
【月経血のニオイが気になる原因】膣内フローラとの関係と受診の目安
生理中にふと、「月経血のニオイが強い気がする」「生理の血が臭いのは病気?」「ナプキンを替えたときのニオイが気になる」と不安になることはありませんか。
月経血にはある程度のニオイがあるため、少し鉄っぽい・金属っぽいニオイがするだけで、すぐに病気と考える必要はありません。
ただし、魚が腐ったようなニオイ、強い腐敗臭、かゆみや痛み、おりものの異常を伴う場合は、膣内環境の乱れや感染症が関係していることもあります。
この記事では、月経血のニオイが起こる理由と、膣内フローラとの関係、受診の目安についてわかりやすく解説します。
- 月経血には、鉄っぽいニオイや独特のニオイが多少あるため、少し気になるだけで病気と決めつける必要はありません。
- ナプキンを長時間交換していない、デリケートゾーンが蒸れている、疲労や体調不良があると、月経血のニオイが強く感じられることがあります。
- 魚が腐ったようなニオイや強い腐敗臭、生理後も続くニオイがある場合は、膣内フローラの乱れや感染症が関係している可能性があります。
- 妊活中の方にとって膣内環境や子宮内環境は大切ですが、月経血のニオイだけで妊娠しやすさを判断することはできません。
- かゆみ・痛み・おりものの異常・下腹部痛などを伴う場合は、自己判断せず婦人科で相談することが大切です。


目次
月経血はもともと無臭なの?
月経血は、血液だけではなく、剥がれ落ちた子宮内膜、頸管粘液、膣分泌液などが混ざったものです。
出た直後の月経血は、強い悪臭がするものではありません。けれども、ナプキンに吸収されたあと時間が経つと、空気に触れて酸化したり、蒸れたりすることで、鉄っぽいニオイや独特のニオイを感じやすくなります。
つまり、生理中に多少のニオイがあること自体は自然なことです。
とくに経血量が多い日や、ナプキンを長時間交換できなかった日、汗をかきやすい季節などは、ニオイが強く感じられることがあります。
月経血のニオイが強くなる主な原因
月経血のニオイが強くなる背景には、いくつかの原因があります。
ナプキンを長時間交換していない
ナプキンに経血が吸収された状態が長く続くと、空気に触れて酸化が進み、ニオイが出やすくなります。
また、経血・汗・皮脂・おりものが混ざることで、デリケートゾーンが蒸れやすくなり、ニオイを感じやすくなります。
デリケートゾーンの蒸れ
生理中はナプキンやショーツで通気性が悪くなりやすく、湿度が高い状態が続きます。
蒸れた状態では菌が増えやすくなるため、普段よりニオイが気になることがあります。
体調や食生活による体臭の変化
睡眠不足、疲労、ストレス、食生活の乱れなどによって、体臭や分泌物のニオイが変化することがあります。
「いつもよりニオイが強い」と感じるときは、生理だけでなく、体調全体の影響を受けている場合もあります。
膣内フローラの乱れ
月経血のニオイと関係が深いのが、膣内フローラです。
膣内フローラとは、膣内に存在する常在菌のバランスのことです。健康な膣内では、ラクトバチルス属と呼ばれる乳酸菌が優位になり、膣内を酸性に保つことで、病原菌が増えにくい環境をつくっています。
しかし、膣内フローラのバランスが乱れると、嫌気性菌などが増え、魚が腐ったようなニオイや生臭いニオイが出ることがあります。
「月経血が臭い」と感じるとき、膣内フローラが関係していることも
生理中は、月経血によって膣内のpHが一時的に変化しやすくなります。
通常、膣内は弱酸性に保たれていますが、月経血は膣内環境に影響を与えるため、生理中や生理直後にニオイが気になりやすくなることがあります。
たとえば、次のような場合は、膣内フローラの乱れが関係している可能性があります。
- 生理中だけニオイが強い
- 生理後も生臭いニオイが続く
- おりものの量や色が変わった
- 以前よりニオイが気になるようになった
ただし、ニオイだけで病気を判断することはできません。気になる状態が続く場合は、自己判断せず婦人科で相談することが大切です。
妊活中の方は、膣内・子宮内環境にも目を向けたい
近年、膣内フローラだけでなく、子宮内の細菌叢と妊娠・着床の関係についても研究が進んでいます。
子宮内は完全な無菌ではなく、細菌叢が存在する可能性が示されており、ラクトバチルスが少ない子宮内細菌叢では、体外受精における着床や妊娠成績と関連する可能性が報告されています。
ただし、ここで注意したいのは、「月経血のニオイがある=着床しにくい」と単純に結びつけないことです。
月経血のニオイは、酸化、蒸れ、ナプキンの交換頻度などでも変化します。ニオイだけで妊娠しやすさ・しにくさを判断することはできません。
一方で、妊活中で次のような状況がある場合は、婦人科や不妊治療クリニックで膣内環境・子宮内環境について相談してみてもよいでしょう。
- 生理後も強いニオイが続く
- おりものの異常がある
- 慢性的な炎症や子宮内膜炎を指摘されたことがある
- 体外受精や胚移植を予定している
こんなニオイ・症状があるときは婦人科へ
月経血やおりもののニオイが気になる場合でも、すべてが病気というわけではありません。
ただし、次のような症状があるときは、早めに婦人科を受診しましょう。
- 魚が腐ったようなニオイがする
- 強い腐敗臭がある
- 生理後もニオイが続く
- おりものが灰色・黄色・緑色っぽい
- おりものの量が急に増えた
- 外陰部のかゆみや痛みがある
- 下腹部痛や発熱がある
- 性交後にニオイが強くなる
とくに、魚のようなニオイを伴うおりものは、細菌性腟症でみられることがあります。細菌性腟症は膣内の菌バランスが乱れた状態で、症状がある場合は医療機関での診断と治療が必要です。
月経血のニオイが気になるときのセルフケア
ニオイが気になるときは、まず日常のケアを見直してみましょう。
ナプキンはこまめに交換する
経血量が多い日は、ナプキンを長時間つけっぱなしにしないことが大切です。
目安としては、経血量や生活状況に合わせて、無理のない範囲でこまめに交換しましょう。
洗いすぎに注意する
ニオイが気になると、膣の中まで洗いたくなる方もいます。
しかし、膣内を洗いすぎると、必要な常在菌まで減ってしまい、かえって膣内フローラが乱れることがあります。
洗うのは外陰部を中心にし、強い洗浄剤や膣内洗浄を習慣化しすぎないようにしましょう。
通気性を意識する
締めつけの強い下着や衣類が続くと、デリケートゾーンが蒸れやすくなります。
生理中はできるだけ通気性のよい下着を選び、汗をかいたら早めに着替えることも大切です。
疲労や睡眠不足をためこまない
膣内環境は、免疫状態や体調の影響も受けます。
睡眠不足、ストレス、疲労が続くと、体の自浄作用が落ちやすくなることがあります。
「ニオイが気になる時期」と「疲れがたまっている時期」が重なる場合は、身体からのサインとして生活リズムを見直すことも大切です。
東洋医学では「経血の質」も体のサインと考える
東洋医学では、月経血の色・量・塊・痛み・ニオイなどを、体の状態を知る手がかりの一つとして考えます。
たとえば、血の巡りが滞った状態を「瘀血(おけつ)」と呼びます。瘀血の傾向がある場合、経血が暗い色になったり、血の塊が出やすかったり、生理痛が強くなったりすることがあります。
また、体の中に余分な熱や湿気がこもる「湿熱(しつねつ)」のような状態では、分泌物のニオイや粘りが気になると考えることもあります。
もちろん、東洋医学的な見立てだけで感染症や婦人科疾患を判断することはできません。
ただ、婦人科的な検査で大きな異常がない場合でも、次のようなお悩みがある方は、血流や冷え、胃腸の働き、自律神経のバランスなども含めて整えていくことが大切です。
- 生理のたびにニオイが気になる
- 経血が黒っぽい
- 血の塊が多い
- 生理痛や下腹部の重だるさがある
- 妊活に向けて体質を整えたい
まとめ|月経血のニオイは「異常」と決めつけず、変化を見ていくことが大切
月経血には、ある程度の鉄っぽいニオイや独特のニオイがあります。
そのため、少しニオイが気になるだけで、すぐに病気と考える必要はありません。
一方で、魚が腐ったようなニオイ、強い腐敗臭、生理後も続くニオイ、おりものの異常、かゆみや痛みを伴う場合は、膣内フローラの乱れや感染症が関係している可能性があります。
妊活中の方にとって、膣内環境や子宮内環境は気になるテーマの一つですが、月経血のニオイだけで妊娠しやすさを判断することはできません。
「いつもと違う」「前よりニオイが強い」「生理後も続く」と感じるときは、ひとりで悩まず、婦人科で相談してみましょう。
月経血が臭いのは病気ですか?
月経血には、血液や子宮内膜、分泌液などが含まれているため、多少の鉄っぽいニオイや独特のニオイがすることがあります。そのため、少しニオイが気になるだけで、すぐに病気と考える必要はありません。
ただし、魚が腐ったようなニオイ、強い腐敗臭、生理後も続くニオイ、おりものの異常、かゆみや痛みを伴う場合は、婦人科で相談しましょう。
生理中だけニオイが強くなるのはなぜですか?
生理中は、経血がナプキンに吸収されて空気に触れたり、デリケートゾーンが蒸れたりすることで、ニオイが強く感じられることがあります。
また、月経血によって膣内のpHが一時的に変化し、膣内フローラのバランスが影響を受けることもあります。生理が終わると自然に落ち着く場合もありますが、ニオイが長く続く場合は注意が必要です。
魚のようなニオイがする場合は何が考えられますか?
魚が腐ったようなニオイや生臭いニオイがある場合、膣内フローラの乱れや細菌性腟症などが関係していることがあります。
特に、おりものの量が増える、色が灰色・黄色っぽい、かゆみや痛みがある、生理後もニオイが続く場合は、自己判断せず婦人科を受診することをおすすめします。
月経血のニオイと妊娠しやすさは関係ありますか?
月経血のニオイだけで、妊娠しやすい・妊娠しにくいと判断することはできません。
ただし、妊活中の方にとって、膣内フローラや子宮内環境は大切な要素の一つです。慢性的なおりものの異常、強いニオイ、子宮内膜炎を指摘されたことがある場合などは、不妊治療クリニックや婦人科で相談してみるとよいでしょう。
月経血のニオイを防ぐためにできることはありますか?
まずは、ナプキンをこまめに交換し、デリケートゾーンの蒸れを防ぐことが大切です。通気性のよい下着を選び、汗をかいたときは早めに着替えることも役立ちます。
一方で、ニオイが気になるからといって膣の中まで洗いすぎると、必要な常在菌まで減ってしまい、かえって膣内フローラが乱れることがあります。洗うのは外陰部を中心にし、強い洗浄剤や膣内洗浄の習慣化は控えましょう。
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📚参考文献
- Moreno I, et al. Evidence that the endometrial microbiota has an effect on implantation success or failure. American Journal of Obstetrics and Gynecology. 2016.
- Chen X, et al. The Female Vaginal Microbiome in Health and Bacterial Vaginosis. Frontiers in Cellular and Infection Microbiology. 2021.
- Kairys N, et al. Bacterial Vaginosis. StatPearls / NCBI Bookshelf.
- ACOG Practice Bulletin: Vaginitis in Nonpregnant Patients. Obstetrics & Gynecology. 2020.
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
月経血のニオイや生理の変化が気になる方へ
月経血のニオイは、ナプキンの交換時間や蒸れ、体調の変化などによって一時的に強く感じることがあります。そのため、少し気になるだけで過度に不安になる必要はありません。
一方で、生理のたびにニオイが気になる、経血が黒っぽい、血の塊が多い、生理痛や下腹部の重だるさを感じるなど、月経にまつわる不調が続く場合は、身体の巡りや冷え、自律神経のバランスが関係していることもあります。
宇都宮鍼灸良導絡院では、東洋医学の視点から、生理の状態や体質、生活習慣を丁寧にうかがいながら、妊活に向けた身体づくりをサポートしています。
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