
高温期に体温が下がる理由は? 妊娠できないサインとは限らない見方と受診の目安
妊活中の方からよくあるご相談に、「高温期なのに体温がガタガタする」、「高温期に入ったと思ったら数日で下がった」というものがあります。
基礎体温が下がると、「排卵していないのでは?」「黄体機能が弱いのでは?」「妊娠しにくいのでは?」と不安になる方も多いと思います。
ただし、基礎体温はとても繊細で、睡眠時間や測る時刻、体調、室温などの影響も受けます。1日や2日の体温低下だけで、すぐに異常と判断できるわけではありません。一方で、毎周期のように高温期が短い、なかなか高温が続かないといった場合は、排卵後のホルモン環境を確認したほうがよいこともあります。
- 高温期に体温が少し下がる日があっても、それだけで異常とは限りません。
- 基礎体温は、睡眠時間・測定時刻・体調・室温などの影響を受けやすい指標です。
- 一方で、高温期が毎回短い、排卵後すぐ下がる、体温の上がり方が弱い状態が続く場合は、黄体期のホルモン環境を確認したほうがよいことがあります。
- ストレス、睡眠不足、急激な体重減少、過度な運動、飲酒などの生活習慣が影響することもあります。
- 大切なのは1日ごとの変化に振り回されすぎず、数周期を通して傾向を見ながら、必要に応じて医療機関へ相談することです。


目次
高温期に体温が下がるのはよくあること?
まず大切なのは、高温期の体温は毎日ぴったり一定ではないということです。
排卵後は、黄体から分泌されるプロゲステロンの作用で体温が上がり、一般には低温期より少し高い状態が続きます。ただし、基礎体温は排卵後の変化をあとから確認するための目安であり、これだけで黄体機能や妊娠しやすさを正確に判断することはできません。
そのため、高温期中に1回体温が下がったからといって、すぐに妊娠しにくいと判断する必要はありません。まずは、単発の変動なのか、毎周期くり返しているのかを分けて考えることが大切です。
高温期とは何か
高温期とは、排卵後から月経前までの時期、つまり黄体期のことです。
排卵後は、卵胞が黄体に変化し、プロゲステロンを分泌します。プロゲステロンには、子宮内膜を着床しやすい状態へ整えること、妊娠初期の環境を支えること、体温を上昇させることなどの役割があります。
このため、高温期が極端に短い、高温への移行がはっきりしない、排卵後すぐに体温が下がるといったパターンが続く場合には、排卵や黄体機能を含めた確認が必要になることがあります。
高温期に入ったと思ったら下がる主な理由
1.測定条件のばらつき
もっとも多いのは、ホルモン異常ではなく測定条件の違いです。
基礎体温は、起床時刻のズレ、睡眠不足、夜中に何度も起きた、飲酒、風邪気味、室温の変化などの影響を受けます。1日だけ低い日があっても、その1回だけで高温期異常とまでは言えません。
2.まだ排卵直後で体温が安定していない
排卵後すぐに、全員がきれいに階段状に体温上昇するわけではありません。数日かけて高温相へ移行する人もいます。そのため、「高温期に入ったと思ったら翌日少し下がった」だけでは異常とは限りません。
3.黄体機能が十分でない可能性
高温期が毎回短い、体温上昇が弱い、排卵後すぐ下がるといったパターンが続く場合は、黄体からのプロゲステロン分泌が十分でない可能性が考えられます。
一般に、黄体期が10日以下であることは一つの目安とされますが、基礎体温だけで黄体機能不全を確実に診断することはできません。気になる場合は、自己判断ではなく医療機関で相談することが大切です。
4.ストレスの影響
強いストレスや慢性的なストレスは、視床下部―下垂体―卵巣系に影響し、排卵や黄体機能に関わるホルモン分泌を乱す可能性があります。
ストレスがあるから必ず高温期が乱れる、というわけではありませんが、睡眠や食事、生活習慣の乱れと重なることで、基礎体温にも変化が出やすくなることがあります。
5.低栄養・急激な体重減少・過度な運動
エネルギー不足は排卵機能に影響し、結果として黄体期の不安定さにつながることがあります。極端なダイエットや急な体重減少、強すぎる運動負荷は注意が必要です。
妊活中は、体重だけでなく、十分な栄養がとれているかという視点も大切です。
6.飲酒など生活習慣の影響
アルコールと妊娠率の関係には研究ごとの差がありますが、妊活中は控えめにするほうが安心です。とくに排卵後の時期は、身体を整える期間として意識して過ごすことが大切です。
体温が下がった=妊娠できない、ではありません
高温期中に体温が下がる日があること自体で、妊娠できないと判断することはできません。
基礎体温は、黄体ホルモンの影響を受ける間接指標ではありますが、妊娠の可否や黄体機能を単独で決める検査ではありません。
大切なのは、単発の体温低下ではなく、周期全体のパターンを見ることです。
- 高温期が毎回10日未満
- 排卵後すぐ月経が来るように感じる
- 高温相へ移行しにくい周期が続く
- 不正出血や月経不順もある
こうした場合は、ホルモン採血や排卵確認を含めて医療機関で相談する意味があります。
受診を考えたい目安
次のような場合は、一度婦人科や不妊治療クリニックで相談すると安心です。
- 高温期が毎回短く、10日前後より短いことが多い
- 高温期に入ってもすぐ体温が下がるパターンが続く
- 月経不順、排卵しにくさ、強い月経痛、不正出血を伴う
- 妊活を続けているが妊娠に至らない
特に、35歳以上で妊活を続けている方や、もともと月経不順がある方は、早めに相談することで今後の見通しが立てやすくなります。
不安なときの見方
基礎体温は、毎日完璧である必要はありません。見るべきなのは「1回の下がり」ではなく、数周期を通した傾向です。
不安が強いと、1日の体温低下がとても大きな意味を持つように感じてしまいます。けれど実際には、基礎体温はホルモンだけでなく生活条件にも左右されます。まずは、同じ時刻・同じ条件で記録しながら、周期全体の流れを見ていくことが大切です。
そして、毎周期くり返す異常パターンがあるときは、自己判断で抱え込まず、必要に応じて検査につなげることが大切です。高温期を安定させるためには、排卵の有無、黄体ホルモン、甲状腺機能、体重変化、睡眠やストレスなどを含めて、全体像で見る必要があります。
まとめ
高温期に体温が下がること自体は、必ずしも異常ではありません。基礎体温は測定条件の影響を受けやすく、1日だけの低下で妊娠しにくさを判断することはできません。
ただし、高温期が毎回短い、排卵後すぐ下がる、体温上昇が弱いといった傾向が続く場合は、黄体期のホルモン環境や排卵状態を確認したほうがよいことがあります。
基礎体温は「妊娠できる・できない」を断定するものではなく、身体の変化をみるための一つの手がかりです。不安になりすぎず、でも同じパターンが続くときは早めに相談する。このバランスが大切です。
高温期に1日だけ体温が下がっても大丈夫ですか?
1日だけ体温が下がったからといって、すぐに異常とは限りません。基礎体温は、睡眠不足や起きた時間のズレ、体調の変化などでも動くためです。大切なのは、その後ふたたび高温を保てているか、毎周期同じようなパターンが続いていないかを見ることです。
高温期に入ったと思ったのにすぐ下がるのは、排卵していないからですか?
必ずしもそうとは限りません。排卵後すぐに体温がきれいに上がらず、数日かけて高温相へ移行する方もいます。ただし、毎回のように高温期が短い、上がりきらない、すぐ下がるといった状態が続く場合は、排卵や黄体機能を含めて確認したほうが安心です。
高温期が何日くらい続けばよいですか?
個人差はありますが、一般的には高温期はおおむね12〜14日前後続くことが多いです。毎回10日未満の周期が続く場合は、一度婦人科や不妊治療クリニックで相談してみるとよいでしょう。
高温期に体温が下がると、妊娠しにくいのでしょうか?
基礎体温だけで妊娠しやすさを判断することはできません。高温期に少し体温が下がる日があっても、妊娠に至ることはあります。ただし、高温期が極端に短い、排卵後すぐ月経が来るように感じるなどの傾向が続く場合は、身体の状態を確認する意味があります。
高温期を安定させるためにできることはありますか?
まずは、基礎体温をできるだけ同じ条件で測ることが大切です。そのうえで、睡眠を整える、無理なダイエットを避ける、過度な運動や飲酒を控える、ストレスをため込みすぎないといった生活習慣の見直しも役立ちます。気になる状態が続く場合は、自己判断だけで抱え込まず、医療機関に相談してみてください。
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📚参考文献
- American College of Obstetricians and Gynecologists. Evaluating Infertility.
- American College of Obstetricians and Gynecologists. Fertility Awareness-Based Methods of Family Planning.
- American Society for Reproductive Medicine. Diagnosis and treatment of luteal phase deficiency: a committee opinion.
- NICE. Fertility problems: assessment and treatment.
- Baker FC, et al. Temperature regulation in women: Effects of the menstrual cycle.
- Louis GM, et al. Stress reduces conception probabilities across the fertile window.
- Andrews MA, et al. Dietary factors and luteal phase deficiency in healthy eumenorrheic women.
- Anwar MY, et al. The association between alcohol intake and fecundability during menstrual cycle phases.
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
高温期の体温変化が気になる方へ
高温期に体温が下がると、「このままで大丈夫かな」「何か原因があるのかな」と不安になることもあると思います。
基礎体温は、睡眠や体調、生活リズムの影響も受けるため、1回の変化だけで判断しすぎなくて大丈夫です。ただ、高温期が毎回短い、排卵後すぐに体温が下がる、周期全体が不安定といった状態が続く場合は、身体の状態を丁寧に見直していくことも大切です。
宇都宮鍼灸良導絡院では、妊活中のお身体の状態をうかがいながら、周期や体調に合わせて施術を行っています。病院での治療と併用しながら通われている方も多くいらっしゃいます。
「受診するほどか分からないけれど気になる」「基礎体温の見方に不安がある」という方も、お一人で抱え込まずお気軽にご相談ください🍀







