
着床不全(RIF)とは?原因・検査・治療を医学論文から徹底解説
良好な胚を移植しているのに、なかなか妊娠に至らない――。
このような経験をされる方は少なくありません。
近年、研究が進むにつれ、着床は「胚の質」「子宮内膜」「免疫」「ホルモン」「子宮収縮」など複数の因子が関わる極めて複雑なプロセスであることが明らかになっています。
この記事では、最新の医学論文をもとに、着床不全(RIF:Recurrent Implantation Failure)の原因や検査、治療、そして鍼灸が補助療法としてどのように役立つのかを詳しく解説します。
目次
着床不全(RIF)とは
着床不全(RIF:Recurrent Implantation Failure)には世界で統一された明確な定義はありませんが、代表的な基準は以下です。
- 良好胚(胚盤胞)を3〜4回以上移植しても妊娠に至らない状態(Coughlan et al., 2014)
- PGT-Aで正常胚を2回移植しても妊娠しない場合(Munne et al., 2019)
これは「治療がうまくいっていない」というより、胚側・子宮側・母体側の要因が重なって着床が成立しない状態を示しています。
着床不全の主な原因(医学論文より)
1. 胚側の原因(染色体異常)
着床不全の最大の要因とされるのが、胚の染色体異常です。
年齢とともに異常率は増加し、40歳前後では胚の70%以上が異常となることも報告されています。
PGT-A研究では、正常胚を選別することで妊娠率が大きく改善したとされています(Munne et al., Fertil Steril, 2019)。
2. 子宮内膜因子(厚さ・血流・受容性)
- 内膜の厚さ:内膜7mm未満は妊娠率が低下(Kasius et al., Hum Reprod Update, 2014)
- 着床窓のずれ(内膜受容性):ERA検査では約30%の女性にズレがあると報告(Ruiz-Alonso et al., 2013)
着床窓が数時間〜数十時間ずれるだけで胚が着床しにくくなり、移植日を調整する「個別化胚移植(pET)」で妊娠率が上がった例もあります。
3. 慢性子宮内膜炎(CE:Chronic Endometritis)
慢性子宮内膜炎はCD138陽性形質細胞が増えた状態で、RIFの30〜56%で見られるとも報告されています(McQueen et al., 2014)。
抗生剤治療で改善した患者では、妊娠率が有意に上昇した例が多数あります。
さらに杉山産婦人科(黒田医師)の研究では、 「形質細胞5個以上」で妊娠率が最も低下するというデータも出ています。
4. 子宮の収縮(コンパクション)
胚移植時の子宮収縮が強いと、胚の排出・着床障害につながる可能性があります。
Fanchinらの研究(1998)では、移植直後の収縮が強いほど妊娠率が下がることが示されました。
ホルモン補充周期は子宮収縮が増えやすいため、治療時期・方法の見直しが必要なケースもあります。
5. 免疫・血液凝固異常
- 抗リン脂質抗体症候群:着床障害・流産と強く関連
- 血液凝固異常(血栓体質)
- NK細胞の過活性など免疫バランスの乱れ
ただし、免疫治療はまだ標準治療として確立しておらず、エビデンスが限定的である点に注意が必要です。
6. 全身要因(甲状腺・ビタミンDなど)
- TSH高値(>2.5)は着床率低下の報告(Reh et al., 2010)
- ビタミンD不足はART妊娠率の低下と関連(Rudick et al., 2014)
妊活中は身体全体のコンディションが子宮に大きく影響します。
着床不全で推奨される検査
■ 子宮内環境
- 子宮鏡検査
- 慢性子宮内膜炎(CD138染色)
- ERA(内膜受容性)
■ 血液検査
- 甲状腺(TSH/FT4)
- 抗リン脂質抗体
- ビタミンD(25(OH)D)
■ その他
- 内膜厚・血流
- ホルモン(E2, P4)
- 子宮の収縮評価
着床不全の治療アプローチ(科学的根拠あり)
1. 慢性子宮内膜炎の治療
抗生剤で治療後に妊娠率が改善したとする研究は多く、
Cicinelliらの研究では妊娠率が約2倍に上昇しました。
2. ERAによる個別化胚移植(pET)
着床窓のずれがある女性で、移植日を調整することで妊娠率が改善した報告があります(Ruiz-Alonso et al., 2013)。
3. 子宮収縮の抑制(アトシバンなど)
アトシバン投与で妊娠率が改善した研究もあり(Ng et al., 2014)、
子宮収縮が強いタイプのRIFには効果が期待されます。
4. ビタミンD補給(不足例)
ビタミンD不足の女性はART妊娠率が低下し、補給による改善報告もあります(Pacis et al., 2020)。
5. 子宮鏡下の治療
ポリープ・癒着・粘膜下筋腫を切除することで、妊娠率が有意に改善したとするメタ解析があります(Pundir et al., 2014)。
鍼灸は着床環境を整える「補助療法」として有効
鍼灸は体質改善を目的とした補助療法であり、以下の点で着床環境の改善が期待できます。
- 子宮・卵巣の血流改善(Stener-Victorin et al., 2006)
- 自律神経の調整によるストレス緩和
- 子宮収縮の抑制
- ホルモンバランスの安定
医療治療と併用することで、土台から整えるサポートとなります。
まとめ
着床不全(RIF)は、胚・子宮内膜・免疫・ホルモン・血流など複数の要因が複合的に関与する疾患です。
大切なのは、原因を正しく評価して適切な対策を行うこと、そして同時に、鍼灸・生活改善で妊娠しやすい身体の土台を整えることです。
宇都宮鍼灸良導絡院では、着床環境を整えるための施術・カウンセリングを行っています。「良好胚なのに着床しない」 「移植を繰り返しても妊娠しない」 このようなお悩みがある方は、一度ご相談ください。
📚参考文献
- Coughlan C, et al. Recurrent implantation failure: definition and management. Reprod Biomed Online. 2014.
- Ruiz-Alonso M, et al. The endometrial receptivity array for diagnosis and personalized embryo transfer. Fertil Steril. 2013.
- McQueen DB, et al. Chronic endometritis in women with recurrent implantation failure. Fertil Steril. 2014.
- Fanchin R, et al. Uterine contractions at the time of embryo transfer affect IVF outcome. Hum Reprod. 1998.
- Kasius A, et al. Endometrial thickness and pregnancy rates. Hum Reprod Update. 2014.
- Munne S, et al. PGT-A improves pregnancy rate. Fertility and Sterility. 2019.
- Pundir J, et al. Role of hysteroscopy in recurrent implantation failure. RBMO. 2014.
- Pacis MM, et al. Vitamin D deficiency and IVF outcomes. JCEM. 2020.
- Stener-Victorin E, et al. Acupuncture and uterine blood flow. Hum Reprod. 2006.
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