早発閉経・早発卵巣不全と鍼灸の可能性
目次
早発卵巣不全と早発閉経の違いとは?
『産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第4版』によると、早発卵巣不全(POI:Primary Ovarian Insufficiency)とは、40歳未満で卵巣からの月経がなくなる状態(卵巣性無月経)を指します。
この中には、以下の2つの状態が含まれます。
- 早発閉経(Premature Menopause)
卵胞が枯渇し、自然に月経が完全に止まった状態。12か月以上の無月経が続くと診断されます。 - ゴナドトロピン抵抗性卵巣(ROS)
卵巣がホルモンに反応せず、排卵できない状態。月経再開や妊娠の可能性が残る場合もあります。
つまり、早発卵巣不全は「妊娠の可能性が残る」こともありますが、早発閉経は「妊娠が難しい状態」とされています。
英語での表現と近年の用語の傾向
- 早発閉経:Premature Menopause
- 早発卵巣不全:Primary Ovarian Insufficiency(POI)または Premature Ovarian Failure(POF)
※「Gonadotropin-resistant ovary syndrome(GROS)」や「Resistant Ovary Syndrome(ROS)」といった表現は、最近ではあまり使用されていません。
【実例】鍼灸治療で月経が戻ったTさんのケース
Tさん(40代女性)は、4年間の不妊治療にもかかわらず妊娠できず、免疫的な問題や夫婦関係の悪化から離婚を経験。その後、精神的ストレスとともに月経が止まりましたが、婦人科を受診することなく、妊娠を諦めかけていたそうです。
ところが、2021年8月に更年期のような症状が現れ、妊娠の希望が再燃。当院で週1回の鍼灸治療を継続したところ、少しずつ月経が回復し、2022年6月には7日間の正常な月経が戻りました。子宮内膜もしっかり排出され、体の変化が目に見える形で確認されました。
卵子凍結という新たな選択肢
現在Tさんは、将来の妊娠を見据え、卵子凍結を検討されています。40歳を超えているため、卵子の数や質の低下リスクがあるからです。
卵子凍結とは?
今の状態の卵子を凍結保存し、将来必要なときに体外受精などで使用する方法です。年齢による卵子の劣化を避けるため、できるだけ若いうちに行うことが推奨されています。
AMH検査で卵巣の予備能力を確認し、医師と相談しながら適切なタイミングで凍結するのがポイントです。
将来の妊娠を考えるすべての方へ
近年では、医学的な理由やライフプランに合わせて卵子凍結を希望される方が増えています。特に以下のような方にとって、卵子凍結は重要な選択肢です。
- 今すぐの妊娠は考えていないが、将来的に希望がある方
- 病気や治療の影響で妊娠が難しくなる可能性がある方
- パートナーがまだいないが将来のために準備をしたい方
鍼灸での体質改善もあわせて
Tさんのように、鍼灸によってホルモンバランスが整い、月経が回復した例もあります。ただし、すべての方に同じ効果が得られるとは限りません。大切なのは、自分の体としっかり向き合い、必要なケアや選択肢を持つことです。
また、ストレス管理・栄養・運動など、日々の生活習慣の見直しも妊娠に向けた大切な準備になります。
最後に
「もしかして自分も早発閉経かも…」「卵子凍結って難しそう…」
そう思ったときこそ、行動に移すタイミングです。鍼灸という自然療法と、現代医療の力を組み合わせて、あなたの将来に可能性を広げる選択を一緒に考えていきましょう。