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インフルエンザやコロナウイルス感染と妊活への影響について

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妊活中にインフルエンザやコロナウイルスに感染すると、「赤ちゃんを授かれるのか」「薬を飲んで大丈夫なのか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。特に発熱がある場合、体調や生殖機能への影響を理解し、適切に対応することが大切です。ここでは、感染症が妊活に与える影響と、その対策について詳しく解説します。

ご主人の発熱と精子への影響

精子は熱にとても弱い性質を持っています。38℃以上の高熱が2日以上続くと、精子の運動率や形態に一時的な低下がみられることが知られています。新しい精子がつくられるには約74日(2〜3か月)の造精サイクルが必要なため、発熱後は60日〜3か月程度で徐々に回復していくケースが一般的です。

一時的な影響であることが多いですが、個人差があります。気になる場合は精液検査を受け、精子の回復状況を確認するのも安心につながります。

奥様の発熱と卵子・排卵への影響

卵子は一度成熟すると質そのものが変わることはほとんどありません。ただし、感染や発熱による免疫反応や全身の炎症反応は、排卵や子宮内膜の状態に一時的な影響を与えることがあります。

卵子の質に直接ダメージが及ぶことは少ないとされていますが、周期のズレや内膜環境の揺らぎは起こり得ます。通常は次の周期には回復しますので、体力が戻ってから妊活を再開するのが安心です。

妊娠可能性がある時期の高熱について

受精から妊娠初期にかけての高熱は、神経管閉鎖障害などのリスク上昇と関連する可能性が報告されています。妊娠の可能性がある場合は、高熱を放置せず、早めに解熱や補液を行うことが重要です。

感染症の薬と妊活への影響

妊活中・妊娠可能性のある時期に薬を使う際は、種類に注意が必要です。

  • 解熱鎮痛剤
    妊娠可能性がある時期には、アセトアミノフェンが第一選択とされています。用法用量を守って短期間の使用であれば安全性は高く、発熱を我慢するよりリスクは低いと考えられています。
  • インフルエンザ治療薬
    オセルタミビル(タミフル)は妊娠中も使用可能とされており、妊活中にも推奨されます。
    一方で、バロキサビル(ゾフルーザ)は妊娠中には推奨されません(データ不足のため)。妊活中も妊娠可能性がある場合は、主治医とよく相談して選択しましょう。

妊活を再開するタイミング

感染症や発熱のあとは、心身の回復を最優先にしてください。

  • 男性:高熱の影響がある場合、2〜3か月後に精子が整ってくるのが一般的です。
  • 女性:解熱して体力が戻れば再開可能。周期の乱れはあっても次の周期で改善することが多いです。

焦らずに回復を待つことで、より良い状態で妊活に臨むことができます。

心の安定を保つことの大切さ

妊活中は「熱が出たから妊娠できないのでは」と不安になりがちですが、多くの影響は一時的で回復します。むしろ、過度なストレスのほうがホルモンバランスや排卵に悪影響を与える可能性があります。

安心して休養をとり、心身の健康を取り戻すことが妊活の第一歩です。

まとめ

  • 高熱は一時的に精子や卵子環境に影響を与えるが、ほとんどは回復する
  • 男性は2〜3か月、女性は回復次第で妊活再開が可能
  • 妊娠可能性のある時期の高熱は放置せず、適切な解熱を
  • 薬はアセトアミノフェンやオセルタミビルが推奨され、必ず医師に相談すること

インフルエンザやコロナウイルス感染が妊活に与える影響を解説

📚参考文献

  • Carlsen E, Andersson A-M, Petersen JH, Skakkebaek NE. History of febrile illness and variation in semen quality. *Hum Reprod.* 2003;18(10):2089-2092.(高熱と精子所見の関連)
  • Gollenberg AL, Liu F, Brazil C, et al. Semen quality in fertile men in relation to psychosocial stress. *Fertil Steril.* 2010;93(4):1104-1111.(ストレスや全身状態の影響)
  • Patel DP, et al. COVID-19 and male fertility: a systematic review. *World J Mens Health.* 2021;39(4):1-13.(COVID-19後の精子所見の変化と回復)
  • 日本産科婦人科学会「新型コロナウイルス感染症と妊娠に関するQ&A」(2024年更新版)(女性の感染と妊娠・妊活への影響)
  • American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). Influenza in Pregnancy: Prevention and Treatment. Committee Opinion No. 753, 2018.(インフルエンザ治療薬の使用に関する推奨)
  • 厚生労働省「新型インフルエンザ(H1N1)診療ガイドライン」改訂版(妊婦におけるオセルタミビルの推奨)
  • Andrews KW, et al. Maternal fever and risk of neural tube defects: a meta-analysis. *Epidemiology.* 2005;16(4):458–463.(妊娠初期の高熱と神経管閉鎖障害リスク)

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宇都宮鍼灸良導絡院では、感染症後の体調回復や免疫バランスの調整、不妊治療に伴う心身のケアを目的に、一人ひとりに合わせた鍼灸施術を行っています。妊活や体調管理について不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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