
BMIと年齢が不妊治療の結果に与える影響
大事なポイント
- BMIと年齢はどちらも治療結果に影響します。
- 35歳未満でBMIが25以上なら、治療前の減量がプラスになりやすいです。
- 35歳以上は“短期間で少し大きめの減量”+治療のタイミング設計が鍵です(年齢要因の影響が強くなるため)。
研究論文より
体外受精・顕微授精を初めて受けた14,213人を対象に、BMI(体格)と年齢が「出産までたどり着ける確率(累積生児獲得率)」にどう関係するかを調べました。
結果:標準体重(BMI18.5〜24.9)に比べ、過体重・肥満では出産までの到達率が下がる傾向がありました。
さらに「いつ、どのくらい減量すると良いか」を年齢別に検討しました。
累積生児獲得率=治療を始めてから、複数回の移植を含めて最終的に赤ちゃんを授かれる割合のこと。
年齢×減量の考え方(目安)
※個人差はあります。AMHや採卵計画、持病によって調整が必要です。
35歳未満(BMI≥25)
治療前〜開始までの1年以内に、ゆるやかな減量がおすすめ。体脂肪を落とし、排卵・内膜・ホルモン環境を整えやすくなります。
目安:3〜6か月で体重の3〜5%を目標に(例:70kg→約2〜3.5kg)。
35〜37歳
時間とのバランスが最重要。3か月間の集中で体重の3〜5%以上を狙いつつ、治療を遅らせすぎない計画を。
例:食事改善+有酸素運動+筋トレを同時にスタートし、採卵計画と並走。
38歳以上
年齢の影響が大きいゾーン。治療を先行(または並行)しつつ、安全な範囲で短期減量を行うのが現実的。
「体重を落とす」こと自体はプラスですが、減量だけで年齢要因を埋めるのは難しいため、治療タイミングの確保が第一。
BMIの計算と妊活の目安
BMI=体重(kg) ÷ 身長(m)²
妊娠・出産に適した日本人の目安は20〜23とされます(あくまで一般的目安)。
具体的な進め方(今日からできる)
食事(“減らす”と“満たす”のセット)
減らす:揚げ物・スナック・砂糖飲料・アルコールの頻度、夜22時以降の飲食
満たす:たんぱく質(魚・卵・大豆・鶏むね・乳製品)を毎食、野菜・海藻・きのこ・果物で食物繊維とビタミン・ミネラルを十分に
足りやすい栄養:鉄・亜鉛・葉酸・ビタミンD(検査や食事内容に応じて補助)
運動(“燃やす体”を作る)
- 速歩20〜30分×週5日ほど(合計150分/週)
- 筋トレ週2〜3回(スクワット・プランクなどの自重でOK)
- NEAT(階段、ひと駅歩く、こまめに立つ)を増やす
生活リズム
- 睡眠の固定化(起床就寝時刻をそろえる)
- 夜更かし・深夜のスマホ食いを避ける
- ストレス対策(深呼吸、散歩、短時間の昼寝など)
注意:極端な食事制限だけはNG。排卵や内膜、卵子の質にマイナスになり得ます。







