性格と妊娠率の関係とは?不妊傾向と気質の考察
目次
妊娠しにくさと性格の関係性:不妊症女性に見られる7つの性格特性
不妊症は、身体的な要因だけでなく、心理的な側面も大きく影響します。特に、個人の性格特性が不妊治療への反応やストレスの感じ方に関与していることが、いくつかの研究で示唆されています。ここでは、不妊症女性に見られる7つの性格特性について紹介します。
①完璧主義傾向
すべてを自分でコントロールしたい、失敗を許せないといった完璧主義の傾向がある人は、治療結果が思うようにいかないと自己否定につながることがあります。このような性格特性は、治療過程でのストレスを増大させる要因となり得ます。
②強い責任感
「妊娠できないのは自分のせい」と自責的になりやすい人は、周囲に迷惑をかけまいと感情を抑え込む傾向があります。このような強い責任感は、自己評価の低下やストレスの蓄積につながる可能性があります。
③自己評価が低い
「女性(男性)としての価値がない」と感じてしまうなど、自己評価が低い人は、不妊症によってさらに自己価値を疑うことがあります。これは、抑うつ傾向や不安感の増加と関連しています。
④強い不安傾向
治療や結果に対して常に不安を抱えている人は、些細な体調変化にも過敏になることがあります。このような不安傾向は、治療過程でのストレスを増大させる要因となります。
⑤抑うつ傾向
希望を持ちにくく、先行きが悲観的になりやすい人は、孤独感や無力感に陥ることが多いです。不妊症に関連する抑うつ傾向は、治療の継続や日常生活に影響を及ぼす可能性があります。
⑥柔軟性の低さ
「妊娠すること」だけに意識が集中し、他の価値観を受け入れにくい人は、ライフプランの変更が苦手です。このような柔軟性の低さは、治療の中断や結果に対する適応力の低下と関連しています。
⑦外的評価志向
周囲の目や評価を気にする人は、「親に孫を見せたい」「友人の出産がつらい」といった対人ストレスが大きいです。このような外的評価志向は、自己評価の低下やストレスの増加につながる可能性があります。
研究事例:性格特性と不妊治療の成功率
2023年に発表されたSzaboらの研究では、ハンガリーの不妊治療クリニックに通う578人の女性を対象に、感情気質(affective temperaments)と治療成功率との関連性を調査しました。その結果、循環気質(cyclothymic)、抑うつ気質(depressive)、不安気質(anxious)のスコアが高い女性は、体外受精(IVF)による臨床的妊娠の成功率が有意に低下することが明らかになりました。
具体的な結果
- 循環気質スコアが4を超える場合:妊娠成功率が49%低下(OR = 0.51)
- 抑うつ気質スコアが9を超える場合:妊娠成功率が41%低下(OR = 0.59)
- 不安気質スコアが9を超える場合:妊娠成功率が55%低下(OR = 0.45)
一方で、易怒気質(irritable)や高揚気質(hyperthymic)は、治療結果に有意な影響を与えないことが示されました。この研究は、感情気質が不妊治療の成功に影響を及ぼす可能性を示唆しており、個々の性格特性に基づいた治療アプローチの重要性を強調しています。