
【体外受精の年齢別妊娠率】40代のART妊娠率と正しい見方
体外受精を検討している方や、すでに不妊治療を受けている方からよくいただくご質問のひとつに、「この年齢だと、体外受精の妊娠率はどれくらいですか?」というものがあります。
特に35歳以降、40代に入ってから治療を考えている方にとって、年齢別の妊娠率はとても気になる数字だと思います。
ただし、妊娠率の数字は見方を間違えると、不安だけが大きくなってしまうことがあります。大切なのは、「1回あたりの妊娠率」と「累積妊娠率」は違うこと、そして年齢だけで結果が決まるわけではないという点です。
この記事では、日本産科婦人科学会(JSOG)が公表している2022年ARTデータをもとに、体外受精の年齢別妊娠率、40代での妊娠率の見方、数字に振り回されすぎない考え方について解説します。
- 体外受精の妊娠率は、年齢とともに少しずつ低下する傾向があります。
- 35歳頃から妊娠率の低下が見られ、40歳以降は低下幅が大きくなりやすいです。
- 記事内の年齢別妊娠率は、主に胚移植あたりの妊娠率であり、治療を始めたすべての方の妊娠率とは異なります。
- 1回あたりの妊娠率と、複数回の治療を重ねた場合の累積妊娠率は別の考え方です。
- 妊娠率は年齢だけでなく、卵子・精子・胚の状態、子宮内膜環境、生活習慣などにも影響されます。
- 数字は不安になるためではなく、治療方針や身体づくりを考えるための目安として活用することが大切です。


目次
体外受精の年齢別妊娠率とは?
ここで紹介する妊娠率は、主に胚移植あたりの妊娠率です。
つまり、採卵から受精、胚培養を経て、実際に胚移植まで進んだ周期において、妊娠に至った割合を示しています。
そのため、採卵できなかった周期、受精しなかった周期、胚が育たず移植に至らなかった周期は、この「胚移植あたり妊娠率」には含まれません。
ここはとても重要です。胚移植あたりの妊娠率は、「移植まで進めた場合の妊娠率」であり、治療を始めたすべての方がその確率で妊娠する、という意味ではありません。
2022年ARTデータにおける年齢別妊娠率
日本産科婦人科学会の2022年ARTデータをもとに、胚移植あたりの妊娠率を年齢別に見ると、以下のような傾向がみられます。
※以下の数値は、公開されているグラフから読み取った概算です。実際の数値とは多少異なる可能性があります。
| 年齢 | 胚移植あたり妊娠率の目安 |
|---|---|
| 26歳 | 約50% |
| 27歳 | 約50% |
| 28歳 | 約48% |
| 29歳 | 約49% |
| 30歳 | 約48% |
| 31歳 | 約48% |
| 32歳 | 約47% |
| 33歳 | 約46% |
| 34歳 | 約45% |
| 35歳 | 約44% |
| 36歳 | 約42% |
| 37歳 | 約40% |
| 38歳 | 約38% |
| 39歳 | 約34% |
| 40歳 | 約31% |
| 41歳 | 約27% |
| 42歳 | 約23% |
| 43歳 | 約18% |
| 44歳 | 約14% |
| 45歳 | 約10% |
| 46歳 | 約6% |
| 47歳 | 約6% |
| 48歳 | 約5% |
年齢別妊娠率から見える3つの傾向
このデータからは、体外受精の妊娠率には年齢による大きな傾向があることがわかります。
- 35歳頃から妊娠率が少しずつ低下し始める
- 40歳以降は低下幅が大きくなる
- 43歳以降は妊娠率の低下がさらに目立ちやすくなる
この背景には、主に卵子の染色体異常率の上昇、胚の発育停止率の増加、正常胚の割合の低下などが関係していると考えられています。
年齢が上がると、採卵数が少なくなりやすいだけでなく、受精卵が胚盤胞まで育ちにくくなったり、移植できる胚を得るまでに時間がかかったりすることがあります。
そのため、年齢別妊娠率を見るときは、単に「移植したら何%で妊娠するか」だけでなく、移植できる胚を得られるかどうかもあわせて考える必要があります。
40代の体外受精妊娠率はどう見るべき?
40代の体外受精では、年齢による影響がより大きくなります。
2022年ARTデータでは、胚移植あたりの妊娠率は40歳で約31%、42歳で約23%、44歳で約14%、45歳で約10%という目安になります。
この数字を見ると、不安になる方も多いと思います。しかし、ここで大切なのは、「妊娠率が下がる」ことと「妊娠できない」ことは同じではないということです。
40代でも妊娠・出産に至る方はいらっしゃいます。一方で、20代や30代前半と比べると、妊娠までに必要な治療回数が増えやすく、流産率も高くなる傾向があります。
そのため40代の体外受精では、妊娠率だけを見るのではなく、採卵できる卵子数、胚盤胞到達率、移植できる胚の数、流産率、生産率まで含めて考えることが大切です。
「1回あたり妊娠率」と「累積妊娠率」は違います
今回の年齢別妊娠率は、基本的に1回の胚移植あたりの妊娠率です。
つまり、「その1回の胚移植で妊娠する確率」を示しています。
しかし、実際の体外受精では、1回の移植で結果が出る方もいれば、複数回の移植を重ねて妊娠に至る方もいます。
累積妊娠率とは?
累積妊娠率とは、複数回の治療や胚移植を重ねた場合に、最終的に妊娠に至る確率のことです。
例えば、1回あたりの妊娠率が30%だった場合、単純な理論上の計算では、6回行うと累積妊娠率は約88%になります。
計算式は以下のようになります。
累積妊娠率 = 1 −(1 − 1回あたり妊娠率)^ 回数
ただし、この計算はあくまで理論値です。実際の治療では、毎回の条件が完全に同じではありません。
- 年齢とともに卵子の状態が変化する
- 毎回、同じ質の胚が得られるとは限らない
- 採卵できる数や胚盤胞到達率に個人差がある
- 治療を途中で中断する方もいる
- 子宮内膜やホルモン環境も周期ごとに変わる
そのため、現実の累積妊娠率は、単純計算より低くなることもあります。
一方で、1回の妊娠率が低いからといって、すぐに「妊娠できない」と判断する必要はありません。
体外受精の妊娠率は年齢だけで決まらない
体外受精の妊娠率において、年齢はとても大きな要素です。しかし、年齢だけで結果が決まるわけではありません。
同じ年齢でも、治療結果には大きな個人差があります。
- 卵子の状態
- 精子の状態
- 受精率
- 胚盤胞到達率
- 胚のグレード
- 子宮内膜の状態
- 慢性子宮内膜炎など炎症の有無
- ホルモンバランス
- 睡眠や食事などの生活習慣
- ストレスや自律神経の状態
特に体外受精では、卵子側だけでなく、精子の状態や胚の発育、子宮内膜の受け入れ環境など、複数の要素が関わります。
そのため、年齢別妊娠率はあくまで全体の傾向として受け止め、自分に当てはめすぎないことも大切です。
数字を見て不安になった方へ
年齢別の妊娠率を見ると、「もう遅いのではないか」「自分は難しいのではないか」と感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、年齢とともに妊娠率は低下します。これは医学的にも大切な事実です。
しかし、妊娠率の数字は、あなたの可能性を決めつけるものではありません。
- 妊娠率が低い=妊娠できない、ではない
- 年齢が高い=すべての可能性がなくなる、ではない
- 数字は不安になるためではなく、治療戦略を考えるために使うもの
大切なのは、数字に振り回されることではなく、今の自分の状態を知り、できることを一つずつ積み重ねていくことです。
採卵に向けた体調管理、睡眠、食事、血流、自律神経の安定、ストレスケアなど、治療と並行して整えられる部分もあります。
当院でも、40代で妊娠・出産に至った方はいらっしゃいます。もちろん、すべての方に同じ結果をお約束することはできませんが、年齢だけで可能性を決めつけず、今できる準備を整えていくことが大切です。
40代の体外受精では妊娠は難しいですか?
40代では妊娠率が低下し、流産率も上がる傾向があります。ただし、妊娠の可能性がゼロになるわけではありません。年齢だけで判断せず、採卵数、胚の状態、子宮内膜の状態、治療方針などを総合的に見ることが大切です。
胚移植あたり妊娠率とは何ですか?
胚移植あたり妊娠率とは、実際に胚移植まで進んだ周期のうち、妊娠に至った割合のことです。採卵できなかった周期や、移植できる胚が得られなかった周期は含まれないため、治療開始あたりの妊娠率とは異なります。
1回の妊娠率が低いと、妊娠は難しいのでしょうか?
1回あたりの妊娠率が低くても、複数回の移植で妊娠に至る方もいます。ただし、年齢が高くなるほど移植できる胚を得ること自体が難しくなる場合もあるため、主治医と治療方針を相談しながら進めることが大切です。
年齢以外に妊娠率へ影響するものはありますか?
卵子の状態、精子の状態、胚盤胞到達率、胚のグレード、子宮内膜の状態、慢性炎症、ホルモンバランス、生活習慣などが関係します。年齢は大きな要素ですが、それだけで結果が決まるわけではありません。
妊娠率の数字を見ると不安になります。どう受け止めればよいですか?
妊娠率は、自分を不安にさせるための数字ではなく、治療の進め方や身体づくりを考えるための目安です。数字だけで一喜一憂せず、今の検査結果や治療経過をもとに、できることを整理していきましょう。
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📚参考文献
- 日本産科婦人科学会 登録・調査小委員会/ARTオンライン登録
- 日本生殖医学会:Q16.生殖補助医療の治療成績はどの程度なのですか?
- Female age-related fertility decline. Fertility and Sterility.
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
体外受精と並行して、身体づくりを整えたい方へ
体外受精では、年齢や胚の状態など、自分では変えられない要素もあります。一方で、睡眠、食事、血流、自律神経、冷え、ストレスなど、治療と並行して整えていける部分もあります。
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年齢別の妊娠率を見て不安になった方も、まずは今の身体の状態を整えながら、できることを一つずつ積み重ねていきましょう🍀







