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月経血のニオイと腟内フローラの関係とは?

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月経血は無臭?ニオイの正体とは

生理中、ふと気になる「月経血のニオイ」。実は月経血そのものは、血液と破壊された子宮内膜・分泌液などが混ざった体液で、出た直後は無臭に近いとされています。ところが、空気に触れて酸化が進むと、金属臭や鉄臭、独特なニオイが生じやすくなります。

ニオイが強くなる原因

次のようなことが、ニオイの原因になる場合があります。

  • ナプキンを長時間交換していない
  • デリケートゾーンの蒸れや不衛生
  • 食事や体調による体臭の変化
  • 膣内フローラ(膣内の菌バランス)の乱れ

この「膣内フローラ」は子宮内細菌叢(しきゅうないさいきんそう)とも関係があり、最近では、このバランスが妊娠・着床にも大きく関わることが明らかになっています。

子宮内細菌叢の乱れは、着床率に影響する

膣内や子宮内には、善玉菌(ラクトバチルス属)を中心とした常在菌が存在します。これらがバランスよく保たれていると、病原菌の侵入を防ぎ、妊娠環境を整えることができます。

逆に、細菌叢が乱れて悪玉菌が増えると、子宮内膜炎や着床障害、不妊の原因にもなります。実際に、子宮内細菌叢検査(EMMAやALICEなど)で乱れが発見され、治療後に妊娠に至った例も増えています。

こんなニオイの時は受診を

  • 強い腐敗臭
  • 魚が腐ったようなニオイ(アミン臭)
  • おりものに色や量の異常
  • かゆみや痛みを伴う

これらの症状があるときは、感染症や膣内炎症の可能性もあるため、早めの婦人科受診をおすすめします。

東洋医学の視点

東洋医学では、体のニオイや経血の質にも意味があります。特に「瘀血(おけつ)=血の滞り」があると、経血が黒っぽく、臭いが強くなることも。また、体内に「湿熱(しつねつ)」がたまると、生臭さや粘りが強くなることもあります。

鍼灸では、血流や内臓バランスを整えながら、自然な自浄作用を引き出すケアが可能です。

まとめ

「月経血のニオイが気になる」――それは、体からのサインかもしれません。特に、妊娠を希望されている方にとっては、膣内環境や子宮内細菌叢のチェックもとても重要です。

「ちょっと違うな」と感じたときには、受診や検査、そして体質ケアの第一歩を考えてみてください。

腟内フローラのバランスが妊娠に与える影響を解説する図

参考文献

  • Moreno I, et al. “Evidence that the endometrial microbiota has an effect on implantation success or failure.” American Journal of Obstetrics and Gynecology, 2016.
  • Mändar R, et al. “Vaginal microflora and the pH-dependent microbial balance.” Microbial Ecology in Health and Disease, 2015.
  • Sobel JD. “Vaginitis in the Post-Antibiotic Era.” Clinical Infectious Diseases, 1999.

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