
排卵誘発剤「クロミッド(クロミフェンクエン酸塩)」の特徴と注意点
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不妊治療を始めると、最初に耳にするお薬のひとつに「クロミッド(クロミフェンクエン酸塩)」があります。長年使用されてきた代表的な排卵誘発剤で、特に排卵障害を持つ方に効果的です。
一方で、副作用や使用にあたっての注意点もあるため、正しい知識を持つことが大切です。この記事ではクロミッドの作用・副作用、他の薬との違い、そして鍼灸がどのように体づくりをサポートできるのかを解説します。
クロミッド(クロミフェンクエン酸塩)とは?
クロミッドは経口の排卵誘発剤の中で最も使用歴の長い薬です。
主な使用場面
- タイミング法での排卵促進
- 人工授精での排卵タイミング調整
- 一部の体外受精プロトコル(低刺激法)
作用メカニズム
クロミッドは視床下部・下垂体のエストロゲン受容体に拮抗し、エストロゲンの作用を一時的に弱めます。これによりGnRHが増加 → FSH/LHの分泌が高まり → 卵胞が成長し排卵を促します。
他の排卵誘発剤との違い
- セキソビット(シクロフェニル)
副作用が比較的少ないとされますが、有効性はクロミッドより劣る報告もあります。 - レトロゾール
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)では国際的に第一選択とされ、日本でも保険適用が拡大しています。
クロミッドの副作用と注意点
クロミッドは有効性が高い一方で、副作用が出ることもあります。
- 子宮内膜や頸管粘液の変化
抗エストロゲン作用により子宮内膜が薄くなったり、頸管粘液が減少することがあります。対策としてエストロゲン補充(例:プレマリン)や薬の切り替えが検討されます。 - 多胎妊娠
双胎の可能性は約6〜8%と自然妊娠より高くなります。 - 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
注射製剤に比べると少ないですが、まれに起こります。 - 消化器症状
吐き気や胃部不快感が出ることがあります。 - 視覚症状(かすみ、光視症など)
まれですが、発現した場合は服用を中止し、速やかに医師・眼科を受診する必要があります。
一般的な服用方法
- 月経開始3〜5日目から1日1錠(50mg)を5日間服用
- 服用後に再受診し、卵胞の発育や排卵時期を確認
- 長期連続使用(6周期以上)は推奨されません
鍼灸がクロミッド治療をサポートする理由
クロミッドの効果を引き出し、副作用をやわらげる補助的ケアとして鍼灸が役立つ可能性があります。
- 血流改善:子宮・卵巣への血流を促進し、内膜環境をサポート
- 消化機能の調整:吐き気や胃部不快感の軽減
- 自律神経の安定化:ストレスや不安の緩和
- QOL(生活の質)の向上:リラックス効果により治療継続を後押し
📚参考文献
- 日本生殖医学会「不妊症診療ガイドライン 2021」
- 英ウィメンズクリニック「はなぶさブログ」
- Legro RS et al. N Engl J Med. 2014;371:119-129(レトロゾール vs クロミフェン)
- 日本産科婦人科学会「多胎妊娠管理指針」
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