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妊活がつらいのは性格のせい?科学が教える「心と妊娠」の向き合い方

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妊活や不妊治療に直面しているとき、「どうして私だけうまくいかないんだろう」「もしかして、この不安がりな性格が原因なんじゃないか」と、自分を責めてしまうことはありませんか?

この疑問は多くの人が抱えるものですが、まずお伝えしたいのは、「あなたの性格のせいで妊娠できない」と自分を責める必要はまったくないということです。

最新の研究に基づき、「心と妊娠」の実際の関係と、私たちが今日からできる具体的な対処法を、やさしく解説します。

結論:性格と治療成績は「相関」するが「原因」ではない

科学的な結論は以下の通りです。

1. 一部の感情気質は治療成績と相関する

ハンガリーで行われた体外受精(IVF)を受けている女性を対象とした研究では、特定の「感情気質(性格傾向)」が高い人ほど、治療成績が下がる傾向が見られました。

特に、気分の波が激しい(循環気質)、落ち込みやすい(抑うつ気質)、常に心配や不安を感じやすい(不安気質)といった傾向が強い人たちで、妊娠率が低くなる傾向が報告されています。

2. ストレスは治療を間接的に妨げる可能性がある

過度な不安、抑うつ、慢性的なストレスといった心理的な負担は、直接的に妊娠を妨げるというより、間接的に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ストレスで治療を途中で中断してしまったり、睡眠や痛みへの対処、治療の重要な意思決定に悪影響が出たりすることで、結果に影響を与える可能性があるのです。

大切な前提:自分を責める必要はありません

妊娠の成功率は、年齢、卵子や胚の質、子宮の状態、そして男性側の要因など、数えきれないほどの要因で決まります。心の状態は、その多くの要因の中の「調整可能な一因」にすぎません。「性格=原因」と決めつけず、セルフケアや支援によって整えられる部分だと捉えることが大切です。

性格「あるある」と妊活がぶつかるとき

不妊治療は、先が見えない不安、繰り返される失望、時間とお金のプレッシャーなど、状況そのものが大きなストレス源です。あなたの「性格」の弱さが原因ではありません。

しかし、特定の性格傾向が、この不確実な状況と「相性が悪い」ことで、ストレスを増幅させることがあります。以下に、妊活と相性が悪い性格傾向の例と、起こりやすいパターンを示します。

  • 完璧主義・強い責任感
    100点でないと自分を責めたり、全てを自分の責任だと抱え込んでしまう。
  • 自己評価の低さ
    治療がうまくいかないと「私の価値がない」と感じてしまう。
  • 不安・心配性
    予期不安に耐えられず、検索やSNSを止められなくなる。
  • 外的評価志向
    周囲の成功(妊娠報告など)と自分を比べて落ち込んでしまう。

こうした傾向は、あなたの「人間的な弱さ」ではなく、ただ「妊活という特殊な状況下で、思考と行動が絡まりやすくなっている状態」だと理解しましょう。

今からできる!エビデンスに基づく具体的な対処法

ここで必要なのは「性格を変えること」ではなく、思考や行動の「使い方」を調整するスキルを身につけることです。

1. 心と体を整えるための介入

心理的な介入は、不安や抑うつを和らげ、妊娠率の改善に繋がる可能性が多くの研究で示されています。

  • マインドフルネス/マインドボディ・プログラム: 不安やストレスの軽減に効果があり、継続することで妊娠率の改善に繋がる可能性が示唆されています。数週間〜数か月の継続がポイントで、移植直前だけの超短期介入では効果が出にくいことがあります。
  • CBT(認知行動療法): 「全て自分のせい」といった認知の偏りを修正し、建設的な行動を増やすのに役立ちます。治療継続のサポートにもなります。
  • オンライン(e-health)支援: 通院が難しい方に有効な選択肢です。不妊関連ストレスの改善や、臨床妊娠率の上昇の兆しも見られています。

2. 性格傾向を活かす「置き換えスキル」

自分の傾向に合わせて、行動パターンを置き換えていきましょう。大切なのは、「続けられる小さな単位」で始めることです。

  • 完璧主義・責任感が強いなら:「100点」ではなく「十分に良い」基準を言葉にして、行動目標を優先しましょう。また、「質問リスト」を事前に作って、パートナーや医師に役割を分担することも有効です。
  • 不安傾向が強いなら:情報収集の「量」に上限を決めましょう(例:1日15分)。3分間の呼吸法(息を吸う時間の2倍の時間をかけて吐く1:2法など)を試すのも有効です。
  • 自己評価が低いなら:「私の価値=成果ではない」と書き換えるセルフトークを行い、自分の「強み」を毎日3つ書き出す習慣をつけましょう。
  • 柔軟性が低いなら:「もし〇〇なら→△△する」というIf-Thenプランを事前に3つ用意し、計画変更への抵抗を減らしましょう。

まとめ:「性格のせい」ではなく「メンタル運転術」を磨く

あなたの性格傾向は、生まれつき持っているニュートラルな特性です。それが妊活のストレスと絡み合ったときに、あなたを苦しめる「ストレス増幅器」になってしまうだけです。

「性格を変える」必要はありません。必要なのは、「今の状況に合ったメンタル運転術」を身につけることです。

マインドフルネスやCBTといったエビデンスのある方法で、思考、注意、行動の使い方を調整していくこと。それは、あなた自身のQOL(生活の質)を守り、治療を続けるためのエネルギーを保つことにつながります。

自分を責めるのをやめ、「自分に優しくなるスキル」を身につけること。それが、結果への遠回りに見えて、実は一番の近道になるはずです。

妊娠と性格・感情傾向の関連を示す図解イメージ

📚参考文献

  • Szabó G, et al. Scientific Reports. 2023. 感情気質と不妊治療成功の関連。
  • Dube L, et al. Human Reproduction Update. 2023. 不妊領域の心理的介入:メタ解析。
  • Zanettoullis AT, et al. Healthcare. 2024. IVF各ステージにおけるストレスの影響。
  • Abdoli S, et al. 2025. 不安・ストレスとIVFアウトカムの関連(イラン)。
  • Nunes GM, et al. 2024. 超短期瞑想の介入効果は限定的。
  • Zarbo C, et al. 2018. 完璧主義と親性への重視がQOLを予測。
  • Human Reproduction(Advance article). 2025. 患者の苦痛と治療継続・介入の有効性。
  • e-Health介入のメタ解析(2025)。

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