肥満や過体重が女性不妊に与える影響
肥満・過体重と女性不妊への影響
不妊治療において、体重管理は非常に重要です。妊娠を希望する女性が肥満(BMI 30kg/m²以上)や過体重(BMI 25kg/m²以上)の場合、正常体重の女性と比べて妊娠までに時間がかかることが知られています。
生殖補助医療(ART)の成績への影響
Rittenbergらの研究によると、肥満や過体重の女性は、正常体重の女性と比較して妊娠率や出生率が有意に低く、流産率が高いことが報告されています。具体的には、妊娠率は正常体重の女性と比べて10%低く、出生率も16%低いことが示されています。また、流産率は31%高いという結果もあります。肥満が妊娠に悪影響を及ぼす理由は、ホルモン分泌の不均衡、卵子の質の低下、胚発育の阻害、そして着床における子宮環境の悪化など、多岐にわたります。
体重管理と食事の重要性
6つのランダム化比較試験のメタ解析では、過体重の女性が食事制限と運動を行った場合、行わなかった場合と比較して妊娠率が高まる可能性があることが示されています。また、地中海ダイエットのような食生活がART患者の妊娠率向上に寄与することも報告されています。これらの食生活の改善は、肥満や過体重の女性だけでなく、痩せ型の女性にも共通して有効です。
適度な運動の効果
運動もまた、妊娠に対するポジティブな影響を持つことが示されています。Palombaらの研究では、ARTを行っている肥満女性が日常的に運動をしている場合、運動していない女性と比較して妊娠率が3倍以上高いことが報告されています。ただし、激しい運動は妊娠率の低下に寄与する可能性があるため、ウォーキングのような適度な運動が推奨されます。
まとめ
肥満や過体重は女性の不妊に影響を与えるため、健康的な体重を維持することが重要です。適度な運動とバランスの取れた食生活は、妊娠率の向上に寄与する可能性があります。これらのアプローチは、妊娠を希望するすべての女性に対して有益であり、長期的な健康にも貢献します。
参考文献
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Rittenberg V, et al. Effect of body mass index on IVF treatment outcome: an updated systematic review and meta-analysis. Reprod Biomed Online, 2011; 23: 421-439.
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