
「痛み」は身体からのメッセージ:そのメカニズムと鍼灸によるアプローチ
誰でも一度は、「痛い!」と声に出してしまうような経験をしたことがあるでしょう。指を切ったり、転んだり、どこかにぶつけたり…。痛みは不快なものですが、実は私たちの体を守るための大切な「警告信号」なんです。
宇都宮鍼灸良導絡院では、患者様が抱える様々な痛みに寄り添い、その改善をサポートしています。今回は、この「痛み」がなぜ起こるのか、そして鍼灸がどのようにしてその痛みを和らげるのかについて、分かりやすく解説します。
目次
「痛み」は命を守るための大切なシステム
痛みを感じることによって、私たちは危険から逃れ、体を守る行動を取ることができます。もし痛みを感じなかったら、「先天性無痛症」のように怪我に気づかず命を落とす可能性もあります。つまり、痛みは私たちの命を守るためのシグナルです。
痛みはどのようにして脳に伝わるのか?そのメカニズム
- 刺激の感知:受容器が痛み刺激(物理・温度・化学)をキャッチし電気信号に変換
- 信号の伝達:神経を通じて脊髄へ信号を送る
- 痛みの認知:脳で痛みとして具体的に認識される
痛みを増強させる要因
低気圧が痛みを悪化させる
気圧が下がると交感神経が活性化し、ノルアドレナリンの分泌により痛覚神経が刺激され、痛みを増強させます。
ストレスと怒りの影響
ノルアドレナリンの過剰分泌やセロトニン神経の低下によって、体が本来持つ鎮痛機構が弱まります。
不妊治療と骨盤内炎症性疾患
慢性的な炎症により痛みの閾値が下がり、軽微な刺激も痛みとして感じやすくなります。
日内変動と痛み
痛みにはサーカディアンリズムがあり、朝と夜とで感受性が異なります。体内時計が痛みを調整していると考えられます。
痛い時こそ「鍼灸」が効果的な理由
鍼灸は、体の疼痛抑制システムを呼び起こし、痛みの軽減を促す古来より伝わる治療法です。
鍼灸が痛みを抑えるメカニズム
- 経穴への刺激:自由神経終末などを通じて情報を脳に伝える
- 内因性オピオイド:エンドルフィンなどが放出され鎮痛効果を発揮
- 血流改善:酸素や栄養の循環が促され、老廃物の除去を助ける
- 自律神経の調整:副交感神経を優位にし、ストレス由来の痛みを緩和
- 炎症の抑制:炎症性痛みの軽減にも期待
つまり、鍼灸は体が本来持つ自己治癒力・自己鎮痛力を活性化させるアプローチです。
まとめ:痛みに向き合い、体本来の力を引き出す鍼灸治療
痛みは体からのメッセージ。適切な鍼灸施術で、痛みの根本にアプローチし、生活の質を改善することが可能です。宇都宮鍼灸良導絡院では、一人ひとりに合わせた施術を行い、健康な毎日を取り戻すお手伝いをしています。
参考文献
- 川喜田健司, 矢野忠. 鍼灸臨床最新科学-メカニズムとエビデンス. 医歯薬出版株式会社; 2020.
- 伊藤和憲. 痛み・鎮痛の基本としくみ. 秀和システム; 2011.
- 日本いたみ財団: サーカディアンリズムと痛み