治療院ブログ

36歳(不育症・プロテインs活性低値)5回の流産を乗り越え妊娠を継続

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大阪からお越しのAさん(36歳)が妊娠されました。

不育症でプロテインs活性が低いと診断されたAさん

Aさんが当院にお越しになったのは2021年7月、すでに妊娠を望んでから4年が経過していました。不妊治療専門クリニックで体外受精の段階に進んでおり、これまでに5回の移植で着床はしたものの、残念ながらすべて流産という辛い経験をされていました。

クリニックの検査では、Aさんの「プロテインS活性が低値」であることが判明していました。

今後の採卵、移植に向けて体質改善と妊娠維持のサポートを求め、当院で鍼灸治療を始められました。

プロテインSと不育症:知っておくべきこと

プロテインSは、血液の凝固を防ぐ働きを持つ、体にとって非常に重要なタンパク質です。このプロテインSが不足すると、血液が固まりやすくなり、「血栓症」のリスクが高まります。

なぜプロテインS低値が不育症の原因になるのか?

妊娠中、特に胎盤の形成期に血栓ができてしまうと、胎児への血液や栄養の供給が滞り、流産や死産の原因となる可能性があります。これが、プロテインS低値が不育症(妊娠はするものの流産や死産を繰り返す状態)の一因と考えられている理由です。

プロテインS活性の基準値と妊娠中の変化

多くのクリニックでは、プロテインS活性の正常値を56%以上としています。厚生労働省不育症研究班の報告でも、プロテインS活性が60%未満の不育症患者が無治療の場合、流産する可能性が非常に高いため、治療の検討が必要とされています。

また、プロテインSは妊娠すると非妊娠時の半分くらいに活性が低下することが知られています。非妊娠時に60〜80%程度あった方でも、妊娠中には30%以上であれば正常と判断されることが多いです。ただし、妊娠初期にプロテインS活性が20%以下と極端に低い場合は、妊娠高血圧などのトラブルが起こる可能性も指摘されています。

不育症対策:現代医学と鍼灸の併用

プロテインS低値が判明した場合、現代医学では血液の凝固を防ぐための薬物療法が検討されます。

現代医学の治療法

  • 低用量アスピリン療法: 血小板の凝集を抑え、血栓の形成を防ぐために用いられます。不育症治療での成功率は約71.4%と報告されています。
  • ヘパリン療法: より強力な抗凝固作用を持つ薬で、皮下注射で投与されます。低用量アスピリンと併用した場合の成功率は76.9%と、単独療法よりわずかに上昇することが示されています。効果が期待できる一方で、患者さんにとっては毎日の注射が必要となるなど、負担が大きい治療法でもあります。

低用量アスピリンの作用メカニズムが完全には解明されていないため、ヘパリン療法を併用するケースも少なくありません。

鍼灸による不育症・妊娠維持のサポート

当院では、プロテインS低値など不育症のリスクを抱える方、そしてそうでない方にも、妊娠維持のためのマタニティ鍼灸をお勧めしています。

妊娠初期は流産のリスクが高い時期であり、この時期を含む妊娠期間中、身体の血液循環を良好に保つことは非常に大切です。全身の血液循環が滞ると、子宮へ新しい血液が届きにくくなり、着床しにくくなったり、着床しても胎児が育ちにくい状態を引き起こす可能性があります。

鍼灸は、以下のようなアプローチで妊娠維持をサポートします。

  • 血流促進: 妊娠維持・流産予防に効果が期待できる経穴(ツボ)に鍼やお灸を行い、子宮への血流を促進します。これにより、胎盤への血流を改善し、栄養や酸素の供給をサポートします。妊娠初期でも安心して受けていただけるレーザー療法もおすすめです。
  • 全身のバランス調整: 身体全体の「気血水(きけつすい)」の巡りを整え、自律神経のバランスを調整することで、ストレス軽減や免疫機能の向上を図り、妊娠しやすい・維持しやすい身体環境を整えます。

実際に、クリニックでの低用量アスピリン療法やヘパリン療法と鍼灸を併用されている患者さまも少なくありません。相乗効果を期待できると考えています。

5回の流産を乗り越え妊娠を継続

体外受精でご懐妊されたAさんも、妊娠後にマタニティ鍼灸を受けてくださいました。その結果、現在まで順調に胎児が成長しているとのことです。

Aさんのケースは、プロテインS低値という課題があっても、適切な現代医学的治療と、鍼灸による身体全体のサポートを組み合わせることで、妊娠の継続、そして出産へと繋がる希望があることを示しています。

Aさん、この度はご懐妊おめでとうございます。無事のご出産まで、引き続き全力でサポートさせていただきます。

まとめ:不安を乗り越え、妊娠維持への道を

プロテインS活性の低値は、確かに不育症のリスク要因の一つですが、適切な知識と対策によって、そのリスクを管理し、妊娠を維持できる可能性は十分にあります。

もしあなたが「プロテインS活性が低い」と診断され、不育症や流産を繰り返すことに不安を感じているのであれば、一人で抱え込まず、専門の医療機関と鍼灸院にご相談ください。

全身の血液循環を良くし、子宮への新しい血液がきちんと巡る身体づくりは、妊活中はもちろん、妊娠中の流産予防にも非常に重要です。科学的根拠に基づいた治療と、東洋医学の知恵である鍼灸を併用することで、あなたの妊娠への道のりを力強くサポートできるでしょう。

📚参考文献

Aさん妊娠お喜びの声

▢ お悩みの症状またはご来院当初の目的をお聞かせください

数年不妊治療がうまくいかず(流産2回、胚移植10回以上)、少しでも体調を整えたくて、来院しました。

▢ 鍼灸以外で妊娠(陽性反応)された方法に〇をつけてください

体外受精・顕微授精・SEET法・アシステッドハッチング

▢ ご自身で「これは良かった!」「自分に合っていた!」と思われた妊活があればお教えください

サプリメント・ランニング

▢ 鍼灸施術を受けていただいた感想をお聞かせください

毎回、親身に治療経過についてアドバイスをくださいました。自身の不妊治療に絶望感を感じている中での通院でしたので、実症例に基づいたご助言や施術は非常に勇気づけられました。

▢ 同じように悩まれている方へアドバイスに自身でやって良かったこと、若しくは続けることが出来たセルフ妊活など)やメッセージがあればお願いいたします。

「私は絶対に妊娠できない」と勝手に判断し、自暴自棄になっていた時期もありましたが、今はその事を反省しています。不妊治療は刻一刻と進歩し続けているようですので、固定観念に囚われず、治療を進めてみること、様々なことにトライしてみることが重要と考えます。

36歳患者様のご懐妊お喜びの声

※【免責事項】すべての方にあてはまるものではありません。効果の実感には個人差があります。

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