
高温期に体温が下がる人の共通点
妊活中の方からよくあるご相談が、
「高温期なのに体温がガタガタします」
「数日で下がってしまいます」
というものです。
基礎体温は妊娠の可否を直接決めるものではありませんが、黄体機能の状態を反映する間接指標として重要です。
今回は、黄体期に体温が不安定になる背景を、研究データをもとに整理します。
高温期とは何か
排卵後、卵巣から分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)は体温を上昇させます。
プロゲステロンは、
- 子宮内膜を着床可能な状態に整える
- 免疫環境を調整する
- 妊娠維持を助ける
という重要な役割を持ちます。
したがって、
- 高温期が短い
- 途中で下がる
- 上がりきらない
場合、黄体機能の問題が疑われることがあります。
高温期が下がりやすい人の共通点
① 黄体機能不全(Luteal Phase Defect)
黄体期が10日未満、またはプロゲステロン分泌が十分でない状態。
プロゲステロン不足は着床率低下と関連することが報告されています。
② 慢性的ストレス
ストレスは視床下部–下垂体–卵巣軸(HPO軸)に影響します。
コルチゾール上昇は、
- 排卵障害
- 黄体機能低下
- 妊娠率低下
と関連することが報告されています。
③ 低BMI・急激な体重減少
エネルギー不足は視床下部機能を抑制し、プロゲステロン分泌が不安定になります。
過度なダイエットや激しい運動も影響します。
④ 睡眠不足
メラトニン分泌異常や自律神経バランスの乱れはホルモン分泌に影響します。
近年、酸化ストレスと卵巣機能の関連も報告されています。
⑤ 黄体期の飲酒
排卵後のアルコール摂取が妊娠率低下と関連する可能性が示唆されています。
ホルモン環境や子宮内膜受容能への影響が理論的に考えられています。
体温が下がった=妊娠できない?
必ずしもそうではありません。
基礎体温は、
- 睡眠
- 測定時間
- 体調
- 室温
の影響を受けます。
しかし、
- 高温期が毎回短い
- 10日未満
- 排卵後すぐ下がる
場合は、医療機関でのホルモン評価が推奨されます。
臨床的に重要な視点
黄体期は単に「体温が高い期間」ではありません。
- 子宮内膜が受精卵を受け入れる準備をする期間
- 免疫寛容が形成される期間
- 妊娠成立の最終ステップ
です。
黄体期を安定させることは、妊娠率向上に直結する重要要素です。
まとめ
高温期が不安定な方に多い要素は、
- 慢性ストレス
- 睡眠不足
- 低体重・急激な体重減少
- 過度な運動
- 排卵後の飲酒
基礎体温は結果であり、身体の内部環境の反映です。
高温期を整えることは、着床環境を整えることと同義です。


📚参考文献
- Berga SL, Loucks TL. The diagnosis and treatment of stress-induced anovulation. Minerva Ginecol. 2005;57(1):45–54. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15758865
- Louis GM et al. Stress reduces conception probabilities across the fertile window. Hum Reprod. 2011;26(3):533–540. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2975045/
- Nepomnaschy PA et al. Cortisol levels and very early pregnancy loss. Hum Reprod. 2006;21(3):795–801.







