
梅雨の妊活|だるさ・むくみ対策と「湿邪」「脾」の養生法
梅雨になると、「体が重い」「頭がすっきりしない」「手足や顔がむくむ」と感じることはありませんか。
東洋医学では、梅雨のように湿気の多い季節にみられる重だるさや胃腸の不調などを、「湿邪(しつじゃ)」という考え方で捉えることがあります。
ただし、梅雨の湿気そのものが不妊の原因になるわけではありません。この記事では、東洋医学の「湿邪」「脾」の考え方と現代医学でいうむくみを分けながら、妊活中でも取り入れやすい梅雨の体調管理について解説します。
- 東洋医学では、梅雨の重だるさや胃腸の不調などを「湿邪」の影響として考えることがあります。
- 中医学の「脾」は西洋医学の脾臓とは異なり、消化吸収や水分の巡りに関係する概念です。
- 梅雨だからといって、生野菜や乳製品などを一律に避ける必要はありません。胃腸の調子に合わせて食事を整えることが大切です。
- 適度に身体を動かし、長時間の座りっぱなしを避けることは、日々の体調管理に役立ちます。
- 急なむくみ、左右差のあるむくみ、息苦しさなどがある場合は、季節のせいと決めつけず医療機関へ相談しましょう。


梅雨のだるさ・むくみを東洋医学では「湿邪」と考える
東洋医学では、気候や環境の変化が身体に影響して不調につながると考え、その一つとして「湿邪」という概念があります。
湿邪は「重い」「停滞しやすい」といった性質をもつと考えられており、梅雨の時期にみられる重だるさや頭の重さ、胃腸の不調、むくみなどを説明するときに使われます。
ただし、これはあくまで東洋医学における身体の捉え方です。「外の湿度が高いから、そのまま体内に水分が溜まる」という意味ではありません。
梅雨は湿度や気温の変化に加え、冷房、活動量の低下、睡眠や食事の乱れなども重なりやすい時期です。ひとつの原因だけで考えず、生活全体を見直してみることが大切です。
中医学でいう「脾」とは?西洋医学の脾臓とは別の考え方
中医学で使われる「脾(ひ)」という言葉は、西洋医学でいう脾臓そのものを指すものではありません。
東洋医学では、脾は飲食物から必要なものを取り込み、身体を養うための「気」や「血」の材料を作り、水分を適切に巡らせる働きに関係すると考えます。
そのため、食欲が落ちる、胃がもたれる、軟便になりやすい、身体が重いといった状態が重なったときには、「脾の働きが弱っている」と捉えることがあります。
一方、現代医学でいうむくみ(浮腫)は、皮下などに余分な水分が溜まった状態です。組織に出た水分は通常、静脈やリンパ管へ戻りますが、そのバランスが崩れることでむくみが生じます。
東洋医学の「湿」や「脾」と、医学的な浮腫の仕組みは同じものではないため、分けて考えることが大切です。
梅雨時期に気になりやすい身体のサイン
東洋医学では、次のような症状が重なっているときに「湿」の影響を考えることがあります。
- 身体が重い、だるい
- 頭が重い、すっきりしない
- 手足や顔がむくみやすい
- 食欲が落ちる、胃がもたれやすい
- 軟便やお腹の張りが気になる
- 雨の日に体調がすぐれないと感じる
ただし、頭痛・めまい・むくみ・倦怠感などはさまざまな原因で起こります。「湿邪だから」と自己判断せず、症状が強い場合や長く続く場合には医療機関へ相談しましょう。
梅雨の妊活中に意識したい食事
梅雨だからといって、特定の食材を食べれば妊娠しやすくなったり、「湿」を取り除けたりするわけではありません。
大切なのは、胃腸の状態に合わせながら、主食・主菜・副菜を組み合わせ、無理なく食事を続けることです。
冷たいものは「禁止」ではなく体調に合わせる
暑くなってくると冷たい飲み物やアイス、冷たい麺類などが増えやすくなります。
冷たいものを食べること自体が悪いわけではありませんが、「冷たいものを食べると胃がもたれる」「お腹がゆるくなる」という方は、常温や温かい料理を組み合わせるなど調整してみましょう。
また、生野菜や乳製品などを梅雨だからという理由だけで一律に避ける必要はありません。自分の体調や食べた後の状態を見ながら取り入れることが大切です。
東洋医学で梅雨に取り入れられてきた食材
薬膳や東洋医学の食養生では、梅雨の時期に次のような食材がよく用いられます。
- 豆類
- とうもろこし
- 長芋・じゃがいも・かぼちゃ
- しょうが・しそ・ねぎ・みょうがなどの香味野菜
これらを特別な「妊活食」と考える必要はありません。普段の食事の中に、たんぱく質や野菜、炭水化物などと組み合わせて取り入れるとよいでしょう。
胃腸の調子がすぐれない日は、具だくさんのスープや煮物など、食べやすい調理方法を選ぶのも一つです。
座りっぱなしを避けて、少しずつ身体を動かす
雨の日が続くと外出する機会が減り、普段より身体を動かす時間が少なくなることがあります。
特にデスクワークでは、長時間同じ姿勢が続きやすくなります。ふくらはぎの筋肉は、歩行や足首の運動によって収縮と弛緩を繰り返し、下肢から心臓へ血液を戻す働きを助けています。
デスクワークの合間に立ち上がる、足首を動かす、室内を少し歩くなど、無理のない範囲でこまめに身体を動かしてみましょう。
妊活中も激しい運動を行う必要はありません。治療内容や採卵・胚移植の時期などによって運動の制限を指示されている場合は、主治医の指示を優先してください。
「汗をかいて湿を出す」より、無理のない運動と入浴を
「梅雨は汗をかいて体内の余分な水分を出した方がよい」と考える方もいますが、汗は主に体温を調節するための生理的な反応です。
たくさん汗をかけば、むくみや湿邪が改善するというわけではありません。
軽い散歩やストレッチ、無理のない入浴などは、気分転換や身体を動かす習慣として取り入れるとよいでしょう。
また、梅雨から夏にかけては気温・湿度が高くなり、汗によって水分を失いやすい時期でもあります。
むくみが気になるからといって自己判断で水分を極端に控えることは避けましょう。汗をかいたときや暑い日は、体調に合わせてこまめに水分を補給してください。
心臓や腎臓の病気などで医師から水分量について指示を受けている方は、その指示に従いましょう。
梅雨の不調と妊活はどう関係する?
梅雨の湿気や「湿邪」が、直接不妊の原因になると考える必要はありません。
一方で、だるさや胃腸の不調、睡眠不足などが続けば、妊活中の日常生活そのものがつらくなることがあります。
妊活では「妊娠しやすくするために何か特別なことをしなければ」と考えすぎるよりも、食事・睡眠・身体活動・休息など、日々の体調を無理なく整えていくことが大切です。
東洋医学の養生も、妊娠を保証する方法ではなく、季節やその日の体調に合わせて心地よく過ごすための一つの考え方として取り入れてみてください。
むくみを「梅雨のせい」にせず受診した方がよいケース
軽いむくみは健康な方にもみられますが、心臓・腎臓・甲状腺・血管などの病気や薬の影響によって起こることもあります。
次のような場合は、季節の不調と決めつけず医療機関への相談をおすすめします。
- これまでなかったむくみが急に出てきた
- 1〜2日経っても強いむくみが改善しない
- 左右の脚でむくみ方や太さが明らかに違う
- むくみとともに痛みや赤みがある
- 息苦しさ、動悸、せきなどを伴う
- 日常生活に支障が出るほどむくんでいる
妊娠の可能性がある方や不妊治療中の方で気になる症状がある場合は、通院中のクリニックにも相談してください。
梅雨は気温や湿度が安定しにくく、「いつもより身体が重い」「胃腸の調子がすっきりしない」と感じる方もいらっしゃいます。
妊活中は治療の予定や結果を気にして、季節による小さな体調変化まで不安に感じてしまうこともありますが、すべてを妊娠と結びつける必要はありません。
睡眠・食事・運動など、今できることを無理なく整えながら、気になる症状については主治医とも相談していきましょう。
Q. 梅雨にむくみやすいと妊娠しにくいのでしょうか?
A. 梅雨のむくみそのものが不妊の原因になるとはいえません。妊活とは分けて考え、むくみが強い・続く場合には原因を確認することが大切です。
Q. 妊活中は冷たい飲み物を完全にやめた方がよいですか?
A. 完全に避ける必要はありません。冷たい飲み物で胃腸の不調が出やすい方は、量や温度を調整してみましょう。
Q. むくみがあるときは水分を減らした方がよいですか?
A. 自己判断で水分を極端に減らすことはおすすめできません。特に暑く湿度の高い日は脱水にも注意が必要です。医師から水分量を指示されている場合は、その指示に従ってください。
Q. 胚移植後でもウォーキングや入浴をしてよいですか?
A. 一般的な日常生活が許可されている場合は過度に安静にする必要はありませんが、治療内容や体調によって異なります。採卵後やOHSSのリスクがある場合などは、主治医の指示を優先してください。
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📚参考文献
-
[1] 社会福祉法人 恩賜財団 済生会「むくみ」
むくみが起こる仕組み、原因となる病気、医療機関を受診した方がよい症状について解説されています。 -
[2] 公益財団法人 長寿科学振興財団「運動の良い汗と悪い汗」
発汗が体温調節に果たす役割や、汗をかく際の脱水への注意について解説されています。 -
[3] 藤井直人. ヒトにおける発汗調節の末梢メカニズム. 日本生気象学会雑誌. 2022;59(1):3-13.
発汗による体温調節とヒトの発汗メカニズムについてまとめた総説です。
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
梅雨のだるさやむくみを抱えながら妊活を頑張っている方へ
梅雨の時期は、気温や湿度の変化、冷房、活動量の低下などが重なり、いつもより身体が重い、むくみや胃腸の不調が気になると感じることがあります。
大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、病院での治療状況や月経周期、睡眠・胃腸の状態、冷えやむくみなどを伺いながら、妊活中の身体づくりやコンディション調整をサポートしています。
病院での不妊治療と並行しながら身体を整えたい方や、季節の変化で体調を崩しやすいことが気になっている方も、お気軽にご相談ください🍀







