
流産手術の吸引法と掻爬法の違い【子宮への影響と妊活再開前に知っておきたいこと】
目次
流産手術の吸引法と掻爬法の違い|妊活中に知っておきたい子宮への影響
妊活中の女性にとって、流産はとてもつらく、心身ともに大きな負担となる出来事です。
しかし、流産は決してめずらしいものではありません。一般的に、妊娠が確認された方のうち、流産は約10〜20%に起こるとされ、年齢が上がるほどその割合は高くなる傾向があります。
特に40代では、妊娠が成立しても流産に至る割合が高くなることが知られています。ただし、これはあくまで集団としてのデータであり、40代だから必ず流産するという意味ではありません。
流産の多くは、受精卵や胎児側の染色体異常など、偶発的な要因によって起こるとされています。そのため、流産を経験された方が「自分のせいだったのでは」と必要以上に責める必要はありません。
流産後に手術が必要になることがある理由
妊娠の経過が止まってしまった場合、自然に子宮内容物が排出されることもあります。
一方で、子宮内に内容物が残っている場合には、出血や感染を防ぎ、子宮を妊娠前の状態に戻すために、医師の判断で処置が必要になることがあります。
この処置は「流産手術」「子宮内容除去術」「子宮内容清掃術」などと呼ばれることがあります。
手術が必要かどうかは、妊娠週数、出血の量、腹痛の有無、子宮内の状態、感染の可能性などを総合的にみて判断されます。
流産手術には主に「吸引法」と「掻爬法」がある
流産手術の方法には、主に吸引法と掻爬法があります。
どちらの方法が選ばれるかは、病院の方針、医師の経験、妊娠週数、子宮内の状態などによって異なります。
近年は、国際的な安全性の観点から、妊娠初期の子宮内容除去では吸引法が選択されることが増えています。
ただし、すべてのケースで吸引法が適しているとは限りません。ご自身の状況に合った方法については、必ず担当医に確認することが大切です。
吸引法とは
吸引法は、専用の器具を用いて子宮内容物を吸引して取り除く方法です。
電動式の吸引器を使う方法や、手動式の吸引器を使う方法があります。
吸引法は、子宮内をこする操作が少ないため、一般的には子宮への負担が比較的少ない方法とされています。
- 子宮内容物を吸引して取り除く
- 子宮内膜への機械的な刺激が比較的少ないとされる
- 妊娠週数や子宮内の状態によっては適応が限られることがある
- 出血、感染、遺残などのリスクはゼロではない
吸引法は安全性の面で推奨されることが多い方法ですが、どのような手術にもリスクはあります。
術後に出血が増える、強い腹痛が続く、発熱がある、めまいやふらつきがある場合は、早めに医療機関へ相談してください。
掻爬法とは
掻爬法は、さじ状の器具を使って子宮内容物を取り除く方法です。
日本では以前から行われてきた方法で、熟練した医師によって実施されている施設もあります。
一方で、子宮内を器具でこする操作を伴うため、子宮内膜や子宮筋層への刺激、子宮穿孔、癒着などのリスクが指摘されています。
- 器具を使って子宮内容物を取り除く
- 術者の技量に左右されやすい面がある
- 子宮内膜への刺激が強くなる可能性がある
- 繰り返し行う場合、子宮内膜への影響が心配されることがある
特に妊活中の方にとって、子宮内膜の状態は着床環境に関わる大切な要素です。
そのため、過去に流産手術を受けたことがある方や、複数回の処置を経験している方は、必要に応じて子宮内膜の厚さや子宮内の癒着の有無について医師に相談してみるとよいでしょう。
吸引法でもリスクがゼロになるわけではない
吸引法は、掻爬法と比べて子宮への負担が少ないとされることが多い方法です。
しかし、吸引法であっても、出血、感染、子宮内容物の遺残、子宮内の血管への刺激などのリスクが完全になくなるわけではありません。
実際に、流産手術後しばらくしてから出血が多くなり、追加の診察や処置が必要になるケースもあります。
術後は「手術が終わったから大丈夫」と自己判断せず、医師から指示された受診日や注意事項を守ることが大切です。
流産手術後に注意したい症状
流産手術後は、しばらく出血や軽い下腹部痛が続くことがあります。
ただし、次のような症状がある場合は、早めに手術を受けた医療機関へ連絡してください。
- ナプキンがすぐにいっぱいになるほどの出血がある
- 血のかたまりが何度も出る
- 強い下腹部痛が続く
- 発熱がある
- 悪臭のあるおりものが出る
- めまい、ふらつき、冷や汗がある
- 出血が長引いている、または一度減った出血が再び増えた
「このくらいなら大丈夫」と我慢してしまう方もいますが、術後の異変は早めに確認することが大切です。
特に妊活を再開したい方にとっては、子宮の回復状態をきちんと確認することが、次の妊娠に向けた安心につながります。
流産手術後、妊活はいつ再開できる?
妊活を再開できる時期は、流産の状況、手術の有無、出血の経過、月経の回復、子宮内の状態によって異なります。
一般的には、術後の診察で問題がないことを確認し、医師から許可が出てから再開するのが安心です。
特に、不正出血が続いている、月経が戻らない、下腹部痛がある、子宮内膜が薄いと言われたことがある場合は、焦って再開せず、まずは身体の回復を優先しましょう。
流産後は、身体だけでなく心にも大きな負担がかかります。
「早く次に進まなければ」と思う一方で、気持ちが追いつかないこともあります。妊活の再開時期は、検査結果だけでなく、ご自身の心身の状態も大切にしながら考えていきましょう。
担当医に確認しておきたいこと
流産手術を受けることになった場合、不安なまま手術に進むのではなく、可能であれば事前に疑問点を確認しておくことをおすすめします。
- 今回の処置は吸引法か掻爬法か
- 手術が必要な理由
- 自然排出を待つ選択肢があるか
- 手術後の出血はどのくらい続く可能性があるか
- 受診が必要な症状の目安
- 妊活を再開できる時期
- 子宮内膜や子宮内の状態を確認する必要があるか
医師に質問することは、失礼なことではありません。
ご自身の身体を守るためにも、納得できる説明を受けたうえで治療を選択することが大切です。
この記事のまとめ
- 流産は決してめずらしいことではなく、年齢とともに起こる割合が高くなる傾向があります。
- 流産後、子宮内に内容物が残っている場合は、医師の判断で手術が必要になることがあります。
- 流産手術には主に吸引法と掻爬法があり、近年は子宮への負担の少なさから吸引法が選ばれることが増えています。
- 吸引法であっても、出血や感染などのリスクがゼロになるわけではありません。
- 術後の出血、強い腹痛、発熱、不正出血が続く場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
よくある質問
流産手術は必ず必要ですか?
必ず手術が必要になるわけではありません。自然に排出されるのを待つ場合もあります。ただし、出血が多い場合、感染のリスクがある場合、子宮内に内容物が残っている場合などは、医師の判断で手術が必要になることがあります。
吸引法と掻爬法では、どちらがよいのでしょうか?
国際的には、妊娠初期の子宮内容除去では吸引法が推奨される傾向にあります。ただし、妊娠週数や子宮内の状態、医療機関の方針によって適した方法は異なります。ご自身の場合にどの方法が適しているかは、担当医に確認してください。
掻爬法を受けると妊娠しにくくなりますか?
一度の掻爬法で必ず妊娠しにくくなるわけではありません。ただし、子宮内膜への刺激や癒着のリスクが指摘されることがあるため、複数回の手術歴がある方や、術後に月経量が少なくなった方は医師に相談しておくと安心です。
流産手術後の出血はどのくらい続きますか?
個人差がありますが、術後しばらく少量の出血が続くことがあります。ただし、出血量が急に増える、血のかたまりが多い、強い腹痛や発熱を伴う場合は、早めに医療機関へ連絡してください。
流産後、いつから妊活を再開できますか?
妊活再開の時期は、子宮の回復状態や出血の経過、月経の再開状況によって異なります。術後の診察で問題がないことを確認し、医師から許可が出てから再開するのが安心です。
流産後の身体づくりと妊活再開に向けて
流産後は、身体だけでなく心にも大きな負担がかかります。
「早く次の妊娠に向けて動きたい」という気持ちと、「また同じことが起こったらどうしよう」という不安が同時に出てくることも少なくありません。
宇都宮鍼灸良導絡院では、流産後の妊活再開に向けて、東洋医学の視点から体調や自律神経、血流、冷え、睡眠、胃腸の状態などを丁寧に確認しながら、妊娠に向けた身体づくりをサポートしています。
医療機関での診察や検査を大切にしながら、次の妊娠に向けて体調を整えていきたい方は、無理のないタイミングでご相談ください。
参考文献
- 日本生殖医学会|女性の加齢は流産にどんな影響を与えるのですか?
- ACOG|Early Pregnancy Loss
- WHO Abortion care guideline, second edition|NCBI Bookshelf
- 日本産婦人科医会|妊娠12週未満の人工妊娠中絶手術による合併症






