
妊活中にタンパク質はなぜ必要?卵子・ホルモン・着床を支える食事の整え方
妊活中は、葉酸や鉄、ビタミンDなどに意識が向きやすいですが、毎日の食事で見落とされやすい栄養素のひとつがタンパク質です。
タンパク質は、筋肉をつくるためだけの栄養素ではありません。ホルモン、血液、酵素、免疫、子宮内膜、卵胞の発育など、妊娠を目指す体の土台づくりに深く関わっています。
ただし、「タンパク質をたくさん摂れば妊娠しやすくなる」という単純なものではありません。大切なのは、不足しない量を毎日摂ること、そして肉だけに偏らず、魚・卵・大豆製品などをバランスよく取り入れることです。
- 妊活中のタンパク質は、ホルモン・血液・子宮内膜・卵胞の発育など、体づくりの土台に関わる大切な栄養素です。
- 成人女性のタンパク質摂取量は、まずは1日50g程度を目安に、不足しないよう意識することが大切です。
- 肉だけに偏らず、魚・卵・大豆製品・乳製品・鶏肉など、複数の食品からバランスよく摂ることが理想です。
- 植物性タンパク質や魚を取り入れることは、妊活中の食事バランスを整えるうえで役立ちます。
- プロテインやサプリはあくまで補助的なものです。基本は毎日の食事で、主食・主菜・副菜をそろえることを大切にしましょう。


目次
妊活中にタンパク質が大切な理由
ホルモンや体の組織をつくる材料になる
妊活では、排卵、受精、着床、妊娠初期の発育まで、体の中でさまざまな働きが起こっています。
その中でタンパク質は、ホルモンや酵素、血液、免疫細胞、子宮内膜などをつくる材料になります。
たとえば、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、妊娠初期に重要なhCGは、糖タンパク質ホルモンに分類されます。
もちろん、タンパク質を摂ればホルモンがすぐ増えるという意味ではありません。しかし、体の材料が不足した状態が続くと、妊活に必要な体づくりが進みにくくなる可能性があります。
卵胞や子宮内膜を支える体づくりに関わる
卵子や子宮内膜は、日々の栄養状態や血流、代謝の影響を受けながら変化しています。
タンパク質は、細胞や組織の材料となるアミノ酸を供給するため、妊活中の体づくりに欠かせません。
特に、食事量が少ない方、朝食を抜きがちな方、炭水化物中心になりやすい方は、気づかないうちにタンパク質が不足していることがあります。
血糖やインスリンの安定にも関わる
妊活では、血糖値やインスリンの乱れも無視できません。特に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)がある方では、インスリン抵抗性が排卵の乱れと関係することがあります。
タンパク質は、主食や野菜と組み合わせることで食後血糖の急上昇を抑えやすくするため、妊活中の食事設計でも大切な役割があります。
妊活中のタンパク質はどれくらい必要?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、18歳以上の女性のタンパク質推奨量は1日50gとされています。
また、妊娠期の付加量は、妊娠初期+0g、中期+5g、後期+25gと示されています。つまり、妊娠後期では目安として1日75g程度になります。
妊活中でまだ妊娠していない段階では、まずは1日50gを下回らないようにすることを目安にするとよいでしょう。
体格や活動量によって必要量は変わりますが、目安としては体重1kgあたり0.8〜1.0g程度を意識すると、日々の食事を組み立てやすくなります。
ただし、腎臓の病気がある方、医師からタンパク質制限を指示されている方は、自己判断で増やさず、必ず主治医に相談してください。
妊活中はどんなタンパク質を摂るとよい?
肉だけでなく、魚・卵・大豆製品も取り入れる
タンパク質というと、肉を思い浮かべる方が多いかもしれません。もちろん肉も大切なタンパク源ですが、妊活中はひとつの食品に偏らず、複数の食品から摂ることが大切です。
おすすめは、以下のような食品です。
- 魚:鮭、さば、いわし、白身魚など
- 卵:ゆで卵、卵焼き、目玉焼きなど
- 大豆製品:納豆、豆腐、高野豆腐、豆乳など
- 鶏肉:鶏むね肉、ささみなど
- 乳製品:ヨーグルト、チーズなど
- ナッツ類:無塩ミックスナッツなど
大規模な前向き研究では、動物性タンパク質の一部を植物性タンパク質に置き換えることが、排卵性不妊のリスク低下と関連していたと報告されています。
そのため、妊活中は「肉をたくさん食べる」よりも、魚・卵・大豆製品・鶏肉をバランスよく取り入れる意識が大切です。
魚を取り入れるメリット
体外受精などの生殖補助医療を受けている女性を対象とした研究では、魚の摂取量が多いことが、生児獲得率の高さと関連していたと報告されています。
魚はタンパク質だけでなく、EPAやDHAなどのn-3系脂肪酸も含むため、妊活中の食事に取り入れやすい食品です。
ただし、大型魚には水銀を多く含むものもあるため、妊娠を考えている方や妊娠中の方は、厚生労働省などの情報を参考に、魚の種類や量に注意しながら取り入れると安心です。
妊活中に意識したい食事パターン
妊活中の食事では、ひとつの栄養素だけに注目しすぎるよりも、食事全体のバランスを整えることが大切です。
近年は、地中海食のように、魚、豆類、野菜、果物、全粒穀物、ナッツ、オリーブ油などを中心とした食事パターンと、妊娠率や生児獲得率との関連を調べた研究も増えています。
ただし、現時点では「この食事をすれば妊娠率が必ず上がる」とは言えません。
妊活中の体づくりとしては、以下のような食事を意識するとよいでしょう。
- 毎食、タンパク質を1品入れる
- 魚や大豆製品を増やす
- 主食は白米やパンだけに偏らず、玄米、雑穀、全粒パンなども取り入れる
- 野菜、海藻、きのこ類を増やす
- 加工肉や揚げ物、甘いものに偏りすぎない
- 極端な糖質制限やカロリー制限は避ける
1日のタンパク質の摂り方の例
1日50〜60g程度を目指す場合、特別なプロテインを使わなくても、食事の組み合わせで十分に近づけることができます。
朝食
- 納豆1パック
- 卵1個
- ヨーグルト
- ごはんまたは全粒パン
昼食
- 鶏むね肉または魚の定食
- 玄米または雑穀ごはん
- 野菜のおかず
- 味噌汁
間食
- 無塩ナッツ
- 高タンパクヨーグルト
- 豆乳
夕食
- 鮭や白身魚
- 冷ややっこ
- 具だくさん味噌汁
- 野菜のおかず
このように、毎食に「タンパク質をひとつ足す」だけでも、1日の摂取量は整えやすくなります。
タンパク質を摂るときの注意点
プロテインやサプリに頼りすぎない
忙しい日や食欲がないときに、プロテインを補助的に使うことは選択肢のひとつです。
ただし、妊活中の栄養はタンパク質だけで成り立つものではありません。鉄、亜鉛、葉酸、ビタミンD、ビタミンB群、脂質、食物繊維なども関係します。
そのため、プロテインだけで栄養を整えようとするのではなく、基本は食事から摂ることを大切にしましょう。
極端な高タンパク食は避ける
タンパク質は大切ですが、極端に増やせばよいわけではありません。
炭水化物を大きく減らし、肉やプロテインばかりに偏る食事は、食物繊維やビタミン、ミネラルが不足しやすくなります。
妊活中は、栄養の偏りを避け、主食・主菜・副菜をそろえることが大切です。
胃腸が弱い方は少しずつ増やす
タンパク質を急に増やすと、胃もたれや便秘を感じる方もいます。
その場合は、肉を増やすよりも、豆腐、卵、白身魚、ヨーグルトなど、消化しやすい食品から少しずつ取り入れるとよいでしょう。
まとめ
妊活中のタンパク質は、ホルモンや血液、子宮内膜、卵胞の発育など、妊娠を目指す体の土台づくりに関わる大切な栄養素です。
ただし、「たくさん摂れば妊娠しやすくなる」というものではありません。大切なのは、毎日不足しない量を摂り、肉だけに偏らず、魚、卵、大豆製品、乳製品などをバランスよく取り入れることです。
目安として、成人女性は1日50g程度のタンパク質を意識しましょう。妊娠後期には必要量が増えるため、妊娠中の食事については主治医や管理栄養士にも相談しながら整えていくと安心です。
妊活は、短期間で結果を出そうとするものではなく、日々の積み重ねが大切です。まずは「毎食にタンパク質をひとつ足す」ことから始めてみてください。
妊活中はタンパク質を多く摂れば妊娠しやすくなりますか?
タンパク質は妊活中の体づくりに大切な栄養素ですが、たくさん摂れば妊娠しやすくなるというものではありません。
大切なのは、毎日不足しない量を摂りながら、主食・野菜・脂質・ビタミン・ミネラルも含めて食事全体のバランスを整えることです。
妊活中のタンパク質は1日どれくらい必要ですか?
成人女性では、まずは1日50g程度を目安にするとよいでしょう。
ただし、体格や活動量、妊娠の有無、体調によって必要量は変わります。腎臓の病気がある方や、医師から食事制限を指示されている方は、自己判断で増やさず主治医に相談してください。
妊活中は肉より大豆製品を増やした方がいいですか?
肉を完全に避ける必要はありません。
ただし、肉ばかりに偏るよりも、納豆・豆腐・豆乳などの大豆製品、魚、卵、乳製品などを組み合わせる方が、栄養バランスは整えやすくなります。
「肉をやめる」ではなく、タンパク質の種類を増やすという意識がおすすめです。
プロテインを飲んでも大丈夫ですか?
食事だけでタンパク質が不足しやすい方は、補助的にプロテインを使うこともあります。
ただし、プロテインだけに頼ると、食物繊維やビタミン、ミネラルが不足しやすくなる場合があります。
妊活中は、まず毎日の食事を整えたうえで、不足しやすいときの補助として考えるとよいでしょう。
タンパク質を増やすと太りませんか?
タンパク質を摂ること自体が、すぐに体脂肪の増加につながるわけではありません。
ただし、全体の摂取カロリーが多くなれば体重は増える可能性があります。
妊活中は、タンパク質を増やすだけでなく、主食や間食、脂質の摂り方も含めて全体のバランスを見ることが大切です。
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📚参考文献
- Cahoreau C, Klett D, Combarnous Y. Structure–Function Relationships of Glycoprotein Hormones and Their Subunits’ Ancestors. Frontiers in Endocrinology. 2015.
- Marsh KA, et al. Effect of a low glycemic index compared with a conventional healthy diet on polycystic ovary syndrome. American Journal of Clinical Nutrition. 2010.
- Chavarro JE, et al. Protein intake and ovulatory infertility. American Journal of Obstetrics and Gynecology. 2008.
- Nassan FL, et al. Intake of protein-rich foods in relation to outcomes of infertility treatment with assisted reproductive technologies. American Journal of Clinical Nutrition. 2018.
- Kellow NJ, et al. The Effect of Dietary Patterns on Clinical Pregnancy and Live Birth Outcomes in Men and Women Receiving Assisted Reproductive Technologies. Advances in Nutrition. 2022.
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
妊活中の食事や体づくりでお悩みの方へ
妊活中は、タンパク質をはじめとした栄養バランス、冷え、血流、自律神経、睡眠など、さまざまな要素が体づくりに関わります。
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