
2025年11月の投稿記事
採卵後のケアが鍵―OHSS予防と“水分+巡り”のサポート
大阪で不妊鍼灸を専門としている当院では、採卵後の体調管理にも力を入れています。採卵・排卵誘発後に起こりうる「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」は、早めの対応で重症化を防ぐことが可能です。特に「水分の管理」と「体内の巡り(血・水・気)」を整える鍼灸ケアが、鍼灸院ならではのサポートとして有効となります。
以下では、最新の論文・ガイドラインをもとに、採卵直後から取り組むべきポイントをまとめています。
OHSSとは/なぜ水分が関係するのか
OHSSは、排卵誘発・採卵時に卵巣が過剰に反応し、血管の透過性が亢進することで、血管内から体腔(腹腔・胸腔など)への水分移動が起こる状態を指します。
この水分移動によって、血液中の水分が減り「濃縮」状態となり、血液が粘くなったり体重が急増したり、むくみ・張り・呼吸苦・尿量減少などの症状が出る可能性があります。
よって、水分を適切に摂ることは、「血管内ボリュームを保つ」「濃縮を防ぐ」という観点から、予防ケアの一つとして位置づけられています。
最新のエビデンス(論文・ガイドライン)
V Smith「Prevention of Ovarian Hyperstimulation Syndrome: A Review」では、OHSSの予防戦略全体を整理し、水分管理もケア項目として言及されています。
Gullo G 他「Ovarian Hyperstimulation Syndrome (OHSS): A Narrative Review and Legal Implications」(2024年)では、血管透過性亢進・体液移動のメカニズムを最新にレビューしています。
American Society for Reproductive Medicine (ASRM)ガイドライン、「Prevention of Moderate and Severe OHSS」で、リスクの高い人に対して包括的な予防策を示しています。
ただし、「水分摂取だけでOHSSを防ぐ」という大規模なRCTデータは限定的であり、「水分管理は予防ケアの一部である」という位置づけです。
抑えておくべきポイント
「1 L/日以上」などの量はあくまで 最小目安 または「これ以下では避けるべき」という記述であって、最適量を定めた確固たるエビデンスではないとガイドライン自身が明記しています。例えばRCOGガイドラインでは、「There are no trials on the optimum regimen for managing fluid balance in women with OHSS.」と述べられています。
水分摂取は あくまで補助的なケアであって、OHSSの発症・重症化を防ぐためには、刺激法の選定、トリガー時の対応、凍結移植戦略、高リスク例のモニタリング強化などの 治療的・予防的措置が中心になります。
また「水をたくさん飲めばOK」という簡単なものではなく、例えば吐き気がある場合、十分飲めない状況では逆に脱水・血液濃縮のリスクが高まるなど、状況による配慮が必要とされています。
したがって、論文・ガイドラインの観点からは、
- 「水分摂取はOHSSケアの重要な構成要素として挙げられている」
- しかし、「どのくらいでどのように摂るか」「単独でどれだけ防げるか」といった詳細は 十分に確立されていない
ということになります。
鍼灸&不妊ケアの視点で水分・巡りを整える
当院では、不妊治療中および採卵後の方へ以下のようなサポートを行っています。
- 採卵後の体内「巡り」を整える:東洋医学では「気・血・水」の流れを大切にしており、鍼灸で血流やリンパの循環を促します。
- 水分バランスを整えるためのセルフケア指導:常温の水・経口補水液をこまめに摂ること、冷えを避けることをアドバイス。
- 食事・栄養フォロー:たんぱく質を意識した食事、塩分・カリウムバランスを保つことで体内の水滞(むくみ・張り)を軽減。
- 採卵直後〜2週間は体調が変わりやすいため、「腹部の張り」「体重1日+1kg以上」「尿量減少」などのサインに注意を促します。
水分摂取の具体的ポイント
- 標準目安:1日 2〜3リットル程度を目安に(個人差あり)
- 飲み方:一気に飲むのではなく、こまめに少しずつ
- 飲み物:常温の水または経口補水液がおすすめ。カフェイン・アルコール・冷たい飲料は控えめに
- 状況別配慮:採卵後の腹部膨満・むくみ・吐き気が強ければ、無理せず医師・治療機関へ相談
鍼灸院ができるサポート&来院のすすめ
大阪市内にある当院では、不妊治療を受けながら採卵後の体調管理を行っている方が多数いらっしゃいます。採卵後の “巡りを整える” 鍼灸ケアにより、体液の巡り・冷え・むくみなどを和らげることを目指しています。早期にサインをキャッチしてケアを始めることで、次のステップへの不安を軽くすることが可能です。
まとめ
採卵後のケアは、「ただ休めば良い」というものではなく、体内の“流れ”と“水分バランス”を整えることが重要です。大阪で不妊・鍼灸を専門とする当院では、採卵後のOHSS予防を視野に入れたサポートを行っています。気になるサインがあれば、早めにご相談ください。
📚参考文献
- Smith V. Prevention of Ovarian Hyperstimulation Syndrome: A Review. Hum Reprod Update. 2015;21(5):659-674.
- Gullo G., Cucinella G., Stojanovic V., et al. Ovarian Hyperstimulation Syndrome (OHSS): A Narrative Review and Legal Implications. J Pers Med. 2024;14(9):915.
- Humaidan P., et al. Ovarian hyperstimulation syndrome: review and new classification. Hum Reprod. 2016;31(9):1997-2004.
- Practice Committee of the ASRM: Prevention of Moderate and Severe OHSS: 2024 Guideline. Fertil Steril. 2024;121:230-245.
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