睡眠・睡眠障害と不妊症
目次
睡眠と睡眠障害
睡眠と睡眠障害は,特に月経周期,妊娠 更年期など,女性の健康と幸福の決定要因として認識されつつある,しかし,現時点では,生殖能力が睡眠の量と質に影響するかどうかについてはほとんどわかっていない.さらに,睡眠やその障害は,
どの程度,どのようなメカニズムで生殖能力に影響を及ぼすのか,あるいは影響しないのかも明らかではないが、(中略)睡眠障害から不妊に至る少なくとも3つの経路が関連しているとまとめている。
1.睡眠障害(不眠など)から視床下部一下垂体一副腎(HPA)軸の活性化による不妊
ストレスと睡眠・睡眠障害は両方向性に関係することはいうまでもない.ストレスが女性の不妊症のリスクを高めることは,多くの神経生物学的経路で証明されている。睡眠障害に続いて活性化することもある.HPA軸の活性化は,黄体形成ホルモン(LH),卵胞刺激ホルモン(FSH),プロゲステロンなどの生殖ホルモンに直接影響を与え,月経,卵胞発育,不妊などの変化をもたらす。また,HPA軸の活性化は,メラトニンレベルの上昇を引き起こす可能性があり,これは無月経や排卵の変化と関連してる。最後に,HPA軸の活性化は,子宮内膜を胚の着床に適した状態(子宮受容性)にする独自の一 連の因子に影響を与え,妊娠の可能性を低下さ
せると考えられる.
2.睡眠調節障害による生殖ホルモンの抑制または増強
3.概日リズムの乱れ
主要な生殖ホルモンは, 正常な睡眠状態では概日パターンを示す。さらに,LHとFSHという2つの生殖ホルモンは,概日リズムが乱れている女性(シフトワーカー)で分泌量が変化している。したがって,概日リズムの乱れによる生殖ホルモ
ンの変化は,様々なメカニズムで生殖能力を低下させる可能性がある.
以上
出典:池上あずさ. (2021). 妊娠と睡眠. 睡眠医療, 15, 311–319.
上記のことから、睡眠と不妊の関係は必ずしも深い関係であるとは言い切れませんが、 ご夫婦で早く寝ることは、プラス効果はあってもマイナスに働くことはありません。
睡眠の質と量が ・性ホルモン ・精子の産生 ・排卵 ・免疫因子 ・ストレス ・疲労 等に少なからず影響しています。
鍼灸で睡眠の質を良くする
7~8時間のしっかりとした眠りが推奨されていますが、70%以上の方が 充分な睡眠をとっていません。 睡眠は生活の質はもちろんですが、妊活に関する身体つくりに不可欠です。 鍼灸は、安眠に効果のあるツボがあり、鍼をすることで深い眠りにつくことが できる副作用のない方法です。
男性不妊に影響する不眠
男性のテストステロンは夜間に産生し、20~30%増加すると言われています。 良質な睡眠はテストステロンを適正に保つために重要です。
睡眠不足が影響するストレスと不安
上記にも記載しておりますが、不安やストレスは睡眠不足が慢性化すると増加すると言われています。 睡眠不足をなくすと、感情的・生理学的に引き起こされるストレスは元にもどります。 長時間起きていると、ストレスに関係するメカニズムの活性をもたらしてしまいます。 ストレスを感知する脳は、ホルモンを出す脳と近くにあるため不妊にも影響を及ぼしてしまいます。
参考文献
橋本知子. (2022). 生殖心理カウンセリングに関する最近の研究から. 日本生殖心理学学会誌, 8, 37–41.
※【免責事項】すべての方にあてはまるものではありません。効果の実感には個人差があります。