
夏の隠れた大敵「冷え」から体を守る4つの対策
「夏は暑いから冷えとは無縁」と思っていませんか?実は、寒い時期以上に注意が必要なのが「夏の冷え」です。冷房の効いた室内で長時間過ごしたり、冷たい飲み物や食べ物を摂りすぎたりすることで、知らず知らずのうちに内臓が冷え切っていることがあります。
この内臓の冷えは、妊活中の皆さんにとって特に深刻な問題です。なぜなら、子宮や卵巣といった大切な臓器に必要な栄養が届きにくくなり、老廃物の排出も滞るという悪循環に陥るからです。さらに、冷えた室内と灼熱の屋外との頻繁な出入りは、体温調節を司る自律神経を乱し、夏バテや倦怠感、消化不良など、さまざまな体調不良を引き起こす原因にもなります。
「冷えは万病の元」と言われるように、夏の冷えは単なる不快感にとどまらず、妊娠しにくい体質につながる可能性もあります。
今回は、夏の隠れた大敵「冷え」から体を守るための具体的な対策を、最新の知見も踏まえてご紹介します。
目次
対策1:体を中から温める食事術
暑い夏に、冷たいものばかりを摂っていませんか?東洋医学の考え方では、食材には体を温める「陽性」と体を冷やす「陰性」の性質があるとされています。
- 体を冷やす夏野菜・果物: キュウリ、トマト、スイカ、パイナップルなど、暑い土地で育った夏特産品は、体を冷やす働きを持つものが多いです。
- 体を温める食材: ニンジン、イモ類、大豆製品、ショウガなどは、体を温める働きがあります。
バランス良く摂取することが大切です。例えば、冷やしやすいキュウリを食べる際は、体を温める大豆製品である味噌をつけて食べるなどの工夫をしましょう。
🫚特に「ショウガ」がおすすめ!
ショウガに含まれるジンゲロールやショウガオールは、血管を拡張させて全身の血行を促進する効果が期待できます。これにより基礎代謝が上がり、体温も上昇しやすくなります。飲み物(紅茶やスープ)や食事に積極的に取り入れてみましょう。
対策2:下半身を中心に「筋肉」を鍛える・伸ばす
筋肉は、体内で熱を生み出す重要な働きを担っています。しかし、現代の生活はデスクワークが多く、足腰を使う機会が少ないため、下半身の筋肉が衰えやすい傾向にあります。これは、冷えの大きな原因の一つになり得ます。
💪筋トレの王道「スクワット」
スクワットは、太ももやお尻など下半身の大きな筋肉を効率的に鍛えることができるため、冷え性改善に非常に効果的です。無理のない範囲で取り入れてみましょう。
🧎➡️手軽にできる「ストレッチ」も有効!
本格的な筋トレが難しい方でも、ストレッチは手軽に始められます。特におすすめなのは、入浴後です。体が温まり、筋肉が柔らかくなっている状態で、普段使えていない下半身の筋肉(太ももの裏側、ふくらはぎ、股関節周りなど)をゆっくりと伸ばしてあげましょう。血行促進効果も期待できます。
対策3:「3つの首」を温め、肌着で保温
「首」と名のつく部位は、冷え対策の重要なポイントです。
- 手首、足首、首: 動脈が体の表面近くを走っているため、外気の影響を受けやすく、冷えやすい部位です。逆に言えば、ここを冷えから守ることで、全身の冷えを防ぐ効果が期待できます。夏でも薄手のストールやカーディガン、レッグウォーマーなどを活用しましょう。
👕汗冷えに注意!「肌着」選びのポイント
腹巻を愛用している方も多いと思いますが、温めすぎて汗をかいてしまうと、その汗が蒸発する際に気化熱を奪い、かえって体を冷やしてしまうことがあります(汗冷え)。そこでおすすめなのが、保温性と放湿効果に優れた肌着です。特に、シルク(絹)素材の肌着は、吸湿性・放湿性に優れているため、汗をかいても肌にべたつきにくく、体温を奪われにくいというメリットがあります。夏でも快適に体を温め、汗冷えを防いでくれます。
対策4:湯船につかって「血行促進」&「リラックス」
シャワーで済ませがちな夏でも、できるだけ毎日湯船に浸かる習慣をつけましょう。
🚿ぬるめのお湯でじわじわ温める
熱すぎるお湯ではなく、38℃~40℃程度のぬるめのお湯にじわじわと浸かるのがポイントです。これにより、リラックス効果を高める副交感神経が優位に働き、全身の毛細血管が拡張されます。日中クーラーで冷えてしまった体を芯から温め、血行を促進し、疲労回復を促します。
🛌良質な睡眠への誘い
ぬるめの入浴は、入浴後に体温が緩やかに下がることで、自然な眠りに入りやすくなります。良質な睡眠は、ホルモンバランスを整え、ストレスを軽減するため、妊活中の皆さんにとって非常に重要です。
まとめ:ストレスなく夏の冷え対策を日常生活に取り入れよう
いかがでしたか? 夏の冷え対策は、どれも日常生活に比較的負担なく取り入れられるものばかりです。「妊活はストレスとの戦い」と言われることもありますが、こうしたちょっとした工夫を積み重ねることで、心身ともに健やかな状態を保ち、妊娠しやすい体へと導くことができます。
宇都宮鍼灸良導絡院では、夏の冷えによる体調不良や、妊活に関するお様々なお悩みに寄り添い、一人ひとりの体質に合わせた鍼灸治療でサポートいたします。ご自身の体調について不安なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
📚参考文献
- 渡辺芳子, 岡村由紀子. (2018). ショウガの薬理作用と機能性. 日本食品科学工学会誌, 65(9), 475-484
- 厚生労働省. (2020). 身体活動・運動. e-ヘルスネット
- 花王株式会社. (2018). 「体を温める」新常識—冷えと温めのメカニズム—
- 小林弘幸. (2018). 自律神経を整える. プレジデント社