
ステロイドで睾丸は小さくなる?原因・戻る可能性・受診の目安をわかりやすく解説
「ステロイドを使うと金玉が小さくなるって本当?」
「睾丸萎縮は戻るの?」
「筋トレ目的で使ってしまったけれど、妊娠に影響するのでは…」
このような不安を抱えて検索される方は少なくありません。
結論からいうと、筋肉増強目的で使われるアナボリックステロイド(アナボリック・アンドロゲン性ステロイド、AAS)や、外から補うテストステロン製剤は、睾丸が小さくなる原因になりえます。
これは見た目の問題だけでなく、精子をつくる働きの低下や無精子症、不妊につながることがあるため注意が必要です。
一方で、ここでいう「ステロイド」は、主に筋肉増強目的のアナボリックステロイドを指します。
病院で炎症を抑えるために使う副腎皮質ステロイド(プレドニゾロンなど)とは別物なので、まずはこの違いを知っておくことが大切です。
- 筋肉増強目的のアナボリックステロイドや外因性テストステロンは、睾丸が小さくなる原因になることがあります。
- これは脳から睾丸へのホルモンの指令が弱まり、精子をつくる働きが低下することで起こります。
- 見た目の変化だけでなく、精子の減少や無精子症、不妊につながることがあるため注意が必要です。
- 使用をやめたあとに回復する可能性はありますが、数か月以上かかることもあり、個人差があります。
- 睾丸の縮み、性欲低下、勃起の不調、妊活での不安がある場合は、自己判断せず泌尿器科や男性不妊外来に相談することが大切です。
目次
まず知っておきたいこと:「ステロイド」には種類があります
「ステロイド」という言葉は広く使われますが、検索では意味が混ざりやすく、誤解が生じやすい言葉でもあります。
この記事で扱うのは、主に次のようなものです。
- アナボリックステロイド(AAS):筋肉増強やパフォーマンス向上目的で使われることがあるもの
- 外因性テストステロン:注射、ジェル、内服などで体外から補う男性ホルモン製剤
これらは体内のホルモンバランスに強く影響し、脳から睾丸への「つくれ」という指令を弱めてしまうことがあります。
ステロイドで睾丸が小さくなるのは本当?
本当です。
アナボリックステロイドや外因性テストステロンの使用によって、睾丸の容積低下(精巣萎縮、testicular atrophy)が起こることがあります。
一般には「金玉が小さくなる」という表現で検索されることが多いですが、医学的には主に精巣萎縮を指していることが多いです。
なぜ睾丸が小さくなるのか
理由は、脳―下垂体―精巣(HPG軸)というホルモンの連携が抑えられるためです。
通常、脳は下垂体を通じてLHやFSHというホルモンを出し、睾丸に対して次のような指令を送っています。
- テストステロンをつくる
- 精子をつくる
ところが、外からアナボリックステロイドやテストステロンを入れると、体は「もう十分ある」と判断し、LHやFSHの分泌を下げます。
その結果、睾丸の中で必要なホルモン環境が保てなくなり、造精機能が落ち、睾丸が小さくなることがあります。
睾丸が小さくなると、どんな問題が起こる?
1.精子が減る、無精子症になることがある
外因性テストステロンやAASは、精子形成を強く抑制することがあり、妊活中の方にとっては大きな問題になります。
見た目の変化よりも、まずは妊娠につながる力が落ちてしまう可能性に注意が必要です。
2.性機能の不調が出ることがある
使用中や中止後に、性欲低下、勃起機能の低下、気分の落ち込み、疲労感などが出ることがあります。
「最近やる気が出ない」「以前より元気がない」と感じる場合、ホルモンの乱れが関係していることもあります。
3.回復に時間がかかることがある
中止すればすぐ元通り、とは限りません。
使用期間や量、体質などによっては、数か月から1年以上かかることもあります。
特に妊活中の方にとっては、この「待つ時間」そのものが大きな負担になり得ます。
睾丸萎縮は戻る?
戻る可能性はありますが、回復には個人差があります。
中止後にホルモンの指令が少しずつ再開し、睾丸の働きが戻ってくる方もいます。
ただし、回復までの期間は人によって異なり、次のような違いがあります。
- 自然に回復する人もいる
- 回復まで長引く人もいる
- 妊活中は、その回復を待つ時間が大きな負担になることがある
そのため、「やめればすぐ大丈夫」と自己判断せず、気になる場合は早めに相談することが大切です。
「少量なら大丈夫?」「短期間なら平気?」と思っている方へ
この点は、自己判断しないことが大切です。
AASや外因性テストステロンの影響は、使用量、使用期間、複数薬剤の併用、もともとの造精機能などによって変わります。
短期間でも抑制が起きることはあり、「この量なら安全」と一律に言い切ることはできません。
SARMsなら安全?
SARMsも安全な代替とは言えません。
SARMsは「ステロイドよりマシ」「睾丸への影響が少ない」と紹介されることがありますが、ホルモン分泌を抑える可能性が指摘されています。
妊活中、あるいは将来的に子どもを望む場合は、安易に手を出さないことが大切です。
こんな症状があるときは受診を
次のような場合は、泌尿器科、できれば男性不妊を扱う泌尿器科への相談をおすすめします。
- 睾丸が明らかに小さくなった気がする
- ステロイドやテストステロン製剤の使用歴がある
- 性欲低下、勃起不調、疲労感が続いている
- 妊活中なのに妊娠に至らない
- 精液検査で異常を指摘された
- 自己輸入のホルモン製剤やSARMsを使っていた
受診時には、テストステロン値だけでなく、LH・FSH・精液所見なども含めて評価されることがあります。
妊活中の筋トレはダメなの?
筋トレそのものが悪いわけではありません。
問題なのは、アナボリックステロイドや不適切なホルモン使用です。
適度な運動は健康維持に役立ちますが、妊活との関係で最も避けたいのは、筋肥大のためにホルモン系薬剤へ手を出すことです。
外から男性ホルモンを入れる行為は、見かけ上の筋肉量とは裏腹に、精子をつくる力を落とす方向に働きます。
Q1. ステロイドで睾丸が小さくなるのは本当ですか?
はい、筋肉増強目的のアナボリックステロイドや外から補うテストステロン製剤によって、睾丸が小さくなることがあります。これは体内のホルモンバランスが乱れ、睾丸の働きが抑えられるためです。
Q2. 小さくなった睾丸は元に戻りますか?
戻る可能性はありますが、回復までの期間には個人差があります。使用期間や量によっては数か月以上かかることもあるため、「やめればすぐ戻る」とは言い切れません。
Q3. ステロイドで睾丸が小さくなると、妊娠しにくくなりますか?
可能性はあります。睾丸が小さくなる背景には、精子をつくる働きの低下が関係していることがあり、精子数の減少や無精子症につながる場合があります。妊活中の方は特に注意が必要です。
Q4. 病院で処方されるステロイド薬でも同じことが起こりますか?
この記事で主に扱っているのは、筋肉増強目的のアナボリックステロイドです。炎症を抑えるために使う副腎皮質ステロイドとは別のものであり、同じ意味で一括りにはできません。気になる場合は、自己判断せず処方医に確認しましょう。
Q5. どんなときに泌尿器科へ相談すればよいですか?
睾丸が小さくなった気がする、性欲低下や勃起不調がある、ステロイド使用歴がある、妊活中なのに妊娠に至らないといった場合は、早めに泌尿器科や男性不妊外来へ相談するのがおすすめです。
まとめ
- 筋肉増強目的のアナボリックステロイドや外因性テストステロンは、睾丸が小さくなる原因になりえます。
- 背景には、HPG軸の抑制によるLH・FSH低下と造精機能低下があります。
- 影響は見た目だけでなく、精子減少、無精子症、不妊、性機能低下につながることがあります。
- 中止後に回復することはありますが、数か月〜1年以上かかることもあります。
- 妊活中、あるいは将来子どもを望む場合は、自己判断での使用を避け、早めに泌尿器科へ相談することが大切です。


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📚参考文献
- American Society for Reproductive Medicine. Diagnosis and Treatment of Infertility in Men: AUA/ASRM Guideline Part II.
- Bhasin S, Brito JP, Cunningham GR, et al. Testosterone Therapy in Men With Hypogonadism: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline. The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism. 2018;103(5):1715-1744.
- Mulawkar PM, Maheshwari PN, Gauhar V, et al. Use of Anabolic-Androgenic Steroids and Male Fertility: A Systematic Review and Meta-analysis. Journal of Human Reproductive Sciences. 2023;16(4):268-285.
- Desai A, Nguyen HM, Gabrielson AT, et al. Understanding and managing the suppression of spermatogenesis caused by testosterone replacement therapy (TRT) and anabolic-androgenic steroids (AAS). Therapeutic Advances in Urology. 2022.
- Anawalt BD. Diagnosis and Management of Anabolic Androgenic Steroid Use. The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism. 2019;104(7):2490-2500.
- Solanki P, Lenton S, Gill S, et al. Physical, psychological and biochemical recovery from anabolic steroid-induced hypogonadism: a scoping review. 2023.
- Mayo Clinic. Male infertility – Symptoms and causes.
- NHS. Anabolic steroid misuse.
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
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