
DOHaDとは?妊娠中の栄養が胎児の将来に与える影響
DOHaDとは、Developmental Origins of Health and Diseaseの略で、日本語では「健康と病気の発達起源説」と訳されます。
簡単にいうと、胎児期から乳幼児期にかけての栄養状態や生活環境が、その後の健康や病気のなりやすさに影響する可能性があるという考え方です。
ただし、DOHaDは「妊娠中の過ごし方で子どもの将来がすべて決まる」という意味ではありません。子どもの健康には、遺伝、出生後の生活環境、食事、運動、睡眠、医療、社会的なサポートなど、さまざまな要因が関わります。
DOHaDはその中でも、妊娠前から妊娠中、そして出生後早期の環境が大切であることを示す考え方です。
- DOHaDとは、胎児期から乳幼児期の環境が将来の健康に影響する可能性があるという考え方です。
- 妊娠中の栄養状態、体重増加、喫煙、飲酒、ストレス、生活環境などは胎児の発育に関わる可能性があります。
- ただし、子どもの健康は多くの要因によって決まるため、妊娠中の過ごし方だけですべてが決まるわけではありません。
- 大切なのは、完璧な食事ではなく、極端な偏りを避けて栄養バランスを整えることです。
- 鍼灸は、妊活中や妊娠中の体調管理を支える一つの方法として、母体のコンディションづくりをサポートします。


目次
なぜ妊娠中の栄養が胎児に影響するのか
妊娠中の赤ちゃんは、お母さんの体を通して栄養や酸素を受け取りながら成長します。
そのため、妊娠中の栄養状態、体重増加、喫煙、飲酒、強いストレス、環境要因などは、胎児の発育に影響する可能性があります。
特に胎児期は、臓器や神経、代謝の仕組みが形づくられる大切な時期です。この時期の環境に体が適応することで、出生後の環境とのズレが生じた場合に、将来的な肥満、糖尿病、高血圧などのリスクに関わる可能性があると考えられています。
ただし、これは「妊娠中に少し食事が乱れたら病気になる」という意味ではありません。長期的な栄養環境や発育の流れが、将来の健康に影響する可能性があるという考え方です。
DOHaD説で考えられている将来の健康リスク
DOHaD説では、胎児期や乳幼児期の環境が、将来的にいくつかの健康リスクと関連する可能性があると考えられています。
生活習慣病
胎児期の低栄養や過栄養、出生後の急激な体重増加などは、将来の肥満、2型糖尿病、高血圧、メタボリックシンドロームなどと関連する可能性があります。
大切なのは、妊娠中に完璧な食生活を目指すことではなく、極端な食事制限や偏りを避けることです。
心血管疾患
胎児期の発育環境は、血管や心臓、血圧調節の仕組みに関わる可能性があります。
そのため、将来的な高血圧や動脈硬化、心血管疾患との関連も研究されています。
腎臓や代謝機能への影響
腎臓は胎児期に発達する重要な臓器の一つです。
胎児期の栄養環境が、腎臓の発達や将来の血圧調節に関わる可能性も報告されています。
脳や発達への影響
胎児期は、脳や神経系が大きく発達する時期です。
栄養不足、喫煙、飲酒、感染、強いストレス、環境化学物質などは、胎児の神経発達に影響を与える可能性があります。
ただし、発達障害や知的発達には多くの要因が関わります。妊娠中の栄養や生活だけが原因になるわけではありません。
そのため、「リスクを高める可能性がある」「関連が示唆されている」という理解にとどめ、不安になりすぎないことも大切です。
妊娠中に大切なのは「完璧な食事」ではなく「偏りを減らすこと」
DOHaDを知ると、「妊娠中に食べたものがすべて赤ちゃんに影響するのでは」と不安になる方もいるかもしれません。
しかし、妊娠中の食事で大切なのは、毎日完璧な食生活をすることではありません。
大切なのは、極端な食事制限や偏った食生活を避け、できる範囲で栄養バランスを整えることです。
妊娠中の栄養で意識したいポイントには、次のようなものがあります。
- 主食・主菜・副菜をそろえる
- 極端な糖質制限やカロリー制限を避ける
- たんぱく質を毎食意識する
- 葉酸、鉄、カルシウム、ビタミンDなどを不足させない
- 妊娠前の体格に応じた体重増加を目指す
- 喫煙・飲酒を避ける
- 無理のない範囲で体を動かす
- ひとりで抱え込まず、周囲のサポートを受ける
特に妊娠前から妊娠初期にかけては、葉酸、鉄、カルシウム、ビタミンDなど、不足しやすい栄養素にも目を向けることが大切です。
妊娠前から整えることにも意味がある
DOHaDは、妊娠中だけの話ではありません。
妊娠前の体格、栄養状態、血糖コントロール、睡眠、ストレス、喫煙・飲酒習慣なども、妊娠後の母体環境に関わります。
そのため、妊娠がわかってから急にすべてを整えるというより、妊活中から少しずつ体を整えておくことが大切です。
妊活中は「妊娠すること」だけに意識が向きやすいですが、妊娠後に赤ちゃんを育てていく母体環境を整えることも、将来の健康を考えるうえで大切な視点です。
鍼灸でできること
DOHaDの視点から考えると、妊娠前から妊娠中の体調管理はとても重要です。
ただし、鍼灸によってDOHaDに関連する将来の病気のリスクを直接下げられる、と断定することはできません。
現時点では、鍼灸が胎児の将来の生活習慣病や発達リスクを予防するという十分な医学的根拠が確立しているわけではありません。
一方で、鍼灸は妊活中や妊娠中の体調管理の一つとして、以下のようなサポートが期待されます。
- 自律神経のバランスを整える
- 冷えや血流のめぐりを整える
- 睡眠の質を整える
- 胃腸の働きをサポートする
- ストレスや緊張をやわらげる
- 妊娠中の腰痛や骨盤周囲の不調を軽減する可能性がある
鍼灸は「赤ちゃんの将来の病気を防ぐ治療」というよりも、妊娠前から妊娠中の母体のコンディションを整え、無理なく過ごすための補助的なケアとして考えると、医学的にも誤解が少なくなります。
DOHaDを知ることは、不安になるためではなく、できることを増やすため
DOHaDという考え方を知ると、「妊娠中の過ごし方を間違えたらどうしよう」と不安になる方もいるかもしれません。
しかし、DOHaDはお母さんを責めるための考え方ではありません。
むしろ、妊娠前から妊娠中、そして産後にかけて、食事・睡眠・運動・ストレスケア・周囲のサポートを整えることが、赤ちゃんとお母さんの健康につながる可能性がある、という前向きな考え方です。
毎日を完璧に過ごす必要はありません。できることから少しずつ整えていくことが、母体にとっても、赤ちゃんにとっても大切です。
DOHaDとは何ですか?
DOHaDとは、胎児期から乳幼児期にかけての栄養や生活環境が、将来の健康や病気のなりやすさに影響する可能性があるという考え方です。
妊娠中の食事で子どもの将来の病気が決まるのですか?
妊娠中の食事だけで、子どもの将来の病気が決まるわけではありません。遺伝、出生後の生活、食事、運動、睡眠、医療環境など、さまざまな要因が関わります。
妊娠中に栄養が不足すると、どのような影響がありますか?
極端な低栄養や偏った食生活は、胎児の発育や出生体重、将来の代謝機能に影響する可能性があります。ただし、少し食事が乱れたからといって過度に心配する必要はありません。
妊活中からDOHaDを意識した方がよいですか?
はい。妊娠前の栄養状態、体格、睡眠、ストレス、生活習慣は、妊娠後の母体環境にも関わります。妊活中から少しずつ体を整えておくことは大切です。
鍼灸でDOHaDに関わるリスクを予防できますか?
鍼灸で将来の病気のリスクを直接予防できると断定することはできません。ただし、妊活中や妊娠中の体調管理、冷えやストレス、自律神経の乱れへのケアとして、母体のコンディションを整えるサポートになります。
📝こちらの記事もおすすめです
📚参考文献
- 日本DOHaD学会|DOHaDの概念
- Lacagnina S. The Developmental Origins of Health and Disease
- Hoffman DJ, Reynolds RM, Hardy DB. Developmental origins of health and disease
- 厚生労働省|妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針
- 国立健康・栄養研究所|妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針
この記事の監修者


院長:宇都宮 泰子
(うつのみや やすこ)
FEMICA認定妊活指導士/鍼灸学修士/MBA(経営管理修士)
はり師・きゅう師(国家資格)
- 日本フェムライフ統合ケア協会 代表理事
- 日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー
- 日本生殖医学会会員
不妊・不育症を専門とし、東洋医学と生殖医療の両面から体質改善をサポート。大学院研究員としての研究活動も行いながら、臨床現場で妊活支援に従事している。
※本記事は一般的な医学情報を提供するものであり、診断・治療を目的とするものではありません。治療方針は必ず主治医の指示に従ってください。
妊娠前から身体を整えたい方へ
DOHaDの考え方は、妊娠中の過ごし方を不安に感じるためのものではなく、妊娠前からできることに目を向けるためのものです。
宇都宮鍼灸良導絡院では、妊活中の方や妊娠を考えている方に向けて、東洋医学の視点から体質や自律神経、冷え、胃腸の働き、ストレス状態などを確認しながら、体づくりをサポートしています。
「妊娠に向けて何から整えたらよいかわからない」「食事や生活習慣を見直したいけれど、一人では不安」という方は、無理のない範囲でできることから一緒に考えていきましょう🍀







