早発閉経?早発卵巣不全?閉経状態が不妊鍼灸で生理再開 卵子凍結を決意
早発閉経と早発卵巣不全
『産科婦人科用語集・用語解説集改訂第4版』によれば、「早発卵巣不全」とは、40歳未満で卵巣性無月経(卵巣からの月経がない状態)となる病態を指します。この病態には、早発閉経とゴナドトロピン抵抗性卵巣と呼ばれる2つの状態が含まれます。早発閉経は40歳未満で卵胞が枯渇し、自然閉経を迎える状態を指し、閉経は月経が永久に停止した状態を意味します。閉経の診断には、女性が12カ月以上無月経となる必要があります。
早発卵巣不全の場合、卵胞の発育や排卵、妊娠、子供の可能性がありますが、早発閉経に限定すると、月経が永久に停止するため、妊娠や月経の再来の可能性はないことになります。
英語では、早発閉経は”premature menopause”と呼ばれ、早発卵巣不全は”primary/premature ovarian insufficiency (POI)”や”premature ovarian failure (POF)”と表現されます。
ただし、”gonadotropin-resistant ovary syndrome (GROS)”や”resistant ovary syndrome (ROS)”は、POIの病態を必ずしも反映していないとされ、最近はあまり使用されていないとされています。
参考:丸山哲夫. (2023). 過少月経の診断と治療. 産科と婦人科, 67(5), 507.
慶応義塾大学医学部産婦人科
鍼灸で月経が戻った
鍼灸治療によって月経が戻り、将来の選択肢を広げた不妊治療の事例
Tさんは、40歳を超えるまでの4年間、不妊治療を行ってきましたが、妊娠に至ることができませんでした。さらに、免疫学的な相性の問題が指摘され、夫婦関係も悪化し、離婚に至りました。
その後、Tさんは月経が止まり、月経周期が乱れるようになりましたが、精神的なストレスから婦人科を受診することもなく、妊娠を諦めていたそうです。
しかし、昨年2021年の8月に更年期のような症状が現れ、妊娠を諦めることができず、Tさんは当院に相談と治療に訪れました。週に1回の鍼灸治療を受けることで、Tさんの月経は徐々に改善されていきました。2022年6月には、7日間の正常な月経を迎えることができました。内膜もきちんと排出され、治療の効果が確認されました。
卵子凍結
現在、Tさんは将来の結婚に向けて卵子凍結を予定しています。彼女の年齢が40歳を超えているため、卵子の品質や数量が減少する可能性があるためです。卵子凍結は、将来の妊娠の選択肢を広げるための重要な手段です。Tさんはクリニックで行われるAMH(アンチミューラリアンホルモン)検査を受け、卵巣の予備能力や凍結のタイミングについて判断される予定です。
現在、事情により妊娠ができない方でも、卵子凍結を実施しているクリニックが増えています。
将来的に妊娠を考えている方や医学的な理由により妊娠が難しい方にとって、卵子凍結は貴重な選択肢となります。
卵子凍結は早い方がいい
卵子凍結は、自分の卵子を現在の状態で保存することで、将来の妊娠を可能にする方法です。凍結された卵子は、時間の経過や年齢の進行によって卵子の品質が低下するリスクから保護されます。また、凍結された卵子は長期保存が可能であり、必要な時に解凍して体外受精や顕微授精といった技術を使って妊娠を試みることができます。
卵子凍結を行うためには、まず医師との相談が必要です。医師は個々の状況を評価し、最適なタイミングや処理方法を提案します。一般的に、若い年齢での凍結がより有効とされています。しかし、40歳を超えると卵子の数量や品質が低下するため、できるだけ早めの検討が重要です。
卵子凍結は、不妊治療の一環として行われることもありますが、卵子の保存だけでなく、将来の妊娠の可能性を広げる手段としても注目されています。特に、結婚やパートナーシップを希望している方や、治療や手術によって卵子の品質に悪影響が及ぶ可能性がある方にとって、卵子凍結は重要な選択肢となるでしょう。
Tさんのように鍼灸治療によって月経が戻った経験を持つ方も、卵子凍結を検討する際には、医師と相談しながら最適な選択をすることが重要です。将来の選択肢を広げるために、積極的に行動に移してください。
Tさんの貴重な経験を通じて、不妊治療や卵子凍結に関心を抱いている方々にとって、参考になる情報となることを願っています。
また、卵子凍結だけでなく、心身の健康やライフスタイルの見直しも重要な要素です。ストレス管理や適切な栄養摂取、適度な運動など、健康的な生活習慣を整えることは、妊娠に向けての良い準備となるでしょう。
最後に、Tさんのように鍼灸治療が効果をもたらしたケースもありますが、個人差がありますので、必ずしも全ての方に同じ結果が得られるわけではありません。不妊治療や卵子凍結に関しては、個々の状況に合わせた総合的なアプローチが求められます。
※すべての方にあてはまるものではありません。効果の実感には個人差があります。