、妊娠への一番の近道だと考えています。
目次
精子の質が世界的に「半減」!?日本も例外ではない厳しい現実
昨年、欧米の男性の精子の濃度が過去40年間で半減したという衝撃的な研究結果が発表されました。これは対岸の火事ではありません。過去の研究では、日本人の精子の数は欧州4カ国と比較して最も少なかったことがすでに明らかになっています。
さらに、NHKのテレビ番組「クローズアップ現代」(2018年2月6日放送)の取材では、ある年齢を境に精子の機能が大幅に減少する可能性が指摘されました。WHO(世界保健機関)の報告では、不妊の原因の約半数は男性側にあるとされていますが、その現実がより浮き彫りになっています。
番組の調査では、20歳から50歳までの男性9人が精子の濃度と運動率を測定したところ、半数以上がWHOの基準を下回るという驚きの結果に。都内のクリニックの3年間のデータでも、564人中約1/6が基準を下回っていました。
この状況は日本にとどまりません。中国では、精子の質の問題が深刻化し、提供を受ける女性の妊娠率を上げるために、WHOよりもさらに厳しい基準を設定した精子バンクが全国で設立されるほどです。そこでの調査では、なんと男性の約7割が基準を下回り、精液が足りない状態が続いているという現状が明らかになりました。
精子の質低下の背景にある要因
中国の国営精子バンク管理組長である范立青さんは、精子の数や運動率の低下について、次のように語っています。
「私たちはとても深刻な問題だと考えています。たぶん食べ物の添加物の成分とか、大気汚染とか、ライフスタイルとか、それらの要因が精子の数や運動率の低下を招いたと思います。」
精子が「老化」する!?30代から要注意の「新事実」
「精子は毎日新しく作られているから、老化しないのでは?」この疑問は、多くの男性が抱く誤解かもしれません。確かに、精子は日々生成されますが、その「質」は加齢とともに確実に変化します。
最新の研究では、見た目が元気な精子でも、その「中身」が老化している場合があるという、新たなリスクが明らかになってきました。獨協医科大学の岡田弘主任教授は、精子のある特定の能力に注目し、研究を続けています。
精子の老化と受精卵の分裂不全
岡田教授の研究によれば、精子が老化していた場合、受精卵が細胞分裂に必要な「活性化」に至らないことがあるといいます。特に35歳を過ぎると、細胞分裂を促す精子の力が衰えていく人たちが存在することが分かってきました。
この精子の力の衰えの背景には、精子のDNA損傷が関係していると考えられています。外見上は健康に見える精子でも、内部のDNAにダメージがあると、受精後の胚の成長に問題が生じ、自然妊娠が難しくなったり、流産のリスクが高まる可能性があります。
岡田教授は、「精子の質というものの検定がこれからは大事になってくる。いつまでも男の場合は精子さえいれば子どもができるかといえば、そうはいかない…責任の一端がある。」と警鐘を鳴らしています。
精子の減少や「老化」への対策は?今すぐ見直すべき7つの生活習慣
精子の減少や老化は、多くの男性にとって切実な問題です。しかし、諦める必要はありません。現時点で科学的根拠が確立されているものは少ないとしながらも、岡田教授は「ライフスタイル自体の改善」が精子の質を改善させる可能性を示唆しています。
精子を守るための「7か条」
- 禁煙すべし:喫煙は精子のDNAに深刻なダメージを与え、数や運動率を低下させます。
- 禁欲は間違い:適度な射精で新鮮な精子を保ちましょう。
- ブリーフよりトランクスを:通気性の良い下着を選ぶのがおすすめです。
- 妊活の時期はサウナは控えよ:精巣を過度に温める行為は避けましょう。
- 膝上でのパソコン操作はダメ:パソコンの熱が精巣に伝わるため控えましょう。
- 自転車に注意:会陰部へのダメージが血流悪化を招く可能性があります。
- 育毛剤(飲み薬)に注意:ホルモンに影響を及ぼす可能性があります。医師に相談を。
男性自身が精子の状態を知り、これらのライフスタイルを改善することで、精子の質を改善させる可能性は十分にあります。
精子の状態が回復しない場合も諦めない!鍼灸がサポートできること
生活習慣の改善やサプリメントなどでも精子の状態が回復しなかった場合でも、子どもを望むご夫婦にとって頼みの綱となるのが、医療の力です。自然妊娠が難しいとされた場合でも、体外受精や顕微授精など様々な選択肢があります。
そして、鍼灸もその心強い選択肢の一つです。
鍼灸が男性不妊と精子の質向上をサポートする理由
- 全身の血流改善:生殖器への血流を促進し、最適な環境を整えます。
- 酸化ストレスの軽減とデトックス:自律神経を整え、デトックスを促します。
- ホルモンバランスの調整:内分泌系に働きかけ、精子形成を支えます。
- 睡眠の質の向上:深いリラックスでテストステロン分泌を促します。
- 精巣の温度管理のサポート:血流調整で適切な温度維持を支援します。
晩婚化が進む中、精子の問題は切実なテーマです。早めの検査、生活習慣の見直し、夫婦での鍼灸が妊娠への近道と私たちは考えます。不安を抱えず、ぜひご相談ください。
参考文献
- NHK クローズアップ現代. (2018, February 6). 男にもタイムリミットが!?~精子“老化”の新事実~.
- 藤原敏博. (2020). 名医が教える妊活と不妊治療のすべて. 株式会社あき出版.
精子の質や男性不妊について、さらに詳しく知りたいことや、鍼灸治療にご興味があれば、いつでもお気軽にお声掛けください。