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移植日に子宮内膜が薄くなる原因とは?

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「移植日、内膜が薄くなったって言われたけど、大丈夫?」
「子宮内膜が5mmしかないって言われた…これじゃ妊娠できない?」
「内膜が薄い原因って何なの?」

胚移植を控えている患者さまから、このようなご相談をよく受けます。せっかくここまで頑張ってきたのに、移植直前に「内膜が薄い」と聞くと、不安でいっぱいになりますよね。

この記事では、「子宮内膜コンパクション」のメカニズム、妊娠への影響、そして最新の知見と鍼灸の役割について、詳しく解説します。

子宮内膜コンパクションとは?妊娠へのポジティブなサイン

「子宮内膜コンパクション」という言葉を初めて耳にする方もいるかもしれません。これは、特に体外受精と胚移植のプロセスにおいて非常に重要な現象です。

子宮内膜のコンパクションとは、黄体期のホルモンの影響を受け、子宮内膜の細胞が密集して凝縮する現象を指します。これにより、子宮内膜の厚さが一時的に減少することがありますが、これは細胞の数そのものが減るわけではありません。むしろ、子宮内膜がギュッと引き締まり、受精卵が着床しやすい「受け入れ準備」が整った状態を示すと考えられています。

コンパクションが妊娠に与える影響:着床率向上へ

子宮内膜のコンパクションは、妊娠率と密接に関連していることが多くの研究で示されています。

(1) 黄体ホルモン(プロゲステロン)が鍵

体外受精の際には、着床をサポートするために黄体ホルモン(プロゲステロン)の補充が行われます。このプロゲステロンが子宮内膜に作用することで、コンパクションが促進されます。子宮内膜が約15%〜20%程度密集することで、受精卵にとってより理想的な着床環境が整うと言われています。

プロゲステロンは、着床を促進するだけでなく、妊娠を維持し、流産を防ぐ役割も持っており、「妊娠維持ホルモン」とも呼ばれます。

(2) 研究結果が示すポジティブな相関

複数の研究や報告が、このコンパクション現象と妊娠率の間にポジティブな相関関係があることを示しています。特に、プロゲステロンの投与後に子宮内膜が10%程度薄くなった場合、継続妊娠率が52%に上昇するというデータも報告されています。

これは、移植前に子宮内膜が多少薄く見えても、それがコンパクションによるものであれば、むしろ妊娠の可能性が高まっていると考えて良いことを意味します。

なぜ「内膜が薄い」と心配されがち?

一般的に、子宮内膜は8mm以上が着床に適しているとされており、移植前に内膜が薄い(例えば子宮内膜が5mmなど)と診断されると、不安を感じるのは当然です。

💡「薄い」の背景にある可能性

「内膜が薄い」という状態には、いくつかの原因が考えられます。

  • コンパクションによる一時的な薄さ: プロゲステロン作用による生理的な変化であり、妊娠にはポジティブ。
  • エストロゲン不足: 子宮内膜の増殖にはエストロゲンが不可欠です。排卵誘発剤の種類や量、個人のホルモン反応によっては、内膜の厚みが十分に出ないことがあります。
  • 血流不良: 子宮への血流が悪いと、内膜が育ちにくくなります。冷え性やストレス、運動不足などが影響することがあります。
  • 子宮内膜の損傷: 過去の子宮内手術(掻爬手術など)や、子宮内膜炎などが原因で内膜が損傷し、薄くなることがあります。
  • プロゲステロン抵抗性: 黄体ホルモン(プロゲステロン)が適切に分泌されていても、子宮内膜の細胞がこのホルモンをうまく「キャッチ」できない(受容できない)場合、コンパクションが不十分になったり、黄体機能不全の原因となったりすることがあります。この状態はプロゲステロンに対する抵抗性として知られています。

ホルモンバランスの重要性と鍼灸によるアプローチ

子宮内膜のコンパクションが正常に進行し、着床しやすい状態が整うためには、エストロゲンとプロゲステロンのバランスが非常に重要です。これらのホルモンバランスが適切に保たれて初めて、受精卵は健康な状態で着床し、妊娠が継続できる環境がつくられます。

鍼灸が子宮内膜の質を向上させる可能性

移植前の鍼灸治療は、子宮内膜の質を高めるための有効なアプローチとして注目されています。

  • 子宮への血流促進: 鍼灸は、子宮周辺の血流を改善することで、子宮内膜に十分な栄養や酸素が行き渡るよう促します。これにより、内膜の厚みや細胞の状態を良好に保ち、コンパクションが適切に起こりやすい環境を整えることが期待できます。
  • ホルモンバランスの調整: 自律神経のバランスを整え、ストレスを軽減することで、ホルモン分泌の中枢に良い影響を与え、エストロゲンとプロゲステロンのバランスをサポートします。
  • 体質改善: 冷え性やストレスなど、子宮内膜の質に影響を与える要因に対し、身体全体のバランスを整える東洋医学的なアプローチは、根本的な体質改善に繋がります。

まとめ:内膜が薄いと診断されても、希望を捨てずに

「移植日、内膜が薄くなった」という状況は、一見すると不安を招くものですが、それが「子宮内膜コンパクション」によるものであれば、むしろ妊娠にとってポジティブなサインである可能性があります。

しかし、もしその薄さがコンパクション以外の原因によるものであれば、適切な診断と対策が必要です。子宮内膜の厚さや質に不安がある場合は、医師としっかり相談し、必要に応じて鍼灸治療などの代替療法も検討してみましょう。

私たちは、あなたの不安に寄り添い、内膜の質を高め、着床しやすい身体づくりをサポートいたします。お気軽にご相談ください。

子宮内膜の薄さに悩む女性の画像

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