
卵巣が腫れる原因は?緊急受診の目安と検査、妊活中の注意点
「婦人科の検診で『卵巣が腫れていますね』と言われたけれど、どうすればいいの?」
卵巣の腫れは、多くの女性にとって珍しいことではありません。不安になるかもしれませんが、ほとんどの場合、心配のない良性の一時的な変化です。しかし、まれに緊急の処置が必要なものや、経過観察が必要な病気が隠れていることもあります。
この記事では、卵巣の腫れの原因を最新のガイドラインに基づいて分かりやすく解説し、「どんな時に急いで病院に行くべきか」「どんな症状なら様子を見ていいか」の目安をご紹介します。
初期は気づきにくい卵巣の腫れ
卵巣が腫れても、初期には自覚症状がほとんどないことが一般的です。健康診断や婦人科での超音波(エコー)検査で偶然見つかるケースがよくあります。
敏感な方では、下腹部に軽い痛み、腰痛、便秘、頻尿などの症状を感じることもありますが、これらは排卵前後の生理的な変化や、後述する機能性嚢胞によるものが多く、通常は自然に軽快します。
ただし、突然の激しい痛みや吐き気を伴う場合は、卵巣捻転(ねんてん)の可能性があるため、救急受診が必要です。
卵巣が腫れる主な原因
卵巣の腫れには、一時的なものから、経過観察や治療が必要な卵巣嚢腫(のうしゅ)まで、さまざまな原因があります。
- ホルモンバランスの変化(機能性嚢胞):排卵に伴う卵胞嚢胞や、排卵後にできる黄体嚢胞などです。多くは数週間〜数か月で自然に縮小・消失します。
排卵による一時的な腫れ:排卵前後は卵胞が大きくなるため、軽い張り感や違和感が出ることがあります。 - 卵巣嚢腫・卵巣腫瘍:良性からまれな悪性(卵巣がん)まであります。主に、漿液性・粘液性といった上皮性腫瘍(もっとも多い)、皮様嚢腫などの胚細胞腫瘍に大別されます。
- 子宮内膜症による腫れ:卵巣子宮内膜症性嚢胞(いわゆるチョコレート嚢腫)です。月経血様の内容物が卵巣内にたまり、慢性的な下腹部痛や不妊の原因となることがあります。
- 排卵誘発剤の使用(OHSS):卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といい、体外受精などで卵巣を刺激した際に起こります。卵巣が腫れて腹部膨満や息苦しさを生じることがあります。
卵巣嚢腫の代表的な種類
- 漿液性・粘液性嚢腫:成人女性に多く、サイズが大きくなると周囲を圧迫する症状が出ることがあります。
- 皮様嚢腫(成熟奇形腫):20〜30代で多く見られ、毛髪や皮脂などの組織を含むことがあります。
- チョコレート嚢腫:月経に伴う強い痛み(月経困難症)や不妊との関連が知られています。
多くの嚢腫は良性であり、その大きさ、見た目(超音波所見)、症状に応じて経過観察か手術かが判断されます。特に閉経後に見つかった嚢腫は、悪性のリスク評価(超音波所見と腫瘍マーカーなど)が重要になります。
受診の目安:こんなサインは急いで!
以下の症状がある場合は、早めに婦人科を受診したり、救急車を呼ぶなど対応が必要です。
とくに急いだ方がよいサイン(救急または早めの受診)
- 突然の強い片側の下腹部痛、吐き気・嘔吐
→ 卵巣捻転(腫れた卵巣がねじれること)の疑いがあり、緊急手術が必要になることがあります。すぐに救急受診を。 - 腹部が急に張る、体重が増える、息苦しさ
→ OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の可能性があります。体外受精などの治療中の方は早めに主治医へ連絡・受診が必要です。
評価が必要なサイン(婦人科受診を推奨)
- 持続する骨盤痛、月経とは無関係の慢性的な下腹部痛
- 性交時の痛み(性交痛)
- 便通や排尿の仕方に変化がある(嚢腫が膀胱や腸を圧迫している可能性)
- 閉経後に新たにみつかった嚢腫
診断とフォローアップの基本
検査の基本
経腟超音波(エコー)検査
嚢腫の大きさ、構造(水の塊か、充実した部分があるか、など)を確認し、良性・悪性を鑑別する上で最も重要な検査です。
血液検査(例:CA125などの腫瘍マーカー)
特に閉経後や超音波で複雑な所見が見られる場合のリスク評価に補助的に用いられます。若年の方では、月経や子宮内膜症などでも値が上昇することがあるため、解釈には注意が必要です。
経過観察 vs 手術
- 単純で小さい機能性嚢胞:多くは数か月で自然に消失するため、定期的な超音波検査で様子を見ます。
- 症状がある、増大している、複雑な構造、または閉経後:婦人科で精密検査を行い、必要に応じて手術を含めた治療を検討します。
妊活中・治療中の方へ
排卵誘発や体外受精の過程では、卵巣が一時的に腫れやすくなっています。腹部膨満や急な体重増加、息苦しさなどのOHSSの症状が見られたら、すぐに主治医へ相談し、重症化を防ぐための適切な管理を受けましょう。
まとめ
卵巣の腫れの多くは良性で自然に治ることもありますが、急な強い痛みは救急受診のサインです。
診断の基本は経腟超音波検査であり、定期的なチェックが重要です。症状や検査で異常を指摘された場合は、必ず主治医に相談し、適切な診断とフォローアップを受けてください。
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