
慢性疲労の原因は自律神経?寝ても疲れが取れない原因・受診目安を解説
「寝ても疲れが取れない」「朝からだるい」「何をするにも気力がわかない」——。このような状態が続くと、「自律神経が乱れているのでは?」と心配になる方もいるでしょう。
結論からいうと、ストレスや睡眠不足などを通じて自律神経の働きが疲労感と関係することはありますが、慢性疲労の原因がすべて自律神経にあるわけではありません。
貧血、甲状腺の病気、睡眠障害、感染症、薬の影響などが隠れていることもあるため、疲れが長く続く場合は「自律神経だから」と自己判断しないことが大切です。
この記事では、慢性疲労と自律神経の関係、寝ても疲れが取れない主な原因、ME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)、受診の目安、セルフケア、鍼灸についてわかりやすく解説します。
- 慢性疲労と自律神経は関係することがありますが、疲労の原因がすべて自律神経にあるわけではありません。
- 長引く疲れでは、貧血、甲状腺疾患、糖尿病、睡眠障害、感染後の状態、薬の影響なども確認することが大切です。
- ME/CFSは「疲れが長い」だけで診断されるものではなく、労作後の症状悪化(PEM)や休んでも回復しない睡眠などが重要な特徴です。
- 原因不明の疲れが続く場合や、日常生活に支障が出ている場合には医療機関へ相談しましょう。
- 鍼灸は体調管理をサポートする選択肢のひとつですが、病気の診断や治療の代わりになるものではありません。
慢性疲労と自律神経は関係する?
自律神経は、意識しなくても身体の状態を調整している神経で、主に交感神経と副交感神経から成り立っています。
心拍、血圧、発汗、消化、体温調節などに関わり、活動するときと休息するときの身体の状態を調整しています。
仕事や人間関係によるストレス、睡眠不足、不規則な生活などが続くと、眠りが浅くなったり、緊張が抜けにくくなったりして、疲労感を強く感じることがあります。
ただし、一般に使われる「自律神経の乱れ」という言葉だけで、疲れの原因を特定することはできません。
長引く疲れでは、自律神経だけに原因を求めず、睡眠・生活習慣・病気・薬などを含めて考えることが大切です。
寝ても疲れが取れないときに考えられる原因
慢性的な疲労感には、さまざまな原因が関係します。複数の要因が重なっている場合もあります。
睡眠不足・睡眠の質の低下
睡眠時間が不足しているだけでなく、夜中に何度も目が覚める、寝る時間が毎日大きく変わる、睡眠時無呼吸症候群などによって睡眠の質が低下している場合も、日中の眠気や疲労につながります。
「長く寝ているのに疲れが取れない」という場合も、睡眠時間だけでなく睡眠の質を考える必要があります。
ストレスや緊張状態が続いている
強いストレスや緊張が続くと、寝つきが悪くなる、途中で目が覚める、食欲が変化する、身体に力が入り続けるなど、心身の回復を妨げる状態につながることがあります。
一方で、「ストレスがあるから疲れている」と決めつけるのではなく、長引く場合には他の原因も確認することが重要です。
貧血・甲状腺・糖尿病などの病気
疲労はさまざまな病気でもみられる症状です。
- 鉄欠乏性貧血などの貧血
- 甲状腺機能低下症などの甲状腺疾患
- 糖尿病
- 睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害
- 感染症や感染後の体調不良
- 腎臓・肝臓などの病気
- 不安や抑うつなど心の不調
また、服用している薬によって眠気や疲労感が出ることもあります。
特に、動悸・息切れ・月経量が多いといった症状がある場合は貧血、寒がり・便秘・体重増加などがある場合は甲状腺機能など、別の原因がないか医療機関で相談することも大切です。
ME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)とは?
非常に強い疲労が長期間続く場合には、ME/CFS(筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)という病気が関係していることがあります。
ただし、「疲れが長く続いている=ME/CFS」というわけではありません。
CDCが紹介している2015年のIOM(現在のNational Academy of Medicine)の診断基準では、発症前と比べて活動能力が大きく低下した状態と新たに生じた疲労が6か月以上続くことに加え、次のような特徴が重視されています。
- 労作後の症状悪化(PEM):身体的・精神的な活動の後に症状が強くなる
- 休んでも回復した感じがしない睡眠
- 認知機能の低下、または立っていると症状が悪化する起立不耐など
一方、英国NICEのガイドラインでは、特徴的な症状が続き、他の病気で説明できない場合には、より早い段階からME/CFSを疑い、3か月持続した段階で診断を検討するとしています。
そのため、期間だけで自己判断せず、日常生活への影響や労作後の悪化などを含めて医療機関で評価してもらうことが重要です。
疲れが続くときにできるセルフケア
病気が原因ではない疲労や、睡眠不足・生活リズムの乱れが関係している場合には、まず基本的な生活を見直してみましょう。
寝る時間と起きる時間をなるべくそろえる
休日だけ極端に長く寝るよりも、できる範囲で就寝時刻・起床時刻を一定にすることが、生活リズムを整える助けになります。
朝は光を浴びる
朝の光は体内時計を整える手がかりになります。起床後にカーテンを開ける、外へ出るなど、自然な光を取り入れてみましょう。
食事と水分を極端に減らさない
忙しさやダイエットなどで食事量が不足している場合も、疲れやすさにつながります。主食・主菜・副菜を基本に、たんぱく質や鉄を含む食品などを無理のない範囲で取り入れましょう。
ただし、鉄剤やサプリメントを大量に自己判断で摂取するのではなく、貧血などが疑われる場合には血液検査を含め医療機関へ相談してください。
身体を動かす場合は無理をしない
軽い散歩やストレッチなどが気分転換につながる方もいますが、活動した後に翌日以降まで強い疲労や痛みが続く場合は注意が必要です。
特にME/CFSが疑われるような労作後の症状悪化(PEM)がある場合には、「体力をつけよう」と無理に運動量を増やさず、医療機関へ相談してください。
疲れが続くときの受診目安
数日間の忙しさや睡眠不足による一時的な疲れであれば、休息によって改善することもあります。
一方で、原因が思い当たらない疲れが長く続いている場合や、仕事・家事・外出など日常生活に支障が出ている場合には、医療機関への相談をおすすめします。
また、次のような症状を伴う場合には、疲労だけでなく他の病気が隠れていないか確認することが大切です。
- 意図しない体重減少が続く
- 発熱や寝汗が続く
- 息切れや強い動悸がある
- リンパ節の腫れが続く
- 強い筋力低下がある
- 血便・黒い便・吐血などがある
- 強い気分の落ち込みなど日常生活への影響が大きい
「自律神経のせいだろう」と考えて受診を遅らせないことが大切です。
慢性的な疲れに鍼灸は選択肢になる?
慢性的な疲労や睡眠の悩みに対して、鍼灸を補助的なケアとして利用する方もいます。
鍼灸と自律神経との関係については、心拍変動(HRV)を指標とした研究がありますが、研究によって結果にはばらつきがあり、「鍼灸をすれば自律神経が正常になる」と断定できる段階ではありません。
また、2026年に発表された慢性疲労症候群に対する鍼灸関連療法のシステマティックレビュー・メタ解析では、疲労症状の改善を示唆する結果が報告されています。
一方で、対象となった研究数や参加者数が限られていること、研究間のばらつきが大きいこと、バイアスの可能性などから、著者らも慎重な解釈が必要としています。
そのため鍼灸は、原因となる病気の検査や治療の代わりではなく、医療機関での評価や生活習慣の見直しと並行して、身体の緊張、睡眠、冷え、首肩こりなどの体調管理をサポートする選択肢のひとつと考えるのがよいでしょう。
妊活中に疲れが取れないときは
妊活中は、仕事や家事に加え、通院、検査、採卵や胚移植のスケジュールなどが重なり、心身ともに疲れやすくなることがあります。
「ストレスをなくさなければ妊娠できない」「自律神経を整えなければ妊娠できない」と考える必要はありません。
一方で、睡眠不足や疲労が続いている状態では毎日の生活自体がつらくなってしまいます。妊活を続けるための体調管理という意味でも、睡眠や休息、食事などを見直すことには意味があります。
強い疲労が続いている場合には、まず医療機関で原因を確認し、治療中の場合は主治医にも相談してください。
「疲れているのは自分が頑張れていないから」と考えてしまう方もいますが、疲労には睡眠や生活環境だけでなく、さまざまな身体的要因が関係します。
特に、休んでも回復しない状態が続いている場合には、まず医療機関で原因を確認することが大切です。
そのうえで、睡眠が浅い、身体の緊張が抜けない、首肩こりや冷えなども気になる場合には、鍼灸を体調管理のひとつとして取り入れる方法もあります。妊活中の方も、治療状況を伺いながら無理のない身体づくりを一緒に考えていきます。
Q. 寝ても疲れが取れないのは自律神経が原因ですか?
A. 自律神経に関わるストレスや睡眠の乱れが影響する場合はありますが、貧血、甲状腺疾患、睡眠障害などさまざまな原因があります。長く続く場合は医療機関へ相談してください。
Q. 何か月疲れが続いたら病院へ行った方がよいですか?
A. 明確な期間だけで判断する必要はありません。原因が分からない疲れが続く、休んでも改善しない、仕事や家事に支障が出ている場合は、早めに相談して構いません。
Q. 慢性疲労とME/CFSは同じですか?
A. 同じではありません。ME/CFSには労作後の症状悪化(PEM)、休んでも回復した感じがしない睡眠、認知機能の問題など特徴的な症状があり、他の病気を除外したうえで診断されます。
Q. 疲れているときは運動した方がよいですか?
A. 軽い運動が合う方もいますが、活動後に強く悪化する場合は無理をしないことが大切です。特にPEMが疑われる場合は、自己判断で運動量を増やさず医療機関へ相談してください。
Q. 妊活中の疲労や睡眠の悩みも鍼灸で相談できますか?
A. はい。治療状況や体調を確認しながら、睡眠、冷え、首肩の緊張、ストレスなどを含めた体調管理についてご相談いただけます。強い疲労が続く場合は、医療機関での評価を優先してください。
📝こちらの記事もおすすめです
-
自律神経と妊活の関係|ストレス・血流・ホルモンバランスへの影響
妊活中のストレスと自律神経、睡眠やホルモンとの関係を詳しく解説しています。 -
妊活中の夜更かしは妊娠しにくさと関係する?睡眠不足・寝る時間の考え方
睡眠不足や生活リズムが気になる妊活中の方に、睡眠の整え方を紹介しています。 -
妊活に疲れたときは休んでもいい?不妊治療を休む意味と心身の整え方
妊活そのものに疲れを感じたときの休み方や、身体と気持ちの整え方について解説しています。
📚参考文献
-
[1] Centers for Disease Control and Prevention. IOM 2015 Diagnostic Criteria. 2024.
ME/CFSの診断で重視される疲労、労作後の症状悪化(PEM)、睡眠、認知機能などについて確認できます。 -
[2] National Institute for Health and Care Excellence. Myalgic encephalomyelitis (or encephalopathy)/chronic fatigue syndrome: diagnosis and management. 2021.
ME/CFSを疑う症状、診断、活動量や睡眠管理などについて示したガイドラインです。 -
[3] MSDマニュアル家庭版. 疲労感.
疲労感の主な原因、受診を検討すべき症状、評価方法についてまとめられています。 -
[4] Li Y, Liang G, Xiao T, Xu L. Efficacy of acupuncture-based traditional Chinese medicine therapies for chronic fatigue syndrome: a systematic review and meta-analysis. Front Neurol. 2026.
慢性疲労症候群に対する鍼灸関連療法を検討したシステマティックレビューで、改善を示唆する一方、研究のばらつきやバイアスなどの限界も指摘しています。 -
[5] Chung JWY, Yan VCM, Zhang H. Effect of acupuncture on heart rate variability: a systematic review. Evid Based Complement Alternat Med. 2014.
鍼灸と心拍変動(HRV)の関係を検討したレビューで、一定の変化を示す研究がある一方、さらなる研究が必要としています。
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
疲れが取れず、身体の緊張や睡眠も気になる方へ
疲労が長く続く場合には、まず貧血や甲状腺疾患、睡眠障害などが隠れていないか医療機関で確認することが大切です。
そのうえで、「眠りが浅い」「身体の力が抜けにくい」「首や肩がこる」「妊活と仕事の両立で疲れている」など、体調面も一緒に整えていきたい場合には、鍼灸を取り入れる方法もあります。
大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、現在の治療状況や生活リズム、睡眠、疲労などを伺いながら、妊活中の身体づくりやコンディション調整をサポートしています。
病院での治療と並行して身体を整えたい方や、「最近ずっと疲れている」と感じている方も、無理のないタイミングでご相談ください🍀







