
月経不順・無月経は不妊の原因になる?妊娠との関係・無排卵・受診目安
「生理が不規則だけれど、妊娠できる?」「何か月も生理がこないのは、不妊の原因になる?」と不安に感じていませんか。
結論からいうと、月経不順があっても妊娠することは可能です。ただし、排卵が不規則だったり、排卵していなかったりする場合は、妊娠しにくさにつながることがあります。
月経不順や無月経の原因には、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、甲状腺機能の異常、急激な体重変化など、さまざまなものがあります。
この記事では、月経不順・無月経と不妊の関係、無排卵の可能性、検査や治療、受診の目安についてわかりやすく解説します。
- 月経不順があっても妊娠は可能ですが、排卵が不規則な場合は妊娠のタイミングを予測しにくくなります。
- 月経のような出血があっても、排卵していない場合があります。
- 月経不順の原因には、PCOS、甲状腺機能の異常、体重変化などがあります。
- 高温期が短いだけで黄体機能不全や不妊の原因を断定することはできません。
- 月経不順が続く場合や3か月以上月経がない場合は、婦人科での検査を検討しましょう。
月経不順・無月経は不妊の原因になる?
月経不順や無月経があるからといって、必ず不妊になるわけではありません。
ただし、月経周期は卵巣やホルモンの働きを知る手がかりのひとつです。
排卵が不規則になると、妊娠しやすい時期を予測しにくくなります。また、排卵が起こらない周期では、その周期の自然妊娠は成立しません。
そのため、妊活中に月経不順が続いている場合は、月経周期だけでなく、排卵が起こっているかを確認することが大切です。
正常な月経周期は25〜38日が目安
日本産科婦人科学会のガイドラインでは、正常な月経周期は25〜38日とされています。[1]
- 25〜38日:正常な月経周期の範囲
- 24日以内:頻発月経
- 39日以上:希発月経
- 90日以上月経がない:続発性無月経
ただし、月経周期が正常範囲内でも排卵していない場合があります。また、一時的に周期が乱れたからといって、すぐに病気とは限りません。
普段の周期との違いや、乱れが続いているかどうかも大切な判断材料です。
月経がこないときは妊娠の可能性も確認
月経が遅れている場合は、排卵障害などを考える前に、妊娠の可能性を確認することが大切です。
妊娠の可能性がある場合は、適切な時期に妊娠検査薬を使用し、必要に応じて婦人科を受診しましょう。
月経不順や無月経が起こる主な原因
月経周期は、脳の視床下部・下垂体と卵巣がホルモンを介して連携することで調整されています。
そのため、卵巣だけでなく、ホルモンの分泌を調整する仕組みに変化が起こることでも、月経周期が乱れる場合があります。
1. 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
PCOSは、排卵障害を起こす代表的な疾患のひとつです。
月経不順や無月経がみられるほか、ニキビ、多毛、血糖を調整するインスリンの働きの異常などを伴う場合があります。
PCOSがあっても妊娠は可能ですが、排卵が不規則な場合は、医師と相談しながら排卵誘発などの治療を検討することがあります。[4]
2. ストレス・急激な体重変化・過度な運動
強い心理的・身体的ストレス、急激な体重減少、摂取エネルギーの不足、過度な運動などは、ホルモン分泌に影響し、月経不順や無月経につながる場合があります。
ただし、日常生活で感じるストレスが、すべて排卵障害や不妊につながるわけではありません。
「ストレスを感じたから妊娠できない」と考えすぎず、体調や生活環境を含めて原因を確認することが大切です。
3. 甲状腺機能の異常
甲状腺ホルモンは、身体の代謝だけでなく、月経周期や排卵にも関係します。
甲状腺機能が低下している場合や、過剰に働いている場合には、月経不順が起こることがあります。
必要に応じて血液検査で甲状腺機能を調べ、原因に応じた治療を行います。
4. 高プロラクチン血症
プロラクチンは、主に母乳の分泌に関係するホルモンです。
妊娠・授乳中ではない時期にプロラクチンが高くなると、排卵が抑制され、月経不順や無月経につながる場合があります。
薬剤の影響や下垂体の病気などが関係することもあるため、原因を調べることが大切です。
5. 卵巣機能の変化
年齢に伴う卵巣機能の変化によって、月経周期が不規則になることがあります。
また、40歳未満でも卵巣機能が低下する早発卵巣不全(POI)などの疾患が関係する場合があります。
月経が長期間こない場合や、以前と比べて周期が大きく変化した場合は、年齢だけを理由にせず、医療機関で確認しましょう。
生理があっても排卵していないことがある?
月経のような出血があっても、必ず排卵が起こっているとは限りません。
排卵を伴わずに出血が起こる状態を、無排卵周期症といいます。
通常は卵胞が育ち、排卵が起こったあとに黄体からプロゲステロンが分泌されます。
しかし、無排卵周期では排卵が起こらず、ホルモンの変動によって月経に似た出血がみられることがあります。
出血があるため、ご自身では排卵していないことに気づきにくい場合もあります。
基礎体温が一相性になることがあります
排卵のある周期では、排卵後にプロゲステロンの影響で基礎体温が上昇し、低温期と高温期の二相に分かれる傾向があります。
一方、無排卵周期では高温期がはっきりせず、一相性になることがあります。
ただし、基礎体温は睡眠時間、測定時刻、体調などにも左右されるため、基礎体温だけで排卵の有無を確定することはできません。
排卵しているか不安な場合は、超音波検査や、適切な時期に行うホルモン検査などで確認することができます。[2]
無排卵でも妊娠できる?
排卵が起こっていない周期では、自然妊娠は成立しません。
しかし、無排卵の周期があっても、別の周期で排卵が起こる場合や、原因に応じた治療によって排卵が起こる場合があります。
そのため、無排卵を指摘されたからといって、妊娠できないと決まるわけではありません。
大切なのは、無排卵の原因を確認し、ご自身に合った妊活の進め方を相談することです。
黄体機能不全と月経不順・不妊の関係
排卵後には、卵胞が変化して黄体となり、プロゲステロンというホルモンが分泌されます。
プロゲステロンには、子宮内膜を妊娠に備えた状態に整える働きがあります。
黄体機能不全とは、この黄体期の働きが十分ではないと考えられる状態を指します。
高温期が短いと黄体機能不全?
高温期が短い場合、黄体期のホルモン分泌との関係が疑われることがあります。
ただし、黄体機能不全については、診断基準や妊娠への影響が十分に確立されていない部分があります。
米国生殖医学会(ASRM)は、黄体機能不全が単独で不妊や反復流産の原因になることは証明されておらず、確実な診断方法も確立されていないとしています。[3]
そのため、高温期が短いことや、一度のプロゲステロン検査の数値だけで、不妊の原因を決めつけることはできません。
黄体ホルモンの補充が必要になる場合
体外受精などの不妊治療では、治療方法に応じて黄体ホルモンの補充が行われます。
一方、自然周期で黄体機能不全が疑われる場合については、ホルモン補充によって妊娠率が改善するという十分な証拠は確立されていません。[3]
治療の必要性は、排卵の状態や不妊治療の方法などによって異なるため、主治医と相談して判断しましょう。
月経不順・無月経で行われる検査と治療
月経不順や無月経が続く場合、医療機関では原因を確認するために、問診や各種検査を行います。
主な検査
- 問診:月経周期、出血の状態、体重変化、服薬状況などを確認
- 妊娠の確認:妊娠の可能性がある場合に検査
- 超音波検査:卵胞の発育、子宮内膜、卵巣の状態などを確認
- ホルモン検査:FSH、LH、エストラジオール、プロラクチン、TSHなどを必要に応じて測定
- 排卵の確認:超音波検査や排卵後のプロゲステロン測定などを検討
検査内容や実施する時期は、月経周期や症状によって異なります。[1][2]
主な治療方法
原因に応じて、次のような治療が検討されます。
- 排卵障害に対する排卵誘発剤の使用
- PCOSなどの原因疾患に応じた治療
- 甲状腺機能異常や高プロラクチン血症への治療
- 体重・食事・運動など生活習慣の見直し
- 必要に応じたホルモン療法
妊娠を希望しているかどうかによっても治療の選択肢は変わります。
妊活中の場合は、年齢、妊活期間、卵巣機能、パートナーの検査結果なども踏まえて方針を決めることが大切です。
月経不順が気になるときにできる生活習慣の見直し
月経不順の原因によっては、生活習慣の調整が体調管理に役立つことがあります。
ただし、生活習慣を整えるだけですべての月経不順が解消するわけではありません。医療機関での検査や治療とあわせて考えることが大切です。
睡眠と生活リズムを整える
できる範囲で起床時間や就寝時間を一定にし、十分な休息を取ることを意識しましょう。
妊活中は治療への不安などで眠りにくくなることもありますが、睡眠を完璧に管理しようとする必要はありません。
極端なダイエットを避ける
急激な体重減少やエネルギー不足は、排卵や月経周期に影響する場合があります。
食事量を極端に減らさず、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を基本にしましょう。
体重管理が必要な場合も、自己判断で急激な減量を行わず、医師や管理栄養士などに相談することをおすすめします。
無理のない運動と休息を心がける
ウォーキングやストレッチなど、無理のない身体活動を取り入れることも、健康管理のひとつです。
一方で、十分な食事を取らずに激しい運動を続けると、月経周期に影響する場合があります。
疲労が強いときは休息を優先し、身体の状態に合わせて調整しましょう。
月経不順・無月経に対して鍼灸でできること
月経不順や無月経には、排卵障害や内分泌疾患など、医療機関での診断や治療が必要な原因が隠れていることがあります。
そのため、鍼灸だけで月経不順や無排卵を治すことを目的とするのではなく、まず医学的な原因を確認することが大切です。
そのうえで、妊活中の冷えの自覚、睡眠の悩み、肩こり、疲労感、ストレスなど、日常生活で感じている不調に目を向けることも、身体づくりを考えるひとつの視点になります。
鍼灸は、こうした体調管理を支える補完的な選択肢のひとつです。ただし、鍼灸によって排卵障害が治ったり、妊娠率が高まったりすることが確立されているわけではありません。
当院では、月経周期の変化だけでなく、冷えの感じ方、睡眠、疲労、胃腸の調子、ストレスなど、日々のお身体の状態も伺っています。
東洋医学的な体質の見方に加え、必要に応じて良導絡測定も取り入れながら、体調管理の方針を考えています。
なお、良導絡測定は排卵の有無やホルモン値を判定する医学的検査ではありません。排卵障害が疑われる場合は婦人科での検査を優先し、その結果も踏まえて、妊活中の身体づくりをサポートしています。
月経不順・無月経で病院を受診する目安
次のような場合は、婦人科や不妊専門クリニックへの相談を検討しましょう。
- 月経周期が24日以内、または39日以上になることが続く
- 3か月以上月経がこない
- 妊娠の可能性があり、月経が遅れている
- 月経のような出血はあるが、排卵しているか不安
- 基礎体温で高温期がはっきりしない状態が続く
- 以前と比べて月経周期や出血量が大きく変化した
- 月経不順があり、妊活を続けても妊娠に至らない
- 強い月経痛、不正出血、下腹部痛を伴う
特に妊活中で月経不順が続いている場合は、一般的な不妊症の検査開始時期を待たずに相談して構いません。[2]
また、大量の出血、強い腹痛、めまいや失神などがある場合は、早急な診察が必要になることがあります。
月経の乱れは、身体の状態を確認するきっかけのひとつです。必要以上に心配するのではなく、気になる変化があれば原因を確認しておきましょう。
Q1. 月経不順でも自然妊娠できますか?
A. 月経不順があっても、排卵が起こっていれば自然妊娠する可能性はあります。ただし、排卵日を予測しにくい場合があるため、妊活中は排卵の状態を確認しておくとよいでしょう。
Q2. 生理が毎月きていても無排卵の可能性はありますか?
A. はい。月経のような出血があっても、排卵を伴っていない場合があります。気になる場合は婦人科で相談し、必要に応じて超音波検査などで確認しましょう。
Q3. 基礎体温がガタガタでも妊娠できますか?
A. 基礎体温は睡眠時間や測定条件などで変動します。グラフが不規則でも、それだけで妊娠できないとは判断できません。高温期がはっきりしない状態が続く場合は、排卵の確認をおすすめします。
Q4. 月経が2か月こない場合、病院に行った方がよいですか?
A. 妊娠の可能性がある場合は、まず妊娠の確認が必要です。妊活中で月経が2か月こない場合も、3か月になるまで待たずに婦人科へ相談して構いません。
Q5. 月経不順があっても鍼灸を受けられますか?
A. 体調や治療状況によっては、鍼灸を体調管理の一環として取り入れることができます。ただし、鍼灸は排卵障害などの医学的な治療に代わるものではありません。検査や治療については主治医と相談しながら進めましょう。
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📚参考文献
-
[1] 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会. 産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023. CQ302・CQ303. 2023.
正常な月経周期、無月経・月経不順の診断、排卵障害の検査と治療について参考にしています。 -
[2] American Society for Reproductive Medicine. Fertility evaluation of infertile women: a committee opinion. 2021.
不妊症の検査開始時期、排卵の評価、プロゲステロン測定の考え方について参考にしています。 -
[3] Practice Committees of ASRM and SREI. Diagnosis and treatment of luteal phase deficiency: a committee opinion. Fertility and Sterility. 2021.
黄体機能不全の診断上の限界、不妊・流産との関係、自然周期での黄体ホルモン補充のエビデンスについて参考にしています。 -
[4] Teede HJ, et al. Recommendations From the 2023 International Evidence-based Guideline for the Assessment and Management of Polycystic Ovary Syndrome. 2023.
PCOSによる月経不順、排卵障害、検査・治療の考え方について参考にしています。
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
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