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不妊治療に「季節」が関係する?【採卵・胚移植と気温について】

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体外受精(IVF)や凍結胚移植(FET)の成功率は、年齢や卵子の質、生活習慣など多くの要因に影響されます。しかし、最近の研究では「採卵の季節」や「日照時間」といった自然環境も、結果に関係している可能性が示されました。

採卵は「夏」が有利?日照時間の驚きの効果

オーストラリア・パースで行われた研究(2013〜2021年、3,659件の凍結胚移植を分析)によると、次のような結果が報告されています。

  • 夏に採卵された卵子を使った移植では、生児出産率が秋に比べて約30%高い
  • 採卵当日の“日照時間”が長いほど、生児出産率が約28%高い

ここでいう「生児出産率」とは、妊娠反応が出るかどうかや流産を含めた数値ではなく、最終的に生きて生まれた赤ちゃんを出産できた割合を指します。妊娠継続率よりもゴールに近い、重要な指標です。

太陽光によって生成されるビタミンDが卵子の質や胚の発育を助ける可能性があり、日照時間の重要性に注目が集まっています。

胚移植時の気温も関係する?

同じ研究では、胚移植当日の気温についても興味深い結果が得られました。

  • 最低気温が高い日に胚移植をすると、生児出産率が約18%下がる傾向

これは外気温が体温調節や血流に影響し、子宮環境や着床過程に微細な変化を与える可能性があると考えられています。ただし「暑い日は妊娠できない」という意味ではなく、あくまで統計的な関連性として報告されています。

他の研究との比較

中国や欧州の研究でも「夏の採卵で妊娠率が高い」とする報告があります。一方で「季節や気温は累積の生児出産率には影響しない」とする報告もあり、結果は一様ではありません。

さらに2025年の中国・中原地域の研究では、夏に採卵した場合、生児出産率が他の季節より有意に高く(約1.08倍)、流産率も低下するとの結果が報告されています。

日常でできるちょっとした工夫

研究結果をそのまま治療に活かすのは難しいですが、日常生活でできる工夫もあります。

  • 日光を浴びる習慣をつける
    午前中に15〜30分ほど外を歩き、自然光を浴びましょう。ビタミンD生成や自律神経のリズムを整える効果が期待できます。
  • ビタミンDを意識した食事
    鮭・イワシ・卵黄・干ししいたけなどを食事に取り入れると、日照不足を補えます。
  • 夏の高温対策
    胚移植の時期が夏に重なる場合は、外出時に体を冷やしすぎない服装、エアコン使用時はお腹を冷やさない工夫が大切。こまめな水分補給も血流維持に役立ちます。
  • 生活リズムを整える
    起床後にカーテンを開けて朝日を浴びることで、ホルモンバランスが整いやすくなります。

まとめ

今回紹介した研究は、不妊治療に取り組む上で「季節や気象条件」も一つのヒントになることを示しています。
ただし、成功率には年齢や卵子・胚の質、体調管理など多くの要素が関わります。

最も大切なのは、主治医と十分に相談し、ご自身に合った治療計画を立てていくことです。その上で、日常の工夫を取り入れることは、体調を整え、安心感を持って治療に臨むための助けになります。

夏の妊活は成功率が上がる?日照とホルモンの関係

📚参考文献

  • de Ziegler D, et al. (2023). Impact of the meteorological season during oocyte retrieval and frozen embryo transfer on live birth rates. Human Reproduction. [PubMed]
  • Wu L, et al. (2021). Seasonal variations in live birth rates after frozen-thawed embryo transfer: A retrospective analysis of 6,347 cycles. Frontiers in Endocrinology. [PMC]
  • Zhao J, et al. (2023). Association between the season at the start of ovarian stimulation and cumulative live birth rate in IVF/ICSI cycles*. Frontiers in Endocrinology. [PMC]
  • Baumgartner A, et al. (2022). Does season and temperature influence IVF/ICSI outcome? A multicenter study. Reproductive Biology and Endocrinology. [RB&E]
  • Yin Y, et al. (2025). Impact of seasonal changes in temperature and humidity on IVF outcomes in central China*.Frontiers in Endocrinology**. [Frontiers]

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