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不妊治療の保険適用と高額療養費制度の活用法

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不妊治療に励む皆さんは、2022年4月から不妊治療が保険適用になり、医療費の負担が大きく軽減されたことを実感されているのではないでしょうか。

しかし、知っておいていただきたい大切な制度があります。それは、医療費が高額になった際に家計を助けてくれる「高額療養費制度」です。この制度を上手に活用すれば、不妊治療にかかる費用をさらに抑えることができます。

今回は、不妊治療の費用負担を少しでも軽くしたい皆さんのために、高額療養費制度の仕組みと活用方法について詳しく解説します。

高額療養費制度とは?不妊治療でも適用される?

高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った医療費(※)が、ひと月(月の初めから終わりまで)で自己負担限度額を超えた場合に、その超えた金額が支給される制度です。

これは厚生労働省が定める公的な制度であり、不妊治療で保険適用となる診療も高額療養費制度の対象となります。

ポイントは「ひと月」の医療費の合計であること。 複数の医療機関を受診したり、同じ月に複数の診療科を受診したりした場合でも、合算して上限額を超えれば制度の対象となります。

(※)窓口で支払った額には、保険診療外の費用(先進医療の技術料、差額ベッド代、文書料など)は含まれません。

自己負担限度額はいくら?年齢や所得で変わる上限額

高額療養費制度で払い戻される金額は、加入している医療保険、年齢(70歳未満か70歳以上か)、そして所得によって異なります。

ここでは、多くの方が該当する「70歳未満」の場合を例に、所得区分ごとの自己負担限度額の計算方法を見ていきましょう。

所得区分自己負担限度額(70歳未満)
年収約1,160万円以上(区分ア)252,600円 + (医療費 − 842,000円) × 1%
年収約600万~約1,160万円(区分イ)167,400円 + (医療費 − 558,000円) × 1%
年収約370万~約600万円(区分ウ)80,100円 + (医療費 − 267,000円) × 1%
年収約370万円未満(区分エ)57,600円
住民税非課税者(区分オ)35,400円

例えば、年収約370万~約600万円(区分ウ)の方が、ひと月に保険診療で100万円の医療費がかかった場合(自己負担3割で窓口支払いは30万円)、計算式は以下のようになります。

80,100円 + (1,000,000円 - 267,000円) × 1% = 87,430円

この場合、自己負担限度額は87,430円となるため、窓口で支払った30万円から87,430円を差し引いた212,570円が高額療養費として払い戻されます。

ご自身の正確な所得区分や自己負担限度額については、ご加入の医療保険者(健康保険組合、協会けんぽ、市町村の国民健康保険担当窓口など)に確認するようにしてください。

高額療養費制度の申請方法と注意点

高額療養費制度の申請には、主に以下の2つの方法があります。

1. 医療費を支払った後に申請する方法

一旦医療機関の窓口で自己負担分を全額支払い、後日、加入している医療保険者に申請して払い戻しを受ける方法。

申請窓口:

  • 国民健康保険の場合:お住まいの市町村の国民健康保険担当窓口
  • 協会けんぽの場合:加入している協会けんぽ支部
  • 健康保険組合の場合:ご自身が加入している健康保険組合

申請に必要なもの: 保険証、領収書、振込口座情報など。申請書類は各保険者のウェブサイトからダウンロードできます。

注意点: 払い戻しまでには、申請から通常3~4ヶ月程度かかります。

2. 「限度額適用認定証」を事前に申請する方法

医療費が高額になることが事前にわかっている場合、「限度額適用認定証」を事前に申請し、窓口に提示すると、自己負担が限度額までに抑えられます。

  • 申請窓口: 医療費支払後と同じ窓口。
  • 申請時期: 受診前または受診中に申請可能。
  • 注意点: マイナンバーカードを健康保険証として利用している場合、同意があれば認定証なしでも限度額までの支払いで済むケースがあります。医療機関にご確認ください。

不妊治療と高額療養費制度を上手に活用するために

  • 早めに確認: 不妊治療開始前に医療保険者へ制度内容、認定証の申請を相談しましょう。
  • 領収書の保管: 医療費支払い時は領収書を受け取り、大切に保管してください。
  • 夫婦の医療費を合算: 同月に夫婦が医療機関を利用し、合算で限度額超過すれば世帯合算が可能です。詳細は保険者へ。
  • 多数回該当の特例: 過去12ヶ月で3回以上支給を受けている場合、4回目以降は限度額がさらに下がる特例があります。

まとめ:負担を減らして、安心して妊活に集中しましょう

不妊治療が保険適用になり、治療に踏み出しやすくなった一方で、高額療養費制度は医療費負担をさらに軽減する心強い味方です。

この制度を理解し、適切に活用することで、経済的な不安を和らげ、妊活に集中できる環境を整えましょう。

不妊治療に保険が適用される場合の費用と制度について解説

参考文献

高額療養費制度や不妊治療に関するご不安な点があれば、いつでもお気軽にお声掛けください。

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