
妊娠に向けたセルフケアとしての「睡眠」の重要性
妊活中の女性・男性にとって、良質な睡眠はホルモンバランスや自律神経、さらには精神的な安定を保つために欠かせない生活習慣のひとつです。特に、睡眠時間が短い・睡眠の質が悪いと、妊娠率が低下することが研究でも明らかになっています。
理想的な睡眠時間は?男女で違う?
アメリカの生殖医療に関する研究では、男性には毎日8時間の睡眠が推奨され、女性は7~9時間が適切とされています。また、睡眠障害を抱えている女性では、妊娠率の低下が明確に見られたとする報告もあり、睡眠の質と妊娠の関係性は非常に深いと言えます。
6時間未満の睡眠は男女ともに不十分とされており、妊娠を目指す場合は最低でも8時間前後の睡眠を心がけるのが理想です。
睡眠の仕組みとリズム
人の睡眠は「サーカディアンリズム(体内時計)」により調整されています。毎日同じ時間に起きて同じ時間に眠ることが、質の良い睡眠につながります。
このリズムは、「起きている時間(断眠時間)」の長さによっても影響され、不規則な生活が続くと睡眠の質が低下し、日中の活動や内分泌機能にも悪影響が出てしまいます。
睡眠が果たす4つの役割
- 身体や脳を休め、疲労を回復させる
- 記憶の整理と固定を行う
- 細胞の修復・成長を促す
- 夢を見ることでストレスを発散させる
夢を見ること自体は悪いことではなく、むしろ深い睡眠(ノンレム睡眠)と浅い睡眠(レム睡眠)のバランスがとれている証ともいわれています。
妊活と深く関わる「メラトニン」の役割
メラトニンは「睡眠ホルモン」と呼ばれ、夜間に多く分泌されることで体温や血圧を下げ、自然な眠りに導いてくれます。
実はこのメラトニン、卵胞液中にも存在し、卵胞の成長に重要な役割を果たすことが分かっています。そのため、不妊治療においてはメラトニンサプリを勧められるケースもあります(※ただし、日本国内では未認可)。
メラトニンとセロトニン、そして妊娠率
メラトニンはセロトニンを原料として作られます。セロトニン不足はうつ症状を引き起こし、結果としてメラトニンの分泌も減少、不眠へとつながります。
この「セロトニン不足 → メラトニン低下 → 不眠 → 妊娠率低下」という悪循環が、妊活中のストレスや落ち込みによって加速することもあるのです。
妊娠を目指す方におすすめの睡眠習慣
- 就寝・起床時間を毎日一定にする
- 日中は光を浴びて体内時計を整える
- カフェインは午後以降控える
- 寝室は暗く、静かに。アイマスクも有効
生活リズムを整え、しっかり眠ることでホルモンの分泌も安定し、身体が「妊娠しやすい状態」に近づいていきます。
まとめ
妊活において睡眠は非常に重要な役割を果たしています。生活習慣の見直しとともに、心と体を休める「眠りの質」を高めることが、妊娠の可能性を高める大切な一歩です。
参考文献
松林秀彦(リプロダクションクリニック)ブログ「不眠と不妊:女性の睡眠障害は良くない」