治療院ブログ

発熱や高熱は精子に影響する?精液検査の変化と回復までの目安

 更新日:

インフルエンザやコロナ、強い風邪などで高熱が出たあと、

  • 精子に影響はあるの?
  • どのくらいで元に戻る?
  • 人工授精や体外受精は今周期していい?

と不安になる方は少なくありません。

結論からいうと、発熱や高熱のあとに精子へ影響が出ることはありますが、一時的な変化であることが多いと考えられています。

ただし、精子は解熱したからすぐに元通りになるわけではありません。精子は精巣で作られ、成熟して射精されるまでに時間がかかるため、発熱後の回復目安としては2〜3か月ほどをひとつの基準に考えることが多いです。

特に38℃以上の高熱が数日続いた場合は、精子濃度、運動率、形態、精子DNAの状態などに一時的な変化が出る可能性があります。

大切なのは、「高熱が出たから妊活ができない」と決めつけることではありません。発熱の時期、治療予定、もともとの精液所見をふまえて、必要に応じて精液検査を確認しながら進めることが大切です。

この記事の要点まとめ
  • 発熱や高熱のあとに精子へ影響が出ることはありますが、一時的な変化であることが多いと考えられています。
  • 精子が作られて成熟するまでには時間がかかるため、回復の目安としては2〜3か月ほどをひとつの基準に考えると安心です。
  • 38℃以上の高熱が数日続いた場合は、精子濃度、運動率、形態、精子DNAの状態などに一時的な変化が出る可能性があります。
  • 人工授精や体外受精を控えている場合は、高熱があったことを主治医に伝え、必要に応じて精液検査を受けながら判断しましょう。
  • 高熱後の精液検査で一度悪い結果が出ても、それだけで決めつける必要はありません。体調の回復とともに、落ち着いて経過を確認することが大切です。

発熱や高熱で精子に影響が出る理由

精子は熱に弱い性質があります。

精巣が体の外側にあるのは、体温より少し低い温度環境を保つためです。そのため、38℃以上の高熱が数日続くと、精巣の温度環境が乱れ、精子を作る過程に影響が出ることがあります。

発熱後に変化しやすいとされるのは、主に次のような項目です。

  • 精子濃度
  • 精子数
  • 運動率
  • 正常形態率
  • 精子DNA断片化
  • 精液量

もちろん、すべての方に同じような変化が出るわけではありません。

発熱の高さ、発熱が続いた日数、感染症による炎症の程度、もともとの精液所見、睡眠や栄養状態などによって影響の出方は変わります。

そのため、「少し熱が出たから必ず精子が悪くなる」と考える必要はありません。一方で、38℃以上の高熱が数日続いた場合や、もともと男性不妊を指摘されている場合は、少し慎重に経過をみておくと安心です。

精子が回復する目安はなぜ2〜3か月なのか

発熱後の精子の回復時期を考えるうえで大切なのが、造精サイクルです。

人の精子は、精巣の中で作られてから成熟するまでに約74日かかるとされています。

つまり、高熱の影響を受けた時期の精子が入れ替わるまでには、少なくとも1回分の造精サイクルをみておく必要があります。

そのため、実際の妊活や不妊治療の場面では、次のように考えるとわかりやすいです。

  • 軽い発熱や短期間の発熱なら、比較的早く整うこともある
  • 38℃以上の高熱が数日続いた場合は、2〜3か月ほどみると安心
  • 精液所見がもともと不安定な場合は、さらに慎重に確認することがある

「熱が下がったから、翌週には精子も完全に元通り」とは限らない点を知っておくことが大切です。

発熱後の精液検査はいつ受けるといい?

発熱後の精液検査は、目的によって受けるタイミングが変わります。

今周期に人工授精や体外受精を予定している場合

今まさに人工授精や体外受精を控えている場合は、現時点の精子の状態を確認する意味で、早めに精液検査を受けることにも意味があります。

特に、もともと精子濃度や運動率に不安がある場合は、発熱があったことを主治医に伝えておくと安心です。

回復しているかを確認したい場合

発熱の影響が落ち着いているかを見たい場合は、発熱から2〜3か月後を目安に再検査を考えると判断しやすくなります。

精液検査は、体調、睡眠、禁欲期間、ストレス、採精状況などによっても変動します。そのため、1回の検査結果だけで決めつけず、必要に応じて再検査を行いながら判断することが大切です。

人工授精前に高熱が出た場合の考え方

人工授精では、精子濃度や運動率などの精液所見が治療成績に関わることがあります。

そのため、男性が高熱後まもない時期で、もともと精液所見に不安がある場合は、今周期をそのまま進めるか、少し様子を見るかを相談する価値があります。

特に慎重に考えたいのは、次のようなケースです。

  • 38℃以上の高熱が数日続いた
  • 発熱からまだ1か月以内
  • 以前から精液所見が不安定
  • 今回の人工授精をできるだけ良い条件で受けたい
  • 採精当日の精液所見が治療判断に大きく関わる

このような場合は、事前に精液検査をする、もしくは1〜2周期様子を見るという選択肢もあります。

ただし、高熱があったからといって、必ず人工授精を中止しなければいけないわけではありません。女性側の年齢、排卵状況、治療スケジュールも関係するため、主治医と相談しながら決めることが大切です。

体外受精・顕微授精前に高熱が出た場合の考え方

体外受精や顕微授精では、採精日の精子の状態が重要になります。

高熱の影響が残っている時期では、普段より精液所見が悪く出る可能性があります。特に男性因子がある場合や、採精時の精子数・運動率に不安がある場合は、事前に主治医へ伝えておきましょう。

ただし、体外受精や顕微授精では、精子を洗浄・選別して使用できる場合もあります。そのため、発熱後だからといって必ず治療を中止しなければならないわけではありません。

判断のポイントは次の3つです。

  • 高熱があった時期を主治医に伝える
  • 可能であれば事前に精液所見を確認する
  • 採卵・採精日との距離をふまえて治療方針を相談する

できるだけ良い条件で治療に臨みたい場合は、少し時期を調整したほうがよいケースもあります。一方で、女性側の治療状況によっては、予定通り進めたほうがよい場合もあります。

自己判断で中止・延期を決めるのではなく、クリニックで相談しながら進めましょう。

コロナとインフルエンザで精子への影響は違う?

コロナとインフルエンザで違いがあるのかを気にされる方も多いです。

実用上は、「ウイルスの名前」だけで判断するより、発熱の強さ・発熱が続いた期間・体への炎症の程度を重視して考えるほうが現実的です。

COVID-19関連の研究では、感染後に精液所見が悪化したり、3か月前後で改善傾向がみられたりする報告があります。

ただし、その影響がウイルスそのものによるものなのか、発熱や全身の炎症反応によるものなのかは、はっきり分けて考えにくい部分もあります。

そのため、コロナでもインフルエンザでも、38℃以上の高熱が数日続いた場合は、精子に一時的な影響が出る可能性があると考えておくとよいでしょう。

逆に、熱がほとんど出ていない軽症であれば、影響は比較的小さい可能性があります。

発熱後に男性妊活で意識したいこと

発熱後は、無理に特別なことをするより、まず体を回復させることが大切です。

精子の状態を整えるためには、次のような基本を見直しましょう。

  • 睡眠時間を確保する
  • 栄養バランスを整える
  • 飲酒量を控える
  • 喫煙を避ける
  • 長時間のサウナや熱いお風呂を避ける
  • 膝上での長時間パソコン作業を避ける
  • きつい下着や長時間の座りっぱなしに注意する
  • 体調が戻るまでは無理な運動を避ける

精子は熱や酸化ストレスの影響を受けやすいと考えられています。

発熱後は「何かを足す」よりも、睡眠、食事、禁煙、飲酒量、熱のこもりやすい生活習慣を整えることが、現実的な男性妊活になります。

こんなときは病院で相談を

次のような場合は、泌尿器科や不妊治療クリニックへ相談すると安心です。

  • 高熱後3か月以上たっても精液所見が戻らない
  • 精液量や精子濃度が大きく落ちた
  • もともと男性不妊を指摘されている
  • 人工授精や体外受精・顕微授精を近く控えている
  • 発熱後に精液検査をいつ受けるか迷っている
  • 何度も発熱をくり返している
  • 精巣の痛みや腫れがある

不安が強いときは、時間だけで判断せず、検査で確認することが安心につながります。

「高熱後に1回悪かった=ずっと悪い」ではありません。精液所見は変動しやすいため、必要に応じて再検査しながら落ち着いて判断していきましょう。

まとめ

発熱や高熱は、精子に一時的な影響を与えることがあります。

特に38℃以上の高熱が数日続いた場合は、精子濃度、運動率、形態、精子DNAの状態などが一時的に変化する可能性があります。

ただし、多くの場合、影響は一時的であり、精子の造精サイクルをふまえると、2〜3か月ほどを目安に回復を確認していく考え方が現実的です。

人工授精や体外受精を控えている場合は、高熱があったことを主治医に伝え、必要に応じて精液検査を受けながら進めると安心です。

高熱後の精液検査で一度悪い結果が出ても、それだけで決めつける必要はありません。体調の回復とともに、落ち着いて経過を確認していきましょう。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 発熱や高熱のあと、精子はどれくらいで回復しますか?

一般的には、2〜3か月ほどをひとつの目安に考えることが多いです。

精子はすぐに作り替わるわけではなく、精巣で作られて成熟するまでに時間がかかります。そのため、解熱してすぐに精子の状態も完全に戻るとは限りません。ただし、発熱の程度やもともとの精液所見によって個人差があります。

Q2. 38℃以上の高熱が出ると、必ず精子は悪くなりますか?

必ず悪くなるわけではありません。

ただし、38℃以上の高熱が数日続いた場合は、精子濃度、運動率、形態などに一時的な変化が出ることがあります。大切なのは、「高熱が出たから妊活は無理」と決めつけないことです。必要に応じて精液検査で確認しながら判断しましょう。

Q3. 発熱後の精液検査はいつ受けるのがよいですか?

目的によってタイミングが変わります。

人工授精や体外受精を近く控えている場合は、現時点の精子の状態を確認するために早めに検査することがあります。一方で、回復しているかを確認したい場合は、発熱から2〜3か月後を目安に再検査すると判断しやすくなります。

Q4. 高熱のあとでも人工授精や体外受精は進められますか?

高熱後だからといって、必ず中止になるわけではありません。

ただし、発熱後まもない時期は精液所見が普段より不安定になることがあります。人工授精や体外受精・顕微授精を予定している場合は、高熱があったことを主治医に伝え、必要に応じて精液検査を確認しながら進めると安心です。

Q5. コロナやインフルエンザでも精子に影響しますか?

コロナやインフルエンザなど感染症の種類だけでなく、発熱の強さや期間が大切です。

38℃以上の高熱が数日続いた場合は、精子に一時的な影響が出る可能性があります。反対に、熱がほとんど出ていない軽症であれば、影響は比較的小さい可能性があります。不安な場合は、治療予定や精液検査のタイミングを医師に相談しましょう。

📝こちらの記事もおすすめです

📚参考文献

この記事の監修者

宇都宮泰子 監修者写真

院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)

FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)

  • 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
  • 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
  • 日本生殖医学会会員

不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。

※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。

発熱後の男性妊活が不安な方へ

高熱のあとに「精子に影響が出ていないか」「今周期の治療を進めてよいのか」と不安になる方は少なくありません。

発熱後の精子の変化は一時的なことも多いですが、妊活中は体調や生活習慣を整えながら、無理なく回復を待つことも大切です。

宇都宮鍼灸良導絡院では、男性妊活のご相談にも対応し、お身体の状態に合わせた鍼灸・生活面のサポートを行っています。不安をひとりで抱え込まず、できることから一緒に整えていきましょう🍀

24時間予約受付中

このページのトップへ