
妊娠しやすい季節はある?胚移植後の暑さと妊娠率の関係
妊活中や不妊治療中の方から、「妊娠しやすい季節はありますか?」「胚移植後に暑い日が続くと、着床に影響しますか?」というご相談をいただくことがあります。
体外受精や凍結胚移植の結果は、年齢、卵子や胚の質、子宮内膜の状態、生活習慣、治療内容など、さまざまな要因によって左右されます。
そのため、季節だけで妊娠率が決まるわけではありません。
一方で近年の研究では、採卵の季節、日照時間、気温などの自然環境が、体外受精や胚移植の成績に関係している可能性も報告されています。
この記事では、妊娠しやすい季節に関する研究をもとに、胚移植後の暑さとの向き合い方や、日常生活でできる身体づくりについてわかりやすく解説します。
- 妊娠しやすい季節については、夏の採卵や日照時間の長さが凍結胚移植後の成績と関連していたという研究があります。
- ただし、季節だけで妊娠率が決まるわけではなく、年齢、卵子や胚の質、子宮内膜の状態、治療内容など多くの要因が関わります。
- 胚移植後に暑い日が続いても、「暑いから着床しない」と決めつける必要はありません。
- 夏の胚移植後は、暑さによる疲労、脱水、睡眠不足、冷房による冷えに注意しながら、体に負担をかけない過ごし方を意識しましょう。
- 季節に振り回されすぎず、主治医と相談しながら、ご自身の体調に合わせて妊娠しやすい身体づくりを続けることが大切です。


目次
妊娠しやすい季節は本当にある?
「妊娠しやすい季節」という言葉を聞くと、春や夏など特定の季節に妊娠しやすくなるように感じるかもしれません。
しかし、医学的には「この季節なら必ず妊娠しやすい」と断定できるものではありません。
不妊治療、とくに体外受精や顕微授精では、卵子の状態、精子の状態、胚の発育、子宮内膜の厚さや受容能、ホルモン環境など、多くの要素が関わります。
そのうえで、最近の研究では、採卵時期が夏であることや、日照時間が長いことが、凍結胚移植後の生児出産率と関連していたという報告があります。
オーストラリア・パースで行われた研究では、2013〜2021年の凍結胚移植を解析し、夏に採卵された卵子を用いた凍結胚移植では、秋に採卵された卵子を用いた場合と比べて生児出産の可能性が高かったと報告されています。
ここで大切なのは、移植した季節そのものよりも、「採卵された時期」や「採卵時の日照環境」が関係していた可能性があるという点です。
夏の採卵がよい可能性がある理由
夏に採卵した卵子を使った凍結胚移植で成績がよかった理由については、まだはっきりとした結論は出ていません。
考えられる要因のひとつに、日光を浴びることで体内でつくられるビタミンDがあります。
ビタミンDは、骨の健康だけでなく、免疫調整やホルモン環境、卵巣機能、子宮内膜の状態などとの関連も研究されています。
ただし、ビタミンDを多く摂れば必ず妊娠率が上がる、という単純な話ではありません。
夏は日照時間が長く、体内時計や自律神経のリズムが整いやすい一方で、暑さによる疲労や睡眠の乱れ、冷房による冷えなども起こりやすい季節です。
そのため、研究結果は「夏に治療をすれば必ず有利」という意味ではなく、光・気温・生活リズムなどの環境要因が、体のコンディションに影響する可能性があると考えるとよいでしょう。
胚移植後に暑い日はよくない?
「胚移植後に暑い日が続いたら、着床に悪いのでは」と不安になる方もいらっしゃいます。
オーストラリアの研究では、胚移植当日の最低気温が高い場合、生児出産率が低下する傾向も報告されています。
ただし、これはあくまで統計上の関連です。
「暑い日に胚移植をしたら妊娠できない」「夏の移植は避けた方がよい」という意味ではありません。
実際の治療では、胚の状態、内膜の状態、ホルモン補充の内容、年齢、既往歴などの方が大きく関わります。
また、医療機関では胚移植のタイミングを、排卵日やホルモン補充周期、胚の発育段階に合わせて慎重に決定しています。
そのため、暑さが気になる場合も、自己判断で治療時期を変えるのではなく、主治医と相談しながら進めることが大切です。
他の研究では結果が異なることもある
季節と不妊治療成績の関係については、研究によって結果が一致していません。
2025年に中国・中原地域で行われた大規模な後ろ向き研究では、夏に採卵した周期では春・秋・冬より生児出産率が高く、流産率も低い傾向が報告されています。
一方で、これまでの研究には「季節の影響がある」とするものと、「明確な影響はない」とするものがあります。
地域の気候、治療方法、研究デザイン、対象者の違いによって、結果が変わる可能性があるためです。
つまり、現時点では、「季節は妊娠率に関係する可能性があるが、治療結果を決める絶対的な要因ではない」と考えるのが医学的に自然です。
胚移植後の暑さが心配なときにできること
胚移植後に暑い日が続くと、不安になるかもしれません。
しかし、必要以上に神経質になるよりも、体に負担をかけない過ごし方を意識することが大切です。
体を暑さで疲れさせない
真夏の外出や長時間の移動は、体に負担がかかりやすくなります。
胚移植後は、無理な外出を避け、暑い時間帯を避けて移動するなど、体力を消耗しすぎない工夫をしましょう。
冷房でお腹や足元を冷やしすぎない
暑さ対策として冷房は必要ですが、冷えすぎると体がこわばり、血流の悪さを感じる方もいます。
室内では、薄手の羽織りものや腹巻き、靴下などを使い、お腹や足元を冷やしすぎないようにしましょう。
水分をこまめにとる
夏は汗をかきやすく、気づかないうちに水分不足になることがあります。
水分不足は、だるさや頭痛、血流の低下感につながることもあります。
一度にたくさん飲むよりも、こまめに水分をとることを意識しましょう。
睡眠リズムを整える
暑さで寝苦しい日が続くと、自律神経やホルモンリズムにも影響しやすくなります。
寝る前のスマホを控える、室温を調整する、朝にカーテンを開けて光を浴びるなど、睡眠の質を整える工夫も大切です。
妊娠しやすい身体づくりのために意識したいこと
季節や気温を自分でコントロールすることはできません。
しかし、日々の生活の中で、妊娠に向けた体調を整えることはできます。
朝の日光を浴びる
朝に自然光を浴びることは、体内時計を整えるうえで役立ちます。
起床後にカーテンを開ける、午前中に短時間散歩をするなど、無理のない範囲で日光を浴びる習慣をつくりましょう。
ビタミンDを含む食品を取り入れる
ビタミンDは、鮭、イワシ、サンマ、卵黄、きのこ類などに含まれます。
日光を浴びる機会が少ない方は、食事からも意識して取り入れるとよいでしょう。
ただし、サプリメントを使用する場合は、過剰摂取を避けるため、必要に応じて医師に相談してください。
季節に合わせて冷えと暑さの両方を整える
夏は「暑さ」だけでなく、冷房による「冷え」も起こりやすい季節です。
外では熱中症対策を行い、室内ではお腹や足元を冷やしすぎないようにするなど、体にとって負担の少ない環境を整えましょう。
治療スケジュールは主治医と相談する
研究結果を知ると、「採卵は夏にした方がよいのでは」「暑い時期の移植は避けるべきでは」と迷うことがあるかもしれません。
しかし、不妊治療では、年齢や卵巣機能、胚の状態、内膜の準備などを総合的に見て、治療のタイミングを決めることが重要です。
季節だけを理由に治療を遅らせることが、必ずしもよいとは限りません。
気になる場合は、主治医に相談しながら、ご自身に合った治療計画を立てていきましょう。
まとめ|季節に振り回されすぎず、体調を整えることが大切
妊娠しやすい季節については、夏の採卵や日照時間の長さが、凍結胚移植後の生児出産率と関連していたという研究があります。
また、胚移植当日の気温が高い場合に、生児出産率が低下する傾向を示した報告もあります。
しかし、これらはあくまで統計的な関連であり、「夏なら妊娠しやすい」「暑い日に移植したら妊娠できない」と決めつけるものではありません。
妊娠率には、年齢、卵子や胚の質、子宮内膜の状態、ホルモン環境、生活習慣など、多くの要素が関わります。
大切なのは、季節に不安を感じすぎることではなく、今のご自身の体調に合わせて、無理なく身体を整えていくことです。
胚移植後の暑さが気になる場合も、冷房の使い方、水分補給、睡眠、冷え対策など、できることを一つずつ整えていきましょう。
Q. 妊娠しやすい季節は本当にありますか?
一部の研究では、夏の採卵や日照時間の長さが凍結胚移植後の生児出産率と関連していたと報告されています。
ただし、妊娠率は季節だけで決まるものではありません。年齢、卵子や胚の質、子宮内膜の状態、ホルモン環境、生活習慣など、さまざまな要因が関わります。
そのため、「この季節でなければ妊娠しにくい」と考えすぎる必要はありません。
Q. 胚移植後に暑い日が続くと着床に影響しますか?
胚移植当日の気温が高い場合に、治療成績と関連していたという研究報告はあります。
しかし、これはあくまで統計的な関連であり、暑い日に胚移植をしたから妊娠できないという意味ではありません。
胚移植後は、暑さで体力を消耗しすぎないようにし、水分補給や睡眠、冷房による冷え対策を意識して過ごすことが大切です。
Q. 夏の胚移植は避けた方がよいですか?
自己判断で夏の胚移植を避ける必要はありません。
不妊治療では、胚の状態、子宮内膜の準備、ホルモン補充のタイミング、年齢などを総合的に見て、移植日が決まります。
季節だけを理由に治療を遅らせることが、必ずしもよい結果につながるとは限りません。気になる場合は、主治医に相談しながら治療計画を立てましょう。
Q. 妊活中は日光を浴びた方がよいですか?
朝の日光を浴びることは、体内時計や自律神経のリズムを整えるうえで役立ちます。
また、日光はビタミンDの生成にも関わります。ビタミンDは妊活との関連も研究されている栄養素のひとつです。
ただし、長時間の日焼けや暑い時間帯の無理な外出は避け、午前中に短時間散歩をするなど、無理のない範囲で取り入れるとよいでしょう。
Q. 胚移植後、冷房は使っても大丈夫ですか?
冷房は使って問題ありません。夏場は熱中症対策のためにも、適切に室温を調整することが大切です。
ただし、冷房の風が直接お腹や足元に当たり続けると、冷えを感じやすくなることがあります。
薄手の羽織りもの、腹巻き、靴下などを使いながら、暑さを我慢しすぎず、冷やしすぎない環境を整えましょう。
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📚参考文献
- Leathersich SJ, Roche CS, Walls M, Nathan E, Hart RJ. Season at the time of oocyte collection and frozen embryo transfer outcomes. Human Reproduction. 2023.
- Li H, Li X, Li J, Ma Y, Li G. The association between season and meteorological factors on clinical outcomes after fresh embryo transfer: a cohort study from Central Plains, China. Frontiers in Endocrinology. 2025.
- Hu X, et al. The impact of seasonal variations on IVF pregnancy outcomes: a retrospective cohort study in Jinan, China. Frontiers in Medicine. 2025.
- Deng Q, et al. Association between season and pregnancy outcomes in fresh embryo transfer cycles. Frontiers in Public Health. 2025.
- Gaskins AJ, et al. Extreme ambient heat and outcomes of assisted reproduction. Environmental Health Perspectives. 2026.
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
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宇都宮鍼灸良導絡院では、採卵前の身体づくりや胚移植前後の体調管理、冷え・自律神経の乱れなど、一人ひとりの状態に合わせた妊活鍼灸を行っています。
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