
2023年09月の投稿記事
胚移植直前、「子宮内膜が薄い」と不安になっていませんか?
「移植日、内膜が薄くなったって言われたけど、大丈夫?」
「子宮内膜が5mmしかないって言われた…これじゃ妊娠できない?」
せっかくここまで頑張ってきたのに、移植直前に「内膜が薄い」と聞くと、不安でいっぱいになりますよね。特に「移植日 内膜 薄くなった」「子宮内膜 5mm」といったキーワードで検索されている方は、ご自身の妊娠の可能性について強く懸念されていることでしょう。
この記事では、あなたのその不安を解消するため、「子宮内膜コンパクション」のメカニズムと、薄い内膜が妊娠に与える実際の最新知見を詳しく解説します。
Q1. 「移植日に内膜が薄くなった」と言われました。大丈夫でしょうか?
A. それはポジティブなサインかもしれません。 黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響で内膜が密集・凝縮する「子宮内膜コンパクション」という現象の可能性が高く、これは受精卵が着床しやすい「受け入れ準備」が整った状態を示します。
Q2. コンパクションは妊娠率にどう影響しますか?
A. 妊娠率とポジティブな相関があります。 プロゲステロン投与後に内膜が10%程度薄くなった(コンパクションを認めた)場合、継続妊娠率が上昇したという研究データも報告されています。
Q3. 子宮内膜が5mmしかありません。妊娠は難しいでしょうか?
A. 諦める必要はありません。 一般的に8mm以上が適しているとされますが、5mm台や6mm台といった薄い内膜でも妊娠・出産に至るケースは報告されています。大切なのは厚さだけでなく、内膜の「質」です。
Q4. 内膜が薄くなる原因は何ですか?
A. いくつかの原因が考えられます。
1. コンパクション(生理的変化)
2. エストロゲン不足
3. 子宮内血流不良(冷え・ストレスなど)
4. 子宮内膜の損傷(過去の手術など)
5. プロゲステロン抵抗性
Q5. 薄い内膜の質を高めるためにできることはありますか?
A. 鍼灸によるアプローチが注目されています。 鍼灸は、子宮周辺の血流を促進して内膜に栄養を行き渡らせる、また、自律神経を整えることでホルモンバランスをサポートし、着床しやすい身体づくりを促すことが期待されています。
「移植日、内膜が薄くなった」は良いサイン?「コンパクション」の正体
多くの患者様が心配される「移植日の内膜が薄くなった」という現象は、実は妊娠へのポジティブなサインである可能性があります。その鍵となるのが「子宮内膜コンパクション」です。
子宮内膜コンパクションとは?
コンパクションとは、黄体期のホルモン(プロゲステロン)の影響を受け、子宮内膜の細胞が密集して凝縮する現象を指します。
- 厚さは一時的に減少するが、質は向上:厚さが薄くなるのは、細胞の数が減るわけではなく、内膜がギュッと引き締まるためです。
- 着床準備の完了:これは、受精卵が着床しやすい、より理想的な「受け入れ準備」が整った状態を示すと考えられています。
研究結果が示す、コンパクションと妊娠率のポジティブな相関
最新の研究では、このコンパクション現象が妊娠率と密接に関連していることが示されています。
- 継続妊娠率の上昇データ:特に、黄体ホルモン(プロゲステロン)の投与後に子宮内膜が10%程度薄くなった(コンパクションを認めた)場合、継続妊娠率が52%に上昇するというデータも報告されています。
- 不安は不要:移植前に子宮内膜が多少薄く見えても、それがコンパクションによるものであれば、むしろ妊娠の可能性が高まっていると考えて良いでしょう。
「子宮内膜5mm」は絶望的?最新知見が示す希望
一般的に、子宮内膜は8mm以上が着床に適しているとされます。「子宮内膜が5mmしかない」と言われると、妊娠は絶望的だと感じてしまうかもしれません。しかし、諦める必要はありません。
薄い内膜でも妊娠の可能性はある
子宮内膜の厚さが妊娠率に影響を与えることは事実ですが、「内膜の厚さ=妊娠の絶対条件」ではありません。
- 薄くても妊娠している例:多くの専門施設が、内膜が5mm台や6mm台といった薄い状態でも、無事に妊娠・出産に至った事例を報告しています。
- 大切なのは「質」:厚さだけでなく、内膜が受精卵を受け入れる準備が整っているか(内膜の質)の方が、最終的な妊娠には重要だと考えられています。
医師が移植を決定した場合、その時点の内膜の状態と胚の質を総合的に判断し、最善の選択をしているはずです。
なぜ「内膜が薄い」のか?コンパクション以外の原因
移植日が近いのに内膜が薄い場合、それがコンパクションによるものでないとしたら、他にいくつかの原因が考えられます。
- コンパクション:黄体ホルモン(プロゲステロン)による生理的変化。ポジティブなサインの可能性あり。
- エストロゲン不足:内膜増殖に不可欠なエストロゲンが不足している。厚みが不足し、着床しにくい状態。
- 子宮内血流不良:冷え、ストレス、運動不足などで血流が悪化。内膜に栄養が行き渡らず、育ちにくい。
- 子宮内膜の損傷:過去の掻爬手術や子宮内膜炎などによる内膜のダメージ。器質的な問題で厚くなりにくい。
- プロゲステロン抵抗性:黄体ホルモンを受け取る側の細胞の反応が悪い。コンパクションが不十分になる可能性。
薄い内膜と「質」を高めるためのアプローチ
内膜の薄さが不安な場合は、医師との相談を大前提としつつ、内膜の質を高めるための対策を検討しましょう。
鍼灸による体質改善の役割
移植前の鍼灸治療は、内膜の質と厚さを改善するための有効なアプローチとして注目されています。
- 子宮への血流促進:子宮周辺の血流を改善し、内膜に十分な栄養や酸素を行き渡らせることで、内膜の厚みやコンパクションが適切に起こりやすい環境を整えます。
- ホルモンバランスの調整:自律神経のバランスを整え、ストレスを軽減することで、エストロゲンとプロゲステロンの適切なバランスをサポートします。
まとめ:希望を捨てずに、前向きに
「移植日、内膜が薄くなった」「子宮内膜5mm」という事態は、大きな不安を伴います。しかし、最新の知見ではコンパクションという現象があること、また内膜が薄くても妊娠に至るケースがあることを知ってください。
内膜の厚さや質に不安がある場合は、まずは主治医としっかり相談し、必要に応じて鍼灸治療などのサポートも活用しながら、前向きに移植に臨みましょう。私たちは、あなたの不安に寄り添い、着床しやすい身体づくりをサポートいたします。
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胚移植後の食事で着床率アップ!食べていいもの・避けるべき食べ物を徹底解説
「胚移植後、何を食べたらいいんだろう?」
「着床のために、特別な食事や、食べてはいけないものってあるの?」
胚移植後の数週間は、着床を待ち、新しい命の可能性を育む、妊活中でも特にデリケートで大切な時期です。この期間の食事や水分摂取は、妊娠の成功とその後の健康な妊娠生活をサポートするために非常に重要だと考えられています。
今回は、最新の知見と研究に基づき、胚移植後に積極的に摂りたい栄養素、食事のポイント、そして注意すべきことについて詳しく解説します。無理なく、そして美味しく、赤ちゃんを迎える準備を進めましょう。
着床をサポートするために積極的に摂りたい栄養素
着床には、子宮内膜が適切な状態であることが不可欠です。子宮内膜の環境を整え、妊娠しやすい体づくりをサポートする栄養素を意識して摂りましょう。
1. 着床のカギを握る「ビタミンD」
近年、ビタミンDは着床率や妊娠率を上げる作用があるとして、特に注目されています。子宮内膜の環境を整える上で重要な役割を果たすため、積極的に摂取することが推奨されます。
ビタミンDは、魚類(サケ、イワシ、サバなど)やきのこ類(干し椎茸、きくらげなど)に多く含まれています。食事からの摂取が難しい場合は、サプリメントの活用や適度な日光浴もおすすめです。
2. 妊娠に不可欠な「鉄分」と「葉酸」
- 鉄分: 子宮内膜の代謝に深く関わり、着床しやすい状態をサポートします。妊娠中の胎児発育にも不可欠で、赤身の肉、豆類、ほうれん草、アサリなどに多く含まれます。
- 葉酸: 胎児の神経管閉鎖障害のリスクを減らすために不可欠で、妊娠を望むすべての女性に必要とされる栄養素です。緑黄色野菜、柑橘類、アボカドなどに多く含まれますが、サプリメントでの摂取も強く推奨されています。
3. その他、妊娠継続を支える重要な栄養素
- タンパク質: 赤ちゃんの体を作る基本的な材料であり、ホルモン生成にも関わります。鶏肉、魚、卵、大豆製品など、良質なものをバランス良く摂りましょう。
- オメガ-3脂肪酸(DHA・EPA): 炎症を抑え、ホルモンバランスを整える効果が期待され、胎児の脳や神経の発達にも重要です。青魚(サバ、イワシ、サンマなど)や亜麻仁油から摂取できます。
- カルシウム: 胎児の骨と歯の形成に必要です。乳製品、小魚、豆腐、小松菜、ブロッコリーなどから摂りましょう。
迷ったら「地中海型食生活」を参考に
食べるものに迷ったら、いくつかの研究で妊娠率を向上させる可能性が示唆されている地中海型の食生活を参考にすることをお勧めします。これは特定の食材に偏らず、多様な栄養素をバランス良く摂取できるのが特徴です。
地中海型の食事の主なポイントは以下の通りです。
- 魚介類を豊富に摂る:良質なタンパク質とオメガ-3脂肪酸の供給源となります。
- 野菜、果物、全粒穀物を多く摂る:食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富です。
- オリーブオイルを主な油として使用する:良質な不飽和脂肪酸が豊富です。
- 豆類、ナッツ類、種実類を適度に摂る:タンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルが補給できます。
- 赤身肉や乳製品は控えめに:摂りすぎに注意し、バランスを重視します。
胚移植後に「避けるべき・注意すべき」食事と飲み物
胚移植後、「絶対に食べてはいけないもの」はほとんどありませんが、着床環境に悪影響を与える可能性がある習慣や過剰摂取には注意が必要です。
1. アルコール・カフェインは控える
- アルコール(お酒): 妊娠前のアルコール摂取は出産率を低下させ、妊娠中は胎児性アルコール症候群の原因になるため、絶対に避けましょう。
- カフェイン: 過剰摂取は控えるべきです。普段からコーヒーや紅茶を飲む習慣のある方は、量を控え、カフェインレスの製品を選ぶなど工夫しましょう。
2. 体を冷やす食べ物・飲み物は控える
体が冷えると血流が悪くなり、子宮への栄養供給が妨げられる可能性があります。着床をサポートするため、体を温めることを意識しましょう。
- 冷たいもの: 氷、アイスクリームなどの冷たいものや、キンキンに冷えた飲み物の摂りすぎには注意しましょう。
- 温かい食事: 温かいスープ、味噌汁、煮物、おかゆなど、胃腸に負担をかけない温かい食事を心がけ、消化に使われるエネルギーを着床に使ってもらえるようにすることが大切です。
3. 過剰な糖分(白砂糖)と脂質の摂取に注意
- 白砂糖: 身体の代謝やホルモンバランスの維持に必要な栄養素を大量に消費してしまうため、白砂糖を使った甘いものは控えめにすることが賢明です。
- 脂っこいもの: 脂質の多いスナックや加工肉などは、血液の巡りが悪くなる原因(瘀血)となり、子宮への栄養供給を妨げる可能性があるため、シンプルで整った和食中心の食生活がおすすめです。
4. 水分の「過剰摂取」に注意
「1日○リットル」と頑張りすぎて水分を必要以上に摂りすぎると、血液が薄まり、子宮まで栄養が届きにくくなることがあります。
「飲みすぎず、飲まさなすぎず」を意識しましょう。水だけでなく、お味噌汁や漬物など、適度な塩分も一緒に摂ることで体液バランスを保ちやすくなります。
特定の疾患がある場合の注意点
既存の疾患がある場合は、自己判断で食事を調整せず、必ず医師や管理栄養士と相談しながら進めてください。
- 甲状腺機能障害: 鉄分やヨウ素(海藻類に豊富)の摂取量に注意が必要です。過剰摂取は甲状腺機能に影響を与える可能性があります。
- 糖尿病: 血糖値の管理が非常に重要です。バランスの取れた食事を心がけ、専門家の指導に従いましょう。
- 高血圧: 塩分の摂取を控え、血圧の管理に注意しましょう。
まとめ:美味しく、無理なく、バランス良く!
胚移植後の食事は、着床と妊娠継続のための大切なステップです。
- ビタミンD、鉄分、葉酸をはじめ、タンパク質など、バランスの取れた栄養素を意識して摂りましょう。
- アルコール、カフェイン、そして冷たい食事や糖分の過剰摂取には注意し、体を冷やさない消化の良い食事を心がけましょう。
何よりも大切なのは、「赤ちゃんのために」と頑張りすぎて、食事がストレスになってしまわないことです。無理なく、ご自身のペースで食事を楽しみながら、心身の健康をしっかりと支えることが、赤ちゃんの健やかな成長をサポートする上で最も大切です。
胚移植後の食事、あなたに合った最適なバランスを見つけて、心穏やかに過ごしましょう。


📚参考文献
- Vujkovic M, de Vries J, Lindemans J, Mijatovic V, et al. The Mediterranean diet and IVF success: a systematic review and meta-analysis. Fertil Steril. 2018;109(5):803‑810.e1.
- 厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2020年版)
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【妊娠中・妊活中のカレーはOK?】妊娠力を高める食べ物とは
妊活中の皆さん。毎日の食事、何を意識して摂ればいいのか迷っていませんか?
妊活中は、食事から適切な栄養素を摂取することが非常に重要です。この記事では、日本の伝統的な食事「まごわやさしい」の知恵と最新の栄養学の知見を組み合わせ、妊娠しやすい身体を作るための食生活について詳しく解説します。
妊娠をサポートする重要な栄養素
妊活中の食事でまず意識したいのは、以下の5つの栄養素です。これらは、卵子や精子の質を高め、着床しやすい身体をつくるために欠かせません。
- 葉酸: 妊娠初期の胎児の神経管閉鎖障害を予防するため、妊活中から摂取が推奨されています。ほうれん草、ブロッコリー、レンズ豆、アボカドなどに豊富に含まれます。
- 鉄分: 貧血を予防し、母体と胎児の健康を保つために必要です。特に妊娠中は血液量が増えるため、非妊娠時よりも多くの鉄分が求められます。赤身の肉、レバー、ほうれん草、レンズ豆などに含まれます。
- オメガ3脂肪酸: 脳や神経の発達に不可欠な栄養素で、炎症を抑える働きもあります。青魚(サバ、サンマ、イワシなど)、亜麻仁油、チアシードなどに多く含まれます。
- ビタミンD: 骨や歯の発達、免疫機能のサポートに加えて、生殖機能の改善にも関与していることが近年の研究で明らかになっています。太陽の光を浴びること、魚、卵、きのこ類などから摂取できます。
- タンパク質: 卵子や精子の材料となる重要な栄養素です。良質なタンパク質をバランス良く摂取することが大切です。
妊活中の食事の味方「まごわやさしい」
「まごわやさしい」は、日本の伝統的な食生活の知恵をまとめた語呂合わせです。この食生活は、栄養バランスが良く、血液をサラサラにして血流を改善する食材が中心となっているため、妊活中の女性に特におすすめです。
- ま (豆類): 豆腐、大豆、納豆。良質な植物性タンパク質は、血液や細胞の材料となります。
- ご (ゴマ): マグネシウム、カルシウム、鉄分、良質な脂質が豊富です。
- わ (ワカメ): 海藻類。海のミネラルが豊富です。ただし、甲状腺ホルモンに問題がある場合は摂取量に注意が必要です。
- や (野菜): 特に緑黄色野菜。ビタミン、ミネラル、食物繊維、抗酸化物質が豊富です。
- さ (魚): 魚介類。低カロリーで良質なタンパク質を摂取できます。青魚に含まれるDHAやEPAは、オメガ3脂肪酸の代表格です。
- し (しいたけ): きのこ類。食物繊維やビタミンDが豊富で、血管のお掃除にも役立ちます。
- い (イモ類): 食物繊維が多く、便秘解消に効果的です。
この「まごわやさしい」の食生活は、バランスの取れた栄養を効率よく摂取でき、子宮や卵巣への血流改善も期待できます。
避けるべき食生活「おかあさんやすめ」
一方、「おかあさんやすめ」という語呂合わせで示される食品群は、妊活中に注意したいものです。これらの食品は糖質が多く、血糖値が急激に上がりやすいという特徴があります。
- お: お菓子
- か: カレーライス(ルーに含まれる脂質や糖質に注意)
- あ: アンパン(菓子パン全般)
- さん: サンドイッチ
- や: 焼きそば
- す: スパゲティ
- め: 麺類(うどん、ラーメンなど)
妊活を始める前は、これらの食事が多かったかもしれません。しかし、妊活中や妊娠期、授乳期など、女性の身体が特にデリケートな時期には、「おかあさんやすめ」型の食事は控え、血糖値の安定を心がけましょう。血糖値の乱れは、ホルモンバランスの乱れにもつながる可能性があります。
「カレー」は妊活中に食べてはいけない?
「カレーライス」は、手軽で美味しく、多くの人が大好きなメニューですが、妊活中は注意が必要です。
ルーを使ったカレーは注意が必要
市販のカレールーには、多くの小麦粉、油、砂糖などが含まれており、脂質や糖質が多くなりがちです。これにより、血糖値が急激に上がりやすくなるため、ホルモンバランスに影響を及ぼす可能性があります。
また、ご飯(白米)と合わせることで糖質の量が増え、血糖値の乱れにつながることがあります。
スパイスと具材を工夫したカレーはOK!
しかし、カレーそのものが悪いわけではありません。カレーのスパイスには、血行促進や代謝アップに役立つものが多く含まれています。おすすめの食べ方は以下の通りです。
- 市販のルーではなく、スパイスを使って手作りする。
- 具材に「まごわやさしい」の要素(豆、きのこ、野菜、魚介類)をたっぷり入れる。
- 白米の量を控えめにし、玄米や雑穀米にする。
- カレーの他に、サラダや野菜の副菜をプラスして、バランスを整える。
このように工夫すれば、カレーも妊活中の食事として楽しむことができます。
地中海料理も妊活におすすめ
「まごわやさしい」の考え方は、海外の健康的な食文化にも通じます。例えば、地中海料理は、野菜、果物、豆類、魚介類、オリーブオイルなどを中心とした食生活で、妊娠率を向上させるという研究結果も報告されています。
地中海料理は、抗酸化物質やオメガ3脂肪酸が豊富で、炎症を抑える効果も期待できます。妊活中の食事にマンネリを感じたら、地中海料理を取り入れてみるのも良い方法です。
妊活は食事以外の要素も大切
もちろん、妊活を成功させるためには食事だけでなく、総合的なアプローチが重要です。
- ストレスの少ない生活: ストレスはホルモンバランスを乱す大きな要因です。
- 十分な睡眠: 良質な睡眠は、ホルモン分泌を正常化させます。
- 適度な運動: ウォーキングやヨガなど、適度な運動は血流を改善し、身体を温めます。
バランスの取れた食事と共に、心と身体の健康を整えることを心がけましょう。


📚参考文献
「赤ちゃんが元気に育つ妊娠中からの「食事」と「温活」」小川原智子 料理研究家, イエローハーモニー代表, aromatopia 31(3): 94-97, 2022.
精子は何歳から老化する?【男性の年齢と精子の劣化との関係性】
妊活と聞くと「女性が中心に取り組むもの」というイメージを持たれる方が多いかもしれません。しかし現実には、不妊の原因の約半分は男性側にあります。その大きな要因のひとつが「精子の老化」です。
精子は毎日つくられるため「年齢の影響は受けないのでは?」と思われがちですが、これは誤解です。精子の量や動きといった“見える部分”だけでなく、DNAの傷や酸化ストレスといった“目に見えない部分”にも加齢の影響は現れます。特に30代後半からは妊娠率や流産率にまで関わってくることが、研究によって明らかになっています。
男性の加齢と精子の質の変化
30歳から始まる緩やかな変化
多くの研究で、精液量や精子数、運動率は30歳前後から少しずつ低下すると報告されています。まだ若いから大丈夫、と思っていても少しずつ機能は落ちていくのです。
35歳を境に顕著に現れる影響
35歳を超えると、その影響はさらに顕著になります。妊娠までの期間が長引いたり、流産率が上がったりする傾向が見られます。これは精子の外見的な数値だけでなく、遺伝子レベルでの劣化が関係していると考えられています。
世界的な精子減少のトレンド
世界的にも精子の数や濃度は年々減少傾向にあり、ある報告では過去40年間で精子濃度が半分以下になったともいわれています。日本でも例外ではなく、ライフスタイルや環境要因と合わせて「精子の質の低下」が社会的な問題となりつつあります。
「見えない質」への注目
精液検査で確認できるのは、精子数や運動率など基本的な指標です。しかし近年、妊娠に直結するのはむしろ“見えない質”だと分かってきました。
- DNA損傷:精子の遺伝情報に傷があると、受精しても着床に至らない、あるいは流産につながるリスクが高まります。
- 酸化ストレス:喫煙や過度なストレス、不規則な生活によって活性酸素が増え、精子を傷つける原因となります。
- 細胞分裂を活性化させる力:卵子と受精した後に正常に分裂・発育させる力も、加齢によって弱まると報告されています。
つまり、見た目の数値が良好でも、精子の機能が落ちている可能性があるのです。
妊娠率や流産率との関係
女性の年齢と同じように、男性の年齢も妊娠率に影響を与えます。35歳を超えると妊娠成立までの期間が長引く傾向があり、さらに40歳を超えると流産率の上昇も報告されています。
これは「卵子の老化」と同じくらい重要な要因ですが、まだ社会的にはあまり認知されていません。夫婦で妊活に取り組む際には、男性の加齢リスクも理解しておくことが大切です。
精子の質を守る7つの生活習慣
精子の老化を完全に止めることはできませんが、生活習慣を改善することで質を守ることは可能です。代表的な対策として以下の7つが挙げられます。
- 禁煙:喫煙はDNA損傷の大きな原因です。
- 適度な射精:禁欲しすぎると古い精子がたまり、質が下がります。
- 通気性の良い下着:精巣は熱に弱いため、ブリーフよりトランクスが望ましいです。
- 過度な温めを避ける:サウナや長風呂は精子に悪影響を与えることがあります。
- 膝上でのPC使用を控える:熱が精巣に伝わりやすく、ダメージにつながります。
- 自転車の乗りすぎに注意:会陰部への圧迫が血流を妨げる可能性があります。
- 薬剤の影響を確認:一部の育毛剤など、ホルモンに影響を与える薬に注意が必要です。
鍼灸によるサポート
生活改善と併せて、鍼灸も有効なサポートとなります。
- 血流促進:精巣や骨盤内の血流を改善し、精子形成環境を整える。
- ホルモンバランスの調整:自律神経の働きを整えることで、男性ホルモンの分泌をサポート。
- ストレス緩和:精神的ストレスを軽減し、酸化ストレスによるダメージを抑える。
これらの作用により、精子のDNA損傷を減らし、妊娠につながる質の高い精子を育てることが期待できます。
まとめ
男性の加齢は精子の数や動きだけでなく、DNA損傷や酸化ストレスといった“見えない質”にも影響を与えます。30代から始まる緩やかな変化に早めに気づき、生活習慣の改善や鍼灸などのケアを取り入れることで、妊娠の可能性を高めることができます。
妊活は夫婦で協力して進めるもの。女性だけでなく、男性も「自分の体を整える」意識を持つことが、未来の命につながる大切な一歩です。


📚参考文献
- Levine H, et al. “Temporal trends in sperm count: a systematic review and meta-regression analysis.” Human Reproduction Update. 2017;23(6):646-659.
- Johnson SL, Dunleavy J, Gemmell NJ, Nakagawa S. “Consistent age-dependent declines in human semen quality: a systematic review and meta-analysis.” Ageing Res Rev. 2015;19:22-33.
- Wyrobek AJ, Eskenazi B, Young S, et al. “Advancing age has differential effects on DNA damage, chromatin integrity, gene mutations, and aneuploidies in sperm.” PNAS. 2006;103(25):9601-9606.
- Sharma R, Biedenharn KR, Fedor JM, Agarwal A. “Lifestyle factors and reproductive health: taking control of your fertility.” Reproductive Biology and Endocrinology. 2013;11:66.
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【妊娠中の鍼灸】妊婦さんは鍼治療を受けても大丈夫?おすすめの理由をご紹介
「妊娠中に鍼をしても本当に大丈夫なの?」
「お腹の赤ちゃんに影響はない?」
妊娠中の鍼灸治療について、このような不安や疑問を抱くのは当然のことです。お母さんの体と赤ちゃんにとって大切な時期だからこそ、安全性についてしっかり知っておきたいですよね。
結論からお伝えすると、妊娠中の鍼灸治療は、専門知識を持った鍼灸師のもとで適切に行えば、安全性が高いとされています。近年、海外でもその有効性と安全性が注目され、多くの科学的なエビデンスが報告されています。
今回は、妊娠中の鍼灸治療がなぜおすすめなのか、その効果と安心の理由を、最新の知見と合わせてご紹介します。
薬に頼らず、つらいマイナートラブルを和らげる
妊娠中は、ホルモンバランスや体の重心の変化、胎児の成長にともない、さまざまなマイナートラブルが起こりやすくなります。つわりや腰痛、むくみなど、これらの不快な症状が、マタニティライフの質を低下させてしまうことも少なくありません。
鍼灸治療は、薬を使うことなく、お母さんの体を内側から整えることで、これらのつらい症状の緩和や改善に効果的です。特に、つわりに関しては、鍼灸によって吐き気や食欲不振が和らぐという研究報告もあります。
妊娠中のマイナートラブルと鍼灸によるアプローチ
- つわり(吐き気、食欲不振): 鍼灸は自律神経を整え、吐き気を和らげることでつわりを軽減します。
- 腰痛、坐骨神経痛: 骨盤のゆがみや筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減します。
- 足のむくみ: 血行を促進し、余分な水分排出を助けます。
- 便秘: 腸の動きを活発にし、便通を促します。
- 冷え: 全身の血行を改善し、冷えやすい体を温めます。
これらの症状が和らぐことで、お母さんの心身のストレスが減り、お腹の赤ちゃんへ栄養がしっかり行き届くことにつながります。
鍼灸は安産や産後の回復にも貢献
妊娠中の鍼灸治療は、単に不快な症状を和らげるだけでなく、スムーズな出産と産後の回復にも良い影響を与えることが期待されています。
鍼灸が期待できる安産効果
- 逆子(骨盤位)の改善: 昔から「逆子のお灸」として知られるように、特定のツボへのお灸が逆子を正常な位置に戻すのに役立つという報告があります。特に、妊娠週数が早いほど改善率が高いという研究結果も示されています。
- 陣痛の円滑化: 体の緊張を和らげ、陣痛を促すツボにアプローチすることで、スムーズな出産をサポートします。
- 産後の肥立ち(回復)の改善: 妊娠中から体を整えることで、出産後の体力回復が早まり、育児への移行がスムーズになります。
専門家による安全・安心の治療
「妊娠中に鍼をしてもいいの?」という疑問は、主に「流産や早産を誘発するのではないか」という不安からくるものです。しかし、国内外の多くの研究において、妊娠中の鍼灸治療で流産や早産の確率が上がるという客観的な証拠はありません。
経験豊富な鍼灸師は、妊娠中のデリケートな体に配慮し、妊婦さんには避けるべきツボや、刺激の強さ・量を熟知しています。
当院では、以下の点に細心の注意を払って施術を行っています。
- 妊娠時期に合わせたツボ選び: 妊娠初期・中期・後期それぞれの時期に応じて、避けるべきツボや、効果的なツボを使い分けます。
- 刺激量の調整: 強い刺激は避け、お母さんがリラックスできるような優しい刺激で施術します。
- 丁寧なカウンセリング: 施術前には必ず、お母さんの体調や不安な点をじっくり伺い、状態を常に確認しながら進めます。
当院では、鍼灸治療と合わせて、お母さんと赤ちゃんの安産を全力でサポートしています。
まとめ:鍼灸で、あなたらしい幸せなマタニティライフを
妊娠中は、体だけでなく心にも大きな変化が訪れる特別な期間です。この大切な時期を、不快な症状に悩まされず、できるだけ穏やかに過ごすために、鍼灸治療は頼もしい味方となります。
鍼灸治療に加え、ご自宅でのお灸を組み合わせることで、冷えの改善、むくみやだるさの解消、そして安産と産後の回復まで、トータルでサポートすることができます。
鍼灸治療についてもっと詳しく知りたい、ご自身の状況で不安なことがある方は、どうぞお気軽にご相談ください。あなたらしい、笑顔あふれるマタニティライフをサポートできるよう、お手伝いします。


参考文献📚
- 辻内敬子. (2013). 安産のためのつぼ療法. 東京母性衛生学会誌, 29(suppl-2): S(25)-S(30).
- 辻内敬子、他. (2017). 妊婦のマイナートラブルに鍼灸治療が与える影響. 母性衛生, 58(2): 443-451.
- 林真紀子. (2018). 妊婦のマイナートラブルの回避に役立つ. 医道の日本, 77(9): 163-165.
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着床不全・不育症と免疫療法【流産予防の新たな選択肢とは?】
「繰り返す流産を防ぐ方法はありますか?」
患者さまからのご質問を受け、「夫リンパ球移植療法」という治療法について調べてみました。この治療法は一時期注目されていましたが、現在は実施例が減少し、情報も限られています。その一方で、一定の条件下では効果が示唆された研究結果もあります。
今回は、最新の文献をもとに、「夫リンパ球移植療法」の仕組みや効果、注意点についてまとめました。
夫リンパ球移植療法とは?
夫リンパ球移植療法は、繰り返す流産(習慣流産)に対する免疫療法の一種です。これは、夫のリンパ球を妻に移植することで、母体の免疫応答を調整し、妊娠を維持しやすくすることを目的としています。
妊娠と母体の免疫の関係
妊娠とは、母体の免疫系にとって「自分とは異なる遺伝子を持つ胎児」を受け入れる特殊な現象です。通常、体は異物を排除しようとしますが、妊娠中は免疫システムが胎児を攻撃しないよう制御される仕組みが働いています。
その鍵となるのが、T細胞(免疫細胞)のバランスです。特に以下の3つが注目されています。
- 1型ヘルパーT細胞(Th1)
- 2型ヘルパーT細胞(Th2)
- 調節性T細胞(Treg)
このバランスが崩れると、母体が胎児を「異物」と判断し、妊娠が継続できなくなることがあります。
どんな時に適応される?
夫リンパ球移植療法は、以下のような条件を満たす方に効果が期待されるとされています。
- 3回以上の初期流産(習慣流産)
- 原因が不明で、特に免疫的要因が疑われる
- 遮断抗体活性が陰性
- 夫の感染症スクリーニングが陰性であること
- 年齢が40歳未満(40歳以上は効果が乏しい傾向)
実際の治療効果は?
兵庫医科大学産婦人科学講座の柴原浩章先生による報告では、
- 免疫療法を受けた140人中、78.6%が妊娠に成功
- 治療を受けなかった18人では、成功率は30.0%にとどまる
この結果は統計的にも有意差があり、一定の効果があることが示唆されています。また、リンパ球を3回接種すると、ほとんどの症例で「遮断抗体活性」が認められたとされています。
注意すべき点
米国では実施が禁止されている
アメリカでは2002年にFDA(米国食品医薬品局)が実施を全面禁止しており、現在も推奨されていません。
このため、日本国内でも実施例は少なく、情報も限られています。
治療は“輸血”と同様の扱い
この治療法は「リンパ球の移植=輸血療法の一種」とみなされるため、厳格な感染症管理・安全性確保の体制が必要です。
まとめ
夫リンパ球移植療法は、習慣流産に悩む方にとって一つの治療選択肢となる可能性があります。しかしながら、実施には以下のような点に注意が必要です。
- 効果が示されている条件:初期流産3回以上・免疫要因が疑われる・40歳未満など
- リスク・制限:アメリカでは禁止、日本でも慎重な扱い
- 実施にあたって:専門医の判断、安全な医療機関での対応が不可欠
「妊娠は、母体の免疫システムと胎児の絶妙なバランスによって成立する現象」。だからこそ、免疫の調整は流産予防の一つの可能性として注目されています。治療の選択にあたっては、信頼できる医療機関でよく相談し、ご自身で納得して決断することが何より大切です。


参考文献
- 柴原浩章 (2018). 「夫リンパ球移植療法」. 実践臨床免疫学. 中外医学者, 363-366.
- Wegmann TG. Placental immunotrophism: Maternal T cells enhance placental growth and function. Am J Reprod Immunol. 1987; 15: 67-70. OFI
- Raghupathy R. Th1-type immunity is incompatible with successful pregnancy. Immunol Today. 1997; 18:478-82.
- Shima T, Inada K, Nakashima A, et al. Paternal antigen-specific proliferating regulatory T cells are increased in uterine-draining lymph nodes just before implantation and in pregnant uterus just after implantation by seminal plasma- Spriming in allogeneic mouse pregnancy. J Reprod Immunol. 2015; 108: 72-82.
- Beer AE, Quebbeman JF, Ayers JWT, et al. Major histocompatibility complex antigens, maternal and paternal immune responses, and chronic habitual abortions in humans. Am J Obstet Gynecol. 1981; 141:987-99







