
【妊娠中・妊活中のカフェイン摂取は大丈夫?】リスクと目安量を正しく知ろう
「妊娠中にコーヒーは飲んでいいの?」「妊活中でもカフェインは控えた方がいいの?」そんな疑問を持つ方は多くいらっしゃいます。
カフェインはコーヒー、紅茶、緑茶、チョコレートなど多くの食品に含まれ、気分転換やリラックスの一助となる一方で、妊娠・妊活中はその摂取に慎重さが求められる場面もあります。本記事では、妊娠中・妊活中のカフェイン摂取について、リスクや目安量、最新の知見をわかりやすく解説します。
妊娠中のカフェイン摂取はどう影響する?
カフェインは中枢神経刺激物質であり、妊娠中に摂取すると胎盤を通じて胎児にも移行します。特に過剰摂取は以下のようなリスクをもたらすと指摘されています。
妊娠中の主なリスク
- 胎児の成長への影響
→ 血流が胎児に届きにくくなり、低体重児などのリスクに - 流産・早産のリスク
→ 高濃度のカフェイン摂取は、流産率や早産のリスクを高める可能性 - 胎児の睡眠パターンへの影響
→ 神経刺激作用により、胎児の正常な睡眠リズムが乱れる可能性 - 脱水リスク
→ 利尿作用があり、水分が排出されやすくなるため妊娠中は注意が必要
妊活中のカフェイン摂取は?
妊活中の方も、カフェイン摂取はホルモンバランスや妊娠の成立に影響する可能性があるため、注意が必要です。
妊活中の注意点
- 妊娠の遅延
→ カフェイン摂取が多いと、妊娠までの期間が延びる傾向があると報告されています - 受精卵の質への影響
→ 卵巣や卵子に届く血流を阻害し、質の低下に繋がる可能性 - 黄体期の不安定化
→ 排卵後のホルモン環境が乱れ、妊娠の成立がしにくくなる可能性も - 不正出血のリスク
→ 血管収縮作用により子宮内膜に影響が及び、周期が乱れることも
どれくらいまでなら飲んでいいの?
正確な安全量は個人差があるものの、多くの国や研究機関では「1日200〜300mg未満」のカフェイン摂取が目安とされています。
飲料例とカフェイン量(概算)
- コーヒー(1杯150ml):約80〜100mg
- 紅茶(1杯150ml):約30〜50mg
- 緑茶(1杯150ml):約30mg
- チョコレート(板1枚):約20〜30mg
マグカップで2杯以上のコーヒーや、複数種類のカフェイン含有食品を同時に摂ると過剰になりがちです。
カフェインの体内での作用も理解しておこう
カフェインは「アデノシン」という神経を鎮静させる物質の作用を妨げ、神経を興奮させます。そのため、以下のような症状が出ることもあります。
- めまい
- 不眠
- 動悸
- 吐き気
- 下痢
- 手の震えや不安感
特に妊娠中や妊活中は、こうした交感神経優位な状態を避けることが大切です。
まとめ
妊娠中・妊活中ともに「完全にカフェインを断つ必要がある」というわけではありません。
重要なのは以下の3点です。
- 過剰摂取を避ける(1日200〜300mg未満)
- 自身の体調や感受性に応じて調整する
- 医師・専門家のアドバイスを受ける
参考文献
- 林優, & 石本人士. (2019). Q021妊娠中にコーヒー、紅茶は飲んでもいいですか?『周産期医学』49(増刊), 47–79.
- 農林水産省. (2015). カフェインの過剰摂取について
WHO (2001). Healthy Eating during Pregnancy and Breastfeeding
UK Food Standards Agency (2008). Pregnant women advised to limit caffeine consumption