
妊活と抗酸化|卵子・精子を守る生活習慣
目次
抗酸化は「サプリを飲めばよい」ではありません
妊活中の方から、
「抗酸化サプリを飲んだ方がよいですか?」
「卵子の老化対策には何をすればよいですか?」
と相談されることがあります。
たしかに、妊活において酸化ストレスへの対策は大切です。
しかし、抗酸化対策は「サプリメントを飲めば終わり」という単純なものではありません。
本当に大切なのは、私たちの身体にもともと備わっている抗酸化システムが働きやすい状態を整えることです。
つまり、妊活中の抗酸化対策とは、酸化ストレスに偏りにくい身体づくりと考えるとわかりやすいです。
活性酸素とは何か
活性酸素は、身体の中でエネルギーをつくる過程で自然に発生する物質です。
私たちは酸素を使って生きています。そのため、活性酸素を完全にゼロにすることはできません。
また、活性酸素は悪者というだけではありません。少量であれば、細胞の情報伝達や免疫反応などにも関わっています。
問題になるのは、活性酸素が増えすぎて、身体の処理能力を超えてしまうことです。この状態を酸化ストレスといいます。
酸化ストレスが強くなると、細胞の脂質、タンパク質、DNAなどが傷つきやすくなります。
活性酸素はミトコンドリアでのエネルギー産生の過程でも発生し、過剰になると細胞成分にダメージを与えるとされています。
妊活と酸化ストレスの関係
妊活において酸化ストレスが注目される理由は、卵子や精子が酸化ストレスの影響を受けやすいと考えられているからです。
女性では、酸化ストレスが卵子の成熟、卵巣機能、受精、胚発育、着床環境などに関わる可能性があります。
男性では、精子の運動性、DNAの状態、精子の質などに酸化ストレスが関係するとされています。
ただし、ここで注意したいのは、活性酸素をすべてなくせばよいわけではないという点です。
活性酸素は、排卵や受精などの生理的な反応にも関わっています。そのため、大切なのは酸化と抗酸化のバランスです。
過剰な酸化ストレスを防ぎながら、身体に必要な反応は保つ。このバランスを整えることが、妊活中の抗酸化対策の基本になります。
身体には抗酸化の防御システムがある
私たちの身体には、活性酸素から細胞を守る仕組みが備わっています。
まず、身体の中では抗酸化酵素が働き、活性酸素が過剰に悪さをしないように処理しています。
代表的なものには、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどがあります。
次に、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール、カロテノイドなど、食事からとる抗酸化成分も働きます。
さらに、酸化ストレスで傷ついた細胞を修復する仕組みもあります。
つまり、抗酸化対策とは、外から抗酸化成分を入れるだけではなく、身体の中の抗酸化システムが働きやすい状態を保つことが重要です。
抗酸化酵素を支えるミネラルを意識する
抗酸化システムを支えるうえで大切なのが、ミネラルです。
特に妊活中に意識したいのは、亜鉛とセレンです。
亜鉛
亜鉛は、細胞の代謝、DNA合成、細胞分裂などに関わる重要なミネラルです。
NIHの資料でも、亜鉛は多くの酵素反応、免疫機能、タンパク質・DNA合成、細胞分裂などに関わるとされています。
亜鉛を含む食品には、次のようなものがあります。
- 牡蠣
- 牛赤身肉
- 豚肉
- 魚介類
- 卵
- チーズ
- ナッツ類
特に牡蠣は亜鉛を多く含む食品として知られています。肉、魚介、卵、乳製品も亜鉛の供給源になります。
セレン
セレンは、グルタチオンペルオキシダーゼなどのセレノタンパク質の構成成分で、酸化ダメージから身体を守る働きや生殖機能にも関わるとされています。
セレンを含む食品には、次のようなものがあります。
- まぐろ
- いわし
- えび
- 卵
- 鶏肉
- 牛肉
- 豚肉
セレンは魚介類、肉、鶏肉、卵など、たんぱく質を含む食品に多く含まれます。
妊活中は、野菜だけでなく、たんぱく質やミネラルも不足しないように整えることが大切です。
抗酸化野菜は「色」で選ぶと続けやすい
抗酸化成分は1種類ではありません。
ビタミンC、ビタミンE、βカロテン、リコピン、ポリフェノール、アントシアニンなど、さまざまな成分があります。
そのため、ひとつの食品だけを食べ続けるより、色の違う野菜や果物を組み合わせることが現実的です。
おすすめは、食卓に色を足すことです。
赤い食材
トマト、赤パプリカ、いちごなど。
トマトにはリコピン、赤パプリカにはビタミンCやカロテノイドが含まれます。
緑の食材
ブロッコリー、ほうれん草、小松菜、ピーマンなど。
ブロッコリーや青菜類は、ビタミンC、葉酸、ミネラル類もとりやすい食材です。
黄・橙の食材
にんじん、かぼちゃ、黄パプリカなど。
βカロテンを含み、日常の抗酸化食材として取り入れやすい食品です。
紫の食材
ブルーベリー、ぶどう、なす、紫キャベツなど。
紫色の食品には、アントシアニンなどのポリフェノールが含まれます。
目安は、難しく考えずに毎食1〜2品、色の濃い野菜を入れることです。
たとえば、次のように組み合わせると、抗酸化成分だけでなく、たんぱく質やミネラルも一緒に補いやすくなります。
- 朝:卵+小松菜のお味噌汁
- 昼:鶏肉+ブロッコリー
- 夜:魚+トマト+にんじん
- 間食:ブルーベリーやナッツ
サプリメントは「補助」として考える
抗酸化サプリメントは、食事で不足しやすい栄養素を補う目的では役立つことがあります。
ただし、サプリメントは多ければ多いほどよいわけではありません。
抗酸化物質の過剰摂取は、かえって酸化と抗酸化のバランスを崩す可能性も指摘されています。
特に生殖においては、活性酸素が必要な生理的反応にも関わるため、抗酸化を強くしすぎればよいとはいえません。
そのため、妊活中のサプリメントは、食事と生活習慣を整えたうえで、不足を補うものとして考えるのが基本です。
自己判断で複数のサプリメントを重ねるより、今の食事内容や身体の状態を確認しながら選ぶことが大切です。
睡眠は酸化ストレス対策の基本
抗酸化対策というと、食べ物やサプリメントに意識が向きやすいですが、睡眠も非常に大切です。
睡眠中は、身体の修復や回復が進む時間です。
研究でも、覚醒時には代謝が高まり酸化ストレスに傾きやすく、睡眠中にはミトコンドリアや酸化還元バランスの回復が進む可能性が示されています。
妊活中の方は、まず次のようなことから見直してみてください。
- 寝る時間をなるべく一定にする
- 就寝前のスマホ時間を短くする
- 夜遅い食事を避ける
- 寝る前に強い光を浴びすぎない
- 休日の寝だめに頼りすぎない
完璧な睡眠を目指す必要はありません。
まずは、睡眠時間と就寝リズムを少しずつ整えることが大切です。
運動は「適度」が大切
運動も抗酸化システムに関係します。
激しすぎる運動は活性酸素を増やすことがありますが、適度な運動は身体の抗酸化システムを働きやすくする方向に作用すると考えられています。
定期的な運動により、酸化ダメージの低下、抗酸化酵素活性の上昇、ミトコンドリア効率の改善などが報告されています。
妊活中におすすめしやすい運動は、次のようなものです。
- 20〜30分のウォーキング
- 軽い筋トレ
- ストレッチ
- ヨガ
- 階段を使う
- こまめに立ち上がる
大切なのは、急に激しい運動を始めることではありません。
続けられる範囲で、身体を動かす習慣をつくることです。
妊活中に今日からできる抗酸化習慣
妊活中の抗酸化対策は、難しいことを一気に始める必要はありません。
今日からできることは、次の5つです。
1. 毎食たんぱく質を入れる
卵、魚、肉、大豆製品などを意識しましょう。
たんぱく質は身体の材料であり、ミネラルを含む食品も多くあります。
2. 色の濃い野菜を1品足す
トマト、ブロッコリー、小松菜、にんじん、かぼちゃ、パプリカなど、色で選ぶと続けやすくなります。
3. 亜鉛・セレンを意識する
牡蠣、赤身肉、魚介類、卵、鶏肉などを無理のない範囲で取り入れましょう。
4. 睡眠時間を削りすぎない
夜更かしが続くと、身体の修復時間が不足しやすくなります。
まずは寝る時間を一定にすることから始めましょう。
5. 軽い運動を習慣にする
強い運動より、続けられる運動が大切です。
ウォーキングやストレッチなど、無理のない運動を取り入れましょう。
まとめ|抗酸化は生活全体で整える
妊活中の抗酸化対策は、サプリメントだけで完結するものではありません。
活性酸素は身体の中で自然に発生します。
大切なのは、活性酸素をゼロにすることではなく、酸化ストレスに偏りすぎない状態を保つことです。
そのためには、次のような生活の土台を整えていくことが大切です。
- 亜鉛やセレンなどのミネラル
- 色の濃い野菜や果物
- 良質なたんぱく質
- 睡眠
- 適度な運動
卵子や精子のコンディションは、年齢だけで決まるものではありません。
毎日の食事や生活習慣の積み重ねが、身体の土台づくりにつながります。
妊活中の方は、まずはできるところから、酸化ストレスに偏りにくい身体づくりを始めてみてください。
📚参考文献
- National Institutes of Health Office of Dietary Supplements. Selenium – Health Professional Fact Sheet. NIH.
- National Institutes of Health Office of Dietary Supplements. Zinc – Health Professional Fact Sheet. NIH.
- Moustakli E, et al. Impact of Reductive Stress on Human Infertility: Underlying Mechanisms and Perspectives. International Journal of Molecular Sciences. 2024;25(21):11802.
- Nemes R, Koltai E, Taylor AW, Suzuki K, Gyori F, Radak Z. Reactive Oxygen and Nitrogen Species Regulate Key Metabolic, Anabolic, and Catabolic Pathways in Skeletal Muscle. Antioxidants. 2018;7(7):85.
- Richardson RB, et al. Mitochondria Need Their Sleep: Redox, Bioenergetics, and Temperature Regulation of Circadian Rhythms and the Role of Cysteine-Mediated Redox Signaling, Uncoupling Proteins, and Substrate Cycles. Antioxidants. 2023;12(3):674.
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
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