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胚移植後の食事と水分摂取:着床を助け、赤ちゃんを育むための全ガイド

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「胚移植後、何を食べたらいいんだろう?」
「着床のために、特別な食事や、食べてはいけないものってあるの?」

胚移植後の数週間は、着床を待ち、新しい命の可能性を育む、妊活中でも特にデリケートで大切な時期です。この期間の食事や水分摂取は、妊娠の成功とその後の健康な妊娠生活をサポートするために非常に重要だと考えられています。

今回は、最新の知見と研究に基づき、胚移植後に積極的に摂りたい栄養素、食事のポイント、そして注意すべきことについて詳しく解説します。無理なく、そして美味しく、赤ちゃんを迎える準備を進めましょう。

着床のカギを握る栄養素と地中海型食生活

着床には、子宮内膜が適切な状態であることが不可欠です。子宮内膜は粘膜組織であり、その機能維持には正常な代謝が求められます。

🥩着床と胎児の発育の要「鉄分」

鉄分は、子宮内膜の代謝に深く関わっています。鉄が欠乏すると、子宮内膜の構造や機能に異常をきたし、着床しづらい状態になる可能性があります。

また、妊娠中は血液量が増加するため、母体だけでなく、胎児の成長にも鉄分が不可欠です。不足すると、子宮内胎児発育遅延のリスクも指摘されています。

鉄分を多く含む食材: 赤身の肉(牛肉、鶏肉など)豆類、ほうれん草、小松菜、プルーン、アサリなど。

摂取の注意点: 鉄分を一度に大量に摂取すると、お腹を下す原因になることがあります。特に胃腸が弱い方は、無理に多く摂ろうとせず、消化に負担をかけないよう、バランス良く摂取することを心がけましょう。過度な摂取は消化に体力や血流を奪い、かえって体に負担をかけることもあります。

🥛赤ちゃんを育むその他の重要な栄養素

赤ちゃんの体を作る基本的な材料はタンパク質です。タンパク質を含め、以下の栄養素も健康な着床と胎児の発育をサポートするために欠かせません。

  • 葉酸: 胎児の神経管閉鎖障害のリスクを減らすために不可欠。緑黄色野菜、柑橘類、アボカド、豆類、全粒穀物、レバーなどに多く含まれます。
  • カルシウム: 胎児の骨と歯の形成に必要。乳製品、小魚、豆腐、小松菜、ブロッコリーなどに含まれます。
  • オメガ‑3脂肪酸(DHA・EPA): 炎症を抑え、ホルモンバランスを整える効果が期待され、胎児の脳や神経の発達にも重要。サバ、イワシ、サンマなどの青魚や亜麻仁油、チアシードなどに含まれます。

🍋迷ったら「地中海型食生活」を参考に

食べるものに迷ったら、地中海型の食生活を参考にすることをお勧めします。この食事スタイルは、いくつかの研究で妊娠率を向上させる可能性が示唆されています。例えば、2018年のFertility and Sterility誌に掲載された研究では、地中海食パターンを遵守している女性は体外受精の成功率が高い傾向にあると報告されています。

地中海型食生活の主な特徴は以下の通りです。

  • 魚介類を豊富に摂る: 良質なタンパク質とオメガ-3脂肪酸の供給源となります。
  • 野菜、果物、全粒穀物を多く摂る: 食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富です。
  • オリーブオイルを主な油として使用する: 良質な不飽和脂肪酸が豊富です。
  • 豆類、ナッツ類、種実類を適度に摂る: タンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルが補給できます。
  • 赤身肉や乳製品は控えめに: 摂りすぎに注意し、バランスを重視します。

地中海型の食事は、特定の食材に偏らず、多様な栄養素をバランス良く摂取できるため、着床をサポートし、健康な妊娠へとつながる体づくりに役立つと考えられます。

胚移植後に「避けるべき・注意すべき」食事と水分摂取のポイント

胚移植後は、母体の健康状態がその後の妊娠全体に影響を与えるため、適切な栄養摂取が重要です。しかし、「食べてはいけないもの」というよりも、「避けるべき習慣や過剰な摂取」に意識を向けることが大切です。

1. 水分の摂りすぎに注意

近年、「1日○リットルの水を飲もう」という情報がありますが、水分を必要以上に摂りすぎると、血液が薄まり栄養が子宮まで届きにくくなることがあります。また、羊水も薄まる可能性があります。

水分摂取のポイント: 「飲みすぎず、飲まなさすぎず」を意識しましょう。水のみでなく、お味噌汁や漬物など、日本古来の自然な塩分を適度に取り入れることで体液バランスを保ちやすくなります。

2. 胃腸を冷やさず疲れさせない食事

特に夏場や暑い時期は、冷たい飲み物や食べ物の摂りすぎで、胃腸が弱っていることが多く見られます。胃腸が疲れていると、栄養をしっかり吸収できず、妊娠力も下がってしまう可能性があります。

  • 冷たい飲み物や食事は控えめにし、温かく消化のよいものを選びましょう(例:おかゆ、煮物、味噌汁、温かいスープ)。
  • 消化には想像以上のエネルギーを必要とします。移植後は、そのエネルギーを着床に使ってもらえるよう、胃腸に負担をかけない食事を心がけてください。

3. 糖分(白砂糖)を控える

白砂糖を多く摂取すると、身体のエネルギーをつくるために必要なビタミンB群やミネラルを大量に消費してしまいます。これらの栄養素は、体全体の代謝やホルモンバランスの維持にも関わるため、移植後は特に白砂糖を使った甘いものを控えるのが賢明です。甘味が欲しいときは、甘酒や黒糖、果物を少量にとどめましょう。

4. 血液の質も意識した食事を

脂っこいものや甘いものの摂りすぎは、瘀血(おけつ)と呼ばれる血液の巡りが悪くドロドロした状態を招くことがあります。子宮や卵巣への栄養供給を妨げないよう、シンプルで整った和食中心の食生活がおすすめです。

特定の疾患がある場合の注意点

胚移植後は、母体の健康状態がその後の妊娠全体に影響を与えるため、適切な栄養摂取が重要です。しかし、既存の疾患がある場合は、自己判断せず、必ず医師や栄養士と相談しながら食事を調整してください。

  • 甲状腺機能障害: 鉄分やヨウ素の摂取に注意が必要です。特にヨウ素は、昆布やワカメなどの海藻類に豊富に含まれています。過剰摂取は甲状腺機能に影響を与える可能性があるため、摂取量を調整しましょう。
  • 糖尿病: 血糖値の管理が非常に重要です。バランスの取れた食事を心がけ、医師や栄養士の指導に従いましょう。
  • 高血圧: 塩分の摂取を控え、血圧の管理に注意しましょう。こちらも医師の指導に従うことが大切です。

まとめ:美味しく、無理なく、バランス良く!

胚移植後の食事は、着床と妊娠継続のための大切なステップです。

  • 鉄分をはじめ、葉酸、カルシウム、オメガ-3脂肪酸、タンパク質など、バランスの取れた栄養素を意識して摂りましょう。
  • 迷ったら地中海型の食生活を参考に、魚を中心としたメニューを取り入れてみてください
  • 水分の過剰摂取や冷たい食事、白砂糖、脂っこいものの摂りすぎには注意し、胃腸に負担をかけない消化の良い食事を心がけましょう。
  • 特定の疾患がある場合は、必ず医師や栄養士と相談し、摂取量を調整しましょう。

何よりも大切なのは、「赤ちゃんのために」と栄養を摂ろうと頑張りすぎて、食事がストレスになってしまわないことです。無理なく、自分のペースで食事を楽しみながら、母体の健康をしっかりと支えることが、赤ちゃんの健やかな成長をサポートする上で最も大切です。

体外受精・胚移植後に妊娠しやすい体をつくるための食事と栄養を紹介するイメージイラスト

📚参考文献

胚移植後の食事、あなたに合った最適なバランスを見つけて、心穏やかに過ごしましょう。何か不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

宇都宮鍼灸良導絡院では、一人ひとりの体調やお悩みに合わせた丁寧な施術を行っております。鍼灸についての疑問や、お身体の不調についてのご相談もお気軽にどうぞ。ご予約はこちらから可能です。

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