
月経血の成分とは?”生理の血”と血液との違いについて
毎月の生理、あなたは「ただ血が出ているだけ」だと思っていませんか?実は、月経血の正体は単なる血液だけではありません。そして、その状態は、あなたの身体が今どんな状態にあるのかを教えてくれる大切な「メッセージ」なのです。
この記事では、月経血の本当の成分から、東洋医学でいう「瘀血(おけつ)」という考え方、そして妊活にどう活かすべきかについて、最新の知見を交えて詳しく解説します。
月経血の正体:40%は血液、その他は?
「月経=血が出ること」と思われがちですが、月経血の約40%が血液成分で、その他は子宮内膜の破壊組織、子宮内液、酵素、常在菌などが含まれています。
月経血に含まれる主な成分
- 血液(約40%): 月経血の主な成分。
- 子宮内膜の破壊組織: 着床しなかった子宮内膜が剥がれ落ちたもの。
- 子宮内液、膣分泌液: 子宮や膣から分泌される液体。
- 酵素: 血液の凝固を防ぎ、経血をスムーズに排出するための成分。
- ごく微量の常在細菌: 感染性はない、膣内に常在している細菌。
これらの成分が混じり合ったものが、月経血として排出されています。最新の研究では、この月経血に含まれる成分や細胞が、子宮内膜の修復や再生に重要な役割を果たしている可能性も示唆されています。
参考文献: The composition of menstrual fluid, its applications, and recent advances to understand the endometrial environment: a narrative review
「血のかたまり」は異常?東洋医学で見る “瘀血(おけつ)” のサイン
生理中にレバーのような血のかたまりが出たり、経血の色が黒っぽかったりすると、「何か異常があるのでは?」と不安になる方もいるでしょう。
東洋医学では、このような状態を「瘀血(おけつ)」と捉えます。
瘀血(おけつ)とは?
「瘀血」とは、血液の流れが滞って、古い血が体内に留まっている状態を指します。月経血のかたまりや黒ずんだ経血は、子宮内の血の巡りが悪くなっているサインだと考えられます。
瘀血のセルフチェック(東洋医学的所見)
以下の症状に心当たりはありませんか?
- 血のかたまりが多い、またはサイズが大きい
- 経血が黒っぽい、またはドロッとしている
- 生理痛が強い、特に刺すような痛みがある
- 生理の開始や終了が不安定
- 顔色が悪く、くすみがち
- 肩こりや頭痛がひどい
- 舌の裏に暗紫色の斑点(瘀点)がある
瘀血があるとどうなる?
瘀血は単なる月経トラブルではなく、全身の巡りや代謝にも影響を与え、以下のような女性特有の不調や疾患と深く関連しているとされています。
- 不妊症: 子宮内の血流が悪くなると、子宮内膜が十分に育たず、着床を妨げる原因になる可能性があります。
- 子宮内膜症・子宮筋腫: 血の滞りが、これらの疾患の形成や悪化に関与すると考えられています。
- 月経困難症: 血の巡りが悪いことで、痛みが強くなるとされています。
- 頭痛や肩こり、肌荒れ: 全身の血行不良が原因となります。
鍼灸で瘀血を整え、妊娠力を高める
瘀血に対して、東洋医学では「活血化瘀(かっけつけお)」というアプローチを行います。これは、血の流れを良くし、滞った古い血を取り除くという考え方です。
鍼灸による瘀血改善
鍼灸治療は、この「活血化瘀」を得意としています。
- 血流促進: 鍼灸は、子宮・卵巣周辺のツボを刺激することで、骨盤内の血流を改善します。これにより、子宮内膜をふかふかに育み、着床しやすい環境を整えることを目指します。
- ホルモンバランスの調整: 全身の巡りが良くなることで、ホルモン分泌を司る自律神経のバランスも整い、女性特有の不調を根本から改善します。
まとめ:月経は「身体からのメッセージ」
月経は「ただの生理現象」ではなく、あなたの身体の状態を映し出す大切な鏡です。毎月の経血の色や量、状態を観察することで、今の身体のバランスや滞りを読み取ることができ、妊活中の方や不妊に悩む方にとって、大切な“気づきのきっかけ”になります。
もし、毎月の月経に違和感や気になる症状があれば、それは身体からのSOSかもしれません。東洋医学的な視点で身体の巡りを整えることで、妊娠への道を切り開ける可能性も十分にあります。一人で悩まず、ぜひ専門家にご相談ください。