
妊活・妊娠中のストレスとセロトニンとの関係性とは?【幸せホルモン】
「なぜか体が痛い」「気分が落ち込んで前に進めない」――そんな悩みを抱える妊活中の方へ。近年、心身の不調の背景に注目されているのが、脳内に存在する「幸せホルモン」セロトニンです。
今回は、セロトニンが妊活にとってなぜ重要なのか、鍼灸がどのように役立つのかを詳しく解説します。
目次
セロトニンとは?脳と体をつなぐ“調整役”
セロトニンは脳内の神経伝達物質の一つで、心を安定させ、前向きな気分を作り出す働きを持ちます。必須アミノ酸であるトリプトファンから合成され、ビタミンB6やナイアシン、マグネシウムなどの栄養素を必要とします。
主な役割は次の通りです。
- 不安やイライラを抑え、精神を安定させる
- 痛みを和らげる(痛覚抑制)
- 自律神経のリズムを整え、睡眠ホルモン「メラトニン」に変換される
つまりセロトニンは、心・体・自律神経のバランスを支える土台と言えます。
妊活中の痛みとセロトニン不足の関係
妊活中の方の中には、原因がはっきりしない「体の痛み」や「慢性的な不調」に悩む方も少なくありません。セロトニンには痛みを抑える作用があるため、不足すると痛みの感じ方(痛覚閾値)が下がり、本来なら気にならない刺激にも強い痛みを感じやすくなることがあります。
- 肩こりや腰痛が長引く
- 生理痛が強く感じられる
- 移植周期に頭痛や体のだるさが出やすい
こうした症状は、セロトニン低下のサインである可能性もあります。
妊活ストレスとセロトニンの関係
妊活は「期待と不安」の繰り返しであり、精神的ストレスが大きくかかります。強いストレスはセロトニン神経に負担を与え、分泌を減少させる原因となります。
- 不安・悲しみ → ネガティブな感情が増える
- 痛みの感受性が高まる → 体調不良を感じやすい
- 女性ホルモンの変動 → セロトニン分泌の乱れを助長
この悪循環を断ち切るには、生活習慣やケアでセロトニン神経を育てることが重要です。
妊娠中とセロトニンの関係
妊娠中もセロトニンは、母体と胎児の健康に深く関わっています。
- ホルモン変動とセロトニン
妊娠期はエストロゲンやプロゲステロンの分泌が大きく変化します。特にエストロゲンはセロトニンの合成・分解酵素に影響し、妊娠中の気分や睡眠リズムに関与すると考えられています。 - 胎児発達への影響
妊娠初期の母体のセロトニンは、胎盤を介して胎児の脳発達に影響を与えることが報告されています。胎児期のセロトニン環境は、その後の神経回路形成や情動の発達に関係するとされます。 - 妊娠中のメンタルヘルス
セロトニン低下は、妊娠中の不安感やマタニティブルーズ、さらには産後うつのリスクにも関連があるとされています。生活習慣を整え、セロトニン分泌を保つことは母体の心の安定につながります。
セロトニンを増やす6つの習慣
- 規則正しい睡眠・朝の太陽浴
体内時計を整え、セロトニン分泌を促す - リズム運動
ウォーキングや軽いジョギングでセロトニン神経を活性化 - よく噛んで食べる
咀嚼刺激が脳のセロトニン分泌を助ける - 発酵食品&食物繊維で腸を整える
実は体内のセロトニンの約90%は腸で作られています - トリプトファンを含む食材を摂る
大豆製品、乳製品、卵、バナナなど - ビタミンB6を補う
サケ、ナッツ、抹茶などで代謝をサポート
鍼灸でセロトニンをサポートできる理由
鍼灸は東洋医学的なアプローチで、セロトニン神経の働きを助ける可能性が研究で示されています。
- 痛み抑制作用を通じてセロトニン神経をサポート
- 自律神経を整え、心身をリラックスへ導く
- 血流改善や筋緊張の緩和でストレスを軽減
- ホルモンバランスにも間接的にアプローチ
施術による「安心感」や「心地よさ」も、セロトニン分泌を助ける大切な要素です。
まとめ:セロトニンを味方に、妊活をより前向きに
妊活中の不調は、セロトニン不足が背景にある場合があります。生活習慣の見直しと鍼灸を組み合わせることで、セロトニン神経を育てやすい環境が整い、心も体も前向きな妊活につながります。
📚参考文献
- 厚生労働省 eヘルスネット(2024年6月25日閲覧)
- 日本医科大学 薬理学講座 小林克典(2024年6月25日閲覧)
- 小山なつ『痛みと鎮痛の基礎知識』技術評論社