
流産後の鍼灸治療はいつから受けられる?
目次
流産後に鍼灸はいつから始められる?
「初期の稽留流産で掻爬手術を受けました。今回で2度目の流産なので、体質改善をしたくて鍼灸を受けたいのですが、いつから通い始められますか?」このようなご相談をメールでいただきました。
流産を経験された方にとって、次の妊娠に向けた身体づくりはとても重要です。今回は、流産後の鍼灸治療を始める時期や注意点について、最新の情報を交えながらご紹介します。
流産後の月経と体の回復について
初期流産後は、一般的に2〜4週間以内に月経が再開します。ただし、身体が本来のホルモンバランスに戻るには2〜3ヶ月程度かかると言われています。月経が再開しても、排卵機能や子宮環境が整っていないこともあるため、回復期間中の身体のケアが大切です。
流産後の妊活再開時期について
流産後、次回の妊娠に向けて避妊期間を設ける必要があるかどうかは、医学的には一律の基準はありません。近年の研究では、流産後すぐの妊娠でも、妊娠率や出産率は低下しないという報告があります。
鍼灸はいつから受けられる?
【基本的な考え方】
手術後の出血が落ち着き、体調が安定している場合は、鍼灸を受けていただけます。掻爬手術後すぐに開始してもよい場合もありますが、まずは主治医に確認を。
【以下のような状態では鍼灸を控えます】
- 発熱や強い腹痛がある
- 出血が長引いている
- 子宮内に内容物が残っていると診断されている
- 感染症の疑いがある
鍼灸治療の目的と効果
流産後の鍼灸治療は、次の妊娠に向けた体づくりとして非常に有効です。
【鍼灸によって期待できる作用】
- 血流改善:子宮や卵巣への血流を促進し、内膜の回復を助ける
- 自律神経の調整:ホルモン分泌のバランスを整える(FSH、LH、エストロゲンなど)
- ストレス緩和:心身のリラックスにより、回復を早める
- 睡眠・胃腸機能の改善:体調全体の底上げを支える
免疫グロブリン注射について(Rh型の場合)
流産後、母体がRh陰性で胎児がRh陽性だった場合は、次回妊娠時の免疫反応によるリスクを防ぐために「抗D免疫グロブリン」の注射が必要です。これにより、次回妊娠時の赤ちゃんの赤血球が母体に攻撃されることを防ぐことができます。
流産後の鍼灸は体質改善の第一歩
流産を繰り返してしまうと、「体質に原因があるのでは…」と悩む方も少なくありません。鍼灸は、身体の内側から整えることで、体質改善・子宮環境の回復・ホルモンの安定をサポートします。特に2回以上流産を経験された方には、再発防止のための全身的ケアが重要です。
最後に
鍼灸治療の開始時期については、体調や手術内容、医師の診断を踏まえたうえで判断されるのが理想です。もしご不安なことや分からないことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。お電話でのご質問も随時承っております。
参考文献
- 日本産科婦人科学会「流産」
- WHO “Managing complications in pregnancy and childbirth” (2017)
- 厚生労働省『母子保健に関する基礎知識』(2022)