
38歳(低AMH・P4低値)保険適用での移植6回陰性後に自然妊娠
大阪府大阪市からお越しのMさん(38歳)が妊娠されました。
終わりの見えない不妊治療との闘い
Mさん(38歳、看護師)が当院に初めてお越しになったのは、2023年1月でした。2年にわたる妊活期間を経て、すでに不妊治療専門クリニックで体外受精を進めている段階でした。
初診時のMさんは、ご自身では「体調は良好」と仰っていましたが、詳しくお話を伺うと、以下のような慢性的な不調を抱えていました。
- 身体的症状: 肩・首のこり、足のむくみ、だるさ、頭痛、目の疲れ
- 睡眠: 平均6時間と短めで、夢をよく見る
- 生理: 生理痛があり鎮痛剤を服用、経血量が多い
- 生活習慣: ストレス過多、便秘、冷え性
- クリニックの診断: 黄体ホルモン(P4)低値、甲状腺機能やや低値、低AMH(転院後の検査で判明)
これまでに2回の採卵、2回の胚移植(保険適用)を経験し、1回目の移植で陽性反応が出たものの、8週で流産。次の移植は陰性という結果でした。
「このまま治療を続けても良い結果が出るのだろうか…」
Mさんは、このような不安を抱えながら、体質改善と移植に向けて身体を整えたいと、当院での鍼灸治療を始められました。
2年間の不妊期間から始まった鍼灸治療
当院では、Mさんのその日の体調を詳しく伺い、上記の慢性症状や自律神経の乱れに対する鍼灸治療を行いました。加えて、不妊治療の段階に合わせ、子宮や卵巣への血流促進を目的とした鍼灸・レーザー治療を重点的に実施しました。
2023年1月:鍼灸開始とERA検査
鍼灸を始められたこの周期は、ERA検査(子宮内膜受容能検査)を予定していました。問診で判明した様々な慢性症状に対しての施術を実施。ERA検査後には、Mさんから「内膜がいつもより2ミリ厚くなっていて、前回の鍼が効いたのかも」という嬉しいご報告がありました。
2023年2~3月:移植周期(保険適用3回目/4回目)
翌月からの移植周期では、残念ながら2回連続で陰性という結果に。特に、移植後のP4値が低く、薬で補充してもなかなか上がらないという課題が浮き彫りになりました。凍結胚は初期胚が1個残っていましたが、Mさんは再度採卵を行うことを決断されました。
2023年4~5月:転院と採卵周期
パートタイムで職場を掛け持ちしていたMさんは、遅い時間まで診療しているクリニックへの転院を決意。新しいクリニックでは、一度タイミング療法を行ってから採卵に進む方針でした。
当院では、この採卵周期も引き続き卵巣への血流促進に注力し、卵子の質向上を目指した鍼灸・レーザー治療を行いました。その結果、採卵数11個中、初期胚1個、胚盤胞3個を凍結でき、Mさんは「今まででグレードが一番良かった」と喜ばれていました。
2023年6~7月:お休み周期
採卵後のお休み周期では、これまでギザギザだった基礎体温が安定。Mさんいわく「D2でしっかり低温期だったのが、今日から高温期みたいになった」とのこと。身体のホルモンバランスが整ってきている兆候が見られました。
2023年8月:移植周期(保険適用5回目)
自然周期での移植に臨み、子宮への血流促進を図る鍼灸・レーザーを強化。卵胞の成長はゆっくりでしたが、鍼灸の効果もあり、D16に9mmだった卵胞が翌週には17mmに成長。内膜も8.5mmから12.5mmまで厚くすることができました。
しかし、凍結融解胚盤胞移植の結果は、フライング検査でうっすら陽性反応が出たものの、血液検査のhCG値は10と低く、化学流産という結果に。Mさんは悔しさに涙を流されました。
2023年9~11月:検査と2度の採卵周期
化学流産後、Mさんは不育症検査、トリオ検査、そしてPGT-A(着床前遺伝子検査)を行いました。不育症検査は問題なしでしたが、EMMA検査で善玉菌ゼロが判明し、抗生剤を開始。
PGT-Aを見据えた1度目の採卵では、見えていた17個の卵胞から採れたのは7個、凍結に至ったのはゼロという厳しい結果に。クリニックからは卵巣刺激法の変更や卵子活性法が提案されましたが、Mさんは前回より悪くなった結果に納得がいかない様子でした。
続く2度目の採卵、D2の卵胞チェックでは左右に1個ずつしか見えませんでした。この時も卵胞の成長と体質改善を目指した鍼灸を継続。D13には11個の卵胞が見え、最大22mmに成長しました。
しかし、採卵数は見えていた卵胞の約半分である6個。その内、成熟卵は3個で、凍結できた1個(5BB)の胚盤胞をPGT-Aに提出されました。Mさんは涙を流し、「採卵を続けるごとに結果が良くない方に進む」現実に、深い疲労感と絶望を感じていました。この状況を受け、Mさんは再度クリニックを転院することを決断されました。
2023年12月:転院
新しいクリニックでの治療が始まり、まずタイミング療法と基本的な検査を再度受けました。この再検査で、今まで気づいていなかった「低AMH」が判明し、サプリメント(DHEA)の服用が追加されることになります。同時期に届いたPGT-Aの結果は残念ながら正常胚ではなかったため、破棄されました。
2024年2~3月:採卵周期/移植周期(保険適用6回目)
新しいクリニックでの最初の採卵(PPOS法)での結果は、見えていた7個の卵から6個の成熟卵が採れ、初期胚1個、胚盤胞5個が凍結できるという、これまでの採卵で過去最高の結果でした。Mさんも少しホッとされた様子でした。この間も、鍼灸による卵巣への血流促進は継続されていました。
そして、保険適用最後の移植はSEET法を選択、内膜の成長も順調に進みました。融解した胚盤胞は4ABから5ABに変化。しかし、結果は残念ながら陰性でした。
この時、Mさんは「今までは採卵後の移植は、いつもP4が低く薬を追加しても改善しなかったのに、今回はP4値がしっかりあった。薬の内容もシンプルだった」と、クリニックによって治療の考え方が全く違うことを実感されていました。
2024年5月:お休み周期で妊娠
最後の保険適用移植の陰性判定を受け、次周期に移植を予定していたMさん。この間に子宮収縮検査を受けることになり、さらに大好きな沖縄旅行を計画されていました。
そして、沖縄旅行に行かれる前日、Mさんから当院に自然妊娠をされたとのご報告が入りました。
体外受精の治療ステージにいたMさんにとって、全く予想外の結果で本人も驚かれていました。本人曰く、「なんとなく取ったタイミング」での妊娠だったそうです。
妊娠後も、当院でマタニティ鍼灸を継続し、妊娠8〜10週の壁を越え、つわりや便秘などのケアを行いながら安定期へと移行。2024年10月には妊娠21週で鍼灸を卒業されました。その後、妊娠30週で逆子が判明しましたが、鍼灸による逆子治療により無事治ったとのことです。
まとめ
Mさんのケースは、長期にわたる不妊治療の難しさ、そしてそれでも自然妊娠の可能性がゼロではないことを示しています。何が決め手となったのかは一つに断定できませんが、Mさんがされてきたこと全てが、この結果に繋がったのだと思います。
- 鍼灸による体質改善の継続: 週に1回の鍼灸レーザーによる子宮卵巣の血流促進と全身の体質改善が、卵子や内膜の状態、ホルモンバランスの改善に繋がったと考えられます。
- クリニック選びの重要性: クリニックによって治療の考え方やアプローチが異なるため、Mさんのように転院が成功の鍵となることもあります。ご自身に合ったクリニックを見つけることが、妊娠・出産までの道のりを大きく変える可能性があります。
- 心の健康の影響: 長引く不妊治療による精神的なダメージは計り知れません。Mさんの場合、転院によって状況が変わり、それが精神的に良い影響を与え、妊娠しやすい状態に繋がったのかもしれません。
- 「お休み周期」の思わぬ効果: 積極的に治療をしない「お休み周期」で心身がリラックスし、自然妊娠に至るケースは他の方にも見られます。
当院では、妊娠しやすい身体づくりはもちろん、患者さんの心の健康も重視し、些細な変化も見逃さないよう、お一人おひとりに寄り添ったサポートを心がけています。
Mさん、本当におめでとうございます。出産まであとわずかとなりましたが、無事にご出産されることを心より願っております。そして、ご家族3人で幸せなご家庭を築かれていかれることを願っております。
もしあなたが、Mさんのように不妊治療で悩んでいらっしゃるなら、ぜひ一度当院にご相談ください。あなたの「妊娠したい」という願いを、心身両面から全力でサポートさせていただきます。
Mさん妊娠お喜びの声
▢ お悩みの症状またはご来院当初の目的をお聞かせください。
1回目の移植で稽留流産、2回目の移植が陰性となり、他に何か出来ることがないか探してい 時に鍼灸が良いと聞いたので挑戦してみようと思ったため。
▢ 鍼灸以外で妊娠(陽性反応)された方法に〇をつけてください。
自然妊娠 次の移植を控えていた前の周期で自己タイミング法での自然妊娠
▢ ご自身で「これは良かった!」「自分に合っていた!」と思われた妊活があればお教えください。
レーザー・温活・ウォーキング ・サプリメント
▢ 鍼灸施術を受けていただいた感想をお聞かせください。
初めての鍼灸で最初は不安でしたが痛みもなくこれなら続けられそうと思い通わせて頂きました。毎回レーザーと鍼灸を受けていましたが、終わった後にはポカポカして身体が温まっているのを実感しました。自宅での温活と併せて冷え症は改善したと思います。
1番変化を感じたのは生理痛とドロッとした経血 がほとんどなくなったことでした。毎回その時の体調や治療のスケジュールに合わせた施術をして頂いたおかげで、便秘や腰痛などのマイナートラブルの改善や、採卵での凍結結果の改善、移植時の内膜が厚くなったりたりと通い始める前と比べて良くなったなと感じることがたくさんありました。
いつも正嗣先生にお願いしていたのですが、クリニックで聞けなかったことや疑問に思ったことを質問すると分かりやすく教えて下さり転院の相談にも乗って頂きました。施術中も世間話をしたり楽しく受けることが出来ました。
▢ 同じように悩まれている方ヘアドバイス(ご自身でやって良かったこと、若しくは続けることが出来たセルフ妊活など)、やメッセージがあればお願いいたします。
不妊治療を始めてから約2年半、保険での移植6回が上手くいかず、いつまで続けたらいいのか、でも諦められないからもう1回頑張ろうと思った矢先のまさかの自然妊娠でした。驚きしかなく、最初はまた流産してしまうかもしれないと不安ばかりでしたが、何とか安定期を迎えることが出来てひとまずホッとしているところです。不妊治療中は、先も見えないしいつまで続くのか分からない不安と恐怖で治療のことでいつも頭がいっぱいでした。周りに気軽に話せることでもなかったので、余計に一人で抱えこんでいた様に思います。
こちちに通うようになって、病院以外で治療について話せる場所があったのはとても大きいことでした。先生たちの豊富な知識と色んな方の経験談などを聞かせてもらって、自分の中の疑問が解決していくことで次はこうしてみようと前向きに治療に向かえたと思います。ありがとうございました。
※【免責事項】すべての方にあてはまるものではありません。効果の実感には個人差があります。