
採卵前・移植前に風邪や発熱が出たらどうする?治療を進める目安と注意点
体外受精の周期に入っているときに、風邪っぽさや発熱が出ると、
- このまま採卵していいの?
- 移植は延期したほうがいい?
- 病院にどこまで伝えるべき?
と不安になる方は少なくありません。
結論からいうと、採卵前・移植前に風邪や発熱が出た場合は、自己判断で進めず、まず通院先へ連絡することが大切です。
特に、発熱、咳、のどの強い痛み、息苦しさ、強い倦怠感がある場合は、感染症の可能性だけでなく、処置当日の安全性や治療の進め方にも関わるため、早めの共有が安心につながります。
- 採卵前・移植前に風邪や発熱が出たときは、自己判断でそのまま進めず、まず通院先へ連絡することが大切です。
- 軽い風邪症状でも、採卵前は処置の安全性、移植前は体調の安定や感染症状の残り具合が判断に影響することがあります。
- 特に38℃以上の発熱、強い咳、息苦しさ、強い倦怠感がある場合は、延期を含めて慎重に相談したほうが安心です。
- 採卵後から移植前に感染症状が出た場合は、新鮮胚移植を見送り、胚を凍結して体調が整ってから移植を検討することもあります。
- 妊娠の可能性がある時期の薬は自己判断せず、妊活中・移植前であることを伝えたうえで、医師や薬剤師に確認しながら使うことが大切です。
目次
まず大前提|「受けられるか」より「安全に受けられるか」
採卵や移植は予定どおり進めたい気持ちが強くなりやすい治療です。
ただ、体調不良があるときは、予定どおりできるかだけでなく、今の体で安全に受けられるかという視点がとても大切です。
採卵は処置そのものが体の負担になりますし、移植も感染症状や発熱を抱えたまま行うより、落ち着いた状態で臨んだほうが安心です。
実際に、一部の不妊治療施設では、採卵後から移植前に感染症状が出た場合、新鮮胚移植は行わず、胚を凍結して後日に移植する方針が案内されています。
採卵前に発熱した場合の考え方
微熱や軽い風邪症状だけのとき
鼻水、軽いのどの違和感、37℃台前半の微熱など、比較的軽い症状だけのこともあります。
この場合でも、「軽いから言わなくていい」とは考えず、まずはクリニックへ連絡するのが基本です。
採卵前は排卵誘発の注射やホルモン変化で体調が読みづらくなっていることもあり、本人が軽症と思っていても、クリニック側では来院方法や診察の順番、検査の要否を調整したいことがあります。
38℃以上の発熱があるとき
38℃以上の発熱がある場合は、自己判断で採卵に進まないほうがよいケースが多いです。
強い発熱は感染症だけでなく、脱水、全身状態の悪化、処置時の負担増加にもつながります。
また、採卵当日は処置や鎮静を伴うこともあるため、発熱や呼吸器症状がある状態では安全面の確認がより重要になります。
採卵前に病院へ伝えるべきこと
連絡するときは、次の点を簡潔にまとめるとスムーズです。
- いつから症状があるか
- 最高体温は何度か
- 咳、のどの痛み、鼻水、倦怠感、息苦しさの有無
- 同居家族や職場で感染者がいるか
- 検査を受けたか、結果はどうか
- 採卵予定日がいつか
- 服用した薬があるか
こうした情報があると、クリニック側も採卵を進めるか、延期するか、診察方法を変えるかを判断しやすくなります。
移植周期で風邪をひいたときの注意点
移植前は「熱の有無」と「全身状態」が大切
移植前に風邪をひいた場合、気になるのは「移植に悪影響があるのでは?」という点だと思います。
軽い鼻風邪程度で、発熱もなく、食事や睡眠が保てているなら、必ずしも中止になるとは限りません。
ただし、発熱、強い咳、倦怠感、息苦しさがあるときは、移植延期を含めた相談が必要です。
移植直前の発熱はどう考える?
移植直前に発熱している場合は、その日の体調だけでなく、感染症の種類、症状の強さ、使う薬、クリニックの方針まで含めて判断されます。
特に新鮮胚移植では、採卵後に感染症状が出た場合、移植を見送り、胚を凍結するという運用が実際に案内されている施設もあります。
これは悲観的な判断ではなく、より整った体調で次の移植に臨むための前向きな調整と考えてよいと思います。
移植周期で自己判断しないほうがよいケース
次のような場合は、特に自己判断で進めないほうが安心です。
- 38℃以上の発熱がある
- 解熱しても強いだるさが残る
- 咳が強い、息苦しい
- コロナやインフルエンザが疑われる
- 受診や検査をしていない
- 妊娠の可能性がある時期に飲んだ薬がある
- クリニックへまだ連絡していない
このようなときは、「大丈夫かも」で進めるより、先に相談するほうが結果的に安心です。
病院に伝えるべきこと
採卵前でも移植前でも、病院へは次の内容を共有しておくと役立ちます。
- 症状が出た日
- 最高体温
- 現在の症状
- 家族や周囲の感染状況
- 自宅検査や医療機関での検査結果
- 内服した市販薬、処方薬
- 採卵日、移植日、受診予定日
とくに妊娠の可能性がある時期の薬は大切です。
妊娠中や妊娠を考えている時期の薬については、自己判断ではなく医師や薬剤師に確認するよう案内されています。
薬はどうする?我慢しすぎないことも大切
妊娠の可能性がある時期は薬が心配になりますが、高熱を我慢しすぎることにも注意が必要です。
産婦人科や公的機関の案内では、妊娠中の発熱はリスクになりうるため、必要に応じてアセトアミノフェンで対応することが案内されています。
また、インフルエンザが疑われる場合は、妊娠中は重症化リスクが高いため、早期の抗ウイルス治療が勧められています。
つまり、採卵前・移植前であっても、「薬が怖いから何もせず我慢する」より、妊活中・移植前であることを伝えたうえで適切な薬を選ぶことが大切です。
採卵前・移植前で判断が違いやすいポイント
採卵前
採卵前は、処置の安全性がとても重要です。
発熱や呼吸器症状があると、当日の体調、鎮静、感染管理の面から、延期や方針変更の可能性があります。
移植前
移植前は、今の体調で落ち着いて臨めるかが大切です。
特に採卵後に症状が出た場合は、新鮮胚移植を見送り、凍結胚移植へ切り替える考え方もあります。
Q1. 採卵前に少し風邪っぽいだけでも病院に連絡したほうがいいですか?
はい、軽い風邪症状でも一度連絡しておくと安心です。
採卵前はホルモン変化や体調の揺らぎもあるため、ご自身では軽い症状だと思っていても、クリニック側で来院方法や診察の進め方を調整したいことがあります。迷ったときほど、早めに共有しておくほうが安心です。
Q2. 採卵前に38℃以上の発熱が出た場合、そのまま進めても大丈夫ですか?
38℃以上の発熱がある場合は、自己判断で進めず、まず通院先へ相談することが大切です。
発熱があると、感染症の可能性だけでなく、脱水や全身状態の低下、処置当日の安全性にも関わることがあります。採卵を予定どおり行うかどうかは、症状の強さや検査結果、クリニックの方針をふまえて判断してもらうのが安心です。
Q3. 移植前に風邪をひいたら、必ず延期になりますか?
必ずしも延期になるとは限りません。
発熱がなく、鼻水や軽いのどの違和感程度で、食事や睡眠が取れていて全身状態が安定していれば、そのまま進められる場合もあります。ただし、発熱や強い咳、だるさがある場合は延期を含めた相談が必要になることがあります。
Q4. 病院にはどんなことを伝えておくとよいですか?
症状が出た日、最高体温、現在の症状、家族や周囲の感染状況、検査結果、飲んだ薬、採卵日や移植日を伝えておくとスムーズです。
特に妊娠の可能性がある時期に飲んだ薬は大切な情報です。できるだけ具体的に伝えることで、クリニック側も今後の方針を判断しやすくなります。
Q5. 移植前や採卵前は、薬を飲まずに我慢したほうがいいですか?
薬を自己判断で使わないことは大切ですが、発熱やつらい症状を無理に我慢しすぎる必要はありません。
妊活中や移植前であることを伝えたうえで、医師や薬剤師に確認しながら適切な薬を選ぶことが大切です。高熱を放置するよりも、必要な治療を受けながら体調を整えるほうが安心につながることもあります。
📚参考文献
- American Society for Reproductive Medicine (ASRM). Patient Management and Clinical Recommendations During the Coronavirus (COVID-19) Pandemic.
- European Society of Human Reproduction and Embryology (ESHRE). COVID-19 and assisted reproduction.
- Manchester University NHS Foundation Trust. Patient information and consent for fertility treatment.
- Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Flu & Pregnancy.
- Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Treating Flu with Antiviral Drugs.
- Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Influenza Antiviral Medications: Summary for Clinicians.
- American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). Acetaminophen and Pregnancy.
- NHS. Medicines in pregnancy.
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
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