
流産後の鍼灸治療はいつから受けられる?【妊活再開のタイミング】
流産は、心と体に大きな負担をかける出来事です。特に、次の妊娠に向けて「身体を整えたい」と考えている方にとって、流産後の過ごし方は非常に重要です。
この記事では、流産後の鍼灸治療を始める適切な時期や、その目的・効果について、専門家の視点から詳しく解説します。
目次
流産後の身体の回復と妊活再開のタイミング
流産後の身体は、ホルモンバランスが大きく変動し、回復には時間が必要です。
月経とホルモンバランスの回復
初期流産後、月経は一般的に2~4週間以内に再開します。しかし、月経が再開したからといって、すぐに妊娠できる状態に戻っているわけではありません。子宮内膜が元の厚みに戻り、排卵機能が安定するためには、2~3ヶ月程度の期間が必要だと考えられています。
妊活再開の最新の知見
これまでの日本の産婦人科では、流産後の子宮の回復を待つために、1~3周期の避妊が推奨されることが一般的でした。しかし、近年の研究では、流産後すぐの妊娠でも、妊娠率や出産率が低下しないという報告が複数あります。
- 世界保健機関(WHO): 流産後の妊活再開について、最低でも6ヶ月の期間を空けることを推奨していましたが、現在はその推奨がなくなりました。
- アメリカ産科婦人科学会(ACOG): 流産後すぐに妊活を再開しても安全であるという見解を示しています。
これは、流産後の子宮が次の妊娠に向けて良い状態にある可能性があるという考えに基づいています。
参考文献: 日本産科婦人科学会「流産」、WHO “Managing complications in pregnancy and childbirth” (2017)より、厚生労働省『母子保健に関する基礎知識』(2022)
ただし、これはあくまで一般的な話であり、個人の身体の状態や流産の原因によって異なります。妊活を再開する際は、必ず主治医に相談し、適切なアドバイスを受けることが大切です。
流産後の鍼灸はいつから始められる?
流産後の鍼灸治療は、身体の回復をサポートし、次の妊娠に向けた体質改善を促すために非常に有効です。
鍼灸開始の基本的な考え方
手術後の出血が落ち着き、体調が安定している場合は、鍼灸治療を受けていただけます。掻爬手術後すぐに開始することも可能ですが、まずは主治医に相談し、出血の量や腹痛の有無、子宮内に内容物が残っていないかなど、ご自身の状態を確認してから始めるようにしましょう。
鍼灸を控えるべき状態
以下のような症状がある場合は、感染症のリスクなどを考慮し、鍼灸を控えるべきです。
- 発熱や強い腹痛がある
- 出血が長引いている(鮮血が続く場合)
- 子宮内に内容物が残っていると診断されている
- 感染症の疑いがある
流産後の鍼灸治療の目的と効果
流産後の鍼灸治療は、単に次の妊娠を促すだけでなく、心と身体の回復を助ける役割も担います。
鍼灸によって期待できる作用
- 血流改善: 子宮や卵巣への血流を促進することで、流産によってダメージを受けた子宮内膜の回復を早め、次の妊娠に向けてふかふかな子宮環境を整えます。
- 自律神経の調整: 流産後の心身のストレスは、自律神経のバランスを乱し、ホルモン分泌に悪影響を与えることがあります。鍼灸は、自律神経を整えることで、ホルモンバランスの安定をサポートします。
- ストレス緩和: 不安や悲しみといった精神的な負担を和らげ、心身ともにリラックスさせる効果があります。
- 体質改善: 胃腸の機能や睡眠の質を改善し、身体全体のコンディションを底上げすることで、流産を繰り返す原因となる体質を根本から見直します。
特に、2回以上流産を経験された方(習慣性流産)は、東洋医学的に身体の根本に原因があるケースも少なくありません。再発防止のため、全身のバランスを整えるケアが非常に重要となります。
知っておきたい!Rh型と免疫グロブリン注射
流産後、母体がRhマイナス(Rh−)で、胎児がRhプラス(Rh+)だった場合は、次回妊娠時に赤ちゃんに影響が出るリスクがあるため、「抗D免疫グロブリン」の注射が必要です。この注射は、母体の免疫反応を抑え、次の妊娠時の赤ちゃんの赤血球が母体に攻撃されるのを防ぎます。
これは流産後の処置として非常に重要なため、担当医師に確認するようにしましょう。
まとめ:流産後の鍼灸は、次の妊娠に向けての第一歩に
流産後の身体は、次に赤ちゃんを迎え入れるための準備期間です。
鍼灸は、この大切な期間に、心と身体を整えるための有効な手段です。流産後のつらい経験を乗り越え、安心・安全な妊活を再開するために、ぜひ専門家にご相談ください。
「流産を経験したけど、いつから鍼灸を始められるの?」
「次の妊娠に向けて、どんな体質改善をすればいいの?」
ご不安なことや疑問があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。