
男性の口腔ケアこそ妊活を成功へ導く鍵になる
これまで「妊活=女性の問題」という意識が根強くありましたが、実は男性側の健康状態も大きく関わっています。特に、口腔内の慢性炎症状態である 歯周病(特に進行した状態の 歯周炎)が、 男性の精液・精子の質を低下させる可能性 が複数の研究で示されています。
本記事では、男性の妊活支援という視点から歯周病の意味を整理し、「男性だけ」目線でチェックすべきポイントとケア方法をまとめます。
歯周病が男性生殖機能へ及ぼす影響とは?
研究が示す関連性
ある症例対照研究では、精液異常のある男性群と正常精液の男性群を比べたところ、精液異常群に「中等~重度の歯周炎」が有意に多く認められました。中等〜重度歯周炎の人は精液異常を有する割合が高く、歯周炎が精液状態と関連している可能性があると報告されています(OR=3.377, p=0.005)。
系統的レビューでは、歯周炎のある男性は精子運動能・形態・DNA断片化(SDF)等が悪化している傾向があると結論づけられています。例えば、歯周病の炎症負荷が高い男性では「精子の運動能が統計的に有意に低かった」という報告もあります。
なぜ影響するのか?考えられるメカニズム
歯周病による慢性炎症が、血管を通じて全身に炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-αなど)を放出し、生殖器(精巣・精細管・血液‐精巣関門)に影響を与える可能性があります。
炎症 → 酸化ストレス(ROS:活性酸素種)の増加 → 精子膜や運動能にダメージ、DNA損傷を誘発という流れが指摘されています。
歯周病菌やその代謝産物が血中に入り、「遠隔部位(精巣・附属器など)」にも影響を及ぼす可能性があるという仮説もあります。
男性が“今すぐ見直すべき”口腔・妊活ポイント
妊活中、またこれから妊活を始める男性として、以下のチェックリストをぜひ活用してください。
- 歯ぐきの出血・腫れ・口臭を感じていないか?
歯周病の初期サイン。気づかないうちに進行しているケースも多い。 - 「歯肉ポケット深さ」「臨床付着損失(CAL)」の検査を受けたことがあるか?
研究ではこの指標が精液の運動能・濃度と関連していた。 - 定期的に歯科で歯石除去・クリーニングを行っているか?
歯垢・歯石は慢性炎症・菌の温床となる。 - 喫煙・過剰飲酒・喫煙歴がないか?
口腔だけでなく、全身・生殖機能にもマイナス要因。 - 食習慣・生活習慣が整っているか?(特に糖質過多・甘い物常習)
炎症体質を助長し、口腔内・全身の健康に影響。
鍼灸・不妊サポートの視点から+αにできること
当院「宇都宮鍼灸良導絡院」では、男性の妊活支援も視野に入れ、鍼灸・自律神経・血流・ホルモンバランスの調整を行っています。口腔内ケアとは別の施策として、以下のようなアプローチが可能です。
- 自律神経測定によるストレス・生活リズムの可視化
→ ストレス過多は炎症反応を活性化させ、男性の生殖機能にも影響。 - 鍼灸による血流改善・精巣周囲の循環促進
→ 炎症・老廃物の除去を促す土台作り。 - 食事・栄養・生活習慣アドバイスと口腔ケアの連携
→ “身体+口腔”の一体ケアとして妊活を支援。 - パートナーと一緒に口腔環境を整える提案
→ 妊活はカップルでの取り組みが効果的。
まとめ
男性の口腔内、特に歯周病・歯周炎という慢性炎症状態は、「精子の質」「運動能」「DNA損傷」などの観点から、妊活における無視できない要因であると、最近の研究が示し始めています。妊活中の男性が“歯ぐきの健康”を整えることは、たんに「虫歯・歯槽膿漏を予防する」という枠を超えて、「赤ちゃんを迎えるための身体づくり」の一歩として非常に意義があります。
もしパートナーと共に妊活中であれば、男性側の口腔ケアも“必須チェック項目”としてぜひ取り入れてください。歯科・鍼灸・生活習慣改善を含む総合サポートによって、妊活成功の可能性を高めるお手伝いができます。
正しい治療を受けるために
- 歯周炎が疑われる場合:歯科で「歯周ポケット測定」「臨床付着損失(CAL)」などをチェックしてもらいましょう。
- 精液検査・男性不妊検査を受けている場合:その結果と口腔状態をリンクして、早期改善を検討することが有効です。
- “口腔ケア=費用がかかる”と思われがちですが、妊活の成功までを見据えた投資と捉えることで、モチベーションも上がります。
📚参考文献
- Dan-Ying Tao, Jia-Lin Zhu, Chun-Yu Xie, Yan-Ping Kuang, Wei-Ran Chai, Edward Chin Man Lo, Wei Ye, Fei Li, Xi-Ping Feng, Hai-Xia Lu. Relationship between periodontal disease and male infertility. Oral Diseases. 2020; (Epub) (OR = 3.377)
- Fiki Muhammad Ridho et al. Association between periodontitis and sperm quality: a systematic review and meta-analysis. Rwanda Medical Journal. 2025; 82(2):41-52.
- “Exploring the link between periodontal disease and sperm quality.” Journal/Review. 2024/2025.
- “Infertility and inflammation: The potential connection to periodontal disease.” DentistryIQ. 2017.
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宇都宮鍼灸良導絡院は、大阪市都島区にある妊活専門の鍼灸院です。体質改善から不妊治療のサポートまで、患者様一人ひとりに合わせた施術をご提供しています。妊活や体調のお悩みなど、どうぞお気軽にご相談ください🍀







