
慢性疼痛とは?肩こり・腰痛を我慢しないための対処法|鍼灸と妊活中の体調管理
「肩こりや腰痛はいつものことだから」「これくらいなら我慢できる」と、痛みを抱えたまま過ごしていませんか?
痛みが長く続くと、身体を動かしにくくなるだけでなく、睡眠や仕事、気分、日常生活にも影響することがあります。
特に妊活や不妊治療中は、通院や検査、採卵・移植などで心身への負担が重なりやすい時期です。肩こりや腰痛、頭痛などを「妊活とは関係ないから」と無理に我慢する必要はありません。
この記事では、慢性疼痛とは何か、痛みが長引く理由、鍼灸で期待できること、妊活中に痛みとどう向き合えばよいかをわかりやすく解説します。
- 慢性疼痛は、一般的に3か月を超えて続く、または繰り返す痛みを指します。
- 慢性的な痛みは「血行不良だけ」が原因ではなく、筋肉・神経・睡眠・ストレスなど複数の要因が関係します。
- 痛みが続くと、睡眠や活動量、気分などQOL(生活の質)にも影響することがあります。
- 鍼灸は、慢性的な腰痛・首の痛み・肩の痛み・頭痛などに対する選択肢の一つとして研究されています。
- 肩こりや腰痛を改善すれば妊娠率が上がるとはいえませんが、妊活中の身体的な負担を減らし、日々のコンディションを整えることは大切です。
- 強い痛みやしびれ、筋力低下などがある場合は、鍼灸だけで対応せず医療機関での評価が必要です。


慢性疼痛とは?3か月以上続く痛みは我慢しないで
国際疼痛学会(IASP)では、3か月を超えて持続または反復する痛みを慢性疼痛としています。
たとえば、次のような症状が長く続いている場合があります。
- 首こり・首の痛み
- 肩こり・肩の痛み
- 腰痛
- 頭痛
- 膝など関節の痛み
- 神経痛やしびれを伴う痛み
慢性的な痛みは、単に「痛い場所だけの問題」とは限りません。
痛みが続くことで身体を動かす機会が減り、筋肉がさらにこわばったり、睡眠が浅くなったり、不安やストレスが強くなったりすることがあります。
現在では慢性疼痛は、身体の組織だけを見るのではなく、身体的・心理的・社会的な要因が複雑に関係する状態として考えられています。
「慢性疼痛=血行不良」とは限りません
肩こりや腰痛があると、「血流が悪いから痛いのでは?」と思う方も多いかもしれません。
たしかに、長時間同じ姿勢で過ごしたり、筋肉の緊張が続いたりすることで、局所の循環や筋肉の状態が痛みに関係する場合があります。
しかし、慢性的な痛みの原因をすべて血行不良だけで説明することはできません。
慢性疼痛には、筋肉や関節への負担、神経の過敏化、睡眠不足、運動不足、ストレス、過去のけがや病気など、さまざまな要素が関係します。
そのため、「血流だけを良くすれば治る」と考えるのではなく、生活習慣や身体の使い方、睡眠、ストレスなども含めて、その方の状態を総合的に考えることが大切です。
慢性的な痛みはQOLにも影響します
慢性疼痛で問題になるのは、痛みの強さだけではありません。
痛みが長く続くと、次のような影響が出ることがあります。
- 仕事や家事に集中しにくい
- 外出や運動を避けるようになる
- 寝つきが悪い、途中で目が覚める
- 朝起きても疲れが取れていない
- イライラしたり気分が落ち込みやすくなる
- 趣味や人との交流を楽しみにくくなる
このように慢性的な痛みは、QOL(生活の質)そのものに影響することがあります。
「これくらいなら我慢できる」と考える方も多いですが、痛みのために睡眠や活動量、気分まで変わってきている場合には、一度身体の状態を見直してみることをおすすめします。
妊活中の肩こり・腰痛を我慢しなくても大丈夫です
妊活や不妊治療をしていると、どうしても卵子・精子・ホルモン値・子宮内膜・採卵・胚移植など、「妊娠に直接関係すること」が優先されます。
そのため、肩こりや腰痛、頭痛などは、
「妊活とは関係ないから後回しにしよう」
「薬を飲みたくないから我慢しよう」
と考えてしまう方も少なくありません。
ただし、肩こりや腰痛を治療すれば妊娠率が上がる、卵子の質が上がるという直接的な関係が十分に証明されているわけではありません。
一方で、痛みが続いて「眠れない」「疲れる」「身体を動かしたくない」「気持ちに余裕がない」という状態になれば、妊活中の日常生活にも負担がかかります。
妊娠率だけを考えるのではなく、不妊治療を続けていく身体のコンディションを整えるという視点も大切です。
慢性的な痛みと自律神経
痛みと自律神経は相互に関係していると考えられています。
ただし、「肩こりがあるから自律神経が乱れる」「首こりがあると女性ホルモンが低下する」と単純に結びつけることはできません。
自律神経は、心拍・血圧・消化・発汗・体温調節など身体のさまざまな機能に関わっています。痛みやストレス、睡眠不足など複数の要因によって、その働きに変化がみられる場合があります。
慢性疼痛に鍼灸は効果がある?
鍼灸は、慢性的な痛みに対して研究が比較的多く行われている分野の一つです。
これまでの研究では、慢性腰痛、首の痛み、肩の痛み、変形性関節症、慢性頭痛などに対して、鍼治療が痛みの軽減に役立つ可能性が報告されています。
大規模な臨床試験データをまとめた研究でも、慢性疼痛に対する鍼治療は、無治療だけでなく偽鍼との比較でも一定の差が報告されています。
ただし、効果には個人差があり、鍼灸を受ければすべての慢性疼痛が治るわけではありません。
痛みの原因によっては、整形外科などでの診断や薬物療法、運動療法、理学療法などを組み合わせることも大切です。
鍼灸では身体全体を確認します
当院では、肩が痛いから肩だけ、腰が痛いから腰だけを見るのではなく、姿勢や筋肉の緊張、睡眠、冷え、疲労、ストレスなども確認しながら施術内容を調整しています。
鍼の刺激量についても、その日の体調や鍼への慣れ方に合わせて調整します。
鍼に対して「痛そう」「怖い」というイメージがある方もいらっしゃいますが、使用する鍼の太さや本数、刺激量は一人ひとりに合わせることができます。心配な方は施術前に遠慮なくお伝えください。
妊活中に鍼灸を受ける場合
妊活中に肩こりや腰痛がある場合も、その症状だけを切り離して考える必要はありません。
宇都宮鍼灸良導絡院では、月経周期や不妊治療のスケジュール、その日の体調を確認しながら、妊活のための施術と首肩こり・腰痛・頭痛などのケアを組み合わせています。
たとえば、
- 首や肩のこりがつらい
- 腰痛が続いている
- 頭痛を繰り返している
- 身体の緊張が抜けにくい
- 寝つきが悪い、眠りが浅い
- 不妊治療による疲労やストレスを感じている
といった症状がある場合には、妊活と関係がないと決めつけず、ご相談ください。
痛みがあるときは、まず医療機関への受診が必要な場合もあります
鍼灸が選択肢となる慢性疼痛は多くありますが、すべての痛みを鍼灸だけで判断することはできません。
特に次のような症状がある場合は、まず医療機関での評価が必要です。
- 突然始まった非常に強い痛み
- 急速に悪化している痛み
- 手足の強いしびれや筋力低下
- 歩きにくさが急に出てきた
- 排尿・排便に異常がある
- 発熱や強い全身倦怠感を伴う
- 転倒や事故のあとから強い痛みがある
- がんなどの既往があり、新しい強い痛みが出てきた
原因がはっきりしない強い痛みや、これまでとは違う症状がある場合も、自己判断で我慢せず医療機関にご相談ください。
慢性疼痛は「我慢する」より、上手に向き合うことが大切です
慢性的な肩こりや腰痛は、「昔からだから」「仕事をしていれば仕方がない」と我慢されやすい症状です。
しかし、痛みが原因で眠れなかったり、仕事や家事に集中できなかったり、気持ちに余裕がなくなっているのであれば、すでに日常生活にも影響が出ています。
慢性疼痛は一つの原因だけで起こるとは限らないため、必要に応じて医療機関で評価を受けながら、運動、睡眠、生活習慣、ストレス対策、鍼灸など、自分に合った方法を組み合わせていくことが大切です。
妊活中の方も、「妊娠と直接関係ない症状だから」と後回しにしすぎず、身体を少しでも楽な状態に整えながら治療を続けていきましょう。
不妊治療中は、採卵や移植、検査結果など考えることが多く、自分自身の肩こりや腰痛は後回しになりがちです。
しかし、「肩が楽になった」「腰が気にならなくなった」「少し眠りやすくなった」という身体の変化も、長い妊活を続けていくうえでは大切だと私たちは考えています。
痛みを我慢している方は、施術の際に遠慮なくお伝えください。その日の身体の状態に合わせて施術を組み立てていきます。
Q. 肩こりや腰痛だけでも鍼灸を受けて大丈夫ですか?
A. はい。肩こり・首の痛み・腰痛などの筋骨格系の症状は、鍼灸が研究されている代表的な分野です。ただし、症状によっては先に医療機関への受診をご案内する場合があります。
Q. 肩こりを治せば妊娠しやすくなりますか?
A. 肩こりや腰痛を改善することで妊娠率が上がると断定できる十分な根拠はありません。ただ、痛みが軽くなることで睡眠や活動量、日々の過ごしやすさが改善することは、妊活中の体調管理という意味で大切です。
Q. 不妊鍼灸と肩こりの施術を同時に受けられますか?
A. はい。当院では月経周期や不妊治療の状況を確認しながら、その日に気になる肩こり・腰痛・頭痛なども含めて施術内容を調整しています。
Q. 鍼が怖いのですが受けられますか?
A. 鍼の太さや本数、刺激量は調整できます。鍼が苦手な方には刺激を控えめにするなど対応していますので、施術前にお知らせください。
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📚参考文献
- [1] International Association for the Study of Pain(IASP). Definitions of Chronic Pain Syndromes.
慢性疼痛の定義や分類について解説しています。 - [2] Vickers AJ, Cronin AM, Maschino AC, et al. Acupuncture for Chronic Pain: Individual Patient Data Meta-analysis. Arch Intern Med. 2012;172(19):1444-1453.
慢性腰痛、首肩痛、変形性関節症、慢性頭痛などに対する鍼治療の効果を検討した個別患者データメタ解析です。 - [3] World Health Organization(WHO). WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care settings. 2023.
慢性腰痛について、運動療法や鍼治療などを含めた非外科的な管理方法をまとめたWHOのガイドラインです。 - [4] National Institute for Health and Care Excellence(NICE). Low back pain and sciatica in over 16s: assessment and management. NG59.
腰痛や坐骨神経痛の評価、セルフマネジメント、運動療法などについてまとめた診療ガイドラインです。
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
慢性的な肩こり・腰痛を我慢していませんか?
妊活や不妊治療を続けていると、採卵や移植、検査結果などが優先になり、肩こりや腰痛、頭痛などの不調はつい後回しになってしまいます。
痛みをなくせば妊娠できるというわけではありませんが、身体のつらさを少しでも減らし、眠りやすく、日々を過ごしやすい状態に整えていくことも、妊活中の大切な体調管理の一つです。
大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、不妊治療の段階や月経周期を確認しながら、妊活のための施術とともに、肩こり・腰痛・頭痛・冷え・睡眠など、その日に感じている全身の不調もあわせて確認しています。
「これくらいなら我慢できる」と抱え込まず、気になる症状があればお気軽にご相談ください🍀







