
不育症の原因がわからない・検査で異常なしと言われたら|次に確認したいこと
不育症の検査を受けても、「はっきりした原因は見つかりませんでした」「検査では異常なしです」と言われることがあります。
そう言われると、「では、次に何をすればいいの?」「また同じことが起きたらどうしよう」と不安になる方も少なくありません。
まず知っておきたいのは、不育症では必要な検査を行っても、明確なリスク因子が特定されないことがあるということです。
原因がわからなかったからといって、ご自身の生活や努力不足が流産の原因だったという意味ではありません。また、「もう何もできない」という意味でもありません。
この記事では、原因不明の不育症で確認しておきたい検査、治療の考え方、次の妊娠に向けてできること、鍼灸の位置づけについて分かりやすく解説します。
- 不育症では、検査をしても明確なリスク因子が特定されないことがあります
- 原因不明といわれても、まずはどの不育症検査を受けたか確認することが大切です
- リスク因子がない場合に、アスピリンやヘパリンなどを自己判断で追加することはおすすめできません
- 生活習慣や冷えだけを流産の原因と考え、自分を責める必要はありません
- 鍼灸は不育症そのものの治療ではなく、病院での治療と並行した体調管理の一つとして利用できます
不育症の「原因不明」とは?
現在の「不育症管理に関する提言2025」では、不育症は基本的に流産あるいは死産を2回以上経験している状態とされています。
不育症では、子宮の形、抗リン脂質抗体、染色体、甲状腺機能などについて調べても、妊娠が継続しなかった理由を一つに特定できない場合があります。
医療では「原因不明不育症」と表現されることがありますが、近年の国内の提言では「リスク因子不明」という表現も使われています。
これは「原因が存在しない」という意味ではなく、現在行われている検査では、治療につながる明確なリスク因子を特定できなかったという意味に近いと考えると分かりやすいでしょう。
原因不明と言われたら、まず確認したい検査
「検査では異常なし」と言われても、どの検査を受けたかは医療機関やこれまでの妊娠歴によって異なることがあります。
「不育症管理に関する提言2025」では、主な推奨検査として次の項目が挙げられています。
- 子宮形態検査
- 抗リン脂質抗体検査
- 夫婦染色体検査
- 甲状腺機能などの内分泌検査
- 流死産胎児・絨毛染色体検査
すべての方に同じ検査が必要というわけではありません。これまでの流産時期、回数、年齢、既往歴、家族歴などによって必要な検査は異なります。
不安が残っている場合は、検査結果の用紙を見ながら、主治医に「どこまで調べているのか」「追加で確認した方がよい項目があるのか」を聞いてみましょう。
流産時の胎児・絨毛染色体検査について
流産では、胎児側の染色体異常が関係している場合があります。
流産した組織を調べることで、今回の流産に染色体異常が関係していた可能性を確認できる場合があります。
ただし、実施できる時期や検査方法には条件があるため、今後妊娠した際に万一流産となった場合の検査について、あらかじめ主治医と相談しておく方法もあります。
原因不明の場合、特別な治療をした方がいい?
原因が見つからないと、「何か薬を使った方が安心なのでは」と感じることがあります。
しかし、不育症では原因やリスク因子に応じて治療を選択することが基本です。
たとえば抗リン脂質抗体症候群などが診断された場合には、医師の判断で低用量アスピリンやヘパリンなどが使用されることがあります。
一方、リスク因子が特定されていない方に、低用量アスピリンやヘパリンなどを一律に使用すれば流産を防げるという十分な根拠はありません。
免疫に関する検査や治療についても、研究段階のものがあります。「念のため」と自己判断で薬やサプリメントを追加するのではなく、メリットとデメリットを主治医と確認することが大切です。
次の妊娠に向けて確認しておきたいこと
1. 妊娠したらいつ受診するか確認しておく
不育症を経験した方は、妊娠が分かったあとも「胎嚢は見えるかな」「心拍は確認できるかな」と不安が続きやすいものです。
次に妊娠した場合、いつクリニックへ連絡するのか、薬を使用する予定があるのか、どのように経過を確認していくのかを事前に主治医へ確認しておくと、妊娠判定後に慌てにくくなります。
2. 妊娠前の健康状態を整える
生活習慣を変えれば原因不明不育症を治せる、流産を防げるというわけではありません。
一方で、妊娠前から健康状態を整えておくことは、一般的なプレコンセプションケアとして大切です。
- 喫煙している場合は禁煙を検討する
- 過度な飲酒を控える
- カフェインをとりすぎない
- 葉酸を含め、偏りの少ない食事を心がける
- 無理のない運動を取り入れる
- 睡眠時間を確保する
- 持病や服用中の薬がある場合は妊娠前に医師へ確認する
「これをしなかったから流産した」と考える必要はありません。生活習慣は、流産予防のための義務ではなく、これからの妊娠をできるだけ健康な状態で迎えるための準備として考えましょう。
3. 不安を一人で抱え込みすぎない
流産を経験すると、次の妊娠を望む気持ちと同時に、「また同じことが起きるのでは」という怖さを感じることがあります。
妊娠が成立してからも、胎嚢確認、心拍確認、妊婦健診と、次の診察まで不安が続くことがあります。
不育症では身体面だけでなく、心理的なサポートも大切です。眠れない、日常生活が手につかない、不安で検索を止められないといった状態が続く場合には、産婦人科医、助産師、カウンセラーなどに相談することも選択肢です。
冷え・睡眠・ストレスは流産の原因になりますか?
不育症について調べていると、「冷えがあるから流産したのでは」「ストレスが強かったからでは」「睡眠不足だったからでは」と考えてしまうことがあります。
しかし、冷えや一時的なストレス、睡眠状態だけを原因として流産が起こったと判断することはできません。
特に流産後は、自分の行動の中に原因を探してしまいやすいものですが、ご自身を責める必要はありません。
冷え、肩こり、睡眠不足、疲労などがつらい場合には、それらを「不育症の原因」と考えるのではなく、日常生活を少しでも過ごしやすくするための体調管理として整えていきましょう。
不育症に対して鍼灸でできること・できないこと
現時点では、鍼灸によって原因不明不育症そのものを治したり、流産を予防したりできると断定できる十分な医学的根拠はありません。
不育症の検査や医学的治療は、産婦人科や不育症を診療する医療機関で受けることが基本です。
そのうえで当院では、妊活中や流産後の方のお話を伺いながら、次のような体調面を確認して施術を行っています。
- 首や肩、腰などのこりや緊張
- 冷えやむくみなどの体調の悩み
- 疲労感
- 睡眠の悩み
- 妊娠や不妊治療に伴う緊張や不安
鍼灸は不育症の医学的治療の代わりではなく、病院での検査・治療と並行しながら、妊娠前後のコンディションを整えるための補助的なケアとして位置づけています。
妊娠が成立している場合や、不育症治療として薬を使用している場合は、施術前に妊娠週数や治療内容をお知らせください。
不育症について医療機関へ相談する目安
日本では、流産または死産を2回以上経験している場合は、不育症について医療機関へ相談する一つの目安となります。
また、流産歴が1回でも、妊娠週数や既往歴などによって詳しい検査が必要になる場合があります。
「自分は不育症に該当するのかわからない」「前回の流産について詳しく調べた方がいいのかな」と迷う場合には、産婦人科や不育症を専門的に診療している医療機関へ相談してください。
現在妊娠中で出血、強い腹痛、体調の急な変化などがある場合は、鍼灸院ではなく、まず通院中の産婦人科へ連絡してください。
原因がわからなくても、次の妊娠に向けてできることはあります
不育症の検査で原因が見つからないと、「何を信じて進めればいいのだろう」と感じることがあります。
しかし、原因が特定できないこと自体は珍しいことではありません。
まずは、これまで受けた検査を確認し、必要な医学的評価が済んでいるか、次回妊娠時にどのように経過をみていくのかを主治医と整理しておきましょう。
そのうえで、食事、睡眠、運動など基本的な健康管理を続け、身体や気持ちの負担が大きいときには周囲のサポートを利用することも大切です。
流産や不育症は、努力不足で起こるものではありません。できることと、コントロールできないことを分けながら、次の妊娠に向けて準備していきましょう。
不育症の検査を受けて「原因はわかりません」と言われると、理由が分からないこと自体が大きな不安になることがあります。
そのようなときほど、「何か自分に原因があったのでは」と一人で抱え込まないでください。まずは医学的に必要な検査や次の妊娠時の対応を主治医と確認することが大切です。
当院では、病院での検査や治療を優先しながら、流産後の疲労や睡眠、冷え、身体の緊張など、その時々のお身体の状態を伺い、妊活中のコンディションづくりをサポートしています。
Q. 不育症の検査で全部異常なしでした。もう調べることはありませんか?
A. どの検査を受けているかによって異なります。「不育症管理に関する提言2025」で推奨されている検査と照らし合わせながら、追加検査が必要か主治医へ確認してみましょう。
Q. 原因不明なら、アスピリンを飲んだ方が安心ですか?
A. リスク因子が特定されていない方に一律に使用することが推奨されているわけではありません。薬は自己判断で使用せず、主治医と相談してください。
Q. 冷えやストレスが流産の原因だったのでしょうか?
A. 冷えや一時的なストレスだけを原因として流産が起こったと判断することはできません。ご自身を責めず、つらい症状がある場合は体調管理としてケアしていきましょう。
Q. 原因不明でも次の妊娠は可能ですか?
A. 原因が特定されないことと、今後妊娠を継続できないことは同じではありません。年齢や流産回数などによって見通しは異なるため、ご自身の場合について主治医から説明を受けることをおすすめします。
Q. 不育症でも鍼灸を受けられますか?
A. 妊娠前の体調管理として受けられる場合があります。ただし、鍼灸で流産を予防できると断定できるものではありません。妊娠中や薬を使用している場合は、妊娠週数や治療状況を事前にお知らせください。
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📚参考文献
-
[1] 「不育症管理に関する提言」改訂委員会. 不育症管理に関する提言2025. 2025.
日本における不育症の定義、推奨検査、リスク因子別の治療、リスク因子不明の場合の考え方などをまとめた提言です。 -
[2] 日本産科婦人科学会. 流産・切迫流産.
流産、反復流産、習慣流産の考え方や、不育症の主なリスク因子について一般向けに解説しています。 -
[3] European Society of Human Reproduction and Embryology. Guideline on the Management of Recurrent Pregnancy Loss. 2023.
反復流産の検査、治療、生活習慣、心理的サポートなどについてまとめた国際的な診療ガイドラインです。 -
[4] American Society for Reproductive Medicine Practice Committee. Recurrent pregnancy loss: a committee opinion. Fertility and Sterility. 2026.
反復流産の最新の検査・治療、原因不明の場合の対応や心理的支援について整理した米国生殖医学会の委員会見解です。
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
不育症の検査後も、次の妊娠に向けて不安が残っている方へ
「検査では異常なしと言われたけれど、このまま次の妊娠に進んでいいのかな」「また同じことが起きるのでは」と不安を感じる方は少なくありません。
不育症については、まず産婦人科や不育症を診療する医療機関で必要な検査・治療を受けることが大切です。そのうえで、流産後の疲労や睡眠、冷え、首肩の緊張など、日々の体調について整えていくこともできます。
大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院では、これまでの妊娠歴や現在の治療状況を伺いながら、病院での治療と並行した妊活中の身体づくりやコンディション調整をサポートしています。
「病院での治療以外にも、今の自分にできる体調管理を相談したい」という方も、無理のない範囲でご相談ください🍀







