
精液検査で白血球が多いと言われたら?感染・炎症と男性不妊の関係
精液検査で「白血球が多い」と言われると、「感染症があるの?」「精子に影響しているの?」「妊娠しにくくなる?」と不安になる方も少なくありません。
結論からいうと、精液中の白血球が多いからといって、それだけで感染症や男性不妊が確定するわけではありません。
一方で、白血球の増加は前立腺や精巣上体など男性生殖器の感染・炎症と関係することがあり、数値や症状によっては泌尿器科や男性不妊外来で詳しく調べることがあります。
この記事では、精液検査で白血球が多いと言われたときの基準、主な原因、精子への影響、追加検査や治療、受診の目安についてわかりやすく解説します。
- 精液中の白血球が多い状態は「白血球精液症(leukocytospermia)」や「膿精液症(pyospermia)」と呼ばれることがあります。
- WHO第6版では、peroxidase陽性細胞が1mLあたり100万個以上の場合を臨床的に異常とする目安が示されています。
- 白血球が多い原因には、前立腺・精巣上体・尿道などの感染や炎症が関係する場合がありますが、感染が見つからないケースもあります。
- 白血球は活性酸素を増やし、精子の運動性やDNAに影響する可能性がありますが、白血球の数だけで妊娠の可否を判断することはできません。
- 白血球が多いからといって、自己判断で抗生物質を飲むことはおすすめできません。必要な検査を行い、原因に応じて治療を検討します。


精液検査で白血球が多いとは?
精液の中には、精子だけではなくさまざまな細胞が含まれています。そのひとつが白血球です。
白血球は身体を感染や炎症から守る免疫細胞で、精液中に少量認められること自体は珍しいことではありません。
しかし、白血球が一定以上に増えている場合は、男性生殖器の感染や炎症が背景にないか確認することがあります。
白血球はどのくらいから「多い」?
WHOの精液検査マニュアル第6版では、peroxidase陽性細胞が精液1mLあたり100万個(1.0×106/mL)以上の場合を、臨床的に異常と考えるための目安としています。[1]
ただし、この数値だけで感染症や不妊を診断できるわけではありません。
また、精液検査で「円形細胞(round cells)」が多いと記載されていても、すべてが白血球とは限りません。
円形細胞には白血球だけでなく未熟な生殖細胞も含まれるため、必要に応じてperoxidase染色などを用いて区別します。[1][2]
精液中の白血球が増える主な原因
精液中の白血球が増える背景として、男性生殖器や尿路の感染・炎症が考えられます。
ただし、白血球が多いからといって、必ず細菌感染があるとは限りません。
前立腺など男性生殖器の感染・炎症
白血球が増える原因として確認されることがあるのが、前立腺・精巣上体・尿道などの感染や炎症です。
- 前立腺炎
- 精巣上体炎
- 尿道炎
- 尿路感染症
- 性感染症
排尿時の痛み、尿道の違和感、精巣の痛みや腫れ、会陰部の痛み、発熱などがある場合は、泌尿器科での確認が重要です。
感染が見つからない炎症の場合もある
精液中の白血球が多くても、培養検査などで原因となる細菌が確認されない場合があります。
AUA/ASRMの男性不妊ガイドラインでも、精液中の白血球は感染だけでなく、非細菌性の炎症によって増える場合があるとされています。[2]
そのため、「白血球が多い=抗生物質が必要」と単純に考えることはできません。
円形細胞が白血球ではないこともある
通常の精液検査では、白血球と未熟な生殖細胞が顕微鏡上で似て見える場合があります。
そのため、円形細胞が多い場合には、それが本当に白血球なのかを追加検査で確認することがあります。
白血球が多いと精子にどんな影響がある?
白血球は、感染や炎症への反応として活性酸素(ROS)を産生します。
活性酸素が過剰になると、精子の細胞膜やDNAなどに酸化ストレスが加わり、精子の運動性や機能に影響する可能性があります。[1][3]
ただし、白血球の数と男性の妊孕性にはまだ不明な点も多く、白血球が多いという結果だけで「妊娠できない」「精子の質が悪い」と判断することはできません。
精子濃度、運動率、形態など他の精液所見や、症状、感染の有無などを合わせて判断することが大切です。
精液検査で白血球が多いと言われたら何を調べる?
白血球が多いと言われた場合、まず確認したいのは「どの程度多いのか」と「感染や炎症を疑う症状がないか」です。
必要に応じて、泌尿器科や男性不妊外来で次のような確認が行われることがあります。
- 精液検査の再確認
- 白血球と未熟生殖細胞の鑑別
- 尿検査
- 尿や精液の培養検査
- 性感染症の検査
- 前立腺や精巣上体などの診察
すべての方にすべての検査が必要なわけではありません。
症状やこれまでの治療歴、白血球数などを確認しながら、医師が必要な検査を判断します。
抗生物質を飲めば白血球は減る?
精液中の白血球が多いと、「抗生物質を飲めば治るのでは」と考える方もいるかもしれません。
しかし、感染が確認されていない状態で、白血球が多いという理由だけから自己判断で抗生物質を使用することはおすすめできません。
細菌感染が確認された場合には、原因となる菌や感染部位に応じて医師が抗菌薬を選択することがあります。
一方、感染ではなく炎症が中心の場合には、対応が異なります。
白血球精液症に対する抗菌薬や抗酸化療法については研究されていますが、妊娠率や出生率の改善まで明確に証明されているわけではありません。[3][4]
まず原因を確認し、その結果に応じて治療することが重要です。
人工授精・体外受精を控えている場合はどうする?
人工授精や体外受精の前に白血球が多いと言われても、それだけで治療周期が必ず中止になるわけではありません。
ただし、強い感染症状がある場合や、精子濃度・運動率などにも問題がみられる場合には、治療方針に影響することがあります。
治療を控えている方は、精液検査の結果を自己判断せず、不妊治療を担当している医師へ伝えておきましょう。
必要に応じて泌尿器科や男性不妊外来と連携しながら、治療を進めることがあります。
こんな症状がある場合は泌尿器科へ相談を
精液中の白血球が多いと言われ、次のような症状もある場合は、泌尿器科などの医療機関へ相談しましょう。
- 排尿するときに痛みや違和感がある
- 尿道から分泌物が出る
- 精巣や陰嚢に痛み・腫れがある
- 会陰部や下腹部に痛みがある
- 発熱がある
- 血精液症を繰り返す
- 精子濃度や運動率も低いと言われた
- 白血球が多い状態が繰り返し続いている
症状がなくても白血球が繰り返し多い場合や、妊活が長引いている場合は、男性不妊を専門とする泌尿器科へ相談する選択肢があります。
生活習慣でできることは?
生活習慣だけで精液中の白血球を治療できるわけではありません。
感染や炎症が疑われる場合には、まず医療機関で原因を確認することが優先です。
そのうえで、男性妊活全体のコンディションを整えるためには、睡眠不足を避ける、喫煙を控える、過度な飲酒を避ける、バランスの取れた食事をとるなど、基本的な生活習慣を整えておくことも大切です。
まとめ
精液検査で白血球が多いと言われても、それだけで感染症や男性不妊が確定するわけではありません。
WHO第6版では、peroxidase陽性細胞が1mLあたり100万個以上の場合を臨床的に異常とする目安としていますが、数値だけではなく、感染や炎症の有無、精子濃度や運動率、症状などを合わせて評価することが大切です。
特に排尿時の痛み、精巣の腫れ、発熱などがある場合や、白血球が繰り返し多い場合は、泌尿器科や男性不妊外来へ相談しましょう。
白血球が多いからといって自己判断で抗生物質を使用せず、原因を確認してから適切な対応を考えることが大切です。
Q. 精液検査の白血球はどのくらいから多いですか?
A. WHO第6版では、peroxidase陽性細胞が精液1mLあたり100万個以上の場合を、臨床的に異常と考える目安としています。ただし、検査方法や結果の表記方法によって異なるため、検査を受けた医療機関で確認してください。
Q. 白血球が多いと感染症ということですか?
A. 必ずしも感染症とは限りません。細菌感染が原因の場合もありますが、感染が確認されない炎症や、白血球以外の円形細胞が含まれている場合もあります。
Q. 白血球が多いと妊娠できませんか?
A. 白血球が多いという結果だけで妊娠の可否を判断することはできません。精子濃度・運動率・形態など他の精液所見や、女性側の状態なども含めて総合的に判断します。
Q. 白血球が多ければ抗生物質を飲んだ方がよいですか?
A. 白血球が多いだけで抗生物質が必要とは限りません。感染の有無を確認し、必要な場合に医師が治療を判断します。自己判断で抗生物質を使用するのは避けましょう。
Q. 精液検査はもう一度受けた方がよいですか?
A. 精液所見には変動があります。白血球が多い状態が一時的なのか、繰り返しているのかを確認するため、医師の判断で再検査を行うことがあります。
精液検査で白血球を指摘されると、「何か感染しているのでは」「妊活に影響するのでは」と心配になる方が少なくありません。
白血球が多い場合は、まず必要に応じて泌尿器科や男性不妊外来で感染・炎症の原因を確認することが大切です。鍼灸は感染症に対する抗菌治療の代わりになるものではありません。
そのうえで、睡眠や疲労、ストレス、生活習慣など男性妊活全体のコンディションについて整理したい場合には、当院でも一緒に考えていきます。
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📚参考文献
- [1] World Health Organization. WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen, 6th edition. 2021.
精液検査の国際的な標準手順、白血球・peroxidase陽性細胞の評価方法などをまとめたWHOマニュアルです。 - [2] AUA/ASRM. Diagnosis and treatment of infertility in men: guideline part I.
円形細胞と白血球の鑑別、膿精液症が認められた場合の感染評価などについて示した男性不妊診療ガイドラインです。 - [3] Role of Leukocytospermia in the Management of Male Infertility: Decoding a Mystery for the Busy Clinicians. 2024.
白血球精液症と炎症、酸化ストレス、精子機能との関係についてまとめたレビューです。 - [4] Review of Guidelines for the Evaluation and Treatment of Leukocytospermia in Male Infertility.
白血球精液症の診断や治療について各国のガイドラインと研究を比較したレビューです。
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
精液検査の結果を見て、男性側の妊活も見直したい方へ
精液検査で白血球や炎症を指摘された場合は、まず必要に応じて泌尿器科や男性不妊外来で原因を確認することが大切です。
そのうえで、「睡眠や疲労、ストレスなども含めて体調を整えたい」「夫婦で妊活に取り組みたい」という場合には、大阪市都島区にある宇都宮鍼灸良導絡院も相談先の一つとしてご利用ください。
検査結果だけで不安を大きくせず、今できることを一つずつ整理していきましょう。







