
歯周病は精子に影響する?男性妊活で見直したい口腔ケアと精子の質
妊活というと、どうしても女性側の体づくりに意識が向きやすいですが、実際には男性側の健康状態も妊娠に関わる大切な要素です。
精子の数、運動率、形、DNAの状態などは、睡眠不足、喫煙、飲酒、ストレス、肥満、栄養状態など、さまざまな生活習慣の影響を受けると考えられています。
その中で近年、注目されているものの一つが、口腔内の慢性炎症である歯周病です。
歯周病は、歯ぐきや歯を支える組織に炎症が起こる病気です。特に進行した歯周炎では、口の中だけでなく全身の炎症や酸化ストレスにも関係する可能性があり、男性の精液所見や精子の質との関連を調べた研究も報告されています。
ただし、現時点では「歯周病が男性不妊の直接原因である」と断定できる段階ではありません。この記事では、現在わかっている研究報告をもとに、男性妊活で見直したい口腔ケアについてわかりやすく整理します。
- 歯周病は、歯ぐきや歯を支える組織に炎症が起こる病気です。
- 近年の研究では、歯周炎と精子の質、精子異常、精子運動率、精子DNA断片化などとの関連が報告されています。
- ただし、現時点では「歯周病が男性不妊の直接原因」と断定できるわけではありません。
- 歯ぐきの出血、腫れ、口臭、歯石、喫煙習慣などがある場合は、早めに歯科でチェックを受けることが大切です。
- 男性妊活では、口腔ケア、睡眠、食事、ストレス、血流、自律神経などを含めて、体全体を整えていくことが大切です。


目次
歯周病と精子の質には関係がある?
歯周病と精子の質については、いくつかの研究で関連が報告されています。
2025年のシステマティックレビュー・メタ解析では、歯周炎がある男性では、何らかの精子異常と関連する可能性が示されました。特に、中等度から重度の歯周炎では、精子異常との関連がより強くみられたと報告されています。
また、別のレビューでも、歯周病がある男性では、精子の運動率低下、形態異常、精子DNA断片化の増加などとの関連が指摘されています。
一方で、精子濃度や総運動率など、すべての項目で一貫した結果が出ているわけではありません。研究数もまだ限られているため、現時点では「歯周病と精子の質には関連がある可能性がある」と考えるのが適切です。
なぜ歯周病が精子に影響する可能性があるのか
歯周病は、口の中だけの問題と思われがちですが、進行すると慢性的な炎症が続きます。
歯ぐきで炎症が続くと、炎症性サイトカインと呼ばれる物質が増え、血流を通じて全身に影響する可能性があります。男性の生殖機能においても、慢性炎症や酸化ストレスは精子の働きに影響する要因の一つと考えられています。
考えられる流れとしては、以下のようなものがあります。
- 歯周病によって口腔内で慢性炎症が起こる
- 炎症性物質が増え、全身の炎症反応に関わる
- 酸化ストレスが高まりやすくなる
- 精子の運動性、形態、DNAの状態に影響する可能性がある
精子は酸化ストレスの影響を受けやすい細胞とされています。活性酸素が過剰になると、精子の膜やDNAにダメージが起こり、運動率や受精に関わる力に影響する可能性があります。
もちろん、歯周病だけで精子の質が決まるわけではありません。しかし、妊活中の男性にとって「慢性炎症を減らす」という視点は、生活習慣を見直すうえで大切なポイントになります。
男性妊活で歯周病を疑うサイン
歯周病は、初期の段階では自覚症状が少ないこともあります。「痛くないから大丈夫」と思っていても、気づかないうちに進行しているケースもあります。
妊活中の男性は、以下のようなサインがないか確認してみましょう。
- 歯みがきのときに歯ぐきから血が出る
- 歯ぐきが腫れやすい
- 口臭が気になる
- 歯ぐきが下がってきた気がする
- 歯が浮く感じがある
- 歯石をしばらく取っていない
- 定期的な歯科検診を受けていない
- 喫煙習慣がある
- 甘いものや間食が多い
- 忙しくて歯みがきが雑になりやすい
これらに当てはまる場合は、妊活の一環として歯科でのチェックを受けておくと安心です。
歯科で確認しておきたいこと
歯周病が気になる場合は、自己判断だけで済ませず、歯科で検査を受けることが大切です。
特に確認しておきたいのは、歯周ポケットの深さ、出血の有無、歯石の付着、歯を支える骨の状態などです。
歯科では、必要に応じて以下のような確認が行われます。
- 歯周ポケットの測定
- 歯ぐきからの出血の確認
- 歯石やプラークのチェック
- レントゲンによる骨の状態の確認
- 歯みがき方法の指導
- 歯石除去やクリーニング
妊活中だからといって、特別な歯科治療を必ず受けなければならないわけではありません。まずは「今の口腔内の状態を知ること」が第一歩です。
妊活中の男性が見直したい口腔ケア
歯周病予防や口腔環境の改善には、毎日のセルフケアと歯科での専門的なケアの両方が大切です。
毎日の歯みがきを丁寧にする
歯周病の原因となるプラークは、歯と歯ぐきの境目にたまりやすくなります。力まかせに磨くのではなく、歯ぐきの境目に歯ブラシをやさしく当てて、細かく動かすことが大切です。
フロスや歯間ブラシを使う
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを十分に落としきれないことがあります。歯科で自分に合ったフロスや歯間ブラシのサイズを確認してもらうと、より効果的にケアしやすくなります。
定期的に歯石を取る
歯石は、歯みがきだけでは落とせません。歯石がついたままだと、歯ぐきの炎症が続きやすくなるため、定期的なクリーニングが大切です。
喫煙を見直す
喫煙は歯周病を悪化させやすいだけでなく、精子の質にも影響する可能性がある生活習慣の一つです。妊活中は、禁煙や減煙についても前向きに検討したいところです。
睡眠・食事・ストレスも整える
口腔環境は、歯みがきだけでなく全身の健康状態とも関係します。睡眠不足、強いストレス、糖質の多い食事、過度な飲酒などが続くと、炎症が起こりやすい体の状態につながることがあります。
妊活中は、歯科ケアに加えて、睡眠、食事、運動、ストレスケアも一緒に見直していくことが大切です。
精液検査で気になる結果がある場合はどうする?
精液検査で、精子濃度、運動率、形態、DNA断片化などに気になる結果がある場合、原因は一つとは限りません。
精索静脈瘤、ホルモン、生活習慣、発熱、感染、ストレス、睡眠不足、喫煙、飲酒、栄養状態など、複数の要因が重なっていることもあります。
そのため、歯周病だけに原因を決めつける必要はありません。ただし、歯ぐきの出血や口臭、歯石の付着がある場合は、男性妊活の一環として口腔ケアを見直す価値はあります。
精液検査の結果が気になる場合は、泌尿器科や不妊治療クリニックで相談しながら、歯科での口腔チェックも並行して進めると安心です。
鍼灸でできる男性妊活サポート
宇都宮鍼灸良導絡院では、男性妊活のサポートも行っています。
鍼灸は歯周病そのものを治療するものではありません。歯周病が疑われる場合は、歯科での検査と治療が必要です。
そのうえで、妊活中の男性に対しては、自律神経、血流、睡眠、ストレス、冷え、疲労感など、全身状態を整えるサポートを行います。
男性妊活では、精子だけを見るのではなく、体全体のコンディションを整えることが大切です。
当院では、以下のような視点からサポートしています。
- 自律神経測定によるストレス状態の確認
- 鍼灸による血流や自律神経の調整
- 睡眠や疲労感のケア
- 冷えや肩こり、腰痛など不調の改善
- 食事、運動、生活習慣のアドバイス
- パートナーと一緒に取り組む妊活サポート
歯科での口腔ケアと、鍼灸による全身ケアは役割が異なります。どちらか一方ではなく、必要に応じて組み合わせることで、妊活中の身体づくりをより広い視点で進めることができます。
歯周病があると必ず精子が悪くなりますか?
必ず悪くなるわけではありません。研究では歯周病と精子の質との関連が報告されていますが、直接的な因果関係が完全に証明されているわけではありません。歯周病以外にも、睡眠不足、喫煙、飲酒、ストレス、肥満、精索静脈瘤など、さまざまな要因が精子に関わります。
歯周病を治療すれば精子の質は改善しますか?
歯周病治療によって口腔内の炎症を減らすことは、全身の健康にとって大切です。ただし、歯周病治療だけで精子の質が必ず改善するとは言い切れません。精液所見が気になる場合は、泌尿器科や不妊治療クリニックでの検査とあわせて、生活習慣や口腔ケアを見直すことが大切です。
妊活中の男性は歯科検診を受けた方がいいですか?
歯ぐきの出血、口臭、歯石、歯ぐきの腫れがある場合は、早めに歯科検診を受けることをおすすめします。症状がなくても、しばらく歯科に行っていない場合は、妊活を始めるタイミングで一度チェックしておくと安心です。
口腔ケアで大切なことは何ですか?
毎日の歯みがきに加えて、フロスや歯間ブラシを使うこと、定期的に歯石を取ることが大切です。歯みがきの仕方や歯間ブラシのサイズは人によって異なるため、歯科で確認してもらうとよいでしょう。
鍼灸で歯周病は治りますか?
鍼灸は歯周病そのものを治療するものではありません。歯周病が疑われる場合は、歯科での検査と治療が必要です。鍼灸では、妊活中の男性に対して、自律神経、血流、睡眠、疲労、ストレスなど、全身のコンディションを整えるサポートを行います。
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📚参考文献
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F. M. Ridho, R. Alfatah, S. M. Cahyani, V. A. Tasyah, R. S. Rahmawati. Association between periodontitis and sperm quality: a systematic review and meta-analysis. Rwanda Medical Journal. 2025;82(2):41-52.
歯周炎と精子の質との関連を検討したシステマティックレビュー・メタ解析です。中等度から重度の歯周炎と精子異常との関連が報告されていますが、研究数は限られており慎重な解釈が必要とされています。 -
Mortazavi V, et al. Exploring the link between periodontal disease and sperm quality: a comprehensive systematic review study. BMC Oral Health. 2025.
歯周病と精子運動率、形態、DNA断片化などの関連を整理したレビューです。歯周病と精子の質に関連がある可能性を示しつつ、さらなる研究の必要性も述べられています。 -
Kellesarian SV, et al. Male Infertility and Dental Health Status: A Systematic Review. American Journal of Men’s Health. 2018.
男性不妊と歯科・口腔状態の関連について検討したシステマティックレビューです。口腔内の慢性炎症と男性生殖機能との関係を考えるうえで参考になります。 -
Chidambar CK, et al. Evaluation of Periodontal Status among Men Undergoing Infertility Treatment. 2019.
不妊治療を受けている男性の歯周状態を評価した研究です。男性不妊と歯周状態の関連を考えるうえで参考になる報告です。
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
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歯周病や口腔ケアは、男性妊活で見落とされやすいポイントの一つです。ただし、口の中だけを整えればよいということではなく、睡眠、食事、ストレス、血流、自律神経など、体全体の状態を整えていくことが大切です。
宇都宮鍼灸良導絡院では、男性妊活のご相談にも対応しています。精液検査の結果が気になる方、採卵や体外受精に向けてできることを始めたい方は、一人で抱え込まずご相談ください🍀







